第0章
夢小説設定
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ギラリとリリアちゃんの目つきが変わる。
獲物を見るような…獰猛な…。
しかし、それを一転して明るいものに変えるリリアちゃん。
「しかも、“混じっとる”ようじゃの。ふむ…シルバーと仲良くできそうじゃの!」
ニコニコと笑い、そしてウチの肩をバシバシと叩く。
まるで近所のおばちゃんのようだ。
「お主、なかなか面白そうじゃの!どれ、ディアソムニアはいつでも歓迎するぞ!」
「あ、ありがとうございます?」
お礼を言っていいのだろうか?
よくわからないまま立っていると、リリアちゃんは手を大きく振って帰っていった。
ふと、あたりを見渡せば鏡の間に残っているのはウチと学園長だけだ。
あぁ、そうだ。此処で学園長に「入学できない」って言われるんだっけ。そうストーリーを思い出しながら、ウチが学園長の言葉を待った。
「…さてと、本来ならば貴方は入学どころか此処から出て行って貰わねばならない…
と言う所ですが…。」
「…んん?」
またもや原作と違う展開。
もういいよ!ウチの為にストーリー壊さないで!!
「私は凄く優しいので貴方を引き取ってあげましょう。私凄く優しいので。」
二回言った。
露骨に「私優しい」と言っているが、学園長は迷惑そうにしていない。
「…ご迷惑では?」
恐る恐る聞くと、学園長は首を大きく横に振った。
「貴方一人養うお金くらい持ってますよ!」
いや、グリムも居るんですけど…という言葉は飲み込んだ。
原作では闇の鏡に「帰る場所はない」って言われるシーンがあったんだけどな。
でも、ここにいて良いならとてもありがたい。
「ありがとうございます!…では、よろしくお願いします。」
頭を下げると、学園長は弾んだ声で「いいんですよ!」と言った。
学園長ってこんなに優しい人だったんだ、と我ながら失礼な事を考えてしまった。
「ところで…、貴方と闇の鏡が話していた事…聞かせてくれませんか?」
「はい。」
先程の一連の流れを学園長に話すと、学園長は鉤爪の付いた手を顎に当てる。
「ふむ…、“姫”ですか…。」
学園長の言葉に頷く。
ウチが頷いたのを見ると学園長は闇の鏡の前に立った。
「闇の鏡よ、この者の魂を表したまえ。」
大きな鏡に学園長が声を掛けると、再び鏡にぼうっと緑色の炎が浮かび、男の顔が現れる。
「その者の魂は選ばれし御子にのみ与えられる“姫 の魂”」
入学式の時とは打って変わってはっきりそう告げる闇の鏡。
「プリンセスの…魂?」
意味が分からなかった。
自分がそんな大層な魂の持ち主でないことは一目瞭然だ。
ウチは美しい容姿もなければ、大海原のような広い心さえ持ち合わせていない。
そうだ。
どちらかと言えば悪役 。
憎んだり嫉妬したり、怒ったり…プリンセスはそんな事しない。
だからこそウチはプリンセスではないと相場が決まっている。
こちらが納得いかなそうな顔をしているからか、闇の鏡は更に続けた。
「本来、"姫 の魂"は決まった世界でしか美しく輝かない。その者は間違った世界で生まれてきてしまった哀れな魂…。」
つまり、ウチが元居た世界が間違った世界ってことなのだろうか?
今もなお理解できずにいると、再び闇の鏡は言葉を紡いだ。
「正しい世界で正しい扱い方をされていれば問題はなかった。しかし、どんなに美しいダイアモンドだったとしても、それをガラス玉としか認識しない世界ではダイアモンドはただの石ころ。」
学園長もウチも大人しく闇の鏡の言葉に耳を傾けた。
「そんな世界で育てられたダイアモンドは泥に塗れて、"混じって"しまう。」
混じる。
たしかリリアちゃんにもそう言われた気が…。
きっとウチの姫 の魂とやらに、何かが混じっているのだろう…。
「姫よ…」
一人思考していると、闇の鏡がウチに問いかける。
「姫」って呼び方、なんだかむず痒い…。
「…はい。」
「貴女の魂は現在泥に濡れて汚れてしまっている…。しかし、本質は変わっていない。"この世界に留まれば"魂は本来の輝きを取り戻すであろう。」
なんだろう…。
闇の鏡の言い方だと、いつでもウチが元の世界に帰れるような言い方だな。
「なるほど…、つまりこの世界に留まることはナマエさんにとってプラスになるということですね。」
また口を開こうとする闇の鏡の前に学園長が立ち塞がる。
名前呼びされてビックリした…。
「では当初の予定通りこの優しい私が面倒をみてあげましょう!」
学園長がドンと胸を叩く。
なんとも優しいというか、教育者の鑑!
「ありがとうございます!」
尊敬と感謝の視線を送れば、学園長は満足気に鼻を鳴らした。
「あぁ、そういえばお互い正式に名乗っていませんでしたね。
私はディア・クロウリー、此処ナイトレイブンカレッジの学園長です。」
そう言いながら手を差し出す学園長。
「ナマエ・ミョウジです。よろしくお願いします。」
名乗りながら差し出された学園長の手に自身の手を乗せる。
握手するのかと思いきや、学園長はウチの手を自身の口元に持っていき…。
ちゅっ
「…へ」
あまりにもいきなりのことで数秒フリーズした。
それもそうだろう。手の甲にキスされたのだから…学園長に。
みるみる自身の顔に熱が集まるのを感じた。
元居た世界で男性経験がなかったのが此処で顕著に表れてしまった。
此方を面白そうに見つめる学園長に、更に羞恥心が高まる。
そんなこんなで、原作とは大きく逸れながらウチの学園生活が幕を開けた。
獲物を見るような…獰猛な…。
しかし、それを一転して明るいものに変えるリリアちゃん。
「しかも、“混じっとる”ようじゃの。ふむ…シルバーと仲良くできそうじゃの!」
ニコニコと笑い、そしてウチの肩をバシバシと叩く。
まるで近所のおばちゃんのようだ。
「お主、なかなか面白そうじゃの!どれ、ディアソムニアはいつでも歓迎するぞ!」
「あ、ありがとうございます?」
お礼を言っていいのだろうか?
よくわからないまま立っていると、リリアちゃんは手を大きく振って帰っていった。
ふと、あたりを見渡せば鏡の間に残っているのはウチと学園長だけだ。
あぁ、そうだ。此処で学園長に「入学できない」って言われるんだっけ。そうストーリーを思い出しながら、ウチが学園長の言葉を待った。
「…さてと、本来ならば貴方は入学どころか此処から出て行って貰わねばならない…
と言う所ですが…。」
「…んん?」
またもや原作と違う展開。
もういいよ!ウチの為にストーリー壊さないで!!
「私は凄く優しいので貴方を引き取ってあげましょう。私凄く優しいので。」
二回言った。
露骨に「私優しい」と言っているが、学園長は迷惑そうにしていない。
「…ご迷惑では?」
恐る恐る聞くと、学園長は首を大きく横に振った。
「貴方一人養うお金くらい持ってますよ!」
いや、グリムも居るんですけど…という言葉は飲み込んだ。
原作では闇の鏡に「帰る場所はない」って言われるシーンがあったんだけどな。
でも、ここにいて良いならとてもありがたい。
「ありがとうございます!…では、よろしくお願いします。」
頭を下げると、学園長は弾んだ声で「いいんですよ!」と言った。
学園長ってこんなに優しい人だったんだ、と我ながら失礼な事を考えてしまった。
「ところで…、貴方と闇の鏡が話していた事…聞かせてくれませんか?」
「はい。」
先程の一連の流れを学園長に話すと、学園長は鉤爪の付いた手を顎に当てる。
「ふむ…、“姫”ですか…。」
学園長の言葉に頷く。
ウチが頷いたのを見ると学園長は闇の鏡の前に立った。
「闇の鏡よ、この者の魂を表したまえ。」
大きな鏡に学園長が声を掛けると、再び鏡にぼうっと緑色の炎が浮かび、男の顔が現れる。
「その者の魂は選ばれし御子にのみ与えられる“
入学式の時とは打って変わってはっきりそう告げる闇の鏡。
「プリンセスの…魂?」
意味が分からなかった。
自分がそんな大層な魂の持ち主でないことは一目瞭然だ。
ウチは美しい容姿もなければ、大海原のような広い心さえ持ち合わせていない。
そうだ。
どちらかと言えば
憎んだり嫉妬したり、怒ったり…プリンセスはそんな事しない。
だからこそウチはプリンセスではないと相場が決まっている。
こちらが納得いかなそうな顔をしているからか、闇の鏡は更に続けた。
「本来、"
つまり、ウチが元居た世界が間違った世界ってことなのだろうか?
今もなお理解できずにいると、再び闇の鏡は言葉を紡いだ。
「正しい世界で正しい扱い方をされていれば問題はなかった。しかし、どんなに美しいダイアモンドだったとしても、それをガラス玉としか認識しない世界ではダイアモンドはただの石ころ。」
学園長もウチも大人しく闇の鏡の言葉に耳を傾けた。
「そんな世界で育てられたダイアモンドは泥に塗れて、"混じって"しまう。」
混じる。
たしかリリアちゃんにもそう言われた気が…。
きっとウチの
「姫よ…」
一人思考していると、闇の鏡がウチに問いかける。
「姫」って呼び方、なんだかむず痒い…。
「…はい。」
「貴女の魂は現在泥に濡れて汚れてしまっている…。しかし、本質は変わっていない。"この世界に留まれば"魂は本来の輝きを取り戻すであろう。」
なんだろう…。
闇の鏡の言い方だと、いつでもウチが元の世界に帰れるような言い方だな。
「なるほど…、つまりこの世界に留まることはナマエさんにとってプラスになるということですね。」
また口を開こうとする闇の鏡の前に学園長が立ち塞がる。
名前呼びされてビックリした…。
「では当初の予定通りこの優しい私が面倒をみてあげましょう!」
学園長がドンと胸を叩く。
なんとも優しいというか、教育者の鑑!
「ありがとうございます!」
尊敬と感謝の視線を送れば、学園長は満足気に鼻を鳴らした。
「あぁ、そういえばお互い正式に名乗っていませんでしたね。
私はディア・クロウリー、此処ナイトレイブンカレッジの学園長です。」
そう言いながら手を差し出す学園長。
「ナマエ・ミョウジです。よろしくお願いします。」
名乗りながら差し出された学園長の手に自身の手を乗せる。
握手するのかと思いきや、学園長はウチの手を自身の口元に持っていき…。
ちゅっ
「…へ」
あまりにもいきなりのことで数秒フリーズした。
それもそうだろう。手の甲にキスされたのだから…学園長に。
みるみる自身の顔に熱が集まるのを感じた。
元居た世界で男性経験がなかったのが此処で顕著に表れてしまった。
此方を面白そうに見つめる学園長に、更に羞恥心が高まる。
そんなこんなで、原作とは大きく逸れながらウチの学園生活が幕を開けた。