《A quided haert /導かれる心-前編―》



そん時に、はっきり分かった。

これが『恋』なんだって。




だから、おめぇを『好き』だって気持ちを隠さないことにしたんだ。
こんな形の『好き』だから、嫌がられたとしても、正直でいようと思った。

でも、おめぇは、気付いてんのか、気付いてねぇのか、いつもどっちつかずで…。

疑問に思ってんなら、聞いてくれた方がいいのにさ。



オラが、おめぇを『好き』だって気付いてから1年以上経つ。

…流石に…もうそろそろ、限界かもしんねぇ…。


知らず知らずのうちに、あいつを見てんだ。

仕草を、手の動きを…腰を、胸を、首筋を…唇を…。

あいつを想って、悶々とした夜を過ごした事も、幾つもある。

『恋』なんてしたこともなかった。何も分かんなかった。

でも、人を好きんなるって、こんなに苦しくて辛ぇんだ…。

オラ、勿論、チチは大好きだ。大事にしたいって思う。
でも、こんな気持ちになって一緒になった訳じゃねぇから、よく分かんなかったんだ。

『恋』して、想いを告げるって、めちゃくちゃ辛ぇんだって。

…おめぇは、どう思ってんだ…悟飯…。

もう、はっきりしてくれ…。



暫く、何も考えねぇで寝っ転がってたけど、腹も減ってきたし 帰ることにした。
帰り着くまでに、濡れた道着も乾くだろう。
靴を持って、空へと飛び立った。

家へ帰ると、チチと悟天はいなかった。悟飯に聞いたら、買い物に行ってて、夕方には帰ってくるって言った。
そうなんか…と思いながら、昼飯の用意をしてくれてる悟飯を見ていた。

…いけねぇ、さっきあんな事思っちまったから、変に意識しちまう。

悟飯の動きを、ひとつひとつ、目で追っていく。
後ろから、抱き締めたい衝動に駆られるが、グッと我慢した。
いくらなんでも、いきなり抱き締めたら、引かれるに決まってる。

その後は、オラも一緒に手伝う事で、気を紛らわした。


普通通り、飯を食って、話して、時が過ぎていった。

沢山の食器を悟飯が洗ってくれて、その間、組み手に誘おうか迷っていた。


悟飯は今年、大学受験がある。
いくらオラでも、受験が大事なのは分かってる。
今は、色恋にうつつを抜かしてる時じゃないって事も。
組み手なんて、以ての外。

…でも、受験っつっても まだ先だ。

ちょっとだけなら…。チチがいねぇ今なら誘える。
組み手じゃなくても、ちょっと 手合わせ程度でいい。

でも、今からどんどん気温が上がって暑くなってくる。
無理させて、チチにバレちまったら 大変だよな…。


そんな事を考えていると、片付けが終わって、こっちを向きながら悟飯が

「じゃあ、僕ー」

と言うのを遮って言った。

「なあ、悟飯。久し振りに、オラと組み手しねぇか?」

そう言うオラに、悟飯はすまなそうな顔をした。

「すみません、お父さん。昨日の復習をしておきたいので…」

だよな…

「そうだよな、じゃ、頑張れよ!」

断られるって、分かってっけど、やっぱ、へこむなぁ…。

悟飯はペコリと小さく頭を下げると、自分の部屋へ行ってしまった。

努めて、平気な振りをして返事をした。
残念がってたの、バレてなきゃいいけど…。
あいつはちょっとしたことで、考え込んじまうから…。

窓の外を見て、溜め息をついた。
このジリジリした太陽の下で、修行する気にもなれず、
リビングのソファーに座ってTVをつけた。

暫くは、見てもいねぇTV番組をボーッと見ていたが、瞼が重くなってきて、そのまま寝ちまった。

ハッとして時計を見ると、そんなに時間は経ってなかった。さっきから、1時間ぐらいか?
家の中がいやに静かだ…と思ったのは、TVが消えていたからだ。
悟飯が消したのかと思ったが、TVにはセンサーが付いていて、見る人が居なくなったら自動で消えるんだよって、悟天が説明してくれたっけ。

悟飯は…ちゃんと部屋にいる。
頑張ってんな…
そう思いながら、寝室でもう少し、昼寝でもする事にした。


組んだ腕を頭の下で枕代わりにして、ベッドに寝っ転がって、天井を眺めた。


悟飯のやつ、ずっと座ってて、体、強張んねぇのかな…

あー、悟飯と組み手やりてぇ。

…受験生だもんなぁ…仕方ねぇか…。

それこそ、チチにバレたら怒られちまう。

でもさ…、何日も修行に付き合えって言ってんじゃねぇんだし、ちょっとぐれぇ…。



オラは目を閉じた。

瞼の裏に、悟飯の姿が浮かんでくる。



組んだ腕を頭の下で枕代わりにして、ベッドに寝っ転がって、天井を眺めた。


悟飯のやつ、ずっと座ってて、体、強張んねぇのかな…

あー、悟飯と組み手やりてぇ。

…受験生だもんなぁ…仕方ねぇか…。

それこそ、チチにバレたら怒られちまう。

でもさ…、何日も修行に付き合えって言ってんじゃねぇんだし、ちょっとぐれぇ…。



オラは目を閉じた。


瞼の裏に、悟飯の姿が浮かんでくる。


あいつの声、仕草、匂い…


足の爪先から、頭の天辺まで、全部、オラの物にしてぇ…。

あの白い肌を、オラで紅く染めてぇ…。


そん時…

どんな顔で、オラを見るんだろう…

どんな声で、オラに応えてくれるんだろう…


「…悟飯…。」

ちょっと想像しただけで、下半身が熱くなってきた。
悟飯への想いが、一点へ集まってくる。

「ぅ…やべ…勃っちまった…。…すげぇ、やりてぇ…。」

真っ昼間で、悟飯だって居るのに。


オラは上半身を起こし、道着の帯を取るとズボンを脱いだ。
ベッドに胡座をかいて座り、パンツからガチガチになったそれを出すと、やんわりと握って、上下に動かし始めた。


…こうやって、あいつが触ってくれたら…

そんで…オラのを咥えてしてくれんだ…


その姿を想像する。

「…っ…はっ…」

先から、透明でぬるっとした液体が、どんどん溢れてくる。
それを、指先で取って竿全体に塗って滑りをよくする。


…それから…あいつのあそこにも、オラのこの液体をいっぺぇ塗って刺激してやる…

指を入れて、中にも塗ってやる…

あいつが、気持ち良くなったら…


「…ん…っ…」

さっきより更に硬くなったそれは、もう、最後の瞬間を待ち侘びていた。


…気持ち良くなったら…

今度は…指の代わりに、オラのコイツを入れんだ…

そんで、あいつの中を、グチャグチャに掻き回してやるんだ!


「く…うぅっ…!」

耐え難い射精感が襲ってきた。
オラは、思わず声をあげた。

「…っ…ご、はんっ…悟飯!」

溜まったあいつへの想いを吐き出し、掌で、その想いを受け止める。

と、いきなり部屋のドアが開いた。

「どうしたの!?お父さん!」

「!」

焦った様子でドアを開けた悟飯と目が合った。


その状態で、お互い固まって動けなかった。
本の数秒だったと思う。

部屋の雰囲気とオラの様子に、悟飯は慌てて

「ごっごめんなさい!!」

と言うと、凄い勢いでドアを閉めて、走って家を出て行った。



流石のオラも、ショックでその場から動けなかった。

…最悪だ…なんて所を、見せちまったんだ!
いくらなんでも、あいつに気付かれたかもしんねぇ。

オラはバカだ!大バカだ!!

大事にしてきたあいつへの想いを、こんな形で終わらせたくねぇ!

言い訳なんてするつもりはねぇ。ただ、謝りてぇ。

オラは急いで悟飯の後を追った。

全速力で飛びながら、悟飯の気を探った。


…かなり離れてる…高度もかなり高ぇ…でも、これは…飛んでると言うより…落ちて…

「!?」

飛んで行ってちゃ間に合わねぇ!

オラは瞬間移動で悟飯の傍に行った。
めちゃくちゃ空気が薄い…肌に氷の膜が張る。
すると、物凄い速さで目の前を 悟飯が落ちて行った。

「悟飯!」

急いで後を追い、悟飯に追いつくと、悟飯を抱き締め、そのまま、オラも一緒に落ちていった。

衝撃を抑える為、徐々にスピードを落としていく。
そして完全に止まると、悟飯を見、呼んだ。

「悟飯!」

手指の先が、氷のように冷てぇ。
肌は青白く、唇も紫色に変色し、気を失っていた。
オラは目を閉じて、気の巡りを探った。

少し弱いが、規則正しい心臓の動き、呼吸、気の巡りも滞った所はなさそうだ。
肌も唇の色も少しずつ戻ってくるだろう。

躯が保つギリギリの所まで行って、躯の防衛本能が働いて、気ぃ失ったんだろう。
なんだってそんな所まで…。

その原因が自分にあるのを思い出して、奥歯を噛み締めた。

…クソッ…

「…ごめん…ごめんな…」

気を失っている悟飯に謝ると、瞼にキスをして抱き締めた。
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