誰もが憧れたお姫様（プリンセス）。

煌びやかなドレス。
美しい姿。
動物たちにさえ優しい心。
自然をも潤す歌声。

そして、どんな時でも助けてくれる王子様。





だが、そんなものは所詮御伽話の中。


母から聞いた。

小さい頃のウチは本当にプリンセスになりきっていたらしい。

ドレスにお歌、バレエのレッスン。


今となっては黒歴史。

今のウチはプリンセスとは程遠い、"汚い大人"になってしまった。


もう二度とプリンセスにはなれない。

ガラスの靴は履けない。
美しい歌声で歌えない。
動物たちとお話できない。
綺麗な心もない。

そして、王子様も助けに来てはくれない。





でも、それでもいい。

ウチは自分を守る術を身につけた。

時には悪役（ヴィラン）のように狡猾に他人に噛みつく牙を持たなければならない。

もう、誰かに守って貰うプリンセスにはなれない。




それでも構わない。

これが今のウチの本当の姿。









だと、思っていたのに…。