「いいだろう。だが、お前にとって辛い事実かもしれんぞ。教えてやるのはいいが、覚悟はしろ」

「……わ、分かりましたわ…」

悪魔さんの雰囲気がガラリと変わる。
あぁ…。




しかも話長いパティーンだ…。


そう、悟った俺はジマーから手を離す。


『まとめて、どういう事？』

「かあ！かぁかぁかぁ！」

なるほど…。
ジマーの言葉に俺は自身の顎に手を当てた。

つまり、ノエルはシビラに騙され、悪魔との契約がどう言うものか知らずに契約する。そして悪魔さんと契約し、そしてシビラ・ベッカーに利用された。


『悪魔との契約は代償があるって事、やっぱノエルは知らなかったんだね…でもノエルに「廃ビルに来い」って言ったバロウズが百怪しいじゃねぇか…。』

もう一度俺はジマーの体へと手を当てて記憶を探る。



「なぜあなたが此処にいるんですの？もうわたくしとの契約は終わったはず…」

「あぁ、終わった。ステラステージの社長を殺すという第1の契約はな…」

「第1の契約…？」

「お前はもう一つ願っただろう。助けてと」

確か…悪魔さんもさっき言ってたな。
「助けて」と言われたから助けた。義足のサービス付きでって…。



「………あ…………」

ノエルは心当たりがあるらしい。

「それが第2の願いだと判断し、お前を海から引き上げ、傷を塞ぎ、ここまで運んだ。その義足も、両足がなければ不利だと思い、サービスしてやった。感謝しろ。」

な…なるほど…。そう言うことね。
だから、ノエルが助かっているってことで、悪魔さんは本当に悪い人じゃないらしい。





悪魔を疑えって"ご主人様"が言ってたけど、あの悪魔さんは大丈夫そうだ。



「……………」

「感謝しろと言っている、ほれ」

「え………あ、ありがとうございます？」


うわぁ…ドS…。
いい悪魔なんろうけど、うわぁ…。ちょっと引いたわ…。


「うむ。」

ノエルが素直にお礼を言うと満足そうにする悪魔さん。
対してノエルは困惑…というか俺と同じく引いたような表情を浮かべている。

しかし、すぐさま首を振ると再び口を開けた。



「そういえばなんだかわたくしの服が新しくなってるような…」

「その服もサービスだ。海水漬けだったし血まみれたったからな…。なるべく似たような服を用意して着替えさせてやった。」


んん？
マジですか、悪魔さん。

ノエルは悪魔さんの言葉に徐々に頬を赤く染め上げる。


「そ、それはつまり…」




『……………』

自身の服を確認する。
よし、俺のは変わってないな。


「そ、それはつまり………みたということですの？」

「見た？」

「着替えさせたということは…見た…だけじゃなく…さ…触って……へ…ヘンタイですわ！！乙女の純潔をどうしてくれるんですの！」




『ぷっ！！』

ノエルの反応の良さに、思わず吹き出してしまった。

「…なんだそういうことか。安心しろ、悪魔は人間の裸体などこれっぽっちも興味はない。ましてや、お前の様なガキなど100年早いとはよく言ったもんだ。」

ノエルとは対称に悪魔さんはなんともないような顔をしている。
聖書では悪魔と人間が交わってるシーンとかありそうなのに…という疑問が浮かんだが…。

まぁ、悪魔の中でのロリコンの話だろう。


「うぅぅ…まるで悪魔ですわ…」

「悪魔だからな」


それよりノエルが純粋すぎて死にそうなんだが。
萌え。