Vol.16
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私は自分の個性でどうしようもなく不思議なことがあった。
勿論個性の暴走と言う事自体が、この個性の危険なところなんだけれども。
私は竜の強大なパワーをこの身に宿している。
私自身が竜そのもの。
ならば、竜ならば。
"逆鱗"に触れてしまう事も、あるのだろうか?
vol.15 竜の逆鱗
「…おい、柳崎。いつまで寝てんだ」
「っ…う…?」
体の痛みを覚え、私は重い瞼を強引に持ち上げた。
動かそうとした体は動かず、その原因は椅子に縛り付けられていることにあった。
まずは自分の身体の確認をする。痺れは多少残っているが、戦闘に関して問題はなさそうだ。
次に状況確認。周囲に現在誰もいない。
壁はレンガ造りで、カウンターバーと中の棚には多種多様のワイン瓶とグラスが並べられている。
どこかのバーだろうか…?
横を振り向けば、隣には同じように縛られている爆豪君がいた。
「…犯人の人数、分かる?」
「俺が知るかよ。つか、起きた早々何言ってやがる。頭イカレてんのか?」
「…ごめん、強がり言ってる」
「情けねーな」
「…そうだね、こうやって敵に捕まってること自体が情けないよ」
「うるせぇ。言っておくけど俺はお前みたいなヘマしてねぇぞ」
いや、捕まってる時点でそんなの関係ないだろう…
思わず口を突いて出そうになったが、爆豪君の導火線に火をつけたくなかったので、大人しく黙った。
「でも…脱出方法はある。私の個性で飛べばいい。
何が難しいかっていうと、この状態から外に逃げ出すまでの間に、犯人に捕まるっていうこと」
「ハッ、簡単に言ってくれるじゃねぇか…そんなこと俺にだってできるわ」
お互い、威勢のいいことだけを言っているなんて分かり切ってる。
逃げ出されないってのを分かってるから。
でも、なんとかしなきゃいけない。
「お目覚めかい?」
ぎっ、と音を立ててゾロゾロと大人数が室内に入ってくる。
その中の人物を私は知っていた。
「死柄木…弔…!!」
「久しぶりだね」
荼毘の会話から大方察していたが、これも死柄木の差し金か…!!
勿論傍らには黒霧もいるし、私達を襲った犯人もその場にいた。
各々椅子に座ったり入り口や壁際に立つ者もいる。
それは意図的で、脱出口を塞いでいる。抜け目なかった。
「体育祭で見たけど、やっぱ勿体ないよ柳崎由紀」
「…」
「あの個性はヒーローに誂え向きじゃない。そんなのお前が一番わかってるだろ」
「…黙れ」
必死に紡いだ言葉は、震えていた。
確実に死柄木に煽られている。分かってる。
分かってる、けど。
「まるで人を殺すために特化された個性だ。つくづく思うよ―――」
「うるさい…」
「お前は、化け物だ」
化け物。
「どうせお前みたいなやつがヒーローになったって明るい未来は待ってない。
賞賛よりも軽蔑の声が上がるだろうな。それはなぜか?簡単なことだ。お前の個性が恐ろしいからだよ」
「…」
「知ってるか?体育祭でお前が出て行った後の会場の噓みてぇな静けさを。
誰もがお前を畏怖し、怯えていた。分かるか?この意味」
「…うるさい」
「なぁ、テレビ見ろよ。今すげぇ面白いことになってるぞ」
死柄木は徐にテレビのスイッチを入れた。
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