Vol.14
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「うっわ、由紀発育良すぎじゃない…?」
「ヤオモモと同じくらい?」
「いやいやどこ見てるん」
「でもそれ以上に由紀ちゃん怪我の跡が凄いわね」
「どうしても接近戦になっちゃうからね…仕方ないと言うか…」
「特に足が酷いわね。お風呂あがったらもう一度手当てしましょ」
「梅雨ちゃん…ありがとう」
vol.14 曇天
翌日から、各々の個性に合わせた訓練だった。
周囲から見ればそれはさぞかし地獄絵図だったろう。
そういう私は何をしているかというと、個性を発動したまま針に糸を通していた。
全身竜の姿で針の糸通しだぞ?すごい光景だぞこれ。
「あっ」
ペキッ
針が折れる。
これで30本目だ。
まだまだ山ほど針は有り余っている。
期待していた訓練とは全く違う事態に、私は困惑を隠せないでいた。ので、思わず相澤先生に話しかける。
「相澤先生…はたしてこれは意味があるのでしょうか…」
「神経の集中にはもってこいだろ。力の加減と100%を長く維持ていられるための訓練だ」
「そ、そんな意味があったんですね…あっ」
しゅん、と発動が解けた。
それを見逃さなかった虎さんがすぐさま駆け付けた。
「今度は30本目折ったか!!では30分やるぞ!!!」
個性が解けるまで、針に糸を通す。
それから針を折った分、虎さんと戦う。
一本につき、10分。
その前に50本。最初は100本以上おっていたから…ああ、もう合計時間を計算するのもめんどうだ。
結構な時間と虎さんと戦っていた。
見た目の格好がふざけているのに、この人かなり強い。
挙句私は100%を維持した後、個性をまもともに発動できなくなる傾向にあった。
必ずというわけではないが、徐々に発動時間が短くなってる。多分30本目で1分も持ってなかっただろう。
実践だと、これは大きな致命傷になり得る。
いざという時に使い物にならなければ意味がない。
なんとか克服したいところ。
「イエッサー」
「声が小さい!!!」
「イエッサアアアアアアアア!!!!」
「よしかかってこい!!!」
ほぼ投げやりで虎さんに殴りかかるが、個性が発動しなかった。
生身のままでは虎さんに通じるわけがない。
「ほらどうした!!」
「うぐっ!!」
腕を掴むと、虎さんは私を背負い投げした。
身体を起こそうとするが、ぎしりと体が悲鳴を上げる。
負荷が今更になってやってきたか…!
「竜化の個性がどんなものか期待してみれば…竜なんて大層な名前をしているが、全く持って見当違いもいいところ!!
竜―――いや、お前はまだ竜と呼ぶには早すぎる!!今日からトカゲと呼ぶぞ!!!」
ぴしり。
「…虎さん、そいつぁ言っちゃいけねぇや…」
ふらりふらりと立ち上がる。
「そのあだ名だけは、絶対に呼んじゃいけない」
「―――っ!!?」
尽きていた力が再び湧き上がる。
全身を竜化させ、虎さんに食って掛かった。
「ムッ…(触れちゃいけないワードか…!?)」
「うらあぁ!!!」
「フンッ!!!」
攻撃をけしかけるも、虎さんはそれを防いだ。
「どうした!!威勢がいい割には力が弱いぞ!!」
「そんなの…分かってるッ!!!」
心のどこかで自分自身の力を抑えてる。
まだ手探り状態だ。
どれほどの力加減でものが壊れるのか。どれほどまでなら大丈夫なのか。
まだ、分からない。
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