第0章
夢小説設定
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ナイトレイブンカレッジの学園長を務めるこの私は、今までで一度も出くわしたことのない状態に出くわしていた。
「なんですか、これは?!!!!!」
寮長たちを引き連れて鏡の間に入ったはいいものの、辺り一面に青い炎が…。そして、扉のなかには開いているものが一つ…。
「派手にやったな!」
「新入生だろうが、規律違反はこのボクが許さないよ。」
「…美しくないわね。」
頭が痛い。
今まで一度もこんな事は無かったのに…。
鏡の間の応急処置として炎を消し去り、扉が燃えていないかも確認する。
「さてと…、問題はこの子ですね…。」
問題の子と言うのは、私の目の前の扉を"自分"で開けてきてしまった子の事だ。どうしようかと、顎に手を当てる。
「しょうがないですねぇ…。」
式典まで待機する寮長を鏡の間置いて、私は問題の子を探すべく鏡の間を後にした。まぁ、この私が子供一人見つけるのに対して時間は掛からないでしょう。入学式が始まる前に、見つけて戻って来ればいいだけの話です。
そう高を括って、寮長たちには何も告げず、私は問題の子探しを開始したが…。
「どうして何処にもいないんですか?!!」
学園中を探し回るが、式典服に身を包む子供が見つからない。
もう入学式はとうに始まっている。
頭を抱えたくなる事件に、文字通り自身の頭を抱えていると図書室の方角からなにやら轟音が響いた。
きっと、あそこに居るのだろう。
しかし、轟音がなるほど何をしているのでしょうか?とんだ不良新入生ですね…。
先の自分を思いやると頭痛が悪化する。
向かうスピードを上げた。
*****
中庭を通り抜け、図書室の付近へ来る。
さて、子供は…。
「俺様の鼻から逃げられると思ったか!さっさと制服を寄越すんだゾ!!」
「ちょっと、此処で炎はナシだってば!」
言うまでもなく、図書室にいますね。
中を伺うと、式典服を着た一人の少年と魔物。
どうやら、魔物は生徒を脅している様子だ。
「丸焼きにされたくなかったらその服を…」
やれやれ…。
腰に携えている鞭を大きく振りかぶり…
バチィンッ!
鞭の痛々しい音。
まぁ、私の鞭の音なんですけどね。
「ふぎゃっ!?痛ぇゾ!なんだこの紐!」
「紐ではありません。愛の鞭です!」
魔物を鞭で身動きのとれないよう縛り付ける。
あぁ、この魔物が鏡の間の放火犯でしたか…。
図書室に所々ある青い炎は鏡の間にあったものと全く一緒だった。
この狸はあとでもっとお仕置きしなければ…。
ふと、視界の端でへたり込んでいる新入生へと意識を移す。
「あぁ、やっと見つけましたよ。あなたが今年の一年生ですね?」
どうやらあの魔物に驚かされて動けないようだ。
助け起こそうと、ゆっくりと近づく。
「ダメじゃありませんか。勝手に扉から出るなん……」
バチリと新入生と目線が合う。
そこには、式典服に身を包んだ私の好みドストライクの"同性"がいた。
「…て…。」
ものすっごく美人でも可愛いわけではないけれど…。
大きな黒い瞳にはっきりと整った眉、中性的な色香を漂わせる顔立ちが美しい。
いや、ここで出会っちゃうんですか。私の運命。
しかも男子校で、生徒と先生として…!!
「あの…」
見つめすぎたのか、どうやら不審がられてしまった。
「ま、全く!!勝手に開けて出てきてしまった新入生など前代未聞です!」
若干被せ気味にそう叫んだ。
いや、あの顔は反則ですよ全く。見てると私、幸せな気分になってしまいます!
ここは教師として心を鬼にしなければいけないというのに。
それにしても、声も高すぎず低すぎない良い声ですねぇ。
脳内で何度もリピートしてみるが、全く聞き飽きない。
「離せ!!離すんだゾ!!」
しかし、そんな私の楽しみは魔物によって邪魔される。
すかさず魔物の口を塞ぐ。
私の運命の声を邪魔しないでほしい。
ただでさえ、障害の多い運命なのに…。
「どれだけせっかちさんなんですか!
さぁさぁ、とっくに入学式は始まっていますよ。鏡の間へ行きましょう。」
これは、呑気に入学式をやっている暇はない。
さっさと終わらせて、学園生活内で絆さなければ!!
「あ、あの、待ってください。」
鏡の間へ向けようとした足をピタリと止めた。
いや、「止めてしまった」という表現の方が正しい。
チラリと彼を横目で見る。
大きな瞳が上目遣いで私を…、私の運命は結構あざといですねぇ。
彼の顔面にドキドキと胸を高鳴らせると、次に出てきた言葉は意外なものだった。
「ウチ…、此処の世界の人間じゃないです…。」
なんですって?
「日本って所から…、いやそもそも魔法の無い世界から来たというか…異世界というか。」
拙い説明をしているが全く私には何が何だか…。
取り敢えず、彼が可愛いことだけは分かったのですが。
身振り手振りで懸命に説明する姿を可愛い以外にどう形容する?
否、可愛い以外認めません!!
ていうか、私好みの顔が動いて、私好みの声がずっと喋っているって天国すぎません?目も耳も幸せですよ、とっても!
自分の説明が伝わっていない事に気付いたのか、少年の言葉は段々尻すぼみになっていく。
「すみません…」
恥ずかしそうに下を向く生徒に手を出しそうになった。