第0章
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「はぁ…はぁ…、一体…どうしたんだ…。」
「くっそ…置いてくなって…。」
「ふ…ふなぁ…疲れたんだぞ…。」
背後から追ってきた三人の声。
しかしそれ以上にウチは目の前の小屋に意識を持っていかれた。
「お、なんか奥に家がある。」
ふとエースがウチの目線の先にある小屋を指さした。
そしてそんなエースの言葉にグリムもデュースも小屋へと視線を移す。
「本当だ。鉱山の事について、何か知っているかもしれない。早速聞き込みに……って、ナマエ?!」
デュースの声に構わず、ウチの体は小屋の方へと進んでいく。
頭の中では様々な感情がひしめき合い、この感情の正体が自分ではない"誰か"の物であるとさえ考えてしまう。
建付けの悪い、小さな木の扉を大きく開け放つ。
ぶわりと香る埃の匂いに息苦しさを感じる。
部屋の中は真っ暗で、外の森の方が明るいと感じてしまう程だった。
しかしその部屋の中で辛うじて判別できるのは、子供が使う様な小さな家具が七つあると言うことだけ。
「どうやら空き家みたいだな。荒れ放題だ」
デュースたちが入ってきたことによって、小屋の床が悲鳴を上げる。
「いち、に……7人!多っ!」
「ドワーフ鉱山が栄えていた頃はさぞ賑やかな家だったんだろうな。」
「七人の小人…」
無意識に、そう呟いた。
刹那。
「…!」
「ど、どうしたんだゾ?!」
グリムの焦った声が足元で聞こえる。
そんなグリムの声に後ろにいたエースとデュースが駆け寄ってくるのを感じた。
「って、おまっ…!」
「な、何があったんだ?!」
心配そうな三人の声にウチは首を傾げる。
どうしたんだろう。どうしてそんなに焦っているのだろうか。
「何で泣いてるんだゾ…?」
グリムのその一言で、ようやく自分が泣いていることに気付いた。
「お…おかしいな…。」
おかしな感覚だ。
頬を伝う液体は確かに自分の物だと分かる。
しかし、その原因である感情は自分の物ではない、そう確信するほど異質なものだった。
「どうして…、どうして泣いてるの…?」
自分の中にいる"誰か"に問いかける様に呟くが、その"誰か"は答えてはくれなかった。
だが、返事代わりとでも言うように、ぴたりと涙が止まった。
「大丈夫か?何処か具合でも悪いのか…?」
「…ううん。もう大丈夫です…。」
デュース達の労わりの視線を感じながら、ウチは濡れた眼を拭う。
朧気だった視界が鮮明になった。
「…行こう。鉱山に…。」
一呼吸空け、そう言うとエースが「でも…」と言い淀んだ。
そんなエースに同調するようにグリムもデュースも首を横に振った。
「心配しなくても…もう大丈夫です!」
それに此処に居たってシャンデリアは戻らない。
ウチらは鉱山に向かわなければ。
安心させようと不器用ながらに笑って見せると、三人の表情が幾分明るくなった。
「てか、その敬語…いい加減辞めね?」
「…ん?」
エースが照れ臭そうにうなじを掻いた。
そんなエースとは逆にデュースは、瞳をキラキラと輝かせた。
「おお!確かにそうだな!そっちの方がマブッぽいしな!!」
「確かに…。エースとデュースに敬語を使う子分なんて変なんダゾ…。」
「それどーゆー意味だよ?!」
再び三人が言い争いを始める。
もし今が原作通りだったならば、ウチはこの三人を止めなければいけない。
だが、大丈夫だろう。
「早く魔法石探さねーと、お前大魔法士様とやらになれないぜ?」
「ふな"っ?!それはやべーんだゾ!…そう言うお前らも退学になっちまうんだゾ。」
「うおっ?!完全に忘れてた!」
何だかんだで、仲良くなったみたいだ。
ふうむ、何ならウチが付いてこなくても三人で魔法石取ってこれたんじゃない?
「で?アンタの返事は?」
感慨にふけっていると、エースが問いかける。
そしてデュース、グリムもウチの方へと注目した。
一瞬、何を問いかけられているのか分からなくなった。
だが思いのほかエースの問いかけをすぐに思い出せたのと、その問いへの答えが自分の中で既に決まっていたのとで、ウチは躊躇うことなく口を開ける。
「確かに、友達のわりには堅苦しい喋り方だね。」
刹那、三人が互いに顔を合わせて笑った。
先程まで喧嘩していたというのに…。
「僕はデュース。デュース・スペード。よろしく、ナマエ!」
「改めまして…」と付け加え、デュースが正式に名乗った。
知っています、とは流石に返せない。
「よろしく、デュース。」
本日二度目となるデュースとの握手を交わす。
「自己紹介も終わったし、そろそろ鉱山に向かうぞー。」
先を歩き出したエースとグリムを、デュースと共に追いかける。
このまま何事もなく魔法石をゲットできればいいのだが。
そう考えるウチの胸中には、泣いていた"誰か"が引っ掛かったままだ。
そしてそれと同時に思い浮かぶ、童話のプリンセスの事も…。
「くっそ…置いてくなって…。」
「ふ…ふなぁ…疲れたんだぞ…。」
背後から追ってきた三人の声。
しかしそれ以上にウチは目の前の小屋に意識を持っていかれた。
「お、なんか奥に家がある。」
ふとエースがウチの目線の先にある小屋を指さした。
そしてそんなエースの言葉にグリムもデュースも小屋へと視線を移す。
「本当だ。鉱山の事について、何か知っているかもしれない。早速聞き込みに……って、ナマエ?!」
デュースの声に構わず、ウチの体は小屋の方へと進んでいく。
頭の中では様々な感情がひしめき合い、この感情の正体が自分ではない"誰か"の物であるとさえ考えてしまう。
建付けの悪い、小さな木の扉を大きく開け放つ。
ぶわりと香る埃の匂いに息苦しさを感じる。
部屋の中は真っ暗で、外の森の方が明るいと感じてしまう程だった。
しかしその部屋の中で辛うじて判別できるのは、子供が使う様な小さな家具が七つあると言うことだけ。
「どうやら空き家みたいだな。荒れ放題だ」
デュースたちが入ってきたことによって、小屋の床が悲鳴を上げる。
「いち、に……7人!多っ!」
「ドワーフ鉱山が栄えていた頃はさぞ賑やかな家だったんだろうな。」
「七人の小人…」
無意識に、そう呟いた。
刹那。
「…!」
「ど、どうしたんだゾ?!」
グリムの焦った声が足元で聞こえる。
そんなグリムの声に後ろにいたエースとデュースが駆け寄ってくるのを感じた。
「って、おまっ…!」
「な、何があったんだ?!」
心配そうな三人の声にウチは首を傾げる。
どうしたんだろう。どうしてそんなに焦っているのだろうか。
「何で泣いてるんだゾ…?」
グリムのその一言で、ようやく自分が泣いていることに気付いた。
「お…おかしいな…。」
おかしな感覚だ。
頬を伝う液体は確かに自分の物だと分かる。
しかし、その原因である感情は自分の物ではない、そう確信するほど異質なものだった。
「どうして…、どうして泣いてるの…?」
自分の中にいる"誰か"に問いかける様に呟くが、その"誰か"は答えてはくれなかった。
だが、返事代わりとでも言うように、ぴたりと涙が止まった。
「大丈夫か?何処か具合でも悪いのか…?」
「…ううん。もう大丈夫です…。」
デュース達の労わりの視線を感じながら、ウチは濡れた眼を拭う。
朧気だった視界が鮮明になった。
「…行こう。鉱山に…。」
一呼吸空け、そう言うとエースが「でも…」と言い淀んだ。
そんなエースに同調するようにグリムもデュースも首を横に振った。
「心配しなくても…もう大丈夫です!」
それに此処に居たってシャンデリアは戻らない。
ウチらは鉱山に向かわなければ。
安心させようと不器用ながらに笑って見せると、三人の表情が幾分明るくなった。
「てか、その敬語…いい加減辞めね?」
「…ん?」
エースが照れ臭そうにうなじを掻いた。
そんなエースとは逆にデュースは、瞳をキラキラと輝かせた。
「おお!確かにそうだな!そっちの方がマブッぽいしな!!」
「確かに…。エースとデュースに敬語を使う子分なんて変なんダゾ…。」
「それどーゆー意味だよ?!」
再び三人が言い争いを始める。
もし今が原作通りだったならば、ウチはこの三人を止めなければいけない。
だが、大丈夫だろう。
「早く魔法石探さねーと、お前大魔法士様とやらになれないぜ?」
「ふな"っ?!それはやべーんだゾ!…そう言うお前らも退学になっちまうんだゾ。」
「うおっ?!完全に忘れてた!」
何だかんだで、仲良くなったみたいだ。
ふうむ、何ならウチが付いてこなくても三人で魔法石取ってこれたんじゃない?
「で?アンタの返事は?」
感慨にふけっていると、エースが問いかける。
そしてデュース、グリムもウチの方へと注目した。
一瞬、何を問いかけられているのか分からなくなった。
だが思いのほかエースの問いかけをすぐに思い出せたのと、その問いへの答えが自分の中で既に決まっていたのとで、ウチは躊躇うことなく口を開ける。
「確かに、友達のわりには堅苦しい喋り方だね。」
刹那、三人が互いに顔を合わせて笑った。
先程まで喧嘩していたというのに…。
「僕はデュース。デュース・スペード。よろしく、ナマエ!」
「改めまして…」と付け加え、デュースが正式に名乗った。
知っています、とは流石に返せない。
「よろしく、デュース。」
本日二度目となるデュースとの握手を交わす。
「自己紹介も終わったし、そろそろ鉱山に向かうぞー。」
先を歩き出したエースとグリムを、デュースと共に追いかける。
このまま何事もなく魔法石をゲットできればいいのだが。
そう考えるウチの胸中には、泣いていた"誰か"が引っ掛かったままだ。
そしてそれと同時に思い浮かぶ、童話のプリンセスの事も…。