【今はまだ言葉にできない】




オラ、チチは可愛いと思う。



料理は絶品だし、働き者で、子供たちには優しい、良い嫁だ。
ヒステリーはちょっと・・・苦手だけど。
いつも苦労かけて、悪ぃかな。
でも、家族の一員として大事に思ってる。
夜だって、優しくしてきたつもりだ。



だけど・・・



何でかな、あいつには乱暴にしたくなっちまう。



あの白い首に噛み付きてぇとか、背骨が折れても構わねぇから思いっ切り抱き締めてぇとか、いつも傷付けてんのに、あいつの傷なんかお構いなしにムチャクチャしたくなっちまったり。



って、これじゃあオラ、乱暴って云うより凶暴だな・・・!



でもしょうがねぇよな。



だって、何かよ、あいつ見てっとこう・・・



何つーか、ムラムラしてくんだから。



オラの息子を見てっとオラの“ムスコ”が・・・って、ああオラ何言ってんだ、ワケわっかんねぇぞ!



当の息子はと云うと、オラとこうなってから益々敏感になっちまったみてぇで、オラがちょっとこうやって背中を撫でただけで。



「あっ・・・!」



ホラ、な。



体がビクン!ってなった後、震え出す。



オラ知ってっぞ。
こういうの淫乱って言うんだぞ。
この声だって、オラが乱暴にしたくなっちまう原因なんだ。
決してオラが悪ぃわけじゃねぇんだ。
この、エッチな躯がいけねぇんだ。
その証拠に、耳の穴に舌を突っ込んでやれば。



「んっ!くっ・・・う、ん!」



まるでイク時みてぇにビクンビクンってする。



な?



エッチな躯してるだろ?



いっそこの体がオラの匂いで染まっちまえばいいのにな。
そうしたら、少しはオラの乱暴な気持ちもなくなるんかな。



でも、乱暴したくなるだけじゃねぇ。



オラはこいつの全部が欲しい。



体だけ抱いたって意味がねぇ、心だけでもダメだ。
こいつの現在だけじゃなくって、過去も、未来も、全部欲しい。



それだけじゃねぇ。



こいつの記憶も、体ん中も心ん中も頭ん中も、全部オラでいっぱいにしてぇ。
オラのことしか考えられないように、オラしか思い出せないように。
こいつのすべてをオラのものにして、こいつをオラでいっぱいにしてぇ。



こういうのを難しい言葉で何て言うんだっけな?



「あっ!お・・・父さ・・・ん、ふっ!あ・・・あっ!」



「くぅ・・・オラの、悟飯っ」





―今はまだ、この感情を言葉にできない―





END

ここまでお読み戴きありがとうございました。
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