怨念のハジマリ
理のモノノ怪の名前
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「妲己にああ言ったものの、"退魔の剣"に関しては何ともなぁ…。」
とある海辺を漂いながら、俺はぽつりとそう溢した。
ある日現れた祓い屋の人間。
その人間は"退魔の剣"とやらを使い、モノノ怪達を祓っているようだ。
面倒な人間には手を出したくない。
それに、俺はモノノ怪達を祓うことを悪いとは思っていない。
彼らは憎悪、悲しみ、怒り等、負の感情を募らせ死んでしまった元命あるもの。
彼らの負の感情を少し弄ってやると、彼らはモノノ怪と変貌する。
そうやって、俺は彼らを作ってしまったのだ。
妲己もそうだ。
権力争い巻き込まれ、無残な死を遂げた少女。
彼女の憎悪を、怒りを、復讐を叶えるため、俺は彼女をモノノ怪にした。
勿論。無理やりではなかった。
俺が他人をモノノ怪にするには、相手の理 を知らなければならないからだ。
しかし、俺は未だに後悔している。
モノノ怪達を、魂をモノノ怪にするということは、天国へと還れない。そして、一生負の感情に身も心も喰われ続けるからだ。
"退魔の剣"で祓われる事は、一種の彼らにとっての"救い"なのかもしれない。
「吉義…、浩三…。どうか安らかに…。」
海に向かって手を合わせる。
それにしても、"退魔の剣"をどこかで聞いたことがあるのは何故だろうか…。
「モノノ怪も誰かを思うこともあるんですね。」
「…あ”ぁ”?」
真横から声が聞こえる。
そこには、まるで浮世絵から出てきたかのような美しい男が一人。
隈取のような金色の化粧を褐色の肌にし、直垂に小袴を身に纏い、腰には奇妙な剣を携えている。
そして、彼の言い表しようのないオーラ。
「あぁ、分かったぞ。」
目の前の男の正体に気付き、笑いが止まらない。
「お前…!お前だな!!"退魔の剣"の祓い屋は!!!」
可笑しかった。
妲己にああ言っておきながら、まさか自分が出くわすとは思っていなかったからだ。しかも、こんなに早く。
烏帽子の下から覗く瞳が冷たく光る。
無表情の男は本当に美しく、きっと今のウチの姿よりも映えるだろう。
「何が可笑しいのですか?貴方は今から祓われるというのに…」
男の言葉に再び笑いが込み上げて来る。
「嗚呼、生かすはずだったのになぁ…。」
ウケる。
まさか、「生かしておくのいいんじゃね?」とか言った手前で殺さなければならないなんて。本当に残念で、滑稽だ。
分かり易いウチの挑発に男は剣を鞘から抜き、地を蹴った。
男の切り込みを難なく腕で受け止めると、男の表情が初めて驚愕の色を表す。
ふぅん、こんな顔も出来たんだ。
この美しい…芸術品のような男を壊してしまうの多少惜しいが…まぁ、仕方がない。
「耐えて見せろよ…人間。」
ニヤリと口角が上がる。
とある海辺を漂いながら、俺はぽつりとそう溢した。
ある日現れた祓い屋の人間。
その人間は"退魔の剣"とやらを使い、モノノ怪達を祓っているようだ。
面倒な人間には手を出したくない。
それに、俺はモノノ怪達を祓うことを悪いとは思っていない。
彼らは憎悪、悲しみ、怒り等、負の感情を募らせ死んでしまった元命あるもの。
彼らの負の感情を少し弄ってやると、彼らはモノノ怪と変貌する。
そうやって、俺は彼らを作ってしまったのだ。
妲己もそうだ。
権力争い巻き込まれ、無残な死を遂げた少女。
彼女の憎悪を、怒りを、復讐を叶えるため、俺は彼女をモノノ怪にした。
勿論。無理やりではなかった。
俺が他人をモノノ怪にするには、相手の
しかし、俺は未だに後悔している。
モノノ怪達を、魂をモノノ怪にするということは、天国へと還れない。そして、一生負の感情に身も心も喰われ続けるからだ。
"退魔の剣"で祓われる事は、一種の彼らにとっての"救い"なのかもしれない。
「吉義…、浩三…。どうか安らかに…。」
海に向かって手を合わせる。
それにしても、"退魔の剣"をどこかで聞いたことがあるのは何故だろうか…。
「モノノ怪も誰かを思うこともあるんですね。」
「…あ”ぁ”?」
真横から声が聞こえる。
そこには、まるで浮世絵から出てきたかのような美しい男が一人。
隈取のような金色の化粧を褐色の肌にし、直垂に小袴を身に纏い、腰には奇妙な剣を携えている。
そして、彼の言い表しようのないオーラ。
「あぁ、分かったぞ。」
目の前の男の正体に気付き、笑いが止まらない。
「お前…!お前だな!!"退魔の剣"の祓い屋は!!!」
可笑しかった。
妲己にああ言っておきながら、まさか自分が出くわすとは思っていなかったからだ。しかも、こんなに早く。
烏帽子の下から覗く瞳が冷たく光る。
無表情の男は本当に美しく、きっと今のウチの姿よりも映えるだろう。
「何が可笑しいのですか?貴方は今から祓われるというのに…」
男の言葉に再び笑いが込み上げて来る。
「嗚呼、生かすはずだったのになぁ…。」
ウケる。
まさか、「生かしておくのいいんじゃね?」とか言った手前で殺さなければならないなんて。本当に残念で、滑稽だ。
分かり易いウチの挑発に男は剣を鞘から抜き、地を蹴った。
男の切り込みを難なく腕で受け止めると、男の表情が初めて驚愕の色を表す。
ふぅん、こんな顔も出来たんだ。
この美しい…芸術品のような男を壊してしまうの多少惜しいが…まぁ、仕方がない。
「耐えて見せろよ…人間。」
ニヤリと口角が上がる。