【あなたの中に溶けてしまいたい】

【あなたの中に溶けてしまいたい】



「あっ…!…ご、てん』っ…!」

「はぁ…兄ちゃん…」

ああ。

こんなに愛しているのに。

こんなに抱き合っているのに。

どんなに愛しても愛しても、まだ愛し足りない。


お互いの唾液を交換して、お互いの精を飲み干し合って、お互いの体液にまみれているのに、それでも俺の中にはもどかしさだけが残る。

いっそのこと、あなたの中に溶け込んで、あなたの体の一部となって息づいていられたら良いのに。

そうしたら俺は、あなたの内臓となって、あなたの肉となって、あなたの血となって、あなたと共に生き続けられるんだ。

それなのに、二人分の皮膚が俺とあなたの間を阻む。

「ごっ、悟天っ…!も、もう…っ…きてっ!」

「兄…ちゃん…っ、俺もっ、限、界、うぅっ!」

それでも訪れる至福の瞬間。

兄ちゃんの中で俺が解放されて、俺のすべてを兄ちゃんは受け止めてくれて。

二人の体が一つに繋がって、愛し合った確かな証。

一つに重なる、二人分の呼吸。

一つになった、俺と兄ちゃん。

ああ。

時が経つのも忘れ、すべてを忘れて、このままあなたの中に溶けてしまいたい。





END

ここまでお読み戴きありがとうございました。
1/1ページ
スキ