怨念のハジマリ
理のモノノ怪の名前
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「良いでありんすか?兄上!!」
とある日本の何処かで、鈴のように愛らしい声が勇ましく響いた。
おっと、美人は怒るとおっかねぇ。
「長は兄上がなるべきものでありんすぇ!!!!」
大きな瞳をさらに大きく開き、少女は声を張り上げる。
「それなのに、賭け事や女遊びに明け暮れるとは、何事でありんすか ?!」
ぐわりっと大きな口を開けると、彼女の口元からはずらりと鋭い牙。
横兵庫の上には毛茶色の耳がぴるぴると忙しなく動いている。
今にもこちらに飛び掛かってきそうな勢いに、俺の周りにいた美女たちがびくりと震え上がった。
「そう怒るな。」
左手にある煙管を吹かし、目の前の血気盛んな九尾に目線を向けた。
「俺は面倒なことは嫌いなんだ。長は俺じゃなくとも適任な奴がいっぱいいるだろう?」
ニヤリと笑えば、周りの美女たちは俺に酔いしれ、ため息をついた。
しかし、花魁のような恰好をしている九尾は今もなお顔を歪めている。
「弱いやつに、長は任せられんせん。
モノノ怪の中でも随一の力を持つ兄上にこそ、長は相応しいのでありんすぇ。」
ふぅーっと煙で輪を作る。
たしかに、モノノ怪の原初である俺より強いモノノ怪がいないのは分かり切っている。
しかし、だ。
俺は上に立って、威張り散らかす為にモノノ怪達を"増やした"訳ではない。
「それに、ここのとこは退魔の剣とやらを持つ人間もおりんす故、益々兄上が必要なんでありんすぇ。」
紅色の瞳が、俺を捉え続けている。
「昨日は吉義が死にんした 。それに力持ちの浩三まで。あやつを止められるのは、兄上しかおりんせん。」
ふぅーっともう一息つく。
口元から煙が出て、天井で消えるまで俺も、目の前の九尾も一言も話さなかった。
「…長は、俺には相応しくない。」
九尾の顔が曇った。
あからさまな反対の色に、「まぁ、待て」の視線を送れば、九尾は渋々といった感じで口をつぐんだ。
「長になるには強さだけではない。頭の良さ、統率力…諸々必要だ。」
九尾は黙って俺の話に耳を傾けている。
「よって妲己 、お前が長に相応しい。」
ビシッと俺が九尾、もとい妲己を指さすと、妲己は分かりやすく狼狽えた。
俺の周りの美女は、新しい長の誕生に小さく拍手までしている。
「いけんせん!!あちきには到底…。」
「賢く、美しく、統率力もあり、俺の次に強い。まさしく長の器じゃないか。」
俺の言葉に妲己はぽっと頬を赤らめた。
「…っもう!!"姉上"は、いつなるときもズルいです。」
「本当のことを言っただけなんだがな。」
褒められて分かり易く喜ぶ妲己に頬が緩む。
そんな俺に、美女たちは再びため息を漏らす。
おっと、可愛い子ちゃんたちを置き去りにしては男が廃る。
まぁ、
男じゃないけどネ。
「"退魔の剣"に関しては、俺に任せて置け。妲己は長として頑張っていればいい。」
俺がそう言うと、妲己だけではなく周りにいる美女たちもキラキラした瞳で俺を見つめた。
「流石でありんす、姉上!!早速、長として頑張りんす !!」
ぴょーんと妲己は朱色の柵を軽々と超え、林の中へと姿を消した。
やれやれ。
テンションが上がると、すぐにウチのことを"姉上"呼びしちゃうんだから。
「待たせたね。」
傍らにいる一人の美女に口づけると、美女はぽうっと色づいた顔で俺を見上げる。
それを見た他の美女たちも、我先にと体を寄せる。
あぁ、これだから辞められない。
自身で"化けた"、この端麗な顔で女遊びをするのはとてつもなく楽しい。
この世界に来て、幾許か男として過ごした時間が長いからなのか、こういう事に関しては抵抗はない。
それどころか、身も心も男のようにも感じる。
俺の中にある"女"はなかったかも同然に…。
自身の"本当の顔"が俺の脳裏を過るが、それをなんとか払い除け女の四肢に顔を埋めた。
とある日本の何処かで、鈴のように愛らしい声が勇ましく響いた。
おっと、美人は怒るとおっかねぇ。
「長は兄上がなるべきものでありんすぇ!!!!」
大きな瞳をさらに大きく開き、少女は声を張り上げる。
「それなのに、賭け事や女遊びに明け暮れるとは、何事でありんすか ?!」
ぐわりっと大きな口を開けると、彼女の口元からはずらりと鋭い牙。
横兵庫の上には毛茶色の耳がぴるぴると忙しなく動いている。
今にもこちらに飛び掛かってきそうな勢いに、俺の周りにいた美女たちがびくりと震え上がった。
「そう怒るな。」
左手にある煙管を吹かし、目の前の血気盛んな九尾に目線を向けた。
「俺は面倒なことは嫌いなんだ。長は俺じゃなくとも適任な奴がいっぱいいるだろう?」
ニヤリと笑えば、周りの美女たちは俺に酔いしれ、ため息をついた。
しかし、花魁のような恰好をしている九尾は今もなお顔を歪めている。
「弱いやつに、長は任せられんせん。
モノノ怪の中でも随一の力を持つ兄上にこそ、長は相応しいのでありんすぇ。」
ふぅーっと煙で輪を作る。
たしかに、モノノ怪の原初である俺より強いモノノ怪がいないのは分かり切っている。
しかし、だ。
俺は上に立って、威張り散らかす為にモノノ怪達を"増やした"訳ではない。
「それに、ここのとこは退魔の剣とやらを持つ人間もおりんす故、益々兄上が必要なんでありんすぇ。」
紅色の瞳が、俺を捉え続けている。
「昨日は吉義が死にんした 。それに力持ちの浩三まで。あやつを止められるのは、兄上しかおりんせん。」
ふぅーっともう一息つく。
口元から煙が出て、天井で消えるまで俺も、目の前の九尾も一言も話さなかった。
「…長は、俺には相応しくない。」
九尾の顔が曇った。
あからさまな反対の色に、「まぁ、待て」の視線を送れば、九尾は渋々といった感じで口をつぐんだ。
「長になるには強さだけではない。頭の良さ、統率力…諸々必要だ。」
九尾は黙って俺の話に耳を傾けている。
「よって
ビシッと俺が九尾、もとい妲己を指さすと、妲己は分かりやすく狼狽えた。
俺の周りの美女は、新しい長の誕生に小さく拍手までしている。
「いけんせん!!あちきには到底…。」
「賢く、美しく、統率力もあり、俺の次に強い。まさしく長の器じゃないか。」
俺の言葉に妲己はぽっと頬を赤らめた。
「…っもう!!"姉上"は、いつなるときもズルいです。」
「本当のことを言っただけなんだがな。」
褒められて分かり易く喜ぶ妲己に頬が緩む。
そんな俺に、美女たちは再びため息を漏らす。
おっと、可愛い子ちゃんたちを置き去りにしては男が廃る。
まぁ、
男じゃないけどネ。
「"退魔の剣"に関しては、俺に任せて置け。妲己は長として頑張っていればいい。」
俺がそう言うと、妲己だけではなく周りにいる美女たちもキラキラした瞳で俺を見つめた。
「流石でありんす、姉上!!早速、長として頑張りんす !!」
ぴょーんと妲己は朱色の柵を軽々と超え、林の中へと姿を消した。
やれやれ。
テンションが上がると、すぐにウチのことを"姉上"呼びしちゃうんだから。
「待たせたね。」
傍らにいる一人の美女に口づけると、美女はぽうっと色づいた顔で俺を見上げる。
それを見た他の美女たちも、我先にと体を寄せる。
あぁ、これだから辞められない。
自身で"化けた"、この端麗な顔で女遊びをするのはとてつもなく楽しい。
この世界に来て、幾許か男として過ごした時間が長いからなのか、こういう事に関しては抵抗はない。
それどころか、身も心も男のようにも感じる。
俺の中にある"女"はなかったかも同然に…。
自身の"本当の顔"が俺の脳裏を過るが、それをなんとか払い除け女の四肢に顔を埋めた。