《傍にいるのに・・・》
悟空と悟飯は、久しぶりに西の都にある、カプセルコーポレーションへやって来た。
「悟飯、ブルマはどんな用事があるって、言っていたんだ?」
「ブルマさんは、試作品のバーチャルゲームを僕に、体験してほしいと言っていました。何でも、バグを発見する為らしいですよ?」
悟空は、ブルマからの用事…と聞いた時点で、とんでもない事を頼まれるのではないかと思ったが、バーチャルゲームの試作品の体験と聞き、胸を撫で下ろしていた。
破壊神ビルスや天使のウィス絡みだと、必ず厄介ごとなので、絶対に断ろうと決めていたのだ。
戦いがない時は退屈だが、農業をしている悟空にとっては、平和な日々が一番だと思っている。
妻のチチから、怒られる事も多々あるが、それも良い。
カプセルコーポレーションの建物に、珍しく正面玄関から入ると、悟空と悟飯はブルマの姿を捜す。
すると、長い廊下からブルマが笑顔で、こちらへ向かって来るのが見えた。
「いらっしゃい!孫くん、悟飯くん!!」
「オッス、ブルマ」
「こんにちは、ブルマさん」
いつものように、挨拶を終えるとブルマは早速、件のバーチャルゲームを開発している部屋へ、悟空と悟飯を案内する。
「悟飯くん、これを付けてくれるかしら?」
ブルマは、ゴーグルの様な機械を悟飯に渡すと、満面の笑顔でそれを素早く彼の頭を覆う様に付けた。
「頑張って、ミッションをクリアしてね。私はバグが無いか、離れた所から見てるから」
「ちょっと…待って下さい。ブルマさん、このゲームがどんな内容なのか、説明して行って下さいよ~」
悟飯の訴えも虚しくも、部屋の扉が閉まる音にかき消される。
仕事という探究心の塊の様なブルマを、誰にも止める事は出来ないのだ…と、悟飯は今更ながらに溜め息をして理解した。
彼の頭を覆うように付けられたゴーグルは、機械独特の起動音が鳴り、目の前の風景が部屋の中から、西の都が瓦礫の山の荒廃したモノへと変わる。
(こ…これは、もしかしてこの前、未来から助けを求めてタイムマシンに乗ってやって来た、トランクスさんが見ていた世界なのか?)
「ふふ…悟飯くん、どうかしら私が開発しているバーチャルゲームは?」
ブルマが別の部屋で見ている監視モニターには、悟飯が見ているモノを映し出している。
それを彼女の隣にいる悟空は、苦虫を噛み潰したような表情をしていた。
監視モニターに、映し出されている2人の人物がいた。
その姿は忘れる事など出来ない、ゴクウブラックとザマス…トランクスが住む、未来の世界で『神』でありながら、人間の殲滅しようと殺戮の限りを尽くした者達だ。
悟飯は目の前にいる彼らの事は、悟空から話しに聞いてはいたが、周りの風景がや吹く風もリアルで、あたかも自分が悟空やベジータが経験した事を、追想している様に感じる。
ブラックとザマスが、目の前にいる悟飯の存在を認識し、不敵な笑みを浮かべた。
悟飯の背中に、冷たいモノが流れる。
自分もフリーザやセルと対峙したが、これ程の『殺意』を向けられる事に、恐怖するのはやはり恐ろしく感じた。
「穢らわしい人間…絶対神ザマスの名の下に、滅びるが良い」
ブラックとザマスの地を這う様な、低い声を聞こえたと思ったら次の瞬間、悟飯の体は宙を舞い、瓦礫の山に吹き飛ばされていた。
「がはっ…」
今何が起こったのか、思考が追いつかない。
恐ろしく冷たい視線を向けられ、悟飯は体が竦み上がる。
(攻撃が全然…見えなかった。お父さんとベジータさん、トランクスさんは、こんな恐怖を感じながら戦っていたのか!?)
戦闘から一線を置き学者として、職業に就いた今では、戦いの感覚をすぐに取り戻す事は難しい。
でも、そんな弱音を吐いてはいられない…ブラックとザマスの戦闘能力は現段階では、格上だが…戦わねば確実に『死ぬ』愛する家族や自分を『想って』くれている存在がある限り、死ねないのだ。
ブラックとザマスは、シンクロした動きで戦闘態勢に入ったその時、何処からか高エネルギーの気弾が飛んできたと思えば、一瞬で彼らを消し去った。
「人間が神より強い…など、あってはならないのだ」
ザザザァ…
ブラックとザマスは、砂嵐の様にかき消えると、悟飯は気弾が飛んで来た方向を見ると、そこには悟空にソックリな、浅黒い肌をした人物が立っている。
悟飯は、その人物を知っていた。
自分が幼い頃、地球に『神』しか食べる事を許されない、樹を植え付け滅ぼそうとした人物だ。
「ターレス…?」
悟飯の目を見開いた顔をを見たターレスは、不器用ながらも口角を上げて笑った。
その時、彼の目の前が眩く白い光が視界が広がる。
頭を覆うように付けていたゴーグルを、両手で外すと、悟飯は溜め息をした。
(ターレスはあの時、何を僕に言おうとしていたのだろうか?)
部屋の扉が開き、ブルマが機嫌良いのか鼻歌を歌いそうな笑顔で入って来た。
「悟飯くん、ありがとう。良いデータがとれたわ。何処にバクがあるのか分かったし」
悟空は不機嫌そうな表情をして、悟飯を見ている。
(オラが悟飯を助けたかったのに…何で、ターレスなんだ)
悟空は、何故?と思いながら、笑顔でブルマと話している悟飯に視線を向けた。
こんなに傍にいるのに、いつだって『想い』は一方通行だ。
END
ザマスとゴクウブラックがお好きなキラ様に、2人+ターレスの登場と最後だけ空飯オチをお願いしたのですが、まさかの水樹の大好物の空飯小説にキラ様が仕上げて下さいました。
もう、タイトルを拝見しただけでニマニマが止まりませんでしたよ・・・!
悟飯ちゃんがバーチャルゲームをテストプレイすることになった経緯やザマスとゴクウブラックと対峙した時の悟飯ちゃんの心境などが詳しく説明されていて、期待以上でした。
キラ様は普段からきちんとストーリー展開のある小説をお書きになられるので、尊敬しております。
これぞ小説!
しかも、これだけの小説をリクエストからたった3日でお書きになられたので、驚異の極みです。
ああっ!
自分の遅筆さが恨めしい・・・!
との水樹の心の嘆きはともかくとして、こちらの小説ですが、全体の雰囲気が『空飯の部屋』に似ている気がするのは、水樹だけでしょうか?
水樹の書く駄文のイメージまで再現して戴けたのかも・・・とか、ちょっとだけ自惚れてしまいました。
ターレスは悟飯ちゃんに何を言っていたのでしょうか?
この辺りは読み手側の想像力を掻き立てられますね。
愛の告白だったりしたら、間違いなく私は悶死致します・・・!
悟飯ちゃんの心がどちらを向いているのかわからないところも、悟飯ちゃんの気持ちをいろいろと想像できて、余韻に浸れます。
キラ様、私好みの素敵な小説を提供して戴き、ありがとうございました!
「悟飯、ブルマはどんな用事があるって、言っていたんだ?」
「ブルマさんは、試作品のバーチャルゲームを僕に、体験してほしいと言っていました。何でも、バグを発見する為らしいですよ?」
悟空は、ブルマからの用事…と聞いた時点で、とんでもない事を頼まれるのではないかと思ったが、バーチャルゲームの試作品の体験と聞き、胸を撫で下ろしていた。
破壊神ビルスや天使のウィス絡みだと、必ず厄介ごとなので、絶対に断ろうと決めていたのだ。
戦いがない時は退屈だが、農業をしている悟空にとっては、平和な日々が一番だと思っている。
妻のチチから、怒られる事も多々あるが、それも良い。
カプセルコーポレーションの建物に、珍しく正面玄関から入ると、悟空と悟飯はブルマの姿を捜す。
すると、長い廊下からブルマが笑顔で、こちらへ向かって来るのが見えた。
「いらっしゃい!孫くん、悟飯くん!!」
「オッス、ブルマ」
「こんにちは、ブルマさん」
いつものように、挨拶を終えるとブルマは早速、件のバーチャルゲームを開発している部屋へ、悟空と悟飯を案内する。
「悟飯くん、これを付けてくれるかしら?」
ブルマは、ゴーグルの様な機械を悟飯に渡すと、満面の笑顔でそれを素早く彼の頭を覆う様に付けた。
「頑張って、ミッションをクリアしてね。私はバグが無いか、離れた所から見てるから」
「ちょっと…待って下さい。ブルマさん、このゲームがどんな内容なのか、説明して行って下さいよ~」
悟飯の訴えも虚しくも、部屋の扉が閉まる音にかき消される。
仕事という探究心の塊の様なブルマを、誰にも止める事は出来ないのだ…と、悟飯は今更ながらに溜め息をして理解した。
彼の頭を覆うように付けられたゴーグルは、機械独特の起動音が鳴り、目の前の風景が部屋の中から、西の都が瓦礫の山の荒廃したモノへと変わる。
(こ…これは、もしかしてこの前、未来から助けを求めてタイムマシンに乗ってやって来た、トランクスさんが見ていた世界なのか?)
「ふふ…悟飯くん、どうかしら私が開発しているバーチャルゲームは?」
ブルマが別の部屋で見ている監視モニターには、悟飯が見ているモノを映し出している。
それを彼女の隣にいる悟空は、苦虫を噛み潰したような表情をしていた。
監視モニターに、映し出されている2人の人物がいた。
その姿は忘れる事など出来ない、ゴクウブラックとザマス…トランクスが住む、未来の世界で『神』でありながら、人間の殲滅しようと殺戮の限りを尽くした者達だ。
悟飯は目の前にいる彼らの事は、悟空から話しに聞いてはいたが、周りの風景がや吹く風もリアルで、あたかも自分が悟空やベジータが経験した事を、追想している様に感じる。
ブラックとザマスが、目の前にいる悟飯の存在を認識し、不敵な笑みを浮かべた。
悟飯の背中に、冷たいモノが流れる。
自分もフリーザやセルと対峙したが、これ程の『殺意』を向けられる事に、恐怖するのはやはり恐ろしく感じた。
「穢らわしい人間…絶対神ザマスの名の下に、滅びるが良い」
ブラックとザマスの地を這う様な、低い声を聞こえたと思ったら次の瞬間、悟飯の体は宙を舞い、瓦礫の山に吹き飛ばされていた。
「がはっ…」
今何が起こったのか、思考が追いつかない。
恐ろしく冷たい視線を向けられ、悟飯は体が竦み上がる。
(攻撃が全然…見えなかった。お父さんとベジータさん、トランクスさんは、こんな恐怖を感じながら戦っていたのか!?)
戦闘から一線を置き学者として、職業に就いた今では、戦いの感覚をすぐに取り戻す事は難しい。
でも、そんな弱音を吐いてはいられない…ブラックとザマスの戦闘能力は現段階では、格上だが…戦わねば確実に『死ぬ』愛する家族や自分を『想って』くれている存在がある限り、死ねないのだ。
ブラックとザマスは、シンクロした動きで戦闘態勢に入ったその時、何処からか高エネルギーの気弾が飛んできたと思えば、一瞬で彼らを消し去った。
「人間が神より強い…など、あってはならないのだ」
ザザザァ…
ブラックとザマスは、砂嵐の様にかき消えると、悟飯は気弾が飛んで来た方向を見ると、そこには悟空にソックリな、浅黒い肌をした人物が立っている。
悟飯は、その人物を知っていた。
自分が幼い頃、地球に『神』しか食べる事を許されない、樹を植え付け滅ぼそうとした人物だ。
「ターレス…?」
悟飯の目を見開いた顔をを見たターレスは、不器用ながらも口角を上げて笑った。
その時、彼の目の前が眩く白い光が視界が広がる。
頭を覆うように付けていたゴーグルを、両手で外すと、悟飯は溜め息をした。
(ターレスはあの時、何を僕に言おうとしていたのだろうか?)
部屋の扉が開き、ブルマが機嫌良いのか鼻歌を歌いそうな笑顔で入って来た。
「悟飯くん、ありがとう。良いデータがとれたわ。何処にバクがあるのか分かったし」
悟空は不機嫌そうな表情をして、悟飯を見ている。
(オラが悟飯を助けたかったのに…何で、ターレスなんだ)
悟空は、何故?と思いながら、笑顔でブルマと話している悟飯に視線を向けた。
こんなに傍にいるのに、いつだって『想い』は一方通行だ。
END
ザマスとゴクウブラックがお好きなキラ様に、2人+ターレスの登場と最後だけ空飯オチをお願いしたのですが、まさかの水樹の大好物の空飯小説にキラ様が仕上げて下さいました。
もう、タイトルを拝見しただけでニマニマが止まりませんでしたよ・・・!
悟飯ちゃんがバーチャルゲームをテストプレイすることになった経緯やザマスとゴクウブラックと対峙した時の悟飯ちゃんの心境などが詳しく説明されていて、期待以上でした。
キラ様は普段からきちんとストーリー展開のある小説をお書きになられるので、尊敬しております。
これぞ小説!
しかも、これだけの小説をリクエストからたった3日でお書きになられたので、驚異の極みです。
ああっ!
自分の遅筆さが恨めしい・・・!
との水樹の心の嘆きはともかくとして、こちらの小説ですが、全体の雰囲気が『空飯の部屋』に似ている気がするのは、水樹だけでしょうか?
水樹の書く駄文のイメージまで再現して戴けたのかも・・・とか、ちょっとだけ自惚れてしまいました。
ターレスは悟飯ちゃんに何を言っていたのでしょうか?
この辺りは読み手側の想像力を掻き立てられますね。
愛の告白だったりしたら、間違いなく私は悶死致します・・・!
悟飯ちゃんの心がどちらを向いているのかわからないところも、悟飯ちゃんの気持ちをいろいろと想像できて、余韻に浸れます。
キラ様、私好みの素敵な小説を提供して戴き、ありがとうございました!