season1
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ナマエにとって"人間の"監視を掻い潜るのは朝飯前だった。
人間は視覚は優れているが、それ以外はどうって事ないからだ。
ナマエが監視の目を避け手持ち無沙汰にしていると、ノエルとカロンがやってきた。
どちらとも表情は疲れを色濃く表している。
『おー!意外に早かったね』
そんな二人に元気よく手を振るナマエ。
「なんとか抜ける事が出来ましたわ。このまま何事もなければいいのですが…」
「こっちは何もなくても精神がすり減っていくぞ……。」
精神すり減るってどう言う動き方したんだ?!!
ナマエはそう疑問に思いながら、先を進むノエルの後ろへ着いていく。
その時…。
「あっ!?」
「!?何者だ!?」
どうやら見つかってしまったようだ。
制服を着た警備員が仲間を呼ぶと2、3人が姿を現す。
ナマエはすかさずノエルの前に出て、警備員に蹴りを入れた。
「ぐぁっ?!!」
『見つかったか…』
地面に転がる警備員を見る事なく、ナマエは残りの警備員の数を数え始める。
「…チッ…無用心にフラフラするからこうなる!
あの人数なら、騒ぎになる前にどうにか出来るか…?」
『俺も手伝うよ』
魔方陣から愛用の鎌を取り出し警備員に向かい走り出す。
そしてもう一つ小さな魔法陣を出せば、そこから鴉が顔を出した。
「ジマー、ソイツの始末とノエルを宜しくっ!」
ザシュッ ザシュッ
言葉とともに、警備員へと鎌を振り下ろす。
大きく真っ黒な鎌を軽々と振り上げ、下ろすナマエ。
決して逞しくないナマエの腕からは、到底出ているとは思えない力。
そんなナマエの姿を黒い羽毛越しに見て、改めてナマエが魔人である事を実感するノエル。
警備員たちが倒れるのに時間はかからなかった。
ナマエとカロンが二人で処理したからなのか、所業が人間の為せるところではない。
二人は何食わぬ顔でノエルの元に向かった。
「さすがですわ2人とも。人間相手なら余裕ですわね!」
そんな二人に感嘆の声を漏らすノエル。
このまま行けば、簡単に市長官邸に潜り込んで帰って来られるかもしれない。
そういった希望が生まれたようだ。
『沢山相手して来たからね~』
そんなノエルの意図を察してもなお、ナマエは余裕のある笑顔で答える。
が、カロンは違った。
「……余裕かもしれないが無敵ではないぞ。もともと私は戦闘タイプではないし、無傷というわけにはいかん。
人間ごときに力負けすることはないがそれでも戦いを重ねればダメージも重なって行くだろう。」
ノエルにこれ以上軽はずみな行動を取らせないよう、カロンが灸を据える。
「…じゃあ意外に弱いんですのね。ちょっとガッカリですわ。」
「…お前にだけは言われたくない…たてにはなってやるが専門じゃないから期待しすぎるな」
カロンの思惑などそっちのけで、ノエルはカロンを煽る。
しかし、人間でましてや少女であるノエルの煽りにカロンが反応することはなかった。
いつもの煽り合戦が無くナマエは、肩を下げた。
「じゃあわたくしはナマエに期待しますわ」
ふいなノエルの言葉に、下がっていたナマエの肩がぴくりと小さく跳ね上がった。
「お…俺?」
自分の存在はほぼほぼ無いもののように立ち回っていたからか、ノエルの言葉に少し戸惑うナマエ。
「…確かに…。
カロンがたてなら俺は矛になるべきだよな!よし!俺頑張る!」
ぶつぶつと呟いた後、ナマエは小さなガッツポーズを決める。
勿論、彼女は小さくバレないようにやったつもりだが、2人にはバレバレだった。
「尊いですわ…」
「それな」
ノエルとカロンのそんな声さえも聞かず、決意を勝手に1人で固めたナマエは、背筋を伸ばした。
「よし!行こう二人共」
そしてずんずんと奥へと進んでいくのであった。
*****
暗い通路を進んで行くと、ようやく市長官邸の全貌が見えて来た。
ノエル一行は近くの物陰に隠れながら、様子を伺った。
「官邸がみえましたわね。ここまで来ればあと一歩ですわ。」
まるで余裕かのように一息つくノエル。
やっとのこと…と思い溜息を吐くカロン。
「よっしゃ!早くバロウズの顔面を…」
そして、憎き敵の潰れた顔面を想像し、アドレナリン放出しまくりのナマエ。
「一応聞いておくが、ここからどうやって建物の中に侵入する気だ?」
カロンの一言で、ふんすと鼻息を荒くしていたナマエも真面目にノエルへと向き直る。
「そんなの、てきとうに鍵のかかっていない窓か何かから忍び込むに決まってますわ。」
あまりにも考えなしのノエルに、カロンの眉間のシワがまたひとつ増える。
そして、文句の一つでも言ってやろうとした時。
「んーだったらさ、あの裏路地から建物の裏に回った方がいいんじゃないかな?」
瞬時にノエルの希望を叶えようと、視線を巡らせていたナマエが声を上げた。
ナマエが指差す方向には、建物と建物の間の道。
「確かにな、あそこなら行けそうだ」
「なるほど、ではさっそく行きましょう。」
納得する2人に気分が良くなったナマエ。
「よし!先頭は任せて!」
気分のままに大きな一歩を踏み出そうとした。
まさに踏み出した瞬間。
「……おいおい、バカか!ちょっと待て!!」
「うえっ!?」
進もうとしたナマエを、カロンがフードを掴むことで止めたのだ。
喉が若干締められた形になったナマエは、ヒキガエルのような声を上げる。
「な、何…!?」
カロンの謎行動に声を上げるナマエ。
ナマエの後に続いて出発しようとしていたノエルも首を傾げた。
「通路がサーチライトで照らされているのが見えないのか!照射範囲に踏み込んだら一発で大騒ぎだぞ!」
カロンの言葉に、2人揃って肝が冷えた。
「オーマイ…」
人間は視覚は優れているが、それ以外はどうって事ないからだ。
ナマエが監視の目を避け手持ち無沙汰にしていると、ノエルとカロンがやってきた。
どちらとも表情は疲れを色濃く表している。
『おー!意外に早かったね』
そんな二人に元気よく手を振るナマエ。
「なんとか抜ける事が出来ましたわ。このまま何事もなければいいのですが…」
「こっちは何もなくても精神がすり減っていくぞ……。」
精神すり減るってどう言う動き方したんだ?!!
ナマエはそう疑問に思いながら、先を進むノエルの後ろへ着いていく。
その時…。
「あっ!?」
「!?何者だ!?」
どうやら見つかってしまったようだ。
制服を着た警備員が仲間を呼ぶと2、3人が姿を現す。
ナマエはすかさずノエルの前に出て、警備員に蹴りを入れた。
「ぐぁっ?!!」
『見つかったか…』
地面に転がる警備員を見る事なく、ナマエは残りの警備員の数を数え始める。
「…チッ…無用心にフラフラするからこうなる!
あの人数なら、騒ぎになる前にどうにか出来るか…?」
『俺も手伝うよ』
魔方陣から愛用の鎌を取り出し警備員に向かい走り出す。
そしてもう一つ小さな魔法陣を出せば、そこから鴉が顔を出した。
「ジマー、ソイツの始末とノエルを宜しくっ!」
ザシュッ ザシュッ
言葉とともに、警備員へと鎌を振り下ろす。
大きく真っ黒な鎌を軽々と振り上げ、下ろすナマエ。
決して逞しくないナマエの腕からは、到底出ているとは思えない力。
そんなナマエの姿を黒い羽毛越しに見て、改めてナマエが魔人である事を実感するノエル。
警備員たちが倒れるのに時間はかからなかった。
ナマエとカロンが二人で処理したからなのか、所業が人間の為せるところではない。
二人は何食わぬ顔でノエルの元に向かった。
「さすがですわ2人とも。人間相手なら余裕ですわね!」
そんな二人に感嘆の声を漏らすノエル。
このまま行けば、簡単に市長官邸に潜り込んで帰って来られるかもしれない。
そういった希望が生まれたようだ。
『沢山相手して来たからね~』
そんなノエルの意図を察してもなお、ナマエは余裕のある笑顔で答える。
が、カロンは違った。
「……余裕かもしれないが無敵ではないぞ。もともと私は戦闘タイプではないし、無傷というわけにはいかん。
人間ごときに力負けすることはないがそれでも戦いを重ねればダメージも重なって行くだろう。」
ノエルにこれ以上軽はずみな行動を取らせないよう、カロンが灸を据える。
「…じゃあ意外に弱いんですのね。ちょっとガッカリですわ。」
「…お前にだけは言われたくない…たてにはなってやるが専門じゃないから期待しすぎるな」
カロンの思惑などそっちのけで、ノエルはカロンを煽る。
しかし、人間でましてや少女であるノエルの煽りにカロンが反応することはなかった。
いつもの煽り合戦が無くナマエは、肩を下げた。
「じゃあわたくしはナマエに期待しますわ」
ふいなノエルの言葉に、下がっていたナマエの肩がぴくりと小さく跳ね上がった。
「お…俺?」
自分の存在はほぼほぼ無いもののように立ち回っていたからか、ノエルの言葉に少し戸惑うナマエ。
「…確かに…。
カロンがたてなら俺は矛になるべきだよな!よし!俺頑張る!」
ぶつぶつと呟いた後、ナマエは小さなガッツポーズを決める。
勿論、彼女は小さくバレないようにやったつもりだが、2人にはバレバレだった。
「尊いですわ…」
「それな」
ノエルとカロンのそんな声さえも聞かず、決意を勝手に1人で固めたナマエは、背筋を伸ばした。
「よし!行こう二人共」
そしてずんずんと奥へと進んでいくのであった。
*****
暗い通路を進んで行くと、ようやく市長官邸の全貌が見えて来た。
ノエル一行は近くの物陰に隠れながら、様子を伺った。
「官邸がみえましたわね。ここまで来ればあと一歩ですわ。」
まるで余裕かのように一息つくノエル。
やっとのこと…と思い溜息を吐くカロン。
「よっしゃ!早くバロウズの顔面を…」
そして、憎き敵の潰れた顔面を想像し、アドレナリン放出しまくりのナマエ。
「一応聞いておくが、ここからどうやって建物の中に侵入する気だ?」
カロンの一言で、ふんすと鼻息を荒くしていたナマエも真面目にノエルへと向き直る。
「そんなの、てきとうに鍵のかかっていない窓か何かから忍び込むに決まってますわ。」
あまりにも考えなしのノエルに、カロンの眉間のシワがまたひとつ増える。
そして、文句の一つでも言ってやろうとした時。
「んーだったらさ、あの裏路地から建物の裏に回った方がいいんじゃないかな?」
瞬時にノエルの希望を叶えようと、視線を巡らせていたナマエが声を上げた。
ナマエが指差す方向には、建物と建物の間の道。
「確かにな、あそこなら行けそうだ」
「なるほど、ではさっそく行きましょう。」
納得する2人に気分が良くなったナマエ。
「よし!先頭は任せて!」
気分のままに大きな一歩を踏み出そうとした。
まさに踏み出した瞬間。
「……おいおい、バカか!ちょっと待て!!」
「うえっ!?」
進もうとしたナマエを、カロンがフードを掴むことで止めたのだ。
喉が若干締められた形になったナマエは、ヒキガエルのような声を上げる。
「な、何…!?」
カロンの謎行動に声を上げるナマエ。
ナマエの後に続いて出発しようとしていたノエルも首を傾げた。
「通路がサーチライトで照らされているのが見えないのか!照射範囲に踏み込んだら一発で大騒ぎだぞ!」
カロンの言葉に、2人揃って肝が冷えた。
「オーマイ…」
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