🎼本編
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「う"お"ぉい!来たぞぉ!!」
『ただいま帰りましたー。』
スクアーロさんと7号館に戻ったあたしは、買ったものをキッチンに置いて大広間にお通しした。
すると……
「あら、遅かったわねぇスクアーロ。」
「うししっ、1時間半遅刻してやんのー。」
「お帰り柚子、お菓子まだかい?」
「『なっ…!』」
何と、ルッスーリアさんとベルさんとマーモンさんが、既に寛いでいらっしゃった。
そんな…今まで探してたのに…!
「な、何で居やがるてめぇらぁ!!俺はてめぇらを探して…」
「んまぁ、私たちちょっと寄り道してすぐに来たのよ♪」
「ジャッポーネのアーケードを一通り見て来ただけだよ。」
「つまり迷子はスクアーロの方って事♪」
初めてスクアーロさんが可哀想なポジションだと理解した。
大きくため息をつく彼は、いたずらっ子に手こずる保父さんみたいで。
「う"お"ぉい、悪かったなぁ…柚子。」
『いえ、見つかって良かったです。あ!あたし、お茶とお菓子持ってきますね!』
紅茶とリーフパイを出して、ヴァリアーの皆さんのお話を聞いた。
今回は、任務で来日したらしい。
暗殺の標的(コレを聞いてちょっとビビった)が日本に逃げたから、追いかけて来たとか。
それで、宿泊費削減の為に7号館に数日滞在することにした、と。
『それじゃあ、空いてるお部屋のお掃除とか…!』
あたし、全然してないのに…
今からやって間に合う自信無い!!
「大丈夫だよ、柚子。」
『ツナさんっ!』
ナイスなタイミングで大広間にやってきたツナさんは、言った。
「柚子が買い出しに行ってる間にバジル君が済ませといてくれたから。」
『ホントですかっ!?』
バジルさん…神!!
後でお礼言っておかなくちゃ。
「つーワケで、3階に4部屋用意しといたんで。」
「おぉ、ありがとなぁ。」
「それと柚子、俺達お腹減ったんだけど…」
『たっ、只今お作りしますっっっ!!!』
ツナさんの真っ黒笑顔が発動される寸前に部屋を飛び出し、キッチンへ駆け込んだ。
こんなこともあろうかと、今日のお昼は簡単にできちゃうつけ麺にしたのだ☆
「キャラ壊れてる。」
『ぎょわっ!ツナさん!!』
い、いつの間にキッチンに…
「普通に待ってても暇だしさ。」
『でしたら書斎にでもこもってれば…』
「どうせなら柚子と居たいし。」
『なっ、何言ってるんですか!』
手伝ってくれるワケでもないのにさ!
という文句は心の中だけで…
「へぇ、俺に手伝わせる気?」
………そうでした、ココには精神的プライバシーが存在しないんでした。
『ごめんなさいすみません見ているだけで結構でございます!!』
背中越しに伝わって来る腹黒オーラに怯えつつ、あたしは手を動かす。
よし、麺つゆ完成!
あとは麺をゆでて、もりつけて…
「ほら、」
『へ?』
「皿、出してやったんだから感謝しろよ。」
『あ、ありがとうございますっ…』
何でだろう…
ツナさんが、優しい。
いつもと違う…?
ううん、そんなこと無いハズ。
いつもはもっと、
横暴で腹黒だったとか…?
「うん、おいしい。」
『ちょっとツナさん!勝手に味見しないでくださいっ!!』
「いーだろ、俺は一番に食いたいんだよ。」
『だからって……んもーっ…』
ちょうど茹で上がった麺を、8つのお皿に分ける。
「柚子のは?」
『いいんです、ちょっと食欲無くて…後で軽く食べます。』
「……やっぱどっか悪いのか?」
次の瞬間、あたしの額にスッと当てられたツナさんの手の平。
反射的に、腰が引けてしまって。
『だ、大丈夫ですからっ…!///』
目を合わせられない。
合わせてしまったら、微かに残るモヤモヤをぶちまけてしまいそうで。
つけ麺8皿を配膳台に乗せて、皆さんの待つ広間に向かった。
大広間には今ヴァリアーさんがいるから、少し小さめの広間に待機してるそうだ。
ツナさんは、何も言わずにあたしの隣を歩いた。
ただ時々、チラリとあたしに目を向けて逸らす。
その繰り返しが何回かあった。
『では、あたしは失礼します。』
昼食をお配りした後、あたしはすぐに退室した。
食欲が無いから、とりあえず廊下の掃除でもしようかな…
カーペットに掃除機かけなくちゃいけないかも。
とりあえず3時まで1時間以上ある。
それまで、あたしは休みにならないのだ。
「あら、柚子ちゃんっ。」
『へ?あ、ルッスーリアさん!どうかしましたか?』
掃除機を取りに行こうと思ったら、大広間から出て来たルッスーリアさんに遭遇。
「この紅茶おいしかったから、おかわり貰いたくてvV」
『了解しましたっ!只今お持ちします。』
「私も行くわ、メーカーが知りたいのよ~♪」
『あ、どうぞどうぞ!』
スキップ交じりのルッスーリアさんと、キッチンに向かう。
確かさっきお出ししたのは…
『このアールグレイです。』
「んまぁ!コレだったのね!私さっき、アーケードで見かけたのよ。帰りに買って行こうかしらっ。」
『はい、是非!』
あぁ、まるで女の子同士の会話みたい…。
すっごく落ち着くなぁ。
「ところで柚子ちゃん、」
『はい、』
「何かあったの?」
『へっ…?ど、どうしてですか?別に何も…』
「だって、この前会った時より元気なさそうなんだもの、心配しちゃうわ。」
眉を下げてそう言うルッスーリアさんに、あたしは慌てて首を振った。
『何でもないですっ……別に、横暴発言もいつものことだし、たまに優しいのも…今日に始まったことじゃ………』
頭に浮かんだ弁解をそのまま言って、これは墓穴だと後で気がついた。
証拠に、クスクス笑うルッスーリアさん。
「彼のことで悩んじゃってるのね、柚子ちゃんは。」
『あ、えと……多分、違います…』
「あら、違うの?」
だってあたしがこんなにウジウジしてるのは、
自分の変化が分からないから。
ツナさんは、いつも通りなの。
だけど、あたしは何かがおかしい。
どうやって言葉にしようか迷うあたしに、ルッスーリアさんは提案した。
「柚子ちゃん、私とお喋りしない?」
『お喋り、ですか…?』
「えぇvほら、ちょうど紅茶もあるし♪」
『はぁ…』
休憩時間は3時からだけど、今から喋った分だけ後で働けばいいし。
そう考えたあたしは、頷いた。
「じゃあ、柚子ちゃんのお部屋に行きましょう!」
『えっ、あの…他の皆さんは…』
「いーのよ、あの子達は放っておいて!さ、行きましょ行きましょ。」
まぁ、ルッスーリアさんがいいなら…いっか。
ご希望通り、あたしの部屋にお通しする。
「それなりに広い部屋は貰ってるのねぇ♪でも、フィアンセなんだからもうちょっと広くてもいいわよねっ。」
『あはは…』
フィアンセじゃない…!
フリです!婚約者役なんです!!
反論したいのをグッと堪えて(後が怖いから)、あたしはルッスーリアさんとソファに座った。
「柚子ちゃん、何にもされてない?」
『えっ…!?』
「だってココ、柚子ちゃん以外に女の子いないじゃないっ!私、心配なのよ?」
『あ、大丈夫、です…』
そう、だよね…
やっぱりおかしい状況なんだよね…
『スクアーロさんにも、聞いてみたんです。だけど…今までそれで平気だったなら、大丈夫だろうって…』
「んもぅスクアーロったら!後でキツく言っておくわ!!」
『いえ!スクアーロさん、真面目に相談に乗ってくれましたから…』
「あら、本当?」
あたしは話した。
7号館に戻って来るまでの間に、スクアーロさんと交わした会話の内容。
あたしが最近、7号館に少しの息苦しさを感じていること。
『皆さんは、良い人たちです……今までも、今日だって、態度は何一つ変わってない…』
おかしくなったのは、
変わってしまったのは、
きっと、あたし。
『スクアーロさんは、何が変わらないかが大切だって言ってくれました…だからあたしも気にしないようにと思ってるんですけど……』
「そうねぇ…スクだったら、そう言うわね。でも、私は同じアドバイスは出来ないわ。」
『えっ?』
「スクにとっては変わらない信念を持ち続けるのが大事なの。だけどね柚子ちゃん、何が変わったか理解するのも大事よ。」
『何が、変わったか……』
でもそれは、考えたくないこと。
怖くて、自分でも有耶無耶にしておきたくなること。
「もしかしたら、それはつらい変化かも知れないわ。でも目を逸らしたままは良くないと思うの。」
『はい…』
諭されるあたしの胸中には、不安が渦巻く。
本能的に理解してる。
きっと、これはつらい変化なんだって。
「今すぐじゃなくていいのよ、誰も急かさないわ。」
『……でも、』
「柚子ちゃんが受け止められそうって思った時に、変化の正体をつかんでみればいいのよ。」
そんな覚悟、出来るのかな?
今、何が変わったか考えようとするだけで怖いのに。
これまで丸く収まって来たものが、
どっか壊れちゃいそうな気がするのに…。
「でもまぁ、スクの言うことも一理あるのよ?何が変わったか受け止めたら、変えたくないものを探すの。」
人間の心はその二つでバランスを取ってるのよ、
そう、ルッスーリアさんは教えてくれた。
「ヤダ!私ったら、説教じみたこと言っちゃったわ、ごめんなさいね。」
『あ、いえ!………ありがとう、ございます。』
あたしの中で起きた変化は何なのか。
それを自分で見つめ直すには、まだ勇気が足りないけれど。
『ルッスーリアさんのお話聞いて、元気がでました!』
「ホントっ?それは良かったわ♪私だって、元気な柚子ちゃんが好きだものv」
『へへっ///』
見つめ直すのは、まだ少し先で構わない。
だから今は、スクアーロさんに言われたとおりに“変わってない気持ち”を大事にしていよう。
ガチャ、
「オカマいるー?」
「あらベルちゃん、どうしたの?」
「どーしたのじゃねーよ、何でメイドの柚子ちゃん独り占めしてんの?」
ノックも無しに入って来たのは、自称王子のベルさんだった。
片手でナイフをいじりながら、酷く面倒くさそうに言う。
「つーか今から下見行くってスクアーロが騒いでるぜ。」
「んまぁ大変!!ごめんなさいね柚子ちゃん、もうちょっとお喋りしたかったのに…」
『いえ!あ、えと…ヴァリアーの皆さんは、夕飯はどうなさいますか?』
「はいはーい!俺、柚子ちゃんの手料理ーっ!」
すかさず挙手したベルさんに、ちょっと驚いたけど笑みがこぼれた。
『了解しましたっ♪4人分、追加でお作りします!』
「うふふっ、夕飯が楽しみだわっvVね、ベルちゃん♪」
「うっせ、早くしろオカマ!」
「んもうっ!!じゃあまた後でね、柚子ちゃん。」
『お気をつけて!』
元気をくれたお二人を、ビシッと背筋を伸ばして見送った。
メロディー
相談相手の言葉は、まるで音楽のようにあたしの心にしみ込んでいった…
continue...
『ただいま帰りましたー。』
スクアーロさんと7号館に戻ったあたしは、買ったものをキッチンに置いて大広間にお通しした。
すると……
「あら、遅かったわねぇスクアーロ。」
「うししっ、1時間半遅刻してやんのー。」
「お帰り柚子、お菓子まだかい?」
「『なっ…!』」
何と、ルッスーリアさんとベルさんとマーモンさんが、既に寛いでいらっしゃった。
そんな…今まで探してたのに…!
「な、何で居やがるてめぇらぁ!!俺はてめぇらを探して…」
「んまぁ、私たちちょっと寄り道してすぐに来たのよ♪」
「ジャッポーネのアーケードを一通り見て来ただけだよ。」
「つまり迷子はスクアーロの方って事♪」
初めてスクアーロさんが可哀想なポジションだと理解した。
大きくため息をつく彼は、いたずらっ子に手こずる保父さんみたいで。
「う"お"ぉい、悪かったなぁ…柚子。」
『いえ、見つかって良かったです。あ!あたし、お茶とお菓子持ってきますね!』
紅茶とリーフパイを出して、ヴァリアーの皆さんのお話を聞いた。
今回は、任務で来日したらしい。
暗殺の標的(コレを聞いてちょっとビビった)が日本に逃げたから、追いかけて来たとか。
それで、宿泊費削減の為に7号館に数日滞在することにした、と。
『それじゃあ、空いてるお部屋のお掃除とか…!』
あたし、全然してないのに…
今からやって間に合う自信無い!!
「大丈夫だよ、柚子。」
『ツナさんっ!』
ナイスなタイミングで大広間にやってきたツナさんは、言った。
「柚子が買い出しに行ってる間にバジル君が済ませといてくれたから。」
『ホントですかっ!?』
バジルさん…神!!
後でお礼言っておかなくちゃ。
「つーワケで、3階に4部屋用意しといたんで。」
「おぉ、ありがとなぁ。」
「それと柚子、俺達お腹減ったんだけど…」
『たっ、只今お作りしますっっっ!!!』
ツナさんの真っ黒笑顔が発動される寸前に部屋を飛び出し、キッチンへ駆け込んだ。
こんなこともあろうかと、今日のお昼は簡単にできちゃうつけ麺にしたのだ☆
「キャラ壊れてる。」
『ぎょわっ!ツナさん!!』
い、いつの間にキッチンに…
「普通に待ってても暇だしさ。」
『でしたら書斎にでもこもってれば…』
「どうせなら柚子と居たいし。」
『なっ、何言ってるんですか!』
手伝ってくれるワケでもないのにさ!
という文句は心の中だけで…
「へぇ、俺に手伝わせる気?」
………そうでした、ココには精神的プライバシーが存在しないんでした。
『ごめんなさいすみません見ているだけで結構でございます!!』
背中越しに伝わって来る腹黒オーラに怯えつつ、あたしは手を動かす。
よし、麺つゆ完成!
あとは麺をゆでて、もりつけて…
「ほら、」
『へ?』
「皿、出してやったんだから感謝しろよ。」
『あ、ありがとうございますっ…』
何でだろう…
ツナさんが、優しい。
いつもと違う…?
ううん、そんなこと無いハズ。
いつもはもっと、
横暴で腹黒だったとか…?
「うん、おいしい。」
『ちょっとツナさん!勝手に味見しないでくださいっ!!』
「いーだろ、俺は一番に食いたいんだよ。」
『だからって……んもーっ…』
ちょうど茹で上がった麺を、8つのお皿に分ける。
「柚子のは?」
『いいんです、ちょっと食欲無くて…後で軽く食べます。』
「……やっぱどっか悪いのか?」
次の瞬間、あたしの額にスッと当てられたツナさんの手の平。
反射的に、腰が引けてしまって。
『だ、大丈夫ですからっ…!///』
目を合わせられない。
合わせてしまったら、微かに残るモヤモヤをぶちまけてしまいそうで。
つけ麺8皿を配膳台に乗せて、皆さんの待つ広間に向かった。
大広間には今ヴァリアーさんがいるから、少し小さめの広間に待機してるそうだ。
ツナさんは、何も言わずにあたしの隣を歩いた。
ただ時々、チラリとあたしに目を向けて逸らす。
その繰り返しが何回かあった。
『では、あたしは失礼します。』
昼食をお配りした後、あたしはすぐに退室した。
食欲が無いから、とりあえず廊下の掃除でもしようかな…
カーペットに掃除機かけなくちゃいけないかも。
とりあえず3時まで1時間以上ある。
それまで、あたしは休みにならないのだ。
「あら、柚子ちゃんっ。」
『へ?あ、ルッスーリアさん!どうかしましたか?』
掃除機を取りに行こうと思ったら、大広間から出て来たルッスーリアさんに遭遇。
「この紅茶おいしかったから、おかわり貰いたくてvV」
『了解しましたっ!只今お持ちします。』
「私も行くわ、メーカーが知りたいのよ~♪」
『あ、どうぞどうぞ!』
スキップ交じりのルッスーリアさんと、キッチンに向かう。
確かさっきお出ししたのは…
『このアールグレイです。』
「んまぁ!コレだったのね!私さっき、アーケードで見かけたのよ。帰りに買って行こうかしらっ。」
『はい、是非!』
あぁ、まるで女の子同士の会話みたい…。
すっごく落ち着くなぁ。
「ところで柚子ちゃん、」
『はい、』
「何かあったの?」
『へっ…?ど、どうしてですか?別に何も…』
「だって、この前会った時より元気なさそうなんだもの、心配しちゃうわ。」
眉を下げてそう言うルッスーリアさんに、あたしは慌てて首を振った。
『何でもないですっ……別に、横暴発言もいつものことだし、たまに優しいのも…今日に始まったことじゃ………』
頭に浮かんだ弁解をそのまま言って、これは墓穴だと後で気がついた。
証拠に、クスクス笑うルッスーリアさん。
「彼のことで悩んじゃってるのね、柚子ちゃんは。」
『あ、えと……多分、違います…』
「あら、違うの?」
だってあたしがこんなにウジウジしてるのは、
自分の変化が分からないから。
ツナさんは、いつも通りなの。
だけど、あたしは何かがおかしい。
どうやって言葉にしようか迷うあたしに、ルッスーリアさんは提案した。
「柚子ちゃん、私とお喋りしない?」
『お喋り、ですか…?』
「えぇvほら、ちょうど紅茶もあるし♪」
『はぁ…』
休憩時間は3時からだけど、今から喋った分だけ後で働けばいいし。
そう考えたあたしは、頷いた。
「じゃあ、柚子ちゃんのお部屋に行きましょう!」
『えっ、あの…他の皆さんは…』
「いーのよ、あの子達は放っておいて!さ、行きましょ行きましょ。」
まぁ、ルッスーリアさんがいいなら…いっか。
ご希望通り、あたしの部屋にお通しする。
「それなりに広い部屋は貰ってるのねぇ♪でも、フィアンセなんだからもうちょっと広くてもいいわよねっ。」
『あはは…』
フィアンセじゃない…!
フリです!婚約者役なんです!!
反論したいのをグッと堪えて(後が怖いから)、あたしはルッスーリアさんとソファに座った。
「柚子ちゃん、何にもされてない?」
『えっ…!?』
「だってココ、柚子ちゃん以外に女の子いないじゃないっ!私、心配なのよ?」
『あ、大丈夫、です…』
そう、だよね…
やっぱりおかしい状況なんだよね…
『スクアーロさんにも、聞いてみたんです。だけど…今までそれで平気だったなら、大丈夫だろうって…』
「んもぅスクアーロったら!後でキツく言っておくわ!!」
『いえ!スクアーロさん、真面目に相談に乗ってくれましたから…』
「あら、本当?」
あたしは話した。
7号館に戻って来るまでの間に、スクアーロさんと交わした会話の内容。
あたしが最近、7号館に少しの息苦しさを感じていること。
『皆さんは、良い人たちです……今までも、今日だって、態度は何一つ変わってない…』
おかしくなったのは、
変わってしまったのは、
きっと、あたし。
『スクアーロさんは、何が変わらないかが大切だって言ってくれました…だからあたしも気にしないようにと思ってるんですけど……』
「そうねぇ…スクだったら、そう言うわね。でも、私は同じアドバイスは出来ないわ。」
『えっ?』
「スクにとっては変わらない信念を持ち続けるのが大事なの。だけどね柚子ちゃん、何が変わったか理解するのも大事よ。」
『何が、変わったか……』
でもそれは、考えたくないこと。
怖くて、自分でも有耶無耶にしておきたくなること。
「もしかしたら、それはつらい変化かも知れないわ。でも目を逸らしたままは良くないと思うの。」
『はい…』
諭されるあたしの胸中には、不安が渦巻く。
本能的に理解してる。
きっと、これはつらい変化なんだって。
「今すぐじゃなくていいのよ、誰も急かさないわ。」
『……でも、』
「柚子ちゃんが受け止められそうって思った時に、変化の正体をつかんでみればいいのよ。」
そんな覚悟、出来るのかな?
今、何が変わったか考えようとするだけで怖いのに。
これまで丸く収まって来たものが、
どっか壊れちゃいそうな気がするのに…。
「でもまぁ、スクの言うことも一理あるのよ?何が変わったか受け止めたら、変えたくないものを探すの。」
人間の心はその二つでバランスを取ってるのよ、
そう、ルッスーリアさんは教えてくれた。
「ヤダ!私ったら、説教じみたこと言っちゃったわ、ごめんなさいね。」
『あ、いえ!………ありがとう、ございます。』
あたしの中で起きた変化は何なのか。
それを自分で見つめ直すには、まだ勇気が足りないけれど。
『ルッスーリアさんのお話聞いて、元気がでました!』
「ホントっ?それは良かったわ♪私だって、元気な柚子ちゃんが好きだものv」
『へへっ///』
見つめ直すのは、まだ少し先で構わない。
だから今は、スクアーロさんに言われたとおりに“変わってない気持ち”を大事にしていよう。
ガチャ、
「オカマいるー?」
「あらベルちゃん、どうしたの?」
「どーしたのじゃねーよ、何でメイドの柚子ちゃん独り占めしてんの?」
ノックも無しに入って来たのは、自称王子のベルさんだった。
片手でナイフをいじりながら、酷く面倒くさそうに言う。
「つーか今から下見行くってスクアーロが騒いでるぜ。」
「んまぁ大変!!ごめんなさいね柚子ちゃん、もうちょっとお喋りしたかったのに…」
『いえ!あ、えと…ヴァリアーの皆さんは、夕飯はどうなさいますか?』
「はいはーい!俺、柚子ちゃんの手料理ーっ!」
すかさず挙手したベルさんに、ちょっと驚いたけど笑みがこぼれた。
『了解しましたっ♪4人分、追加でお作りします!』
「うふふっ、夕飯が楽しみだわっvVね、ベルちゃん♪」
「うっせ、早くしろオカマ!」
「んもうっ!!じゃあまた後でね、柚子ちゃん。」
『お気をつけて!』
元気をくれたお二人を、ビシッと背筋を伸ばして見送った。
メロディー
相談相手の言葉は、まるで音楽のようにあたしの心にしみ込んでいった…
continue...