🎼本編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
世間一般ではきっと、こーゆー状況でこんな風に現れてくれた人を、“正義の味方”って言うんだよね。
けれど、あたしの前に現れてくれた人は割と細身で……
てか、あたしより腰が細い?
あ、何だか敗北感……
「何だ…いきなり現れて……一体何のつもりだ!!」
矢野さんが怒鳴る声に、ビビるあたしとは反対に細長い人は強い物言いで返す。
「彼女を傷つけられるのは困る、ということですぞ。トマゾの将来を担うかも知れない女性ですからな!」
『(トマゾ…?)』
多分、今のあたしは矢野さんと同じくらいこの人の言ってることを理解できてない。
だけどとりあえず、傘に入れてくれてるゴスロリの女の子には感謝。
あ、でもダメだ……くしゃみ、出る…!
『……くしゅんっ、』
「大変だ、早く暖かい所へお連れしなくては……ルンガ、頼むぞ。」
細長い人の視線を辿ると、あたしの左隣に立つ小さい男の子が頷いて。
同時に、右隣のゴスロリ女の子があたしに耳栓を差し出す。
『……付ける、の?』
聞き返すと、無言で頷かれた。
うーん…仕方ない。
色々疑問はあるけど、正義の味方っぽいこの人達を信じてみよう。
受け取った耳栓をキュッと付けた。
すると、次の瞬間…
ウィィィィィィィィン…
『(うわ…!何、この嫌な音…!)』
耳栓越しでも軽く不快感を覚えるような音が、男の子のスピーカーから聞こえてくる。
これ、直接聞いたらかなりヤバいんだろうな…
「うっ……や、やめろぉぉぉ!!」
実際、矢野さんは膝をついて耳を塞いでた。
音楽に携わってる人間なら、耳は特にデリケートになってる。
この音……本当に鼓膜に悪影響だよ……。
「さ、今のうちに。」
『へ?あ、はいっ…』
ぶっちゃけ、この人達が誰なのかも分からないし、目的も分からない。
だけど、矢野さんみたいに「指を取る」とは言わないだろうな……とは思った。
---
------
-------------
同じ頃、7号館。
「あっ、沢田殿!」
「ん?」
書斎から出て来たツナを、ちょうど廊下を歩いていたバジルが呼びとめた。
「どうかした?バジル。」
「柚子殿はまだ帰ってませんか?見当たらないのですが…」
「柚子?そー言えば…」
携帯を開いて確認する。
柚子からのメールが来たのは1時間以上前だ。
“あと1時間で終わらせる”ってあるけど……まだ終わってないのか…?
「ごめんバジル、柚子のヤツ、まだレポート終わってないみたいだ。」
「あ、そうでしたか…ありがとうございます。」
「俺で良ければ聞くけど。」
「実は、新しい塩が見つからないんです。こないだ買い置きしておいたとは聞いてるのですが…」
「そっか……じゃあ俺、探すの手伝うよ。」
「すみません、ありがとうございます。」
----
---------
2人で探したら、それほど時間はかからないうちに見つかった。
けど、その間も柚子が帰って来た気配はなくて。
「(何か……嫌な予感、するな…)」
いくら俺に超直感があると言っても、それは千里眼じゃない。
離れた場所にいる柚子がレポートをやってるのか、何か他のことをしてるのか正確に分かるハズもなく。
「メールしとくか…」
“遅い”とだけ打って、送信した。
---
-------
---------------
『……くしゅっ、』
「もしや、風邪を引かれましたかな?」
『分かりませんけど……寒気が……くしゅんっ!』
男の子が耳に悪い音で矢野さんをダウンさせ、あたしはそのまま3人に導かれリムジンに乗せられた。
いざとなったら携帯あるし、それに……
ちらりと隣のゴスロリ女の子を見る。
前髪で表情は見えないしずっと無言だけど、でも…
傘に入れてくれたし、
今あたしを包んでるタオルだってこの子が差し出してくれた。
少なくともこの子は良い子なんじゃないか……そう、思ったのだ。
『(にしても…だるい……)』
雨の中を走り回ったからか、少しずつ頭が痛くなってきた。
ヤバい……
やっぱり体冷えちゃったかな…?
「着きましたぞ。」
『へ?あの……ココは?』
「我らトマゾファミリーの日本支部であり、内藤邸です!」
『内藤…?』
てゆーか…え?
今この人、ファミリーって…
『って…わわっ、』
ゴスロリの女の子があたしの手を引く。
改めて見上げると、結構大きな屋敷……
けど7号館からも大学からも見たこと無いから、随分遠い場所にあるんだろうな…。
「ロンシャン君、ただいま帰りましたぞ!」
何故か細長い人はチャイムを押さずに扉を叩く。
ロンシャン君って…外人?
すると、扉の向こうからご近所迷惑になりそうな大きな返事。
「待ってよマングスタ!今ちょっと掃除機かけるから!!」
「掃除機は後で構いません!早く開けないと我々がもっと冷えてしまう!!」
「あ、そっか!じゃあ開けるね!!」
インターホン使えばいいのに、扉越しに大声で会話してる。
何なんだろ、使い方知らないのかな…?
ガチャ、
「おかえり!マイファミリー!!」
「ロンシャン君、彼女を中に。」
「オッケーオッケー!はい、どーぞいらっしゃい!」
『お、おじゃましまs……きゃあっ!』
気を抜いたらつまづきそうなくらい、赤い髪の彼は早足であたしを引っ張り、奥のソファに座らせる。
「こんちこんちー!初めまして!!」
『初めまして…』
「俺、トマゾファミリー8代目の内藤ロンシャン!君が沢田ちゃんの柚子ちゃんね!!宜しく!!」
『はぁ…宜しくお願いしま……って、ち、違います!!///』
い、今この人…“沢田ちゃんの柚子ちゃん”って…!
「え?違うの?だってマングスタが…」
「ロンシャン君!!ちょっとこちらへ…」
マングスタ…?
あ、あの細長い人、マングスタっていうんだ。
何やらヒソヒソ話してる。
もしかして…ボンゴレの同盟ファミリーなのかな?
だとしたら、婚約者と言われてるあたしを保護してくれたのは納得できるけど…
『……くしゅんっ、』
ダメだ……やっぱりちょっとフラフラして来た…
ゴスロリの女の子が、ヒソヒソ話をしてるマングスタさんと内藤さんの袖を引っ張ってるのが見える。
その光景が、グラグラして来て……
「ん?どったのパンテーラ…………柚子ちゃん!?」
「何と!」
パンテーラに袖を引かれたロンシャンとマングスタは、柚子がソファに横たわり意識を失っているのに気付く。
駆け寄りその額に手を当てれば、明らかに平熱ではない温度。
「た…大変ですぞロンシャン君!!」
「氷……氷だよね!!」
『けほっ…けほっけほっ、』
「柚子ちゃん!寒いの!?柚子ちゃん!!」
「こういう時は、頭寒足熱です!!」
「だよねだよね!!氷と布団だよね!!」
マングスタが氷、ロンシャンが掛け布団を用意し、パンテーラが服を出す。
「パンテーラ、後は任せましたぞ。」
マングスタの言葉に無言で頷き、リビングに柚子と2人きりになるパンテーラ。
男性陣が退室したのを確認した後、柚子の半乾きの服を脱がして替えの服を着せた。
---
------
-------------
何だろう…
あったかくて、ふかふかしてる……
あたし……どうしてたっけ?
うっすら開けた視界の端に、チカッと光る何か。
それは見慣れた点滅で、机の上に置かれた自分の携帯なのだと気付く。
あの点滅の色は……電話じゃない、メールだ…
『(もしかして……ツナさんかも…)』
1時間くらいで終わりますって返したのに…あれから何時間経ったのかな…
ダメだ……考え事すると頭痛い…
寝返り1つうてないまま、あたしはゆるりと睡魔に引きずられていく。
『(……早…く、)』
早く、帰らなくちゃいけないのに。
ツナさんが待ってるのに。
明るくて暗い話、今日帰ったら聞きますって言ったのに……。
何となく、手を握られてる感触がした。
けれど、その手がツナさんでないことも分かった。
分かったら、すごくすごく寂しくなって。
『ツナ、さん……』
今、あたしの手を握っているのが貴方なら、どんなに幸せなんだろう。
頭痛なんて、一気に吹き飛んじゃうんじゃないかな…
掠れるようにその名を呼んだ直後、朦朧としていた意識が途切れた。
---
------
----------------
「ただいまーっ!」
「あ、山本か……おかえり。」
「おっ、ツナ!どしたんだ?玄関で待ち伏せなんかして。」
バッティングセンターでの自主練から帰って来た山本は、少しだけ目を丸くする。
「あのさ、柚子見なかった?」
「柚子?いんや、見てねーけど…まだ帰ってねーのか?」
「そうなんだ……ったく、何処で何してんだか…」
何か嫌な予感すんだよな、と呟くツナ。
携帯を開いてみても、さっきのメールの返信は来ていない。
「(やっと話すって決めたってのに……柚子も聞いてくれるつってたのに…)」
行き場の無い焦燥感だけが、ツナの脳内を駆け巡っていた。
ヌーボー
新たな出会いは、あたしと貴方をまた引き離す
continue…
けれど、あたしの前に現れてくれた人は割と細身で……
てか、あたしより腰が細い?
あ、何だか敗北感……
「何だ…いきなり現れて……一体何のつもりだ!!」
矢野さんが怒鳴る声に、ビビるあたしとは反対に細長い人は強い物言いで返す。
「彼女を傷つけられるのは困る、ということですぞ。トマゾの将来を担うかも知れない女性ですからな!」
『(トマゾ…?)』
多分、今のあたしは矢野さんと同じくらいこの人の言ってることを理解できてない。
だけどとりあえず、傘に入れてくれてるゴスロリの女の子には感謝。
あ、でもダメだ……くしゃみ、出る…!
『……くしゅんっ、』
「大変だ、早く暖かい所へお連れしなくては……ルンガ、頼むぞ。」
細長い人の視線を辿ると、あたしの左隣に立つ小さい男の子が頷いて。
同時に、右隣のゴスロリ女の子があたしに耳栓を差し出す。
『……付ける、の?』
聞き返すと、無言で頷かれた。
うーん…仕方ない。
色々疑問はあるけど、正義の味方っぽいこの人達を信じてみよう。
受け取った耳栓をキュッと付けた。
すると、次の瞬間…
ウィィィィィィィィン…
『(うわ…!何、この嫌な音…!)』
耳栓越しでも軽く不快感を覚えるような音が、男の子のスピーカーから聞こえてくる。
これ、直接聞いたらかなりヤバいんだろうな…
「うっ……や、やめろぉぉぉ!!」
実際、矢野さんは膝をついて耳を塞いでた。
音楽に携わってる人間なら、耳は特にデリケートになってる。
この音……本当に鼓膜に悪影響だよ……。
「さ、今のうちに。」
『へ?あ、はいっ…』
ぶっちゃけ、この人達が誰なのかも分からないし、目的も分からない。
だけど、矢野さんみたいに「指を取る」とは言わないだろうな……とは思った。
---
------
-------------
同じ頃、7号館。
「あっ、沢田殿!」
「ん?」
書斎から出て来たツナを、ちょうど廊下を歩いていたバジルが呼びとめた。
「どうかした?バジル。」
「柚子殿はまだ帰ってませんか?見当たらないのですが…」
「柚子?そー言えば…」
携帯を開いて確認する。
柚子からのメールが来たのは1時間以上前だ。
“あと1時間で終わらせる”ってあるけど……まだ終わってないのか…?
「ごめんバジル、柚子のヤツ、まだレポート終わってないみたいだ。」
「あ、そうでしたか…ありがとうございます。」
「俺で良ければ聞くけど。」
「実は、新しい塩が見つからないんです。こないだ買い置きしておいたとは聞いてるのですが…」
「そっか……じゃあ俺、探すの手伝うよ。」
「すみません、ありがとうございます。」
----
---------
2人で探したら、それほど時間はかからないうちに見つかった。
けど、その間も柚子が帰って来た気配はなくて。
「(何か……嫌な予感、するな…)」
いくら俺に超直感があると言っても、それは千里眼じゃない。
離れた場所にいる柚子がレポートをやってるのか、何か他のことをしてるのか正確に分かるハズもなく。
「メールしとくか…」
“遅い”とだけ打って、送信した。
---
-------
---------------
『……くしゅっ、』
「もしや、風邪を引かれましたかな?」
『分かりませんけど……寒気が……くしゅんっ!』
男の子が耳に悪い音で矢野さんをダウンさせ、あたしはそのまま3人に導かれリムジンに乗せられた。
いざとなったら携帯あるし、それに……
ちらりと隣のゴスロリ女の子を見る。
前髪で表情は見えないしずっと無言だけど、でも…
傘に入れてくれたし、
今あたしを包んでるタオルだってこの子が差し出してくれた。
少なくともこの子は良い子なんじゃないか……そう、思ったのだ。
『(にしても…だるい……)』
雨の中を走り回ったからか、少しずつ頭が痛くなってきた。
ヤバい……
やっぱり体冷えちゃったかな…?
「着きましたぞ。」
『へ?あの……ココは?』
「我らトマゾファミリーの日本支部であり、内藤邸です!」
『内藤…?』
てゆーか…え?
今この人、ファミリーって…
『って…わわっ、』
ゴスロリの女の子があたしの手を引く。
改めて見上げると、結構大きな屋敷……
けど7号館からも大学からも見たこと無いから、随分遠い場所にあるんだろうな…。
「ロンシャン君、ただいま帰りましたぞ!」
何故か細長い人はチャイムを押さずに扉を叩く。
ロンシャン君って…外人?
すると、扉の向こうからご近所迷惑になりそうな大きな返事。
「待ってよマングスタ!今ちょっと掃除機かけるから!!」
「掃除機は後で構いません!早く開けないと我々がもっと冷えてしまう!!」
「あ、そっか!じゃあ開けるね!!」
インターホン使えばいいのに、扉越しに大声で会話してる。
何なんだろ、使い方知らないのかな…?
ガチャ、
「おかえり!マイファミリー!!」
「ロンシャン君、彼女を中に。」
「オッケーオッケー!はい、どーぞいらっしゃい!」
『お、おじゃましまs……きゃあっ!』
気を抜いたらつまづきそうなくらい、赤い髪の彼は早足であたしを引っ張り、奥のソファに座らせる。
「こんちこんちー!初めまして!!」
『初めまして…』
「俺、トマゾファミリー8代目の内藤ロンシャン!君が沢田ちゃんの柚子ちゃんね!!宜しく!!」
『はぁ…宜しくお願いしま……って、ち、違います!!///』
い、今この人…“沢田ちゃんの柚子ちゃん”って…!
「え?違うの?だってマングスタが…」
「ロンシャン君!!ちょっとこちらへ…」
マングスタ…?
あ、あの細長い人、マングスタっていうんだ。
何やらヒソヒソ話してる。
もしかして…ボンゴレの同盟ファミリーなのかな?
だとしたら、婚約者と言われてるあたしを保護してくれたのは納得できるけど…
『……くしゅんっ、』
ダメだ……やっぱりちょっとフラフラして来た…
ゴスロリの女の子が、ヒソヒソ話をしてるマングスタさんと内藤さんの袖を引っ張ってるのが見える。
その光景が、グラグラして来て……
「ん?どったのパンテーラ…………柚子ちゃん!?」
「何と!」
パンテーラに袖を引かれたロンシャンとマングスタは、柚子がソファに横たわり意識を失っているのに気付く。
駆け寄りその額に手を当てれば、明らかに平熱ではない温度。
「た…大変ですぞロンシャン君!!」
「氷……氷だよね!!」
『けほっ…けほっけほっ、』
「柚子ちゃん!寒いの!?柚子ちゃん!!」
「こういう時は、頭寒足熱です!!」
「だよねだよね!!氷と布団だよね!!」
マングスタが氷、ロンシャンが掛け布団を用意し、パンテーラが服を出す。
「パンテーラ、後は任せましたぞ。」
マングスタの言葉に無言で頷き、リビングに柚子と2人きりになるパンテーラ。
男性陣が退室したのを確認した後、柚子の半乾きの服を脱がして替えの服を着せた。
---
------
-------------
何だろう…
あったかくて、ふかふかしてる……
あたし……どうしてたっけ?
うっすら開けた視界の端に、チカッと光る何か。
それは見慣れた点滅で、机の上に置かれた自分の携帯なのだと気付く。
あの点滅の色は……電話じゃない、メールだ…
『(もしかして……ツナさんかも…)』
1時間くらいで終わりますって返したのに…あれから何時間経ったのかな…
ダメだ……考え事すると頭痛い…
寝返り1つうてないまま、あたしはゆるりと睡魔に引きずられていく。
『(……早…く、)』
早く、帰らなくちゃいけないのに。
ツナさんが待ってるのに。
明るくて暗い話、今日帰ったら聞きますって言ったのに……。
何となく、手を握られてる感触がした。
けれど、その手がツナさんでないことも分かった。
分かったら、すごくすごく寂しくなって。
『ツナ、さん……』
今、あたしの手を握っているのが貴方なら、どんなに幸せなんだろう。
頭痛なんて、一気に吹き飛んじゃうんじゃないかな…
掠れるようにその名を呼んだ直後、朦朧としていた意識が途切れた。
---
------
----------------
「ただいまーっ!」
「あ、山本か……おかえり。」
「おっ、ツナ!どしたんだ?玄関で待ち伏せなんかして。」
バッティングセンターでの自主練から帰って来た山本は、少しだけ目を丸くする。
「あのさ、柚子見なかった?」
「柚子?いんや、見てねーけど…まだ帰ってねーのか?」
「そうなんだ……ったく、何処で何してんだか…」
何か嫌な予感すんだよな、と呟くツナ。
携帯を開いてみても、さっきのメールの返信は来ていない。
「(やっと話すって決めたってのに……柚子も聞いてくれるつってたのに…)」
行き場の無い焦燥感だけが、ツナの脳内を駆け巡っていた。
ヌーボー
新たな出会いは、あたしと貴方をまた引き離す
continue…