Vol.15
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少し、話をしようか。
vol.15 番外編
「由紀ちゃんはどうなの?」
「え?」
6限が終わり、教科書を鞄に詰めていると急に話を振られたものだから、思わず声が上ずってしまう。
女子たちが私の周りに集まって話をしていたようだ。普通科の中でも割と仲がいい子達。
うーん、しまった。話を全く聞いていなかった。
素直に謝れば、由紀ちゃんらしいね。と皆が笑った。
「好きな子だよー!私達は花の女子高校生!好きな人の一人や二人!!」
「好きな人かぁ…」
「由紀ちゃんは恋とかしたことないの?」
「好きな人!!付き合った人!!この際曝け出しちゃいなよ!!」
どうなの?と期待に目を輝かせて私に迫るも、たかが15年生きていた過去を振り返っても当てはまるものなどなかった。
中学の時もそうだった。女の子はこういった話が好きだ。
でも、私はそういうのに無頓着だし、何より、そういう類に無縁だったからだ。
こうして皆に囲まれて、楽しく話ができるのも、ここが雄英だからだろう。
個性のせいで怖がられるとか、そういうめんどくさい事関係なしに、ね。
「いないよ」
と言えば、彼女たちは不服そうに口を尖らせる。
じゃあみんなは?と話を振れば、よくぞ聞いてくれたと言わんばかりに目を輝かせた。
ヒーロー科、経営科、普通科、あの席のあの男子…。
驚いた。私以外全員男の名前をすらすらと、そしてどこか恥ずかし気に頬を赤らめながら言って見せた。
最近の女子はなんだ。オープンなのか?
それとも彼女たちが変わってるのか?
普通は恥ずかしがって言わないんじゃないのだろうか?
首をかしげていれば、「ここだけの秘密」と言った。
…。
女子の「ここだけの秘密」は当てにならないことを重々知っている。
噂話が大好きだからね。
「由紀ちゃんもさ、好きな人作ろうよ!」
「好きな人って作るもんなの?」
「そうだよ!それに女の子は恋をしているときが一番かわいくなれんだよ!」
「…そうなの?」
でも、現にみんなはきらきらしてる。
ちょっといつもと違っているように見えた。
恋する女の子は可愛くなれる。
どこかで聞いたことのあるフレーズ。あながち間違ってはいないみたい。
「好きな人を作る、ねぇ…考えたことなかったや」
「意外と無頓着なんだね…」
「それってさ、どういう感じ?好きな人が出来ると」
ほんの興味本位で、聞いてみた。
だってあまりにも楽しそうに話すものだから、私も、気になった。
「ずっとこの人と一緒にいたいって思ったり、手をつなぎたいとか…キスしたいとか!!」
「大胆ーーー!!」
「なんかね、胸の中がぽかぽかするの。ドキドキしたり。
傍にいるだけで"ああ、幸せだなって"思えたり。とにかくいろんなことがハッピーになれるんだ!!」
「さすが過去4人の男と付き合った奴の台詞は違うわー」
「え、4人も付き合ったの!?」
「それは昔の話だよ!!」
と言うが、じゃあ今の彼氏は5人目…?
確かにクラスの中でも一番可愛いと思うけど、彼氏をとっかえひっかえしてるっていうのも…
まぁそういうのは人それぞれだろうけど。
「私もいつか好きな人出来るのかなぁ…」
「出来るって!!大丈夫、自信もって!」
「由紀ちゃん可愛いもん!絶対男子狙ってるって!」
「あ、そういえば隣のクラスのあいつが―――」
好きな人。
恋人。
将来ずっと一緒にいても良いと思う人。
「…わかんないや」
私は机に頬杖を突きながら、彼女たちの話に耳を傾けていた。
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