「その背中を追い続けて、気が付けば」前編
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「クッソ…ダメだ!パソコンが起動しねぇ!」
ヴィラン連合と名乗る連中が街一つ破壊し、平和だったあの頃は見る影もなく。
ヴィランによる日本の壊滅が始まっていた。
且つて英雄だったオールマイトは今やその力はなく、ヒーロー達は引退していく者、活性化したヴィランによって対処しきれず命を落とす者。
それから、公安委員長が命を落としたこと。
まさに混沌の時代の幕開けだった。
俺はチャンスだと思った。
今なら公安の暗部について探ることができるんじゃないかと。ナガンの真相について調べられるのではないかと思い、本部ではなく公安の支部へと訪れていた。
しかし、ここもヴィランによってかなり荒らされており、電源は勿論、精密機器類は殆ど壊れていた。
バッテリーを用いてもピクリともしない。
「チッ…手詰まりか…」
その時だった。
このビルの近くで発砲音と、破壊音が響き渡った。
先ほどから戦闘音は聞こえていたが、それは徐々に大きくなり、こちらに近づいてきていた。ここらが潮時か。
急いで荷物を鞄にしまい、机の中にあったUSB類を適当につかんで持っていく。
「―――は…?」
割れた窓から見えたのは。
緑色の閃光と。
ダークブルーとピンクの混じった髪をした女性が空中を歩いている姿。
俺はその姿を見て鞄を落とした。中で何かが割れる音がしたが、今はそんなのどうでもいい。
「…ナ…ガン…?」
声が震えた。
俺がその姿を見間違えるはずがない。
会いたくて、会いたくて仕方がなかったナガンが今、目の前にいる。
タルタロスに収容されているはずでは?脱獄してきたのか?
理由なんてどうでもいい。
俺はガラスが手のひらに突き刺さるのもお構いなしに、窓から身を乗り出して叫んだ。
「ナガン!!!!!」
「―――竜之介…?」
ナガンは俺の顔を見て、驚きの表情を浮かべた。
ああ。変わらない。ナガンは何も変わっていない。
俺は両目に涙を浮かべた。会えたことが嬉しくて。ナガンが生きていてくれて嬉しくて。
俺は彼女に向かって手を伸ばした。
しかし。
「消えろ!」
パアンッ!!
ナガンの銃弾が俺目掛け、飛んできた。