第一幕
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
石畳の道。
レンガ造りの建物。
まさしくヨーロッパ。
そして、ウチが別世界に来てしまったことを色濃く主張した。
しかし、元の体の持ち主の記憶があるからか、その景色を特別に思う感情は芽生えなかった。
「お嬢様、着きましたよ!!」
馬車が止まったのはとあるブティック。
有名なモード商が働いているらしいお店らしい。
もちろん此処に来たばかりのウチも、お洒落に興味のなかった元のウチも知らない。
御者がドアを開け、手を差し出す。
その手を取ってユーリと共に馬車を降りる。
「今日は好きなだけ買ってください!侯爵様もお喜びでしたし!」
「そうね。侯爵…」
ん?侯爵?
ユーリの方へと振り向く。
「今、侯爵って言った?」
ユーリは小首を傾げて、頷いた。
「はい…、お嬢様の御父上、ジェローム・マルクス様です。」
お父さんが公爵。
眩暈がした。
まさか、エキストラはエキストラでも超大物のエキストラじゃないか!!侯爵といえば国で二番目に偉い爵位ではないか。
まぁ、「こんな有名なモード商のお店に行ける身分」ってことを考えればそれなりに分かっていた筈なのに。
悶々と一人考えなっがら、ブティックへと歩を進めていると、
「お嬢様!!」
ユーリが叫んだ。
次の瞬間、衝撃が体に走る。
ドンッ
「…あっ!」
目の前には黒いコート。
そして痛む体。
どうやら人にぶつかってしまったようだ。
「すみません…!」
すぐさま相手方へと謝罪の言葉を述べる。
顔を上にあげると、白い仮面が見える。
仮面?
「いえ、こちらこそ申し訳ございません。お怪我は?」
ウチは衝撃を受けた。
だってこの男の人…
めちゃくちゃ声がいい。
いや、声優さん顔負けといっても過言ではない。
それほど美しい、聞き入ってしまった程の低音ボイス。
これで囁かれたら女性は一発で惚れるのでは?
「…あの?」
未だに見つめ続けるウチに、男が再び声をかける。
いや、声をかけて貰えるだけで幸せ…。主に耳が。
「すみません…、あまりにも声が素敵…」
いや、何言ってるんだウチ!!!!
「オホホ…!なんでもありませんわッ!!では、失礼いたします。」
ユーリを押して、半ば逃げるようにブティックの中に入った。
あぁ、危なかった。
「いらっしゃいませ!ナマエ・マルクス様!」
ブティックの中に入ると、奥から老婦人が姿を現す。
どうやら、ウチを歓迎しているらしいことから侯爵様、もといお父様はウチが来ることを事前に連絡していたようだ。
それもその筈。
元のウチは、家に籠りっぱなしで本を読むことしかしなかったのだから。しかも社交界には片手で数えられる程しか顔を出さなかった。
その証拠に周りのご令嬢たちは好奇の目でウチを見ている。
ヒソヒソ話まで耳に聞こえる。
「お時間ありがとうございます。マダム。」
「いえいえ!では、こちらへどうぞ…!」
マダムに引き連れられるまま、ウチとユーリはブティックの奥へと入った。
*****
「まぁ!!!なんということでしょう!!!」
マダムの叫び声が部屋中に響き渡る。
「なんって、仕立て甲斐のあるお体!!!!」
巻き尺を放り投げ、完全に"職人の目"でウチを見つめ続けるマダム。ユーリはそんなマダムを見て、満足げに頷いている。
「美しい顔立ち、細い腰、豊満な胸元…!」
苦笑いしか出なかった。
マダムは一通りウチを見つめ終えた後、デザインを描き起こし始める。もう自分の世界に入り込んでいるのか、他のモード商が声を掛けても無反応だ。
しかし、野暮ったい伊達メガネはもう使わないほうがいいだろう。
ウチのキツめの悪役顔にメガネはなかなか滑稽で見るに堪えない。ドレッサーの上にあるメガネを手に取りユーリへと渡す。
「もう使わないから、捨ててもいいわ。」
そう言うと、ユーリはぱぁっと顔を輝かせた。
「はい!お嬢様!」
余程、主人にお洒落してほしかったのかな?
まぁ、ユーリが幸せそうならウチはオールOKだから。
「マルクス様、あちらでサイズをお測りいたします。」
数名のモード商が頭を下げた。
マダムが本来測るものだが、あの様じゃ家に帰る時間が遅くなってしまう。
「よろしく。」
数名のモード商に取り囲まれ、サイズ測定が始まった。
帰りにユーリとスイーツでも食べようか、と考えながら…。
レンガ造りの建物。
まさしくヨーロッパ。
そして、ウチが別世界に来てしまったことを色濃く主張した。
しかし、元の体の持ち主の記憶があるからか、その景色を特別に思う感情は芽生えなかった。
「お嬢様、着きましたよ!!」
馬車が止まったのはとあるブティック。
有名なモード商が働いているらしいお店らしい。
もちろん此処に来たばかりのウチも、お洒落に興味のなかった元のウチも知らない。
御者がドアを開け、手を差し出す。
その手を取ってユーリと共に馬車を降りる。
「今日は好きなだけ買ってください!侯爵様もお喜びでしたし!」
「そうね。侯爵…」
ん?侯爵?
ユーリの方へと振り向く。
「今、侯爵って言った?」
ユーリは小首を傾げて、頷いた。
「はい…、お嬢様の御父上、ジェローム・マルクス様です。」
お父さんが公爵。
眩暈がした。
まさか、エキストラはエキストラでも超大物のエキストラじゃないか!!侯爵といえば国で二番目に偉い爵位ではないか。
まぁ、「こんな有名なモード商のお店に行ける身分」ってことを考えればそれなりに分かっていた筈なのに。
悶々と一人考えなっがら、ブティックへと歩を進めていると、
「お嬢様!!」
ユーリが叫んだ。
次の瞬間、衝撃が体に走る。
ドンッ
「…あっ!」
目の前には黒いコート。
そして痛む体。
どうやら人にぶつかってしまったようだ。
「すみません…!」
すぐさま相手方へと謝罪の言葉を述べる。
顔を上にあげると、白い仮面が見える。
仮面?
「いえ、こちらこそ申し訳ございません。お怪我は?」
ウチは衝撃を受けた。
だってこの男の人…
めちゃくちゃ声がいい。
いや、声優さん顔負けといっても過言ではない。
それほど美しい、聞き入ってしまった程の低音ボイス。
これで囁かれたら女性は一発で惚れるのでは?
「…あの?」
未だに見つめ続けるウチに、男が再び声をかける。
いや、声をかけて貰えるだけで幸せ…。主に耳が。
「すみません…、あまりにも声が素敵…」
いや、何言ってるんだウチ!!!!
「オホホ…!なんでもありませんわッ!!では、失礼いたします。」
ユーリを押して、半ば逃げるようにブティックの中に入った。
あぁ、危なかった。
「いらっしゃいませ!ナマエ・マルクス様!」
ブティックの中に入ると、奥から老婦人が姿を現す。
どうやら、ウチを歓迎しているらしいことから侯爵様、もといお父様はウチが来ることを事前に連絡していたようだ。
それもその筈。
元のウチは、家に籠りっぱなしで本を読むことしかしなかったのだから。しかも社交界には片手で数えられる程しか顔を出さなかった。
その証拠に周りのご令嬢たちは好奇の目でウチを見ている。
ヒソヒソ話まで耳に聞こえる。
「お時間ありがとうございます。マダム。」
「いえいえ!では、こちらへどうぞ…!」
マダムに引き連れられるまま、ウチとユーリはブティックの奥へと入った。
*****
「まぁ!!!なんということでしょう!!!」
マダムの叫び声が部屋中に響き渡る。
「なんって、仕立て甲斐のあるお体!!!!」
巻き尺を放り投げ、完全に"職人の目"でウチを見つめ続けるマダム。ユーリはそんなマダムを見て、満足げに頷いている。
「美しい顔立ち、細い腰、豊満な胸元…!」
苦笑いしか出なかった。
マダムは一通りウチを見つめ終えた後、デザインを描き起こし始める。もう自分の世界に入り込んでいるのか、他のモード商が声を掛けても無反応だ。
しかし、野暮ったい伊達メガネはもう使わないほうがいいだろう。
ウチのキツめの悪役顔にメガネはなかなか滑稽で見るに堪えない。ドレッサーの上にあるメガネを手に取りユーリへと渡す。
「もう使わないから、捨ててもいいわ。」
そう言うと、ユーリはぱぁっと顔を輝かせた。
「はい!お嬢様!」
余程、主人にお洒落してほしかったのかな?
まぁ、ユーリが幸せそうならウチはオールOKだから。
「マルクス様、あちらでサイズをお測りいたします。」
数名のモード商が頭を下げた。
マダムが本来測るものだが、あの様じゃ家に帰る時間が遅くなってしまう。
「よろしく。」
数名のモード商に取り囲まれ、サイズ測定が始まった。
帰りにユーリとスイーツでも食べようか、と考えながら…。