サーカス編
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いきなりHUNTER×HUNTERの世界に転移してしまったウチ、ことナマエは誘拐された。
いや、何故そうなったし??!
転移して早々誘拐されるなんて。自分の悪運を呪った。
あのあと、ダメもとで水見式をやってみたが勿論何も起きず、とりあえず軽いランニングをして体を鍛えようとあれこれやった。本当にそれだけだった。この世界に来てまだそんなことしかやってない内に、誘拐されてしまったのだ。
口元にある布きれのせいで、ため息すら吐けない。
誘拐されたら大人しくしておけ。誰かが言った言葉だ。だからウチは大人しくしていた。
程よく揺れる馬車の揺れに、うとうとしながら到着を待った。
何も考えていないと言われればそうかもしれない。いや、実際そうだ。何も考えていない。自分の命に無頓着だと説教されれば鼻くそをほじるほどどうでもいい話だと思うし。
静かに座るどころか、船をこぎ始めるウチに目の前の人物が吹き出した。
「ぷはっ…!子供にしては骨のある御嬢さんだ。」
目の前に人がいたことをたった今知ったウチ。
いや、だって気配しなかったし。睨むわけでもなく微笑むわけでもなくその人を見つめた。
「そう、睨むな。」
いや、睨んでねーし。
悪かったな目つきが悪くて。
ウチが睨んだと勘違いして更にケタケタと嗤う男。
きっちりしたスーツに奇妙な仮面。継ぎ接ぎだらけのシルクハットは男の『気味が悪い』イメージをより濃くした。
「ア、ソッカ。ごめんね、気付かなくて。」
男はにぃっと笑みを深め、ウチの口の布を解いた。
どうしてそうしたのかはわからない。男の顔の上半分は白い仮面に覆われているからだ。
「ボクはジョニー。君みたいな子ども達を悪い大人に売り飛ばす仕事をしてるのサ。」
こちらの反応を楽しみながら、ジョニーと名乗った男は言った。正直見た目は子供、頭脳は大人の#私#からしたら不思議と糞ほど怖くない。
「へー!」
子どもらしい無邪気な声を上げ、にっこりと笑う。
「てめーの話なんか怖くねーですよぉ~だ」的なニュアンスを入れて。そんなウチの反応に気分を悪くするどころか、男は嬉しそうに笑みをさらに深めた。
「ンフフ~、君いいね。顔も可愛いし、ボクタチのところで働かせたいなぁ~」
「マ、君に拒否権ないケド!」そう付け加え、男は馬車の前へと身を乗り出す。
「目的地変更!このままアジトに帰るよ~」
よくわからなかった。
鈍感だという自覚もないし、絶対そうではないと言い切れる。だけど、この男の目的はわからない。
身を乗り出した後戻ってきた男は、『アジト』やらに着くまで、ウチをお世辞にも気持ち悪くないとは言えない視線で見つめ続けるのだった。