【遅刻】

【遅刻】


「だから早く来いって言ったろ?」


体が燃えるように熱くて、額から流れる汗が止まらない。
慌てて駆け付けた時には既に汗ばんでいたが、更に吹き出す汗に濡れたYシャツが肌に張り付き、言いようのない不快感に襲われる。


「おめぇが、オラの言うこと聞かねぇから悪ぃんだぞ」


彼が話す度に焼ける咽喉から吐き出される息も熱く、瞳一杯に溜まった涙が今にも零れそうになるのを必死で堪えた。


「すみません、お父さん。もう勘弁して下さい」


もう何度も謝罪の言葉を口にするが、彼からは一向に許しは得られていない。


「ダメだ。それが出来ねぇくれぇ、おめぇにだってわかってんだろ?」


彼からの返事に、幾度絶望感に苛まれたことだろう。


「本当に、もう許して下さい。これ以上は無理です」


その言葉に彼が再び口を開こうとした時、他方からの別の声がそれを遮った。


「ちょっと―、孫君!もう許してあげなさいよ!」

「そうだぞ、悟空。いくら罰ゲームだからって、悟飯が可哀相だろ」

「二人の言うとおりだ、もういいだろう。悟飯は仕事で遅れたのだ、仕方がなかろう。元々はパーティーを盛り上げる為の趣旨、これまでで充分ではないか」

「んでもよぉ・・・」

「それとも貴様には、息子をいたぶる趣味でもあるのか?」

「そうなのか、カカロット!てめぇ、そんな理由で悟飯を・・・!」

「んなワケねぇだろッ!?・・・んだよ、おもしれぇと思ったんだけどな・・・」

「だからって、こんな超激辛料理、誰にだって食べられるものじゃないよ、父さん。これを半分も食べた兄ちゃんはある意味スゴイよ」


罰ゲーム強制終了。





END

ここまでお読み戴きありがとうございました。
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