Vol.25
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遡る事数日前―――
「まさかイレイザーが柳崎の家に宿泊を提案するたぁ驚きだったぜ?」
マイクは俺の肩をバシバシ叩きながら言う。
それがうっとおしくて振り払うが、マイクはお構いなし。
A組の書類を片づけながら、片隅にあった柳崎の資料を手に取る。
事件の一覧を簡素にまとめたものだ。
今回の事件、あいつにとってどう影響したか。…考えるまでもない、か。
ヒーローとしての"何か"、を求めるのならば話は別だが。
以前雄英を襲撃した死柄木達の事件とはまた別のもの。
柳崎に残った傷は、残り続けている傷は俺達教師には分かりかねないものだ。
可哀想、などと簡単に片づけてしまえるが、それは教師として生徒を見捨てる行為。
柳崎の本音を、本当のSOSを無視してはあいつは一生どん底のままだ。
他愛なく学校生活を過ごしてきて、何事もなかったかのように笑っていたけど。
何度俺達"大人"に救けてと叫んだのだろうか。
その償いとまではいかない。
俺達は過去を清算することはできないが、あいつの未来を示すことぐらいはできる。
その助力をしてやることは出来る。
だからこの一週間日替わりで柳崎の家に教師を泊まらせた。
また引きこもって妙な考えにたどり着かせないように。
少しでも、あいつに不安を抱かせないために。
校長からあっさり許可は出るとは思ってもみなかったが…。
「…俺だってヒーローだっての」
「あらあらあら?もしかしてェ?イレイザー、気になっちゃってるの?」
「オネェ言葉止めろ気持ち悪い」
「またまた!!素直になれない消太君に!!この素敵なチケットを授けよう!!!」
マイクはそういって俺の目の前に、二枚のチケットを差し出してきた。
そこには「水族館ペアチケット」と記されている。
この水族館の名前は俺でも知っているし、多分知らない奴はいないだろう。
それくらい有名な水族館だ。
「なんだこれ」
「キュートなリスナーを誘おうとしたんだけど残念ながら断られちまってな!!
タダ券だから休養を兼ねて行って来いよ!」
「…」
一瞬、ふざけるなと追い返そうとしたがそれを取り消し、素直にチケットを受け取った。
「お?どうした?珍しく素直じゃねーか」
「…償いってそんな綺麗なモンじゃねーけど」
隣でうるさく騒ぐ同期を無視して、俺は小さく溜息をついた。
vol.25 Are you happy?
午前9時15分。
あの後先生から連絡が来て、集合場所を教えてもらった。
ちゃっかり連絡先も交換してもらっていて。
「…」
いやいやいやいや。
一晩考えたよ?私もさすがに相澤先生おかしいんじゃないかって思ったよ?
だってこんな人じゃないじゃん。
水族館行くってどういうこと?
なんでまた水族館?しかも二人きり?
実は油断している隙にヒーロ科への編入実技試験だったり…?
「ってそんなわけないか」
寧ろサメのいる水槽に飛び込んでサメを倒せくらいのことはやりかねない。
或いは、シロクマと戦うこともありえそうだ。
「だから断じてデートとかそういうのじゃないと思うし」
別に意識してるわけじゃないし。
別にこの日の為にちょっと可愛い服とか着て着てないし?
滅多に着ないワンピース出してきたわけじゃないし?ちゃんとスパッツ穿いてるし?
別に緊張しすぎて集合場所に早く来すぎたとかそんなわけないし?
現在9時20分。
いやいやいやいやいや。
違うし?
「水族館早く回るためにゴーリテキに集合しただけだし」
言ってることが意味不明じゃないし?
楽しみで眠れなかったとか、そんなわけないもん!
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