第0章
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暫く談笑しながら歩いていると、闇の鏡が見えてきた。
段々エースの背中が居心地が良く感じ始めてきた頃だったからか、眠気が襲ってくる。
「グリム、どうしたんだ?…って何を持っているんだ?!」
しかし、睡魔はそんなデュースの声によって追い払われた。
「さっきのモンスターが持ってたんだゾ!!これ美味しそうな匂いがしてたんだゾ!」
「嘘だあ!?いやいや。だからって拾い食いなんてすんなよなー」
グリムの言葉に、エースが驚きの声を上げた。
もっともなご意見だ。
しかし、此処でグリムがオバブロ石を食べる所を止めた方がいいのだろうか。
「魔法石…?いやでもこんなに真っ黒な魔法石なんて見た事がない」
グリムの持っている石を見つめ、デュースは試行錯誤をしているようだ。エースは特に気にする様子もなく、闇の鏡への道を歩いてる。
今エースの背中から飛び出して石を捨てるべきなのか…。
だが、ストーリーを壊すのは嫌だ。どうしたらいいものか…。
「アイツが隠し持ってた飴ちゃんかもしれねーんだゾ!うう~っ、我慢できない!」
そんな声が聞こえたかと思えば、もう既に口を動かしているグリムが。
手には先程の石ころはない。
「な、何やってるんだ!!!?」
デュースはすぐさまグリムへと飛び掛かり、何とか石を吐き出させようとするが時すでに遅し。
ゴクン…と、グリムの喉が鳴る。そして…。
「う゛っ…‥!?」
グリムが呻き声を出した。
「あーあ、そんなもん拾い食いするから~」
「ど、どうすればっ!?グリムが死んでしまう!!」
特に慌てる様子もないエースと、反対にあたふたと慌てふためくデュース。そしてそんな三人を傍観するウチ。
いやぁ~、ウチが悩んでるうちに食べちゃうんだもん。しょうがないよね。
「う、うぅ…………うんまぁ~い!!」
やはり今は大丈夫だった。
「「は?」」
グリムは大きく飛び跳ねてそう叫ぶ。
そしてそんなグリムを唖然と見つめるエーデュース。
「まったりとしていてコクがあり、香ばしさと甘さが舌の上で花開く‥‥…まるでお口の中が花畑だゾ!」
そして黒い石の食レポを始めるグリム。
石の何処からそんな味がするのだろうか。
この学園に寮長七人いるしみんなどうせオバブロしそうだから、一個位ウチが食べてもいいよね。
なんだか気になったため、機会があればぜひ食べてみたい。
「げー、やっぱりモンスターって俺達とは味覚が違うの?」
エースは感極まるグリムを見てドン引きした。
「…かもしれないな。というか……落ちている得体の知れないものを口に入れること自体殆どの人間はやらない。」
そして先程までの心配は何処へ行ったのか、デュースはグリムに対して呆れ果てていた。
「案外モンスターの胃は石でも溶かせるようになってるかもよ。」
ウチがそう言えば、「確かに」とエーデュースは変に納得していた。
「ほら~!さっさと帰るぞ~!」
石を食べたグリムは、軽い足取りで見えてきた闇の鏡に走っていく。
エースはウチをおぶっているため追いかけようとはしなかった。そしてデュースも疲れているからか、はたまた取り越し苦労もとい取り越し心配をしたからか、追いかける気はないようだ。
「……上機嫌だな」
「…だな。まぁ、とにかく…学園長に魔法石を届けに行こう。」
げっそりとしたデュースの顔が何とも悲壮感に溢れていて、少し可哀そうなくらいだ。
「…ま、届けれたら晴れて一年生に舞い戻れるんだからさ!」
そう言ってやれば、少しデュースの表情が和らいだ気がした。
*****
闇の鏡を潜り抜け、視界に広がるのは懐かしの鏡の間。
そしてその鏡の間には学園長が…。
「学園長~!魔法石を取ってきたんだゾ!」
「怪我はありませんかッッ!!!!?」
魔法石を手に持って近づくグリムを通り越し、何故かウチの方へと駆け寄る学園長。
まずはウチらの成果を見てほしいのだが…。
ふと、ウチはとある事を思い出す。
そう言えば、学園長が口酸っぱく「怪我するなって」って言ってた気が…。
「な、な、なんですかこの怪我は!!!!!!」
エースの背中にいるウチを見て、大声を上げる学園長。
原作の学園長がこんなに過保護だった気はしないが、今の学園長は恐ろしい程の過保護だったのを忘れてた…!
「あぁ…なんて可哀そうなんでしょう…!一先ず学園長室へ…!!」
これ以上移動するの?!
ウチは良いとして、エースもデュースも疲労困憊だろうに…。
「ごめん、やっぱ降りるよ。」
「ダメ、ナマエは動くな。」
しかし、エースは頑なにウチを降ろそうとはしない。
もしかしなくてもエースって優しい奴かも…。
慌ただしく鏡の間を出ていく学園長の後へと四人で付いていく。
*****
「さぁ、此方にナマエさんを!」
学園長室に通されたウチ達一行。
学園長室のまさかの学園長の座る椅子へと降ろされたウチは、学園長に傷口を見せる。
「なんてっ…!」
何故か悲しみながらウチの膝にある血をハンカチで拭く学園長。
「あの…、それじゃあハンカチがダメになって…!」
「いえ、大丈夫です!それより貴方は自分の心配をして下さい!」
怒られた。
今日は無理をし過ぎてしまったのだろうか。
いや、半分はオクタのヤクザに無理矢理仕事されられたせいなので無理はしていない。
「…学園長、背中にも傷があるので見てやってくれませんか?」
ウチの傷口に目を逸らしながらデュースが口を開く。
そしてそうデュースが言ったことにより、学園長の目が厳しく光った。
「貴方がたは、何をしていたんですか…?」
ギロリと学園長に睨まれ、三人は肩をびくりと震わせた。
「違います!あの、この怪我は転んだのと…お、大きな魔物がいたせいなんです!!」
流石に助けてくれた三人のせいにされては堪ったものじゃない。
ウチが抗議の声を上げると、三人がキラキラとした瞳をウチに向けてくる。
「魔物…?」
学園長はウチの言葉に、反応した。
「はい。大きな魔物です。」
ウチは魔法石を手に入れた経緯について一から学園長に説明した。
ドワーフ鉱山に出た魔物の事。
皆で協力して戦ったこと。
そして、お望みの魔法石まで手に入れた事。
学園長は原作同様、グリムの手に握られている魔法石を見て驚いていた。
「まさか本当に魔法石を持って帰ってくるなんて思っていませんでした…。粛々と退学手続きを行っていましたよ。」
「酷い!」と声を上げる三人を無視し、学園長は更に言葉を続ける。
「そして炭鉱に住み着いた謎のモンスター。それを4人で協力して倒し、魔法石を手に入れて学園に戻ってきたと?」
そうなんです!、と頷くウチとグリムを他所に、デュースとエースは恥ずかしそうに項を掻いた。
そしてそんな時だった。
「お……おお……おぉ……!!!お~~ん!!」
学園長が泣いた。
「何だ、コイツ!いい大人が突然泣き出したんだゾ!?」
いきなりの学園長の号泣で引き気味の一同。
グリムに至ってははっきり言い過ぎだ。
しかも目の前で泣かれたウチはどうしたらいいのか分からず、視線でエーデュースに助けを求めるが、目を逸らされた。
くそっ、意気地なしめ…。
「この私が学園長を務めて早云十年、……ナイトレイブンカレッジ生同士が手と手を取り合って敵に立ち向かい、打ち勝つ日がくるなんて!」
涙声でそう語る学園長に、エーデュースが「とんでもない!」と抗議する。
「んなっ!俺はこいつと手なんか繋いでません!!」
「俺だって嫌だよ、気持ち悪りぃな!!てか学園長、歳いくつ!?」
二人ともニュアンスが違うような気がする。
学園長はシクシクと涙を流し、鼻を啜る。
此処で確か、ウチが監督生としてグリムと共にナイカレに入学!!…となる筈だった。
「しかし!!」
先程の涙声とは違う、はっきりとした学園長の声で一同背筋が伸びる鵜。
「ナマエさんが怪我をしたのはナンセンスです!!!」
論点はそこ?!
打って変わって説教をする教師となる学園長に動揺するウチ。
三人は何故か肩を落としているし。
「でも魔法石は持って帰ってきましたよ!それに三人が居なかったら、ウチきっと死んでました!!!」
ドヤと決め顔をしてみるが、学園長の表情は険しいまま。
しかも怒りの矛先がウチに向いた。
「だがら貴方を行かせたくなかったのです…!貴方は魔法が使えない…しかも女性なんですから!!」
何も言えなくなってしまった。
確かに。あんなに反対され、それを押し切って言った割には怪我だらけで帰ってきちゃったし。これは反論できない。
やらかしたという気持ちが頭を支配し、項垂れていると学園長が少し焦った。
「はぁ…、と、とにかく…背中の傷は寮で見ますから。今日の所は寮へ…。」
「って事は!!!グリムとエースとデュースは、許してくれるんですか!!!?」
勢いよく学園長へと近づくと、学園長は更に焦り始めた。
「ま、まぁ約束ですし…」
「本当ですか?!!ありがとうございます!!!!」
やった!これでエースとデュースはナイカレ生徒に戻れる!!
そう思って二人にグーサインをする。
そして二人も笑いながらグーサインを返してくれた。
嬉しかった。ここまで頑張った甲斐があった。
「おほんっ…、取り敢えずお二人は寮へ…。グリム君とナマエさんは私と共に寮へ帰りますよ。」
咳ばらいを一つし、学園長は二人の帰りを急かす。
「ふなぁ…、また明日から掃除かよ…。」
「そうだよ。ちゃんと休まないと廊下のモップ掛け出来ないよ。」
溜息をつくグリムを慰めてあげる。
このタイミングでグリムは生徒になれないが…。まぁ、何れはなるだろう!
何故か根拠のない自信を持った時だった。
エースが声を上げた。
段々エースの背中が居心地が良く感じ始めてきた頃だったからか、眠気が襲ってくる。
「グリム、どうしたんだ?…って何を持っているんだ?!」
しかし、睡魔はそんなデュースの声によって追い払われた。
「さっきのモンスターが持ってたんだゾ!!これ美味しそうな匂いがしてたんだゾ!」
「嘘だあ!?いやいや。だからって拾い食いなんてすんなよなー」
グリムの言葉に、エースが驚きの声を上げた。
もっともなご意見だ。
しかし、此処でグリムがオバブロ石を食べる所を止めた方がいいのだろうか。
「魔法石…?いやでもこんなに真っ黒な魔法石なんて見た事がない」
グリムの持っている石を見つめ、デュースは試行錯誤をしているようだ。エースは特に気にする様子もなく、闇の鏡への道を歩いてる。
今エースの背中から飛び出して石を捨てるべきなのか…。
だが、ストーリーを壊すのは嫌だ。どうしたらいいものか…。
「アイツが隠し持ってた飴ちゃんかもしれねーんだゾ!うう~っ、我慢できない!」
そんな声が聞こえたかと思えば、もう既に口を動かしているグリムが。
手には先程の石ころはない。
「な、何やってるんだ!!!?」
デュースはすぐさまグリムへと飛び掛かり、何とか石を吐き出させようとするが時すでに遅し。
ゴクン…と、グリムの喉が鳴る。そして…。
「う゛っ…‥!?」
グリムが呻き声を出した。
「あーあ、そんなもん拾い食いするから~」
「ど、どうすればっ!?グリムが死んでしまう!!」
特に慌てる様子もないエースと、反対にあたふたと慌てふためくデュース。そしてそんな三人を傍観するウチ。
いやぁ~、ウチが悩んでるうちに食べちゃうんだもん。しょうがないよね。
「う、うぅ…………うんまぁ~い!!」
やはり今は大丈夫だった。
「「は?」」
グリムは大きく飛び跳ねてそう叫ぶ。
そしてそんなグリムを唖然と見つめるエーデュース。
「まったりとしていてコクがあり、香ばしさと甘さが舌の上で花開く‥‥…まるでお口の中が花畑だゾ!」
そして黒い石の食レポを始めるグリム。
石の何処からそんな味がするのだろうか。
この学園に寮長七人いるしみんなどうせオバブロしそうだから、一個位ウチが食べてもいいよね。
なんだか気になったため、機会があればぜひ食べてみたい。
「げー、やっぱりモンスターって俺達とは味覚が違うの?」
エースは感極まるグリムを見てドン引きした。
「…かもしれないな。というか……落ちている得体の知れないものを口に入れること自体殆どの人間はやらない。」
そして先程までの心配は何処へ行ったのか、デュースはグリムに対して呆れ果てていた。
「案外モンスターの胃は石でも溶かせるようになってるかもよ。」
ウチがそう言えば、「確かに」とエーデュースは変に納得していた。
「ほら~!さっさと帰るぞ~!」
石を食べたグリムは、軽い足取りで見えてきた闇の鏡に走っていく。
エースはウチをおぶっているため追いかけようとはしなかった。そしてデュースも疲れているからか、はたまた取り越し苦労もとい取り越し心配をしたからか、追いかける気はないようだ。
「……上機嫌だな」
「…だな。まぁ、とにかく…学園長に魔法石を届けに行こう。」
げっそりとしたデュースの顔が何とも悲壮感に溢れていて、少し可哀そうなくらいだ。
「…ま、届けれたら晴れて一年生に舞い戻れるんだからさ!」
そう言ってやれば、少しデュースの表情が和らいだ気がした。
*****
闇の鏡を潜り抜け、視界に広がるのは懐かしの鏡の間。
そしてその鏡の間には学園長が…。
「学園長~!魔法石を取ってきたんだゾ!」
「怪我はありませんかッッ!!!!?」
魔法石を手に持って近づくグリムを通り越し、何故かウチの方へと駆け寄る学園長。
まずはウチらの成果を見てほしいのだが…。
ふと、ウチはとある事を思い出す。
そう言えば、学園長が口酸っぱく「怪我するなって」って言ってた気が…。
「な、な、なんですかこの怪我は!!!!!!」
エースの背中にいるウチを見て、大声を上げる学園長。
原作の学園長がこんなに過保護だった気はしないが、今の学園長は恐ろしい程の過保護だったのを忘れてた…!
「あぁ…なんて可哀そうなんでしょう…!一先ず学園長室へ…!!」
これ以上移動するの?!
ウチは良いとして、エースもデュースも疲労困憊だろうに…。
「ごめん、やっぱ降りるよ。」
「ダメ、ナマエは動くな。」
しかし、エースは頑なにウチを降ろそうとはしない。
もしかしなくてもエースって優しい奴かも…。
慌ただしく鏡の間を出ていく学園長の後へと四人で付いていく。
*****
「さぁ、此方にナマエさんを!」
学園長室に通されたウチ達一行。
学園長室のまさかの学園長の座る椅子へと降ろされたウチは、学園長に傷口を見せる。
「なんてっ…!」
何故か悲しみながらウチの膝にある血をハンカチで拭く学園長。
「あの…、それじゃあハンカチがダメになって…!」
「いえ、大丈夫です!それより貴方は自分の心配をして下さい!」
怒られた。
今日は無理をし過ぎてしまったのだろうか。
いや、半分はオクタのヤクザに無理矢理仕事されられたせいなので無理はしていない。
「…学園長、背中にも傷があるので見てやってくれませんか?」
ウチの傷口に目を逸らしながらデュースが口を開く。
そしてそうデュースが言ったことにより、学園長の目が厳しく光った。
「貴方がたは、何をしていたんですか…?」
ギロリと学園長に睨まれ、三人は肩をびくりと震わせた。
「違います!あの、この怪我は転んだのと…お、大きな魔物がいたせいなんです!!」
流石に助けてくれた三人のせいにされては堪ったものじゃない。
ウチが抗議の声を上げると、三人がキラキラとした瞳をウチに向けてくる。
「魔物…?」
学園長はウチの言葉に、反応した。
「はい。大きな魔物です。」
ウチは魔法石を手に入れた経緯について一から学園長に説明した。
ドワーフ鉱山に出た魔物の事。
皆で協力して戦ったこと。
そして、お望みの魔法石まで手に入れた事。
学園長は原作同様、グリムの手に握られている魔法石を見て驚いていた。
「まさか本当に魔法石を持って帰ってくるなんて思っていませんでした…。粛々と退学手続きを行っていましたよ。」
「酷い!」と声を上げる三人を無視し、学園長は更に言葉を続ける。
「そして炭鉱に住み着いた謎のモンスター。それを4人で協力して倒し、魔法石を手に入れて学園に戻ってきたと?」
そうなんです!、と頷くウチとグリムを他所に、デュースとエースは恥ずかしそうに項を掻いた。
そしてそんな時だった。
「お……おお……おぉ……!!!お~~ん!!」
学園長が泣いた。
「何だ、コイツ!いい大人が突然泣き出したんだゾ!?」
いきなりの学園長の号泣で引き気味の一同。
グリムに至ってははっきり言い過ぎだ。
しかも目の前で泣かれたウチはどうしたらいいのか分からず、視線でエーデュースに助けを求めるが、目を逸らされた。
くそっ、意気地なしめ…。
「この私が学園長を務めて早云十年、……ナイトレイブンカレッジ生同士が手と手を取り合って敵に立ち向かい、打ち勝つ日がくるなんて!」
涙声でそう語る学園長に、エーデュースが「とんでもない!」と抗議する。
「んなっ!俺はこいつと手なんか繋いでません!!」
「俺だって嫌だよ、気持ち悪りぃな!!てか学園長、歳いくつ!?」
二人ともニュアンスが違うような気がする。
学園長はシクシクと涙を流し、鼻を啜る。
此処で確か、ウチが監督生としてグリムと共にナイカレに入学!!…となる筈だった。
「しかし!!」
先程の涙声とは違う、はっきりとした学園長の声で一同背筋が伸びる鵜。
「ナマエさんが怪我をしたのはナンセンスです!!!」
論点はそこ?!
打って変わって説教をする教師となる学園長に動揺するウチ。
三人は何故か肩を落としているし。
「でも魔法石は持って帰ってきましたよ!それに三人が居なかったら、ウチきっと死んでました!!!」
ドヤと決め顔をしてみるが、学園長の表情は険しいまま。
しかも怒りの矛先がウチに向いた。
「だがら貴方を行かせたくなかったのです…!貴方は魔法が使えない…しかも女性なんですから!!」
何も言えなくなってしまった。
確かに。あんなに反対され、それを押し切って言った割には怪我だらけで帰ってきちゃったし。これは反論できない。
やらかしたという気持ちが頭を支配し、項垂れていると学園長が少し焦った。
「はぁ…、と、とにかく…背中の傷は寮で見ますから。今日の所は寮へ…。」
「って事は!!!グリムとエースとデュースは、許してくれるんですか!!!?」
勢いよく学園長へと近づくと、学園長は更に焦り始めた。
「ま、まぁ約束ですし…」
「本当ですか?!!ありがとうございます!!!!」
やった!これでエースとデュースはナイカレ生徒に戻れる!!
そう思って二人にグーサインをする。
そして二人も笑いながらグーサインを返してくれた。
嬉しかった。ここまで頑張った甲斐があった。
「おほんっ…、取り敢えずお二人は寮へ…。グリム君とナマエさんは私と共に寮へ帰りますよ。」
咳ばらいを一つし、学園長は二人の帰りを急かす。
「ふなぁ…、また明日から掃除かよ…。」
「そうだよ。ちゃんと休まないと廊下のモップ掛け出来ないよ。」
溜息をつくグリムを慰めてあげる。
このタイミングでグリムは生徒になれないが…。まぁ、何れはなるだろう!
何故か根拠のない自信を持った時だった。
エースが声を上げた。