第12話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
遠い遠い、名前も知らない村の山奥で。
私は小さな男の子と出会った。
「……鬼…様…?」
私はそこでようやく自分がやっては行けないことをしてしまったと気付く。
鬼の私はこうしてたまに現世に降りてきて世の中を見ている。
普通だったら怒られるし、行く手段もないし、当然ながら子供の鬼は不可能に近い。
けれどひょんな事から怪我していた神獣を拾って看病したら、懐かれて。
お礼に何かと言うものだから、現世を見てみたいと言った所、承諾。
帰りもバッチリ予約済みだし、私親もいない一人子だから問題ない。
ただ、現世の人には絶対に鬼だと言うことはバレてはいけない。
これ暗黙のルール。
バレたらどんなことになるやら。
考えるだけで恐ろしい。
なのに。
「あなたは…鬼様、ですか?」
バ レ た !!
大変だ大変だ!!!!
大人を呼ばれても困るし、なんかとにかくヤバイ!!!
「私を食べに来たのですか?」
「え!!?いや、滅相もございません!!」
食べるだなんてそんな!!
無理無理!!
あわあわあわ!!どうしましょ!どうしましょ!
慌てていると、男の子は至って落ち着いた様子で続けた。
「鬼様、どうして角はないのですか?」
「へっ!?あ、あぁ…」
確かに私は骨の成長の関係で他の鬼よりちょっと角が短くて、見えにくいのだ。
「あるよ?ほら」
髪を掻き分けると、角がひょつこり顔を出す。
「鬼様、その角、触っても良いですか?」
「いいけど…そう言えば角は見えにくいのに、どうして鬼って分かったんだ?」
男の子は物珍しそうに角に触れる。
「耳と…歯、ですかね」
「あぁ…なるほど」
「ありがとうございます」
子供の割にやけに落ち着いている子だなぁと思う。
なんだか思っていたよりも大丈夫そうなので、せっかくだからお話をしてみることに。
「お前、名前は?」
「丁です」
「丁か…お前はいつも一人でいるのを見ていたが…」
丁はいつも、一人だった。
この村が一番あの世から近くて、大体どんな人がいるのかは分かっていた。
そんな丁は誰とも遊ばずに、大人ともあまり良い仲だとは思えない。
「…私は、みなしごですから」
「みなしご…」
「まぁ特に苦はありませんがね」
「なら、私と一緒だな!」
私は丁の手を取って笑った。
「鬼様も一人なのですか?」
その目は、まるで何かを求めているようで。
丁は私と同じくらいなのに。
対して年の差は感じられないのに。
子供はもっと、丁はもっと…子供らしくて良いはずなのに。
「親はいないよ。だがな、私には仲間がいる」
「仲間…」
「世は、一人で生きていくには余りにも厳しいんだ」
「…はい。知っています」
俯く丁。
私の袖を掴んで、何かを堪えるかの様にして拳を握り締めた。
「だから、自暴自棄にはならないで、まずは友達を作ろう」
「友達ですか…果たして上辺だけでニコニコしてる奴は友達と言えるのでしょうか」
「変な所を付くなよ…
まずは…んー、私と友達になろう」
「…まだ会って間もないですが」
「固いなぁ…でも、丁の名前を教えて貰ったし、もう友達だ」
「鬼様、鬼様には名前はあるのですか?」
「えっと…本当は鬼は人の前に現われてはいけないんだ。
それに自分より下の者…鬼にとっての人に名前を教えるのは魂を人に握られてしまう。
それはやってはいけないことで、人には従事するのは言語道断。
…難しいかな?なんて言うか、こっちの都合と言うか」
「分かりますよ。つまり私が鬼様の名前を呼んでしまえば鬼様は私の思うがまま…
いえ、何でもありません」
何かさらっと凄い事を言ったような。
「…!すまない、もう時間だ」
「鬼様!!待って下さい!」
「…?」
「また、来てくれますか!?」
私は考える間もなく、答えた。
「また来るよ。丁に会いに」