第0章
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学園長は大きくため息を吐く。
その様子にグリム、エース、デュース、ウチが固唾を飲んだ。
「全く……いいでしょう!では一晩だけ待って差しあげます。明日の朝までに魔法石を持って帰ってこられなければそこの二人は即退学です。いいですね?」
「それって…!」
エース、デュースの顔をがぱぁっと明るいものに変わる。
「「「ありがとうございます!!」」」
ウチは、エースとデュースと共にお礼を告げる。
そしてグリムはウチの腕の中で「やったー!」と飛び上がった。
何故かは分からないが、原作以上に鉱山へ行くことを了承しない学園長に苦戦したが…。
何はともあれ、後はドワーフ鉱山へ行くのみ。
喜ぶウチ達の傍で、学園長は肩をがっくりと擡げている。
そんな学園長に良心が痛む。
少し我が儘を言い過ぎた気もするがしょうがない。ここでエースたちに退学にはなってほしくないし…。
「はぁぁぁ………ドワーフ鉱山までは鏡の間の扉を使って利用すれば到着できるでしょう…。早く帰ってきてくださいねっ!」
「秒で行って帰ってきます!」
グリムを廊下に降ろし、ウチは鏡の間へと走り出した。
それに付いてくる小さな足音は、ご機嫌そうである。
「あ、おい!待てよ!」
「鏡の間の場所、分かるのか!?」
残った二人もすぐに追いかけて来ているのが背中越しに分かった。
そう来なくっちゃ。
ウチは更にスピードを上げ、鏡の間へと急ぐのだった。
*****
バァン!
鏡の間の扉を大きく開け放つ。
中には昨日のまんまの大きな鏡と不気味な空間。
「さっさと攻略して寝よう…。」
そう呟き、闇の鏡に手を伸ばす。
正直、もう体力は限界なのだ。早く布団にくるまって寝たい…。
その時だった。
肩をグイッと誰かに引っ張られる。
振り返るとそこには緊張した面持ちのエースが。
しかし、目が合ったかと思うとウチの肩を掴んでいた手がすぐに離れた。
「あっ…、悪い…。アンタ…女子だったな…。」
神妙な面持ちを浮かべるエースにウチは勿論、グリムとデュースまで困惑した。
流れ出したシリアスな空気に押しつぶされそうになりながら、ウチはエースを見続けた。
何度か息を吐き終え、エースがゆっくりと口を開ける。
「お前…に、謝んないとって思って…。」
「…謝る?」
エースの言葉にウチは首を傾げた。
別に謝ってもらう事はないんだけどな。
あ、もしかして朝の事とかかな?
「俺、アンタが無才で…なのにこの学園に居させて貰えてる事が許せなくて…。」
「…え…。」
「でも…、アンタは本当に巻き込まれただけだったんだな…。そんな事も知らずに、悪い事して…ごめん。」
気まずそうに此方を見つめるエースに、ウチは雷に打たれたかのような心地になった。
考えてもみなかった。
こういうのがエースの性格だろうと、深く考えず朝の彼と過ごしていた。だが、エースにもエースなりの心境があったんだ。
ヴィランだから…、なんてものは関係ない。
「許してやってはくれないだろうか…。」
呆然とするウチの目の前に、デュースが現れる。
思いもよらぬ人物の仲介にエースもウチも目を丸くした。
「実は…、エースは謝罪がしたくて君を探し回っていたらしいんだ…。」
やれやれと頭を抱えるデュースの横で、思い出したように「あっ」とエースが声を上げた。
「そうなんだよ!そんでどっかの狸に邪魔されて、それで…!」
「ふなっ!!?俺様は悪くないんだぞ!!もとはと言えばデュースの奴が魔法を使ってきたから…!」
「ちょっと待て!先にグリムが僕の杖を燃やそうとするからだ!」
先程の重い空気は何処へやら。
ギャーギャーと喧嘩を始める三人に思わずため息が出る。
しかし、こうも気持ちが暖かくなるのは何故だろうか…。
「…ふはっ!」
笑いを耐えきれず思わず吹き出してしまうウチ。
そんなウチを見る三人の動作が一致した事で、ウチの笑いは益々大きい物へと変わった。
「お…おいおい…、笑い過ぎじゃ…。」
エースの焦った声が聞こえる。
「ふっ…はぁっ…!あぁー、面白かった!」
「一体何にツボッたんだ…?」
デュースが戸惑ったような声を上げた。
それに続いて困惑した表情を受かべる三人は、互いに顔を見合わせる。
その様子に再び笑いそうになるのを堪え、ウチはコホンと一つ咳払いをした。
「えー…と、正直に話すとウチはあんまり気にしてないです。確かにいきなり喧嘩売られてびっくりしたけど…。」
ウチの言葉にエースが早々に肩を落とした。
おいおい…、話は最後まで聞きなさいよ…。
「でも、謝ってくれて嬉しいです。ありがとうございます!」
エースって意外と良い奴なのかも。
割と失礼なことを考えながら、ウチはエースへと右手を差し出した。
「改めまして…、ウチはナマエ・ミョウジ。オンボロ寮の掃除係です!」
ほら…、友情の握手ってやつ!
ウチが差し出した手を見て、エースが明るい顔へと変わる。
しかし、ウチの手を握ったのはエースではなく…。
「おお!ってことはこれから俺たちはダチ同士って事だな!!」
キラキラと瞳を輝かせているデュースだった。
しかも優等生キャラは捨てたようだ。
「おいっ!何でお前が!っていうか、お前そんなキャラだっけ?」
硬くウチの手を握るデュースにエースが横から文句を言う。
「ダチに隠し事は無しだ!」
キラキラと瞳こそ輝いているが、何処かヤンキーを彷彿とさせる笑みは優等生とはかけ離れている。
ん?
なんだか展開が早いような気がする…。
本来ならば鉱山へ帰ってくる際に和解する…という流れだったような…。
言い争うエーデュースをグリムと共に眺めた。
しかし、どうやら決着はついたようだ。それもデュースによって強引に。
「ぶつぶつ言っている暇はない。行くぞ!闇の鏡よ!僕たちをドワーフ鉱山へ導きたまえ!」
「って、なんで俺が悪いみたいなことになってんの?!」
エースの言葉と同時に、まぶしい光がウチの視界を奪った。
*****
次に目を開けた時には、暗くじめっとした森が視界に広がった。
色濃く香る木々の匂いと、月明かりさえ届かない暗闇。
「ここがドワーフ鉱山……。
一昔前に魔法石の発掘で栄えたらしいが……」
デュースの言葉の先は言わずとも。
思った以上に荒廃している鉱山の景色に、エーデュース…そしてグリムは震えている。
「うぅ……なんか出そうなんだゾ……」
てちてちとグリムがウチの足へとしがみつく。
しかし、そんなグリムの様子を気にしてやるよりも、ウチは言い表しようのない"違和感"を感じた。
何処か懐かしいようで…、そして心臓をぐしゃりと潰されそうになるほどの悲しみ。
「ナマエ…?」
エースの呼びかけさえ頭に入らない。
いや、聞こえてはいるのにそれに反応できない。
自分でもどうしたいのか、どう考えているのか分からないまま、足が動き出した。
「お、おい、ナマエ!」
焦ったエースの声。
そしてウチに付いてきているであろう二人と一匹の足音。
そんな三人の事は構わず、ウチはどんどん森の奥へと進む。
何故かは分からない。
草木を分け、枝を避け、どんどん進むペースを上げる。
知っている。
ウチはこの道を知っている。
絶対にありえない筈なのに。
「あっ!ナマエ!」
とうとうウチは走り出した。
後ろから制止の声を上げるエースを無視して。
湧き上がってくる感情がウチを突き動かした。
この先に一体何が…。
ふと、ウチの足が止まった。
ある、小さな小屋の前で…。
その様子にグリム、エース、デュース、ウチが固唾を飲んだ。
「全く……いいでしょう!では一晩だけ待って差しあげます。明日の朝までに魔法石を持って帰ってこられなければそこの二人は即退学です。いいですね?」
「それって…!」
エース、デュースの顔をがぱぁっと明るいものに変わる。
「「「ありがとうございます!!」」」
ウチは、エースとデュースと共にお礼を告げる。
そしてグリムはウチの腕の中で「やったー!」と飛び上がった。
何故かは分からないが、原作以上に鉱山へ行くことを了承しない学園長に苦戦したが…。
何はともあれ、後はドワーフ鉱山へ行くのみ。
喜ぶウチ達の傍で、学園長は肩をがっくりと擡げている。
そんな学園長に良心が痛む。
少し我が儘を言い過ぎた気もするがしょうがない。ここでエースたちに退学にはなってほしくないし…。
「はぁぁぁ………ドワーフ鉱山までは鏡の間の扉を使って利用すれば到着できるでしょう…。早く帰ってきてくださいねっ!」
「秒で行って帰ってきます!」
グリムを廊下に降ろし、ウチは鏡の間へと走り出した。
それに付いてくる小さな足音は、ご機嫌そうである。
「あ、おい!待てよ!」
「鏡の間の場所、分かるのか!?」
残った二人もすぐに追いかけて来ているのが背中越しに分かった。
そう来なくっちゃ。
ウチは更にスピードを上げ、鏡の間へと急ぐのだった。
*****
バァン!
鏡の間の扉を大きく開け放つ。
中には昨日のまんまの大きな鏡と不気味な空間。
「さっさと攻略して寝よう…。」
そう呟き、闇の鏡に手を伸ばす。
正直、もう体力は限界なのだ。早く布団にくるまって寝たい…。
その時だった。
肩をグイッと誰かに引っ張られる。
振り返るとそこには緊張した面持ちのエースが。
しかし、目が合ったかと思うとウチの肩を掴んでいた手がすぐに離れた。
「あっ…、悪い…。アンタ…女子だったな…。」
神妙な面持ちを浮かべるエースにウチは勿論、グリムとデュースまで困惑した。
流れ出したシリアスな空気に押しつぶされそうになりながら、ウチはエースを見続けた。
何度か息を吐き終え、エースがゆっくりと口を開ける。
「お前…に、謝んないとって思って…。」
「…謝る?」
エースの言葉にウチは首を傾げた。
別に謝ってもらう事はないんだけどな。
あ、もしかして朝の事とかかな?
「俺、アンタが無才で…なのにこの学園に居させて貰えてる事が許せなくて…。」
「…え…。」
「でも…、アンタは本当に巻き込まれただけだったんだな…。そんな事も知らずに、悪い事して…ごめん。」
気まずそうに此方を見つめるエースに、ウチは雷に打たれたかのような心地になった。
考えてもみなかった。
こういうのがエースの性格だろうと、深く考えず朝の彼と過ごしていた。だが、エースにもエースなりの心境があったんだ。
ヴィランだから…、なんてものは関係ない。
「許してやってはくれないだろうか…。」
呆然とするウチの目の前に、デュースが現れる。
思いもよらぬ人物の仲介にエースもウチも目を丸くした。
「実は…、エースは謝罪がしたくて君を探し回っていたらしいんだ…。」
やれやれと頭を抱えるデュースの横で、思い出したように「あっ」とエースが声を上げた。
「そうなんだよ!そんでどっかの狸に邪魔されて、それで…!」
「ふなっ!!?俺様は悪くないんだぞ!!もとはと言えばデュースの奴が魔法を使ってきたから…!」
「ちょっと待て!先にグリムが僕の杖を燃やそうとするからだ!」
先程の重い空気は何処へやら。
ギャーギャーと喧嘩を始める三人に思わずため息が出る。
しかし、こうも気持ちが暖かくなるのは何故だろうか…。
「…ふはっ!」
笑いを耐えきれず思わず吹き出してしまうウチ。
そんなウチを見る三人の動作が一致した事で、ウチの笑いは益々大きい物へと変わった。
「お…おいおい…、笑い過ぎじゃ…。」
エースの焦った声が聞こえる。
「ふっ…はぁっ…!あぁー、面白かった!」
「一体何にツボッたんだ…?」
デュースが戸惑ったような声を上げた。
それに続いて困惑した表情を受かべる三人は、互いに顔を見合わせる。
その様子に再び笑いそうになるのを堪え、ウチはコホンと一つ咳払いをした。
「えー…と、正直に話すとウチはあんまり気にしてないです。確かにいきなり喧嘩売られてびっくりしたけど…。」
ウチの言葉にエースが早々に肩を落とした。
おいおい…、話は最後まで聞きなさいよ…。
「でも、謝ってくれて嬉しいです。ありがとうございます!」
エースって意外と良い奴なのかも。
割と失礼なことを考えながら、ウチはエースへと右手を差し出した。
「改めまして…、ウチはナマエ・ミョウジ。オンボロ寮の掃除係です!」
ほら…、友情の握手ってやつ!
ウチが差し出した手を見て、エースが明るい顔へと変わる。
しかし、ウチの手を握ったのはエースではなく…。
「おお!ってことはこれから俺たちはダチ同士って事だな!!」
キラキラと瞳を輝かせているデュースだった。
しかも優等生キャラは捨てたようだ。
「おいっ!何でお前が!っていうか、お前そんなキャラだっけ?」
硬くウチの手を握るデュースにエースが横から文句を言う。
「ダチに隠し事は無しだ!」
キラキラと瞳こそ輝いているが、何処かヤンキーを彷彿とさせる笑みは優等生とはかけ離れている。
ん?
なんだか展開が早いような気がする…。
本来ならば鉱山へ帰ってくる際に和解する…という流れだったような…。
言い争うエーデュースをグリムと共に眺めた。
しかし、どうやら決着はついたようだ。それもデュースによって強引に。
「ぶつぶつ言っている暇はない。行くぞ!闇の鏡よ!僕たちをドワーフ鉱山へ導きたまえ!」
「って、なんで俺が悪いみたいなことになってんの?!」
エースの言葉と同時に、まぶしい光がウチの視界を奪った。
*****
次に目を開けた時には、暗くじめっとした森が視界に広がった。
色濃く香る木々の匂いと、月明かりさえ届かない暗闇。
「ここがドワーフ鉱山……。
一昔前に魔法石の発掘で栄えたらしいが……」
デュースの言葉の先は言わずとも。
思った以上に荒廃している鉱山の景色に、エーデュース…そしてグリムは震えている。
「うぅ……なんか出そうなんだゾ……」
てちてちとグリムがウチの足へとしがみつく。
しかし、そんなグリムの様子を気にしてやるよりも、ウチは言い表しようのない"違和感"を感じた。
何処か懐かしいようで…、そして心臓をぐしゃりと潰されそうになるほどの悲しみ。
「ナマエ…?」
エースの呼びかけさえ頭に入らない。
いや、聞こえてはいるのにそれに反応できない。
自分でもどうしたいのか、どう考えているのか分からないまま、足が動き出した。
「お、おい、ナマエ!」
焦ったエースの声。
そしてウチに付いてきているであろう二人と一匹の足音。
そんな三人の事は構わず、ウチはどんどん森の奥へと進む。
何故かは分からない。
草木を分け、枝を避け、どんどん進むペースを上げる。
知っている。
ウチはこの道を知っている。
絶対にありえない筈なのに。
「あっ!ナマエ!」
とうとうウチは走り出した。
後ろから制止の声を上げるエースを無視して。
湧き上がってくる感情がウチを突き動かした。
この先に一体何が…。
ふと、ウチの足が止まった。
ある、小さな小屋の前で…。