【ピッコロ師匠、相談です!】
「ん?悟飯、今からどっか行くんか?」
「はい、ピッコロさんの所です。今日は帰りませんから」
「帰らねぇって・・・。神様の宮殿に泊まるんか・・・?」
「そうです!」
「いくらピッコロんとこでも、母ちゃんが許さねぇだろ」
「いえ、お母さんは知っています。お父さんがいない間、たまに泊まっていたんですよ」
「と・・・泊まるったって、おめぇが寝るとこなんてあんのか・・・?」
「それは大丈夫ですよ。ピッコロさんのベッドがありますから」
「おめぇ・・・ピッコロのベッドで寝るんか・・・?」
「はい!」
チュドォォォォォォォン!
(ピッコロさんはナメック星人だから、寝なくても平気だもの。夜も自分の部屋で宙に浮いて瞑想しているだけだから、ピッコロさんのベッドは僕しか使わないんだよね)
(い・・・いつの間にピッコロとそんな仲に・・・)
「ピ・・・ピッコロが相手じゃあ、尻が痛そうだなぁ・・・」
「そうなんですよ!良くわかりましたね!」
ドンガラガシャンガシャーン!!
(ピ・・・ピッコロのやつ、オラがいねぇからって悟飯に手ぇ出してやがったんか!)
「ピッコロさんは長いから・・・」
ガラガラガチャーン!!
「な・・・長ぇって、時間が、か・・・?それとも・・・」
「時間です!いつも僕はそろそろ終わってくれてもイイのに、って思うんですけど、ピッコロさんがなかなか止めてくれなくて・・・」
「あ・・・あいつ、そんなにしつけぇんか・・・?」
「しつこいって言うのかなぁ・・・。たまーにピッコロさんが夢中になり過ぎちゃって、気が付いたら朝になっちゃってることもあるんですよ」
「あ、朝までぇ・・・!?」
「そうなんです。泊まりに行く度にピッコロさんから地球の歴史や地理や文化、生物の生態系や分布、進化の過程なんかの講義を受けているんですけど、ピッコロさんは話が長いから、朝までかかることがあるんですよ。僕はずっと椅子に座ってるから、お尻が痛くなっちゃって」
「こ・・・講義ね、はは・・・」
「?・・・何だと思ったんですか?」
「しゅ・・・修行かなぁ、ハハ・・・。・・・ところでよ、ピッコロとは、どこまでいったんだ・・・?」
「はい、この前パオズ山の頂上まで行きました」
「そっか、頂上まで、か・・・」
「なぁ、ピッコロ。たまに悟飯が泊まりに来てるんだって?」
「ああ。息抜きと勉学を兼ねてな。悟飯が来るとデンデの話し相手にもなるから、デンデも喜ぶ」
「おめぇ、まさか悟飯に変なことしてねぇだろうな~?」
「・・・何を想像しているのかは知らんが、このオレが悟飯を傷付けるような真似をするワケがなかろう」
「本当か~?」
「くどいぞ、孫!そんなくだらないことを訊きに、ここへ来たのか!?」
「それもあるけどよぉ・・・」
「何だ、他にも用があるならさっさと言え」
「この前、悟飯が学校ってとこで女の子からいっぺぇラブレターを貰って来たんだ」
「何!?本当か、それは!?」
「ああ。・・・ラブレターを書くってことは、悟飯とどうにかなりてぇ、ってことだよな?」
「知るか!そんなことは書いた本人に訊け!・・・しかし、そうか、悟飯はハイスクールで女の子にモテているのか」
「しかもよ、悟飯がビーデルと付き合ってるかも知れねぇ、って承知の上でラブレターを書いてんだぜ。何でだ?」
「オレに訊くな。何せオレには恋愛なんてものはさっぱりわからんからな」
「でもよぉ、おめぇは神様と合体してっから、何でもわかるんじゃねぇのか?」
「神のヤツと合体したところで、恋愛については何もわからんことに変わりはない。だが、悟飯とどうにかなりたいかどうかはともかく、アプローチの一種には違いないだろうな」
「アプローチ?・・・って何だ?」
「そうか、貴様は何の努力もなくしてチチとの結婚に至ったのだったな。アプローチとは、対象者に接近することだ。ラブレターはその為の手段になる筈だが、目的が違うのであればラブレターというよりはもはやファンレターに近いかも知れんな」
「ファンレターか、なるほどな・・・」
「無理もあるまい。何せ悟飯はこのオレの弟子だけあって運動神経抜群、頭脳明晰、性格温厚、品行方正、加えて容姿も悪くない。これだけ条件が揃えば、異性にモテるのは道理だろう」
「ってことは、テレビでアイドルを見てるのと変わらねぇんか」
「そうだろうな。貴様らのような武道家共には、異性に対してアピール出来るものは筋肉くらいしかないだろうが、悟飯は違うからな」
「アピールって、動物の求愛行動で雄が雌に自分を格好良く見せることだろ?悟飯から聞いたことあるぞ。何だ、オラ達には筋肉くらいしか自慢出来ることがねぇんか」
「そんなところだ。・・・言っておくが、悟飯は違うぞ」
「ファンレターなら、そんなに心配することもなさそうだな・・・」
「悟飯はこのオレが唯一、弟子と認めたヤツだからな。ハイスクールでもスポーツ万能、成績優秀、大人しくて優しい性格・・・」
シュン!
「・・・って、孫!!最後まで聞いて行け!!」
「・・・?・・・お父さん・・・?パンツ一丁でボディビルのポーズなんか取って、どうしたんですか?」
「・・・・・・何でもねぇよ・・・」
(筋肉自慢すりゃあ、格好良く見えるんじゃなかったのかよ・・・)
END
ここまでお読み戴きありがとうございました。