🎼本編
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『えぇっ!?もうお帰りになるんですか!?』
「そぉだぁ。」
ベルさんのリクエストでビーフシチューを作った、その翌朝だった。
ツナさんの書斎にてコーヒーを入れてたら、スクアーロさんがやって来て帰国を告げた。
「随分早く終わったんだ、暗殺。」
「昨日の昼に下見をした時点で成功率99.99%を上回ったんだぁ。作戦は今日の未明に決行した。」
『(ひええ…暗殺話…!)』
あたしが怯えてるのに気付いてるのかいないのか、(多分気づいてない)スクアーロさんは続ける。
「ヤツには必ず援軍が来るとこっちでも予想は立ててた。」
「来なかった、とか?」
「来たんだが…予想の4割程度だった。いくら何でも少ねぇ。だから急ぎの帰国だぁ。」
『(だから…?)』
一生懸命考えたけど、“だから”という接続詞が使われた理由が分からなかった。
すると、それを見透かしたツナさんが言う。
「日本に援軍が来なかったってことは、何処にいると思う?柚子。」
『えっ!?えーっと………あ!イタリアですか!?』
「そう、本国にいんだよ。で、ヴァリアーの主力は今こっちに集まってる。」
『な、なるほど…!だから急がなくちゃいけないんですね!!』
でも、ザンザスさんがイタリアにいるなら敵をバンバンやっつけられちゃう気がする。
「生憎、ザンザスは進んで戦闘する人じゃないんだよ。な、スクアーロ。」
「あんのクソボスがちいっと本気出せばすぐ片付くってのによぉ…面倒だぜぇ……」
そうなんだぁ…
強いのに動かないって、それはそれで凄いなぁ。
と、その時。
バンッ、
「マジしんどいんだけど!また飛行機乗んなきゃなんねーの!?」
「しょうがないだろ、向こうにはレヴィしかいないんだから。」
『ベルさん!マーモンさん!』
「俺もっかい柚子ちゃんの手料理食べたーい。」
「それは僕も食べたいけどさ。」
「う"お"ぉい!何だてめーらぁ!何しに来たぁ!!」
スクアーロさんが大きな声で言うと、ベルさんは耳を塞いた。
マーモンさんも、ベルさんの頭の上で耳を塞いでいる。
「うるせーよカス鮫。お前だけで帰ればいーじゃん。」
「僕、いくらの軍艦巻き食べたいんだ。まだ帰れないよ。」
「ざけんなぁ!!」
ダダをこね始める2人に、スクアーロさんは更に大きな声で怒る。
うぅ…あたしも耳塞ぎたくなってきた…。
「どーでもいいけどさ、人の書斎で喧嘩すんのやめてくれる?(黒笑)」
『ひえっ!』
「う"お"っ…!」
久々に出た!
ツナさんのXグローブ…!
「そうよぉ、喧嘩しないの。」
『ルッスーリアさん!』
「うっせーよ、オカマ。」
「ベルちゃんもマーモンも、柚子ちゃんの手料理が食べたいのは分かったわ。イタリアに帰ったら、代わりに私の手料理を召し上がれ♪」
「いらねっ。」
「んまぁっ!!」
ベルさんに一刀両断されたにも関わらず、ルッスーリアさんは明るく返す。
「遠慮はいらないわよ、だってヴァリアーの家事担当は私だもの!」
「オカマのクセに。」
「いーじゃないのーっ。オカマだって女よ!」
「いや、オカマだろぉ…」
今の発言はさすがにスルー出来なかったらしく、スクアーロさんもツッコむ。
ベルさんは何処からか取り出したナイフを弄りながら言った。
「どーせならメイドの柚子ちゃん持ち帰りてーよ、な?マーモン。」
「ウム。」
『えぇっ!?あ、あたしはそんな…』
「勝手に俺の柚子連れ去る発言するなよ。」
『ツナさんっ!!///』
何にせよ、あたしはヴァリアーで働くのは無理っぽい。
だって暗殺って単語聞いただけで怖いもん…。
「ダーメ!ヴァリアーの家事とナース担当は私なの♪」
「ナースとか言うなオカマ。どーせなら柚子ちゃんのナース服とかいんじゃね?うししっ。」
「ム!確かに似合いそうだね。」
『えっ、嫌ですよ!?き、着ませんからねっ!!』
身の危険を感じたあたしはバッとスクアーロさんの後ろに隠れる。
「う"お"ぉい!てめ、何で俺んトコに…」
「柚子、お前は俺のだろ?隠れるならこっち。」
『は、はいっ…!』
レベルMAXの黒笑いに、あたしは飛び跳ねて返事をした。
「なぁなぁ、柚子ちゃんのナース服見たいーっ。」
「何度も言ってるけど、柚子は俺のだから。勝手に着せ替えとかさせないし。」
『ち、違いますけど…嫌ですっ!!』
ツナさんの後ろに隠れながら、悪戯に笑うベルさんと何か企んでそうなマーモンさんに訴える。
「着ろなんて言わないよ、僕が幻覚で柚子の衣装を替えるだけさ。」
『げ、幻覚…??』
「つまり、柚子ちゃんには見えなくても俺らにはナースに見えるってことー♪」
何その反則的な技…!!
どんな形であれ、ナースなんて断固拒否なんですが…!!
こうなったら反対派のツナさんと連携するしかない。
と、思ったのに、ツナさんは何かを考えていた。
『つ、ツナさん…?』
「マーモン、それ、俺にだけ見せるって出来る?」
『ツナさぁぁぁぁん!!!///』
「出来るよ。」
『ちょっ、あの、冗談抜きでやめて下さい!ホントに無理です!』
ツナさんの肩をゆすってみるけど、
「だって見たいし」と返される。
「タダじゃやらないよ。」
「それなりに払う。」
何勝手に交渉始めちゃってんのこの横暴ボス…!!
『つ、ツナさんっ…!』
こーなったらもう最後の手段……頼み込む!!
ツナさんの後ろに立ってたあたしは、ひじ掛けの横に移動して膝立ちした。
『ほ、ホントに嫌です!勘弁して下さいっ…!!』
こんなに遜ったの、初めてかもしんない…。
だけど今はそんなコト考えてる場合じゃない!
ナース服だけは何としても阻止!!
膝立ち状態からツナさんを見上げて、懇願する。
『あたし、暗殺とか怖いし……ヴァリアーさんのトコで家政婦は出来ないと思います…。だから…ツナさんのトコで頑張りますから…お願いです!!』
「…………柚子、」
『は、はいっ…』
ダメだった、かな?
「お前さ、無意識?」
『え…?』
何について問われているのか全く分からない。
そんなあたしに溜め息を1つついて、ツナさんはふっと笑った。
「分かったよ、見逃してやる。」
『ホント、ですか…?あ、ありがとうございますっ!!』
「何だ、臨時収入になると思ったのに。」
「ししっ、上目づかいには勝てねーってことじゃん?」
「にしても、本当に彼は柚子ちゃんが大好きなのねぇ…いいわぁ♪ねっ、スクアーロ。」
「お、俺に振るなぁ!!」
ヴァリアーさんがひそひそ話してたけど、スクアーロさんの言葉以外聞こえなかった。
「オラァ、そろそろ行くぜぇ。」
「めんどーい。」
「紅茶買ってっていいかしら?」
「僕は寿司。」
「うるせぇ!!買うなら早く準備しろぉ!!」
『あ、お手伝いしますっ!』
特に、スクアーロさんとルッスーリアさんには相談に乗ってもらったしね。
そう思って、あたしも荷造りを手伝った。
ヴァリアーさんはさすがに仕事が早く、15分後には既に出発準備が完了した。
『では、お気をつけて。』
「短い間だったけどありがとね、柚子ちゃん。」
『いえいえっ、こちらこそ……色々と、勉強になりました。』
玄関にて、ルッスーリアさんと握手をしていると、マーモンさんが肩に乗って来た。
「また日本に用が出来たら寄るよ、柚子は面白いからね。」
『面白いって…(汗)いつでもいらして下さい、おもてなしはちゃんとしますから♪』
と、その時。
ちゅ、
『へ…?』
「お別れの挨拶。」
マーモンさんてば、小さくて可愛いほっぺチューをくれた。
「あー!マーモンずりぃー、王子もーっ。」
『えっ!?///』
ずいっと近づいたベルさん。
すると、それまでスクアーロさんと話していたツナさんがあたしの腕を引く。
「寛大な俺でも、怒るよ?」
「……ちぇーっ。」
『(す、すごい…!)』
あのマイペース極まりないベルさんを抑えるなんて…!
「惚れ直した?」
『ち、違いますっ!何ですぐそーなるんですかぁ!!』
ツナさんの黒い笑みに、ぷいっと横を向いた。
「じゃあなぁ。」
「また来るわねー♪」
スクアーロさんとルッスーリアさんがドアの外に出る。
ベルさんはしばらくあたしをジーッと見てから、うししと笑った。
「柚子ちゃん、いーこと教えてあげようか?」
『へ?何ですか?』
「マーモンて、幻覚であのサイズになってんだぜ。移動が便利だからとか言ってさ。」
「余計なこと言わなくていいよ、ベル。」
ベルさんの頭の上からマーモンさんが文句を言う。
でもあたしは、言われた意味がイマイチよく分からなかった。
『そう、ですか…』
「じゃーねー♪」
「またね。」
手を振ってくれるお2人に、あたしも振り返しながら考えた。
マーモンさんの小さい姿が幻覚
↓
本当はもっと大人…?
「……そーゆー事かよ…」
『え、ツナさん…?』
あたしの横でハッとしたツナさんは、呆れた溜め息を1つ吐いて。
「前にリボーンが言ってたよな、マーモンは自分と同じくらいの歳だって。」
『……あ。』
て事は…
さっきのほっぺチューは可愛いものじゃなくて、どっちかってゆーと……
『(うきゃーーーっ!!///)』
どうしよ、いきなり恥ずかしくなってきた…!!
「しょーがないな……」
『な、何がですk…………!!?』
言葉は、途中で切れた。
一瞬だけ、ツナさんが物凄く近くなって、
あったかいけど何処かひんやりした柔らかい感触が頬に伝わってきて、
気が付いたら、目の前には真剣な瞳があった。
『え……あ……な、なにを…///』
どうして、何で、
全身の血が、沸騰しちゃいそうな感覚。
さっきのマーモンさんと同じ、ほっぺチューのハズなのに、
風邪引いたみたいに熱くなって、また心が苦しい。
そんなあたしを前に、ツナさんの真剣な瞳にも辛苦が混ざり始める。
「柚子、俺………」
『(あ……、)』
嫌だ、聞きたくない。
聞いてしまったら、沸き起こる苦しみに潰されてしまいそう。
おかしい、あたし…
どうしてこんなに、
ツナさんが近付けば近付くほど、苦しい…
……離れなきゃ。
『さ、先に部屋戻りますね!』
駈け出そうとしたら、手首を掴まれて。
何も言われずただ、後ろから抱きしめられて。
『ツナ、さん…?』
「…ごめん柚子、今の……消毒。」
『な、何ですかソレ…意味分かりませんっ…』
「うん、分かんなくていいから。」
変なツナさん…
こんなに簡単に謝るのも、
寄りかかって来るように抱きしめるのも、
いつもと全然違う……
心臓の音が聞こえてしまいそうで、
それだけはどうしても避けたくて、
必死に静まれと念じた。
「あのさ、柚子、」
『はい…』
「前に、話があるって言ったの、覚えてる?」
『……はい…』
まさか、もう聞かされる時が来たんだろうか。
でも、今のあたしじゃ…
こんな精神状態じゃ…
明るいけど暗いっていうその話を、受け止められるかどうか、分からない。
「もう、話す準備は出来た……だから、今度は俺が柚子を待つよ。」
『え…?』
腕が緩められて、あたしはくるりと振りかえった。
ツナさんの瞳にあった辛苦は、大きく深くなっていた。
「あの時柚子が、俺を待つって言ってくれたから。」
『ツナさん……』
「聞きたい時が来たらでいい、いつかは聞いて欲しい事なんだ。」
やめて、そんな風に笑わないで。
何故だか涙が溢れそうになって、力の限り堪えた。
『分かり、ました…』
そう返すのが精一杯だった。
本当なら、そこで聞くべきなんだろうけど……無理だった。
『コンクール、本選終わったら……聞かせて下さい…』
「うん、分かったよ。」
ツナさんの返事を聞いたあたしは、逃げるように走り去ってしまった。
話すのが難しい事、
明るくて暗い話、
あたしとツナさんは…………
『(もっと前に、遇ってたの…?)』
自室に戻って、閉じたドアに背中を預けて座り込んだ。
もう何も、考えたくなかった。
ミステリアス
彼の言動どころか自分の変化の理由すら、不可解
continue...
「そぉだぁ。」
ベルさんのリクエストでビーフシチューを作った、その翌朝だった。
ツナさんの書斎にてコーヒーを入れてたら、スクアーロさんがやって来て帰国を告げた。
「随分早く終わったんだ、暗殺。」
「昨日の昼に下見をした時点で成功率99.99%を上回ったんだぁ。作戦は今日の未明に決行した。」
『(ひええ…暗殺話…!)』
あたしが怯えてるのに気付いてるのかいないのか、(多分気づいてない)スクアーロさんは続ける。
「ヤツには必ず援軍が来るとこっちでも予想は立ててた。」
「来なかった、とか?」
「来たんだが…予想の4割程度だった。いくら何でも少ねぇ。だから急ぎの帰国だぁ。」
『(だから…?)』
一生懸命考えたけど、“だから”という接続詞が使われた理由が分からなかった。
すると、それを見透かしたツナさんが言う。
「日本に援軍が来なかったってことは、何処にいると思う?柚子。」
『えっ!?えーっと………あ!イタリアですか!?』
「そう、本国にいんだよ。で、ヴァリアーの主力は今こっちに集まってる。」
『な、なるほど…!だから急がなくちゃいけないんですね!!』
でも、ザンザスさんがイタリアにいるなら敵をバンバンやっつけられちゃう気がする。
「生憎、ザンザスは進んで戦闘する人じゃないんだよ。な、スクアーロ。」
「あんのクソボスがちいっと本気出せばすぐ片付くってのによぉ…面倒だぜぇ……」
そうなんだぁ…
強いのに動かないって、それはそれで凄いなぁ。
と、その時。
バンッ、
「マジしんどいんだけど!また飛行機乗んなきゃなんねーの!?」
「しょうがないだろ、向こうにはレヴィしかいないんだから。」
『ベルさん!マーモンさん!』
「俺もっかい柚子ちゃんの手料理食べたーい。」
「それは僕も食べたいけどさ。」
「う"お"ぉい!何だてめーらぁ!何しに来たぁ!!」
スクアーロさんが大きな声で言うと、ベルさんは耳を塞いた。
マーモンさんも、ベルさんの頭の上で耳を塞いでいる。
「うるせーよカス鮫。お前だけで帰ればいーじゃん。」
「僕、いくらの軍艦巻き食べたいんだ。まだ帰れないよ。」
「ざけんなぁ!!」
ダダをこね始める2人に、スクアーロさんは更に大きな声で怒る。
うぅ…あたしも耳塞ぎたくなってきた…。
「どーでもいいけどさ、人の書斎で喧嘩すんのやめてくれる?(黒笑)」
『ひえっ!』
「う"お"っ…!」
久々に出た!
ツナさんのXグローブ…!
「そうよぉ、喧嘩しないの。」
『ルッスーリアさん!』
「うっせーよ、オカマ。」
「ベルちゃんもマーモンも、柚子ちゃんの手料理が食べたいのは分かったわ。イタリアに帰ったら、代わりに私の手料理を召し上がれ♪」
「いらねっ。」
「んまぁっ!!」
ベルさんに一刀両断されたにも関わらず、ルッスーリアさんは明るく返す。
「遠慮はいらないわよ、だってヴァリアーの家事担当は私だもの!」
「オカマのクセに。」
「いーじゃないのーっ。オカマだって女よ!」
「いや、オカマだろぉ…」
今の発言はさすがにスルー出来なかったらしく、スクアーロさんもツッコむ。
ベルさんは何処からか取り出したナイフを弄りながら言った。
「どーせならメイドの柚子ちゃん持ち帰りてーよ、な?マーモン。」
「ウム。」
『えぇっ!?あ、あたしはそんな…』
「勝手に俺の柚子連れ去る発言するなよ。」
『ツナさんっ!!///』
何にせよ、あたしはヴァリアーで働くのは無理っぽい。
だって暗殺って単語聞いただけで怖いもん…。
「ダーメ!ヴァリアーの家事とナース担当は私なの♪」
「ナースとか言うなオカマ。どーせなら柚子ちゃんのナース服とかいんじゃね?うししっ。」
「ム!確かに似合いそうだね。」
『えっ、嫌ですよ!?き、着ませんからねっ!!』
身の危険を感じたあたしはバッとスクアーロさんの後ろに隠れる。
「う"お"ぉい!てめ、何で俺んトコに…」
「柚子、お前は俺のだろ?隠れるならこっち。」
『は、はいっ…!』
レベルMAXの黒笑いに、あたしは飛び跳ねて返事をした。
「なぁなぁ、柚子ちゃんのナース服見たいーっ。」
「何度も言ってるけど、柚子は俺のだから。勝手に着せ替えとかさせないし。」
『ち、違いますけど…嫌ですっ!!』
ツナさんの後ろに隠れながら、悪戯に笑うベルさんと何か企んでそうなマーモンさんに訴える。
「着ろなんて言わないよ、僕が幻覚で柚子の衣装を替えるだけさ。」
『げ、幻覚…??』
「つまり、柚子ちゃんには見えなくても俺らにはナースに見えるってことー♪」
何その反則的な技…!!
どんな形であれ、ナースなんて断固拒否なんですが…!!
こうなったら反対派のツナさんと連携するしかない。
と、思ったのに、ツナさんは何かを考えていた。
『つ、ツナさん…?』
「マーモン、それ、俺にだけ見せるって出来る?」
『ツナさぁぁぁぁん!!!///』
「出来るよ。」
『ちょっ、あの、冗談抜きでやめて下さい!ホントに無理です!』
ツナさんの肩をゆすってみるけど、
「だって見たいし」と返される。
「タダじゃやらないよ。」
「それなりに払う。」
何勝手に交渉始めちゃってんのこの横暴ボス…!!
『つ、ツナさんっ…!』
こーなったらもう最後の手段……頼み込む!!
ツナさんの後ろに立ってたあたしは、ひじ掛けの横に移動して膝立ちした。
『ほ、ホントに嫌です!勘弁して下さいっ…!!』
こんなに遜ったの、初めてかもしんない…。
だけど今はそんなコト考えてる場合じゃない!
ナース服だけは何としても阻止!!
膝立ち状態からツナさんを見上げて、懇願する。
『あたし、暗殺とか怖いし……ヴァリアーさんのトコで家政婦は出来ないと思います…。だから…ツナさんのトコで頑張りますから…お願いです!!』
「…………柚子、」
『は、はいっ…』
ダメだった、かな?
「お前さ、無意識?」
『え…?』
何について問われているのか全く分からない。
そんなあたしに溜め息を1つついて、ツナさんはふっと笑った。
「分かったよ、見逃してやる。」
『ホント、ですか…?あ、ありがとうございますっ!!』
「何だ、臨時収入になると思ったのに。」
「ししっ、上目づかいには勝てねーってことじゃん?」
「にしても、本当に彼は柚子ちゃんが大好きなのねぇ…いいわぁ♪ねっ、スクアーロ。」
「お、俺に振るなぁ!!」
ヴァリアーさんがひそひそ話してたけど、スクアーロさんの言葉以外聞こえなかった。
「オラァ、そろそろ行くぜぇ。」
「めんどーい。」
「紅茶買ってっていいかしら?」
「僕は寿司。」
「うるせぇ!!買うなら早く準備しろぉ!!」
『あ、お手伝いしますっ!』
特に、スクアーロさんとルッスーリアさんには相談に乗ってもらったしね。
そう思って、あたしも荷造りを手伝った。
ヴァリアーさんはさすがに仕事が早く、15分後には既に出発準備が完了した。
『では、お気をつけて。』
「短い間だったけどありがとね、柚子ちゃん。」
『いえいえっ、こちらこそ……色々と、勉強になりました。』
玄関にて、ルッスーリアさんと握手をしていると、マーモンさんが肩に乗って来た。
「また日本に用が出来たら寄るよ、柚子は面白いからね。」
『面白いって…(汗)いつでもいらして下さい、おもてなしはちゃんとしますから♪』
と、その時。
ちゅ、
『へ…?』
「お別れの挨拶。」
マーモンさんてば、小さくて可愛いほっぺチューをくれた。
「あー!マーモンずりぃー、王子もーっ。」
『えっ!?///』
ずいっと近づいたベルさん。
すると、それまでスクアーロさんと話していたツナさんがあたしの腕を引く。
「寛大な俺でも、怒るよ?」
「……ちぇーっ。」
『(す、すごい…!)』
あのマイペース極まりないベルさんを抑えるなんて…!
「惚れ直した?」
『ち、違いますっ!何ですぐそーなるんですかぁ!!』
ツナさんの黒い笑みに、ぷいっと横を向いた。
「じゃあなぁ。」
「また来るわねー♪」
スクアーロさんとルッスーリアさんがドアの外に出る。
ベルさんはしばらくあたしをジーッと見てから、うししと笑った。
「柚子ちゃん、いーこと教えてあげようか?」
『へ?何ですか?』
「マーモンて、幻覚であのサイズになってんだぜ。移動が便利だからとか言ってさ。」
「余計なこと言わなくていいよ、ベル。」
ベルさんの頭の上からマーモンさんが文句を言う。
でもあたしは、言われた意味がイマイチよく分からなかった。
『そう、ですか…』
「じゃーねー♪」
「またね。」
手を振ってくれるお2人に、あたしも振り返しながら考えた。
マーモンさんの小さい姿が幻覚
↓
本当はもっと大人…?
「……そーゆー事かよ…」
『え、ツナさん…?』
あたしの横でハッとしたツナさんは、呆れた溜め息を1つ吐いて。
「前にリボーンが言ってたよな、マーモンは自分と同じくらいの歳だって。」
『……あ。』
て事は…
さっきのほっぺチューは可愛いものじゃなくて、どっちかってゆーと……
『(うきゃーーーっ!!///)』
どうしよ、いきなり恥ずかしくなってきた…!!
「しょーがないな……」
『な、何がですk…………!!?』
言葉は、途中で切れた。
一瞬だけ、ツナさんが物凄く近くなって、
あったかいけど何処かひんやりした柔らかい感触が頬に伝わってきて、
気が付いたら、目の前には真剣な瞳があった。
『え……あ……な、なにを…///』
どうして、何で、
全身の血が、沸騰しちゃいそうな感覚。
さっきのマーモンさんと同じ、ほっぺチューのハズなのに、
風邪引いたみたいに熱くなって、また心が苦しい。
そんなあたしを前に、ツナさんの真剣な瞳にも辛苦が混ざり始める。
「柚子、俺………」
『(あ……、)』
嫌だ、聞きたくない。
聞いてしまったら、沸き起こる苦しみに潰されてしまいそう。
おかしい、あたし…
どうしてこんなに、
ツナさんが近付けば近付くほど、苦しい…
……離れなきゃ。
『さ、先に部屋戻りますね!』
駈け出そうとしたら、手首を掴まれて。
何も言われずただ、後ろから抱きしめられて。
『ツナ、さん…?』
「…ごめん柚子、今の……消毒。」
『な、何ですかソレ…意味分かりませんっ…』
「うん、分かんなくていいから。」
変なツナさん…
こんなに簡単に謝るのも、
寄りかかって来るように抱きしめるのも、
いつもと全然違う……
心臓の音が聞こえてしまいそうで、
それだけはどうしても避けたくて、
必死に静まれと念じた。
「あのさ、柚子、」
『はい…』
「前に、話があるって言ったの、覚えてる?」
『……はい…』
まさか、もう聞かされる時が来たんだろうか。
でも、今のあたしじゃ…
こんな精神状態じゃ…
明るいけど暗いっていうその話を、受け止められるかどうか、分からない。
「もう、話す準備は出来た……だから、今度は俺が柚子を待つよ。」
『え…?』
腕が緩められて、あたしはくるりと振りかえった。
ツナさんの瞳にあった辛苦は、大きく深くなっていた。
「あの時柚子が、俺を待つって言ってくれたから。」
『ツナさん……』
「聞きたい時が来たらでいい、いつかは聞いて欲しい事なんだ。」
やめて、そんな風に笑わないで。
何故だか涙が溢れそうになって、力の限り堪えた。
『分かり、ました…』
そう返すのが精一杯だった。
本当なら、そこで聞くべきなんだろうけど……無理だった。
『コンクール、本選終わったら……聞かせて下さい…』
「うん、分かったよ。」
ツナさんの返事を聞いたあたしは、逃げるように走り去ってしまった。
話すのが難しい事、
明るくて暗い話、
あたしとツナさんは…………
『(もっと前に、遇ってたの…?)』
自室に戻って、閉じたドアに背中を預けて座り込んだ。
もう何も、考えたくなかった。
ミステリアス
彼の言動どころか自分の変化の理由すら、不可解
continue...