第3話 任務のために
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***
重い瞼を開けた時には、そこは先ほどのVIPルームではなく、どこかのホテルの一室だった。
ボクはベッドの上に寝かされており、状況を確認しようと体を起こすが。
「!」
両手首につけられた手枷。それはベッドの柵に括り付けられ、身動きが取れなくなっていた。
ボクは慌ててイヤホン越しのホークスを呼ぼうとしたが―――
「目が覚めた?」
「シヅル…」
「アンタもどこかのヒーロー事務所の差し金ってワケ?」
「!」
部屋に入ってきたシヅルは自身の手のひらの上にあるものを見せてきた。
間違いなく、あれはホークスに支給されたイヤホンだ。
ボクが確認したところで、シヅルはそれを床に落として靴で思いっきり踏み壊した。
「世間知らずのお嬢様がノコノコやってきたかと思って、いつものように
「他の客にもそんなことを?どうして?」
「おいおい強がらなくていいよ、光羽サン。ま、一部のマニアの間では女の奴隷っていうのは偉く重宝されるみたいで、しかもこれがまた高く売れるってもんだ」
「…外道ですね」
「この抑圧された世界で、個性をも制限をかけられてうんざりする輩はごまんといる。そんな中で俺たち男がストレスを発散する方法は?そんなもの、一つしかないだろ。寧ろそれが人間の欲に従った正しい結末だとは思わない?」
「ハッ。ヒーローにヴィランの理屈が通用するとでも?ボクには到底理解できませんね」
「いいよ。ヒーローに理解される必要なんてないんだから。それよりさぁ、自分の立場理解できてる?」
シヅルはボクの口元を強引につかむと、徐に取り出した小瓶の中身をボクの口に強引に突っ込んだ。
吐き出す間もなくボクはそれを飲み込んでしまう。
「げほっ、なにを…」
「媚薬だよ。せっかくならアンタにも気持ちよくヨがってもらった方がこっちも楽しめる」
「っ…」
体の奥から急に熱を感じる。
一瞬で全身が火照り、呼吸が荒くなってしまう。
逃げる算段を立てようにも思考がぐらぐらと歪んで、まともに考えることさえもままならない。
ホークスは短期戦で、と言っていたが、相手も慣れているのか、実行に移すのがあまりにも早かった。
さて、どうしたものか…。
「なあ、そんな暴れなくたって大丈夫だよ。お互い気持ちよくなるだけだ。それに俺だけじゃない。まだこの後もたくさんアンタを待ってる奴はいるからさ」
シヅルはスーツの上着を脱ぎ捨てて、ネクタイを緩めてベッドにあがる。
ぎしり、とベッドの軋む音。
腕を振り回して手枷を外そうと試みるも、ビクともしない。
時間を、稼がないと。
霞む思考の中でボクが見つけた唯一の現状での対策。
「ねぇ…ボクの事、好きにしていい代わりに、質問に答えてほしいなっ…」
「どうして?」
「どうせこのままヒーローには戻れなさそうだし、せめてヒーローとしての最後のあがきというか、仕事のオチは知っておきたくて…ね?ダメ?」
「…可愛いじゃん。媚薬がきいたのかな?いいよ。教えてあげる」
「女の子達の売り先はあなたが指示してるの?」
「いいや?元々この話を持ち掛けてきたのは別の人だ。俺たちはその指示に従ったまで」
「へぇ…んっ、まだ質問に答えてもらってないわ。それが終ってからにして頂戴」
シヅルは待ちきれないと言わんばかりに、ボクの太ももを撫でまわす。
それが気持ち悪い―――と思えず、快楽と感じてしまうのは間違いなく薬のせいだった。
「その指示をしている人は?」
「…それは教えられないなぁ。俺も顧客情報は守る主義でね」
「残念。じゃあこの後ボクは輪姦されちゃうわけだけど、そのあと薬漬けにするって…何を使ってるのかしら」
「麻薬さ」
「!」
シヅルはボクの上に覆いかぶさると、待ちきれないと言わんばかりの表情で舌なめずりをした。
万事休す、か。
大手ヒーロー事務所が関わっているという噂の真偽までは引き出すことはできなかったのが心残りだが。
ボクは今拷問される側の人間だ。寧ろよく質問に答えてくれたと思う。
「あーあ…こんなことならホークスにあげていればよかったなぁ」
ボクのファーストキス。
自嘲気味に呟いて。
ボクは目を伏せた。