【僕を哀れと思うなら】
【僕を哀れと思うなら】
誰か、僕を哀れと思うなら、あの人を僕に下さい。
他には何もいらない、他には何も望まない。
僕には、あの人だけなんです。
あの人しか、いないんです。
『ダメだ。その願いは叶えられない』
ああ、あなたの顔中にキスしたい。
『どうして?神龍は何でも願いを叶えてくれるんじゃないの?』
あなたを体中舐め回したい。
『ドラゴンボールを造り出した者の能力を超える願いは、叶えられん。人の心を変えるのは、私を造り出した者の能力を超える』
一日中あなたをこの腕に抱き、一晩中あなたの寝顔を見ていたい。
『神龍を造り出した者って、デンデさんのこと?』
あなただけ、あなただけが欲しい。
『そうだ』
他には何もいらない、他には何も望まない。
地位も名誉も財産も、優秀な頭脳も見てくれの良い容姿も、何も欲しくない。
『なら、別の願いなら叶えてくれる?』
それなのに、あなたは僕に残酷なことを言う。
『七つのドラゴンボールを集めし者よ、他に願いがあるなら願いを言うが良い』
“早く可愛い子を見つけろよ”なんて言うんだ。
“お前の歳には、お父さんもお母さんも結婚してたんだぞ”なんて言うんだ。
『神龍、僕、兄ちゃんが欲しいんだ』
自分はさっさと結婚したからって。
おまけに、パンちゃんまで生まれたからって。
『孫 悟飯の心は変わらないままだが、それでも良いのか?』
僕に、あんな酷いことを言うなんて。
『うん、それでも良い』
あんまりだよ。
『どんな形であれ、孫 悟飯を手に入れるのが、そなたの願いなのだな?』
兄ちゃんは、僕が生まれた時から僕のものだったのに。
『うん、どんな形でも良い』
たった一人の女性に独占されて、僕には夢のひと欠片さえ与えてくれないなんて。
『その願い、聞き届けたりー』
そうして、兄ちゃんは僕のものになった。
現実の兄ちゃんとは違う、中身のない、空っぽの兄ちゃんが。
ようやっと手に入れた兄ちゃんの体に、僕が今まで我慢してたこと、全部やってやろうかと思う。
だけどー
この兄ちゃんは、僕に笑わない。
僕に話しかけない。
僕を愛してくれない。
僕の思いどおりに動かせるだけの、ただの人形。
ーああ、誰か、僕を哀れに思うなら、あの人を僕に下さい。
僕の流す涙の1/100でも良い、誰か、僕を哀れと思って下さい。
END
ここまでお読み戴きありがとうございました。
誰か、僕を哀れと思うなら、あの人を僕に下さい。
他には何もいらない、他には何も望まない。
僕には、あの人だけなんです。
あの人しか、いないんです。
『ダメだ。その願いは叶えられない』
ああ、あなたの顔中にキスしたい。
『どうして?神龍は何でも願いを叶えてくれるんじゃないの?』
あなたを体中舐め回したい。
『ドラゴンボールを造り出した者の能力を超える願いは、叶えられん。人の心を変えるのは、私を造り出した者の能力を超える』
一日中あなたをこの腕に抱き、一晩中あなたの寝顔を見ていたい。
『神龍を造り出した者って、デンデさんのこと?』
あなただけ、あなただけが欲しい。
『そうだ』
他には何もいらない、他には何も望まない。
地位も名誉も財産も、優秀な頭脳も見てくれの良い容姿も、何も欲しくない。
『なら、別の願いなら叶えてくれる?』
それなのに、あなたは僕に残酷なことを言う。
『七つのドラゴンボールを集めし者よ、他に願いがあるなら願いを言うが良い』
“早く可愛い子を見つけろよ”なんて言うんだ。
“お前の歳には、お父さんもお母さんも結婚してたんだぞ”なんて言うんだ。
『神龍、僕、兄ちゃんが欲しいんだ』
自分はさっさと結婚したからって。
おまけに、パンちゃんまで生まれたからって。
『孫 悟飯の心は変わらないままだが、それでも良いのか?』
僕に、あんな酷いことを言うなんて。
『うん、それでも良い』
あんまりだよ。
『どんな形であれ、孫 悟飯を手に入れるのが、そなたの願いなのだな?』
兄ちゃんは、僕が生まれた時から僕のものだったのに。
『うん、どんな形でも良い』
たった一人の女性に独占されて、僕には夢のひと欠片さえ与えてくれないなんて。
『その願い、聞き届けたりー』
そうして、兄ちゃんは僕のものになった。
現実の兄ちゃんとは違う、中身のない、空っぽの兄ちゃんが。
ようやっと手に入れた兄ちゃんの体に、僕が今まで我慢してたこと、全部やってやろうかと思う。
だけどー
この兄ちゃんは、僕に笑わない。
僕に話しかけない。
僕を愛してくれない。
僕の思いどおりに動かせるだけの、ただの人形。
ーああ、誰か、僕を哀れに思うなら、あの人を僕に下さい。
僕の流す涙の1/100でも良い、誰か、僕を哀れと思って下さい。
END
ここまでお読み戴きありがとうございました。