Vol.13
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「おい、由紀」
「ん?なに心操君」
「お前山籠もりするんだろ?」
「カッカッカ!左様!拙僧山籠もりするのである!」
「どんなキャラだよ。ほら、これ」
「鈴?」
「熊避け」
「ブファッ!!!熊、避け…!!!」
「笑うんだったら返せ」
「いやいや、有り難く頂戴します…!!」
「それ髪留めにでもつけれるやつ。服でも、どこでも」
「ほんとだ!じゃあ身につけとくよ。しかしなんでまた熊避けを…」
「夏場は多いからな」
「何が?」
「ヒーローでも熊にやられる事故」
「…夏休み前にそういうの、や、やめようよ心操君」
心操君の言葉が本気か冗談か分からなかった。
vol.13 夏だ!山だ!合宿だ!
「あ、普通科の子きた!!」
「今日からよろしく!!」
「お前名前は!!?」
合宿当日。
なんでも先日敵に生徒が襲われるという事件があったようで、予定していた合宿先をキャンセルとのこと。
私は相澤先生に指定された場所に行くと、既にヒーロー科の人たちが集まっていた。
そこに見慣れぬ私が荷物を持っていると不審がられるかと思いきや、大歓迎ムードだった。
ちなみに心操君には素直にヒーロー科と一緒に合宿へ行くと行ってある。
ここで嘘ついてもすぐにばれることだし。
「柳崎!待ってたよ」
「あ、尾白君…あれ…?待ってた?ん?」
尾白君はこちらに走ってきて、尻尾をしゅるりと伸ばした。
私も伸ばして、挨拶代わりに尻尾を絡めた。
「この間相澤先生から言われてな、普通科の子が1人合宿に同伴するって話聞いたから」
「なるほど…」
こんなに歓迎ムードなのか。
「もしかしたらお前ヒーロー科編入あるかもな!」
「ええ!?いや、分かんないよ…」
「体育祭で凄かった子だよね!」
「え!?あっ、うん!?」
「私麗日お茶子!名前は何て言うの?」
尾白君と話していたら、あっという間にA組に囲まれてしまった。
「柳崎由紀。よろしくね、お茶子ちゃん」
「由紀さん。あの時の試合、私まだ覚えてますの。凄かったですわ」
「あ、八百万さん…だったよね?」
「はい。八百万百と申しますわ。体育祭では色々ありましたけれど、今日からよろしくお願いしますわね」
「百ちゃん!よろしくね」
「私、蛙吹梅雨よ。梅雨ちゃんと呼んで」
「よろしく、梅雨ちゃん」
「俺!覚えるか!?体育祭でお前に吹っ飛ばされた!」
「えーっと…切島君!!」
「正解!!!」
怒涛の自己紹介タイムだった。
気が付いたら切島君とハイタッチしていた。
それから他の生徒とも挨拶を交わし、クラスの委員長である飯田君にバスに乗るよう促される。
「柳崎君の席は相澤先生の隣だ!」
「え」
「問題あるか?」
「…滅相もございません」
いつのまにか背後に立っていた相澤先生に、私は静かに自分の口にチャックをした。
それからバスに乗り込む。
乗り込んでバスが走り始めた後も、A組からの質問攻めは止まなかった。
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