🎼本編
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ブーッ、ブーッ、
『ん…?』
授業と授業の間、不意に震え始めた携帯をパカッと開く。
『ぎょえっ…』
変な声が漏れたのは仕方ないと思う。
だって、画面に表示された名前は…
『(つ、ツナさんだ……)』
電話じゃなくてメールだったけど、それでもあたしの中に不安を生みだすには充分だった。
とにかく、恐る恐る確認する。
スルーとかしたら普通に後が怖いし…
-「柚子、中華好き?」
『え、これだけ…??』
拍子抜けした直後、スクロールできることに気がつく。
まさか、この下にとんでもないメッセージが…!?
『(つか、改行多っ!!)』
どんなにスクロールしても終わりが来ない。
あーもーツナさんの暇人っ!!
-「今、俺が暇人だって思ったろ。」
『ぎょえっ…!』
やっとメッセージがあったと思ったら、読心術のようなコメント。
ビビって辺りを見回すけど、ツナさんはいない。
まぁ、この場にいたら女子に囲まれるから目立つハズだし。
ホッとしてスクロールを続けると、ようやく文章が見えた。
そしてあたしは、青ざめた。
-「3分以内に返信しないと…(笑)」
『なっ…!』
慌てて時刻を確認する。
やばい、あと20秒で3分間が終了する!!
大至急「好きです」とだけ打って、送信した。
『ふー…』
何とか間に合った…
ブーッ、ブーッ、
『(早っ!)』
-「じゃあ今晩中華料理店行くから、前にイーピンに貰ったチャイナドレス着ろよ。」
間。
『(どぅぇえええっ!!?)』
ちなみに、イーピンちゃんから貰ったチャイナドレスというのは、第22話“ニュートラル”参照です。
……って、読者様に言ってる場合じゃない!!
ツナさんからの横暴メールのおかげで、次の授業の間中ずっとぐるぐる悩んでいた。
---
------
-------------
『ただいま帰りましたー…』
「お帰りなさい、僕の柚子♪」
『む、骸さん…!(汗)』
「聞きました?今日の夕飯は中華だそうです。」
『え、えぇ…』
引き気味笑顔で答えながら、あたしは考えた。
骸さんは、チャイナドレスのことを知ってるんだろうか……
アレって体のライン出るから、ヘンタイさんの前ではご遠慮したいのにっ…!
「おや、どうしました?柚子。」
『いっ、いえ!楽しみですねっ!』
「クフフ…これでもし柚子が僕の部屋にあるチャイナドレスミニver.を着てくれれば」
『なっ…何でそんなのあるんですか!!///絶対絶対着ませんからねっ!!』
どうやら骸さんは、ツナさんがあたしに衣装指定をしたのを知らないらしい。
てゆーか…
普通のチャイナドレスでもこんなに抵抗あるのに、
ミニなんて論外!!!
ひとまず部屋に戻って荷物を置いて、ツナさんが帰るまで待つことに。
『にしても、どうして急に中華なんでしょうかね?』
「測りかねますねぇ、特に思い当たることはありませんし……」
『クーポンでもゲットした、とか!』
「クフフ、柚子は面白い事を言いますね。」
『(うわっ…///)』
不意打ちを食らったような気がした。
骸さんの笑みがいつものヘンタイスマイルとは全然違うもので、
思わず赤面してしまった。
そうだよ、
骸さんって言動がちょっとアレなだけで、ルックスはいいんだよね…。
「クーポンを使うくらいなら、綱吉は脅迫してタダで食べますよ。」
『あ、そうですよね!』
「喧嘩売ってる?」
「おや。」
『ひょえっ!』
何と、それまで絶対いなかったハズのツナさんが、
黒過ぎる笑顔を見せて立っていた。
「柚子、まだ用意してないのかよ。早くしろ。」
『なっ…だって……まだ2時間ありますし…』
なるべく着てる時間減らしたいのに…
「何ですか!?用意って何の用意ですか!?僕の柚子っ!!」
『ノーコメントです!!』
「綱吉ー、柚子が教えてくれませんーっ。」
「俺も教えないよ。」
ダダをこねる骸さんを、一掃するツナさん。
すごい…!
やっぱこの人ってボスなんだ……
「ボーッと突っ立ってないで、用意しろっつの。」
『あ、はいっ!』
反射的に返事をして、0.5秒後に後悔。
あああああ反論するつもりだったのにーっ!!
「雇い主の言うことに反論する気?柚子。」
『…直ちに用意します……』
勝てない…(泣)
たとえ反論したとしても、あたしには勝ち目がない……
仕方なく部屋に戻り、チャイナドレスを引っぱり出して、着てみた。
『(うわ…)』
腰回りが…というかお腹が……
見るに耐えない…!
いやああああ!!
着てから改めて思ったけど、やっぱりいやだあああっ!!!
コンコン、
「着れた?柚子。」
『ぎょわーっ!!』
開けられたドアに過剰反応し、その辺にあった毛布をかぶった。
多分、開けた人・ツナさんには物凄い速度で大きな毛玉が形成されたように見えただろう。
「………何してんだよ、バカ柚子。」
『みみみ見ないで下さいっ!!無理です!体型的に無理があります!!』
「それは俺が判断するから、見せろ。」
『断固拒否です!!』
10秒ほど、膠着状態が続いた。
『ホントにっ…コレは無理です……何か、やたらピッチリしてるし……ギュッてするし…』
真面目にそう訴えたら、ツナさんは「もしかして」と呟いた。
「じゃあさ、肩ら辺まででいいから見せろ。」
『へ…?』
か、肩までなら……
ツナさんの神様のような妥協に、あたしも妥協した。
頭までかぶってた毛布を、腕半分くらいまで下げる。
「あー、やっぱり。」
『…何がですか?』
「ほら、ココ。」
ツナさんはずいっと近寄って、あたしの肩を指さした。
「柚子の肩のラインと、服のラインがずれてる。小さいんだな、サイズ。」
な、何ですと!!?
『じゃあコレ…着なくていいんですか?』
「しょーがないなぁ…ま、イーピンもあぁ見えて天然なトコあるし。」
イーピンちゃんグッジョブ!!!
あたし今、救われました!!
「俺的にはそれでもいーけど…」
『い、嫌ですよ!!』
「骸に見られるのはヤダし…」
『(そこですか!?)』
確かにそれも重大な問題ですけど…!
てゆーかあたしは基本的に誰にも見せたくないです!!
「それに、向こうもビビるだろうしなー…」
『向こう…?』
「ん?あぁ、今日同席する同盟ファミリーの人達。」
間。
『きっ、聞いてませんよそんな話!!』
「そりゃー言ってないし。」
『て事はあたし、また…』
「そ、婚約者♪」
あああああ!!
神様の意地悪ーっ!!
あのパーティーで全て終わったと思ったのにーっ!!
「ねぇ、まだなの?」
「あ、雲雀さん。」
『ぎょわっ!』
あたしはまた毛布をかぶる。
何で雲雀さんて神出鬼没なのよっ。
「そのバカでかい毛玉、何?柚子?」
「まぁスルーの方向でお願いします。」
「ふぅん……とにかく早くしなよ、あとは君たちだけだから。」
『えっ!もう皆さん準備出来たんですか!?』
遅れをとってしまったことに吃驚して、顔だけ毛布からピョコッと出す。
「皆っていうか、俺と柚子と雲雀さんと骸だけ。」
『えぇっ!?』
「同盟ファミリーとの食事は、大抵少人数ずつだからね。」
『(は、初耳…!)』
にしても、山本さんや了平さんがいないなんて…
あたし、生きていけるのかな……
「んじゃあ、ずっと前に着たドレスでも着ろ。外で待ってるから。」
『あ、はぁ…』
チャイナドレスじゃなくて良かったけど…
再び婚約者役しながらのディナーだんて…
泣きたい。
精神的ダメージを引きずりながら、あたしはなるべく急いで着替えた。
---
------
------------
『お、お待たせしました…』
ドアを開けたら、そこにはツナさんと雲雀さん。
どうやら恐怖2人で待っていてくれたらしい。
「うん、綺麗だよ。」
「悪くないんじゃない。」
『(うっ…///)あ、ありがとうございます…』
急いでたからメイクも簡単なのだし、髪も梳かしただけだし…
「こないだの、覚えてるよな?」
『へ?』
「ビアンキに教わったんだろ?」
…………あ!穏やかスマイル!!
『はいっ、大丈夫です!』
「よし、じゃ行こう。」
今日の運転は骸さんがするらしい。
運転出来たんだー…
ツナさんとあたしは後ろ、雲雀さんが助手席に座る。
「そうだ柚子、コレつけて。」
『え、うわっ…!』
車の中だってのに、ツナさんは高そうなイヤリングを差し出した。
あ、あたしには勿体ないような気が…
というか、大きな鏡とか今ココに無いし。
「大丈夫、俺がつけるから。」
『ふぇっ…!?///』
「ジッとしろ。」
『はいっ…!』
ツナさんと真正面から向き合って、妙に緊張する。
髪の毛をそっと退ける手が、いつもよりずっと優しい。
目が合いそうで、合わない。
ツナさんの視線はあたしの耳に向いてるから、それは当然なんだけど。
こんな時、頭の中は驚くほど冷静で、
テンパってるのは心臓だけで。
あたしは今、男の人にアクセサリー付けて貰ってて……///
うわあダメだ!!
考えたらショックで倒れそう!!///
そう思ったにも関わらず、脳みそは状況分析を続ける。
あたし…3人の男の人と車に乗ってる…
どうしよう、何だか変な焦燥感……
「はい、出来た。」
『あ、ありがとうございます…///へ、変じゃないですか?』
「俺が選んだんだから、変なワケないだろ。」
そう言ってツナさんは、得意気に笑う。
ちょっとした腹黒オーラが混ざってるのは分かってた。
なのに、あたしの心臓は余計に跳ねてしまって。
『(な、何コレ…)』
おかしい、おかしいよ。
あたしってば、どうしたの?
今のは心拍数を上げるトコじゃない、怯えるトコなハズ…!
自分で自分が、分からなくて。
“穏やかスマイル”はキープ出来たものの、
お料理はほとんど味が無いように感じていた。
ヤムチャ
料理を堪能出来なかったのを悔やんだのは、帰りの車の中だった
continue...
『ん…?』
授業と授業の間、不意に震え始めた携帯をパカッと開く。
『ぎょえっ…』
変な声が漏れたのは仕方ないと思う。
だって、画面に表示された名前は…
『(つ、ツナさんだ……)』
電話じゃなくてメールだったけど、それでもあたしの中に不安を生みだすには充分だった。
とにかく、恐る恐る確認する。
スルーとかしたら普通に後が怖いし…
-「柚子、中華好き?」
『え、これだけ…??』
拍子抜けした直後、スクロールできることに気がつく。
まさか、この下にとんでもないメッセージが…!?
『(つか、改行多っ!!)』
どんなにスクロールしても終わりが来ない。
あーもーツナさんの暇人っ!!
-「今、俺が暇人だって思ったろ。」
『ぎょえっ…!』
やっとメッセージがあったと思ったら、読心術のようなコメント。
ビビって辺りを見回すけど、ツナさんはいない。
まぁ、この場にいたら女子に囲まれるから目立つハズだし。
ホッとしてスクロールを続けると、ようやく文章が見えた。
そしてあたしは、青ざめた。
-「3分以内に返信しないと…(笑)」
『なっ…!』
慌てて時刻を確認する。
やばい、あと20秒で3分間が終了する!!
大至急「好きです」とだけ打って、送信した。
『ふー…』
何とか間に合った…
ブーッ、ブーッ、
『(早っ!)』
-「じゃあ今晩中華料理店行くから、前にイーピンに貰ったチャイナドレス着ろよ。」
間。
『(どぅぇえええっ!!?)』
ちなみに、イーピンちゃんから貰ったチャイナドレスというのは、第22話“ニュートラル”参照です。
……って、読者様に言ってる場合じゃない!!
ツナさんからの横暴メールのおかげで、次の授業の間中ずっとぐるぐる悩んでいた。
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『ただいま帰りましたー…』
「お帰りなさい、僕の柚子♪」
『む、骸さん…!(汗)』
「聞きました?今日の夕飯は中華だそうです。」
『え、えぇ…』
引き気味笑顔で答えながら、あたしは考えた。
骸さんは、チャイナドレスのことを知ってるんだろうか……
アレって体のライン出るから、ヘンタイさんの前ではご遠慮したいのにっ…!
「おや、どうしました?柚子。」
『いっ、いえ!楽しみですねっ!』
「クフフ…これでもし柚子が僕の部屋にあるチャイナドレスミニver.を着てくれれば」
『なっ…何でそんなのあるんですか!!///絶対絶対着ませんからねっ!!』
どうやら骸さんは、ツナさんがあたしに衣装指定をしたのを知らないらしい。
てゆーか…
普通のチャイナドレスでもこんなに抵抗あるのに、
ミニなんて論外!!!
ひとまず部屋に戻って荷物を置いて、ツナさんが帰るまで待つことに。
『にしても、どうして急に中華なんでしょうかね?』
「測りかねますねぇ、特に思い当たることはありませんし……」
『クーポンでもゲットした、とか!』
「クフフ、柚子は面白い事を言いますね。」
『(うわっ…///)』
不意打ちを食らったような気がした。
骸さんの笑みがいつものヘンタイスマイルとは全然違うもので、
思わず赤面してしまった。
そうだよ、
骸さんって言動がちょっとアレなだけで、ルックスはいいんだよね…。
「クーポンを使うくらいなら、綱吉は脅迫してタダで食べますよ。」
『あ、そうですよね!』
「喧嘩売ってる?」
「おや。」
『ひょえっ!』
何と、それまで絶対いなかったハズのツナさんが、
黒過ぎる笑顔を見せて立っていた。
「柚子、まだ用意してないのかよ。早くしろ。」
『なっ…だって……まだ2時間ありますし…』
なるべく着てる時間減らしたいのに…
「何ですか!?用意って何の用意ですか!?僕の柚子っ!!」
『ノーコメントです!!』
「綱吉ー、柚子が教えてくれませんーっ。」
「俺も教えないよ。」
ダダをこねる骸さんを、一掃するツナさん。
すごい…!
やっぱこの人ってボスなんだ……
「ボーッと突っ立ってないで、用意しろっつの。」
『あ、はいっ!』
反射的に返事をして、0.5秒後に後悔。
あああああ反論するつもりだったのにーっ!!
「雇い主の言うことに反論する気?柚子。」
『…直ちに用意します……』
勝てない…(泣)
たとえ反論したとしても、あたしには勝ち目がない……
仕方なく部屋に戻り、チャイナドレスを引っぱり出して、着てみた。
『(うわ…)』
腰回りが…というかお腹が……
見るに耐えない…!
いやああああ!!
着てから改めて思ったけど、やっぱりいやだあああっ!!!
コンコン、
「着れた?柚子。」
『ぎょわーっ!!』
開けられたドアに過剰反応し、その辺にあった毛布をかぶった。
多分、開けた人・ツナさんには物凄い速度で大きな毛玉が形成されたように見えただろう。
「………何してんだよ、バカ柚子。」
『みみみ見ないで下さいっ!!無理です!体型的に無理があります!!』
「それは俺が判断するから、見せろ。」
『断固拒否です!!』
10秒ほど、膠着状態が続いた。
『ホントにっ…コレは無理です……何か、やたらピッチリしてるし……ギュッてするし…』
真面目にそう訴えたら、ツナさんは「もしかして」と呟いた。
「じゃあさ、肩ら辺まででいいから見せろ。」
『へ…?』
か、肩までなら……
ツナさんの神様のような妥協に、あたしも妥協した。
頭までかぶってた毛布を、腕半分くらいまで下げる。
「あー、やっぱり。」
『…何がですか?』
「ほら、ココ。」
ツナさんはずいっと近寄って、あたしの肩を指さした。
「柚子の肩のラインと、服のラインがずれてる。小さいんだな、サイズ。」
な、何ですと!!?
『じゃあコレ…着なくていいんですか?』
「しょーがないなぁ…ま、イーピンもあぁ見えて天然なトコあるし。」
イーピンちゃんグッジョブ!!!
あたし今、救われました!!
「俺的にはそれでもいーけど…」
『い、嫌ですよ!!』
「骸に見られるのはヤダし…」
『(そこですか!?)』
確かにそれも重大な問題ですけど…!
てゆーかあたしは基本的に誰にも見せたくないです!!
「それに、向こうもビビるだろうしなー…」
『向こう…?』
「ん?あぁ、今日同席する同盟ファミリーの人達。」
間。
『きっ、聞いてませんよそんな話!!』
「そりゃー言ってないし。」
『て事はあたし、また…』
「そ、婚約者♪」
あああああ!!
神様の意地悪ーっ!!
あのパーティーで全て終わったと思ったのにーっ!!
「ねぇ、まだなの?」
「あ、雲雀さん。」
『ぎょわっ!』
あたしはまた毛布をかぶる。
何で雲雀さんて神出鬼没なのよっ。
「そのバカでかい毛玉、何?柚子?」
「まぁスルーの方向でお願いします。」
「ふぅん……とにかく早くしなよ、あとは君たちだけだから。」
『えっ!もう皆さん準備出来たんですか!?』
遅れをとってしまったことに吃驚して、顔だけ毛布からピョコッと出す。
「皆っていうか、俺と柚子と雲雀さんと骸だけ。」
『えぇっ!?』
「同盟ファミリーとの食事は、大抵少人数ずつだからね。」
『(は、初耳…!)』
にしても、山本さんや了平さんがいないなんて…
あたし、生きていけるのかな……
「んじゃあ、ずっと前に着たドレスでも着ろ。外で待ってるから。」
『あ、はぁ…』
チャイナドレスじゃなくて良かったけど…
再び婚約者役しながらのディナーだんて…
泣きたい。
精神的ダメージを引きずりながら、あたしはなるべく急いで着替えた。
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『お、お待たせしました…』
ドアを開けたら、そこにはツナさんと雲雀さん。
どうやら恐怖2人で待っていてくれたらしい。
「うん、綺麗だよ。」
「悪くないんじゃない。」
『(うっ…///)あ、ありがとうございます…』
急いでたからメイクも簡単なのだし、髪も梳かしただけだし…
「こないだの、覚えてるよな?」
『へ?』
「ビアンキに教わったんだろ?」
…………あ!穏やかスマイル!!
『はいっ、大丈夫です!』
「よし、じゃ行こう。」
今日の運転は骸さんがするらしい。
運転出来たんだー…
ツナさんとあたしは後ろ、雲雀さんが助手席に座る。
「そうだ柚子、コレつけて。」
『え、うわっ…!』
車の中だってのに、ツナさんは高そうなイヤリングを差し出した。
あ、あたしには勿体ないような気が…
というか、大きな鏡とか今ココに無いし。
「大丈夫、俺がつけるから。」
『ふぇっ…!?///』
「ジッとしろ。」
『はいっ…!』
ツナさんと真正面から向き合って、妙に緊張する。
髪の毛をそっと退ける手が、いつもよりずっと優しい。
目が合いそうで、合わない。
ツナさんの視線はあたしの耳に向いてるから、それは当然なんだけど。
こんな時、頭の中は驚くほど冷静で、
テンパってるのは心臓だけで。
あたしは今、男の人にアクセサリー付けて貰ってて……///
うわあダメだ!!
考えたらショックで倒れそう!!///
そう思ったにも関わらず、脳みそは状況分析を続ける。
あたし…3人の男の人と車に乗ってる…
どうしよう、何だか変な焦燥感……
「はい、出来た。」
『あ、ありがとうございます…///へ、変じゃないですか?』
「俺が選んだんだから、変なワケないだろ。」
そう言ってツナさんは、得意気に笑う。
ちょっとした腹黒オーラが混ざってるのは分かってた。
なのに、あたしの心臓は余計に跳ねてしまって。
『(な、何コレ…)』
おかしい、おかしいよ。
あたしってば、どうしたの?
今のは心拍数を上げるトコじゃない、怯えるトコなハズ…!
自分で自分が、分からなくて。
“穏やかスマイル”はキープ出来たものの、
お料理はほとんど味が無いように感じていた。
ヤムチャ
料理を堪能出来なかったのを悔やんだのは、帰りの車の中だった
continue...