第0章
夢小説設定
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「あ、あとウチ女です。」
思い出したかのように平然と私の運命がそう言う。
そうですか、女性でしたか。
女性?
思わず大きくガッツポーズをした。
いやはや、やはり私の運命なんですね知ってました。
「なんて事でしょう!!今まで一度も闇の鏡が女の子を連れてきた事はなかったのに!!!」
一応学園長という私の体裁がありますから、嘆いておきましょう。
正直闇の鏡には感謝しかないのですが!
そういえば、彼女は女性で魔力のない世界から来た…と言っていましたね。闇の鏡の間違いで…異世界からやってきた本来生徒になるべきではない人間…。
無意識に上がる口角を、手で覆う。
これ、私が囲ってしまえばいいのでは…?
とは言え私がいきなり人間を養う、となると周りから怪しまれるので入学式で見せつければいい。生徒たちの前で、入学の資格のない生徒を"仕方なく"引き取る私。
そうすれば何か言われることも、言われたとしても生徒が証言できる。
目の前で困ったように眉尻を下げる運命に、満たされる胸中。
「とにかく!詳しい事は後で"ゆっくり"話しましょう!!今は、入学式に行かなければ!」
おっと、邪な感情が…。
私は上機嫌に図書室を後にした。私の運命と共に。
*****
元来た道を戻り、鏡の前まで来ると何やら寮長たちが話しているであろう声が聞こえる。
「それにしても学園長はどこに行っちゃったのかしら?式の途中で飛び出して行っちゃったけど……」
「職務放棄…」
「腹でも痛めたんじゃないか?」
酷い!
確かに新入生を迎えに行くなんて言ってませんでしたけども、これは言い過ぎなのでは!
「違いますよ!」
私が扉を開けると、バァン!と大きく音が鳴る。
「まったくもう。新入生が1人足りないので探しに行っていたんです。さあ、寮分けがまだなのは君だけですよ。」
優しく彼女の背中を押す。
柔らかさが式典服越しに伝わってくるのが何とも言えない…。いや"まだ"生徒なんですから我慢しなければ…。
「え…、あの?!」
完全に焦った表情を浮かべる運命。
そんな可愛い表情をされては、抱きしめたくなってしまうので辞めてほしいのですが…。
そんな彼女を安心させるように、鞭の中にいる狸を指差した。
「狸くんは私が預かっておきますから、早く闇の鏡の前へ。」
決してお邪魔はさせませんよ。
私と貴方の未来の為にも…。
とぼとぼと鏡の前へ立つ私の運命。
「汝の名を告げよ」
「ナマエ…あー、ナマエ・#苗字#です。」
ふむ、ナマエ・#苗字#…。
頭の中にすんなり入ってくる名前。やはり、彼女は私の運命!
「ナマエ・#苗字#。…汝の魂のかたちは…」
重々しい雰囲気が場を支配した。
「…分からぬ。」
鏡の言葉に辺りが騒々しくなる。
新入生たちや寮長は「ありえない」と驚き、ナマエさんは真っ青な顔で唖然としている。
その中で、私だけ唯一喜びに震えていた。
鏡の中の男が驚いたような表情を浮かべた時は焦りましたが、何事もなくて良かったです。
これで、彼女を手元に置いておけるのだから…。