【指切りげんまん】

【指切りげんまん】


「ねぇ、お父さん。恐竜の卵、無事かな?・・“僕、心配だから見に行きたいよ・・“」

「今からかぁ?んー、父ちゃんも心配だけど、今日は雨降ってっから、外に出たら母ちゃんに怒られっぞ」

「合羽を着て行けば、平気だよ」

「そういうワケにもいかねぇだろ。明日父ちゃんが連れてってやっから、今日は諦めろ。な?」

「・・・本当に連れて行ってくれる・・・?」

「ああ、本当だ。約束する。悟飯、明日まで待てっか?」

「・・・うん・・・待てるよ」

「本当だな?じゃあ、父ちゃんと指切りげんまん出来るか?」

「出来る!」

「よ~し、ゆ~びき~りげ~んま~ん・・・」

「・・・?・・・お父さん?お母さんの指切りと違いますよ・・・?」

「そっかぁ?」

「はい。お母さんは『ハリセンボン飲ます』って言ってました」

「・・・母ちゃんは厳しいからなぁ。・・・でも、父ちゃんとの指切りの時は、こうだ」

「はい、わかりました」

「よし、良い子だ。もう一回始めからやっぞ」

「はい。ゆ~びき~りげ~んま~ん♪」










子供の頃の懐かしい思い出。

でも、今になって思えば、何故あの時に変だと気付かなかったのか、不思議で仕方がない。

お母さんの指切りが一般的なのだと、この歳になって初めて知った。

おかげで、ブルマさんには驚かれ、ベジータさんには呆れられ、トランクスと悟天には僕の人格を疑われる結果となった。

まったく、あの人ときたら、純粋無垢な子供になんてことを教えてくれたんだ。

家に帰ったら、懲らしめてやらねば・・・!





『指切りげんまん、嘘ついたらチュウ千回させる』



END

ここまでお読み戴きありがとうございました。
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