第4話 “わざと”
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ここですね」
「ありがとう。助かった」
エンデヴァーを目的地まで送り届け、用事も済んだことだし帰ろうか。
と、踵を返したところで。
「きゃああああ!!!」
背後から女性の悲鳴が。
と、同時にボクの横を物凄いスピードで走り去る男。まるでスケートのようにアスファルトの地面を滑っていく。
「引ったくり…!!誰か捕まえて!!」
女性の悲痛な叫び声。
先ほどの男はまだ視界の端に捉えている。
大丈夫、まだ間に合う。
余談だが、ボクは今とてもむしゃくしゃしている。
理由は良く分からないが非常にストレスを発散したい気分だ。
先ほど別れを告げたエンデヴァ―も男目掛け飛んでいくのも見えた。
そもそもプライベートな事情を挟むのはよろしくないのは承知の上だが。
「フゥゥゥ…」
呼吸を整え、頭上の光輪を掴むと大きく振りかぶって―――
―――光輪を、投げた。
スッコーーーン!!!!
小気味よい音がビルの間を反響していく。
フォームは100点満点。ストライク、バッターアウト!(適当)
物凄い速さで光輪は飛んでいき、男の後頭部に直撃。そのまま気絶したかのように地面に倒れたのだった。
うん。満足。
ふう、とやり遂げた満足感に浸りながら男の元へ。
するとエンデヴァーが男を即座に捕獲し、ボクに鋭い睨みをきかせてきた。こっわ。
「貴様、一般人がしゃしゃり出るな!」
「あー…えっと、すみません。ボク、ヒーローなんですよ」
「ヒーローごっこなら他所でやれ!」
「…これ、免許です」
「!?」
ボクはヒーロー免許をエンデヴァーに見せると、かなり驚いた表情に。
でもそれも一瞬で、先ほどのしかめっ面に戻った。
そしてぼそりと呟いた。
「しょう…いや、中学生かと思っていた…」
絶対小学生だと思っていたでしょう。
ボクは落ちていた光輪を拾い上げ、また頭の上に戻した。
「エンデヴァー、ここはボクの管轄になります。このままこのひったくり犯は預かりますので、ご用をお済ませください」
「…分かった」
分かってなさそ~~~!ア~~~信じてないなこの人!
多分この免許も本当にボクのものかどうか怪しんでる節がある。
疑いの目を向けながらも、エンデヴァーは颯爽と去っていった。
「さて、ひったくった物を返してもらいます、よっと」
男は既に気絶していた。
ボクの投擲スキルも舐めたもんじゃないな、と自画自賛しながら男の手に持っていた鞄を回収する。
埃を払って元の持ち主へと鞄を返した。
女性は何度も何度も頭を下げてボクにお礼を述べていた。こちらこそむしゃくしゃしてたので丁度良かったです、なんて縁起でもないことを心の中で呟きながら。
「なんだか肩回りのコリがほぐれたような気がする…」
後日、福岡のとある球団から始球式に出てほしいという依頼が来たのはまた別の話。