Vol.20
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「相澤君、柳崎少女は…?」
「あンの馬鹿野郎が…!!」
「!?」
「オールマイトさん、警察に連絡を」
「ま、まさか柳崎少女の身に何か…!?」
「いえ。ですが少し厄介なことになりそうです…!」
「…えっ?」
vol.20 仕切り直して、始めよう
「うっひゃああああああああああああ!!!!!」
我ながら情けない悲鳴と共に、駅近くの裏山に落下した。
生い茂る草木がクッションとなり怪我はかすり傷程度にすんだが、痛いものは痛い。
"予定地点"とは少し場所がズレたが、問題は無い。
『おい由紀っ…なんだ今の悲鳴は!!』
"装着"していた耳元の小型無線機からは彼の焦り声が聞こえた。
"予定通り"先に荷物を構えていてくれたのだろう。
「問題ないよ」
『無線機からじゃなくてもお前の悲鳴が聞こえたから近くに落ちたんだろ。今行く』
「ちょっと疲れちゃってね、ありがとう」
よいしょ、と体についた土ぼこりを払って私は周囲を見渡した。
日が傾き始めている。思ったより時間がかかってしまったようだ。
「由紀!」
草木をかき分けて、荷物を抱えてやってきたのは。
「心操君、ありがとう!」
「ったく…本当に無茶して…」
よしよし、と言いながら彼は笑って私の頭を撫でた。
荷物を足元に置くと心操君は真っ直ぐな目で私を捕らえた。
「全部聞こえてたよ、先生とのやり取り」
「…。…ちょっと熱が入っちゃって。演技も難しいもんだね」
「…本音だろ馬鹿」
「でもまさか心操君が私に協力してくれるとは思ってもいなかった!」
誤魔化す様に、私は話を逸らした。
それを知った上で心操君は苦笑して、携帯を取り出した。
「由紀から連絡来たときは滅茶苦茶焦ったし、何度も止めたけど…お前人の話聞かねーし」
「うっ…心操君には本当に申し訳ないと思ってるよ…」
先生の家庭訪問がまさか今日だったのは驚いたけど、それは単に私がプリントをよく読まずに捨てたせい。うっかりしてた。
今回の計画が少し狂っちゃったけど変更することはない。
どのみち家を出てしまえば先生たちに感づかれることだし、単に今回それが早まっただけ。
私の目的は、あの時死柄木達に捕まってしまったときに聞いたあの言葉の真意を確かめること。
確か荼毘が話をしていたと思う。
『今回の騒動起こした次はすぐに雄英高校襲撃するんだろ?』
『勿論。メディアがここまで騒いだ。あと少し軽いショックを与えれば修正不可能』
『死柄木、柳崎さんの事も"彼ら"に話は通してあるんだろうね?』
『先生、勿論さ。あいつらコイツの写真を見せたらすぐ飛びついて…不憫な奴だよな。コイツはどこにいたって狙われちまうんだからよ』
ただの雑談とは思えなかった。
それに私を狙う誰かがいる事。以前私と心操君を襲った奴らが脳裏を掠めたが…私の悪い予感はよく当たるのだ。
それに実行するのは本隊である死柄木ではなく脳無たちとのこと。
今はそれがどうなっているのかわからない。
分からないからこそ、誰かに相談しても無意味だと。
実際あの場に居合わせた爆豪が先生に相談したらしいが、この忙しい時に爆豪の言葉などまともに受け取ってもらえなかったらしい。
それがどの先生かは知らない。
ただ言えることはオールマイトや相澤先生などではないと言う事。
だから私は今回あえてコッソリ家を出るという選択肢ではなく"個性使用"してまであの場から逃げ出した。
そうすれば先生たちは私を探すだろうから。
たとえ私がどうなっても、後を追った誰かが敵陣の糸口をつかむだろうから。
彼らとは一体誰の事か。
そして私を狙う人の目的は…。
「また戻ってくるだろ?」
「あー……」
思わず言葉を濁す。
さっきの相澤先生のやりとりは多少の"演技"は組み込まれていたかもしれないけど、若干自暴自棄はしていた。
私単体でどうにかなる事案じゃないことは承知の上。
それでも何かしてないとどうにかなってしまいそうだったんだ。
でも多分、というか100%、
「警察に見つかっても、多分怒られて除籍処分になるだろーし」
「は…?」
「知らないの?相澤先生は見込みなしと判断すれば容赦なく生徒を雄英から切り捨てる人だから。
相澤先生の前であれだけド派手に不良ぶっちゃえば除籍処分間違いなし。雄英からサヨナラバイバイ」
「お前…!?馬鹿か!?本物の馬鹿なのか!?」
「我ながら馬鹿な事するなーって思ってるよ、ホント。
でもさ、どうせなら自爆したほうが逆にスッキリするかなって」
「…本物の馬鹿だコイツ…」
「酷いなー!プンプンだよ!おこだよ!!」
それから、もう一つ私は気になることがあった。
切島君達によって離脱する際に聞こえた「海に行け」という言葉。
あれは誰の言葉だったんだろうか…。
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