🎼本編
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こんばんは、柚子です。
只今非常に困っております。
だって………
『(暇過ぎるーーーーっ!!)』
ビアンキさんから教わった穏やかスマイル効果なのかな、
端っこの方でパスタ食べてるだけで、誰にも話しかけられない!
挨拶のお辞儀ぐらいはされるけどさー…
ここまで暇なのもどうかと。
ダンスが終わって、ツナさんは仕事の話をしにスーツのおじさま達と向こうの方へ行ってしまった。
獄寺さんが付いてったみたい。
他の方は…うん、言いよられてるっぽい。
さっきから女の人達に囲まれっ放し。
『(やっぱり皆さんカッコいいんだなぁ…)』
そんな人達と一緒の建物で寝泊まりしてるって、結構すごいんだと再認識。
にしても、ホントにこのパスタおいしいっ!!
『(幸せ~~♪)』
暇過ぎるから食べ物のおいしさに浸っていようと思った、その時。
突然誰かに後ろから目隠しされて、真っ暗になる。
『えぇっ!?』
「だーれだっ♪」
『(こ、この声は…!)……ベルさんですか?』
「あったりー!」
パッと手を退けて、前に回り込むベルさん。
頭の上にはマーモンさんもいる。
「暇そーだね、メイドの柚子ちゃん。」
『そうなんですよ、あのー…他の皆さんは?』
「知らね。ボスはこーゆートコ嫌いっぽいし、ロン毛とムッツリはボスに付いてったらしーし。オカマは…」
「男探ししてるよ。」
『あー…なるほど。』
妙に納得したあたしの手元を見て、ベルさんは首を傾げる。
「うめーの?ソレ。」
『あ、はいっ!もうこのソースがとっても!!』
「じゃあ王子も食う!」
「僕も貰うよ。」
とか言いながら、お2人ともお皿を持ってないし、動こうとしない。
あ、コレってアレか。
あたしがパスタよそる感じですか。
「ししっ、よく分かったじゃん。」
『どうも……』
2人分をよそって、ベルさんに渡した。
「ふーん、まぁまぁじゃね?」
「不味くはないね。」
お2人の感想はちょっとだけ捻くれてるような気がしたけど、仲良く食べてる姿は結構可愛いなと思った。
ふと、マーモンさんが思い出したように口を開いた。
「そう言えば、向こうにもパスタあったね。」
「え?マジで?王子見てねー。」
「注意力が欠けてるんじゃないのかい?」
「うわ、チビのくせに生意気ーっ。」
「ム。」
『お、お2人ともっ…!』
話が逸れそうだったから、喧嘩を止める。
マーモンさんは不服そうにこっちを向いて、続きを言った。
「とにかく、向こうのは味が違ったみたいだよ。食べてみれば?」
『違う味なんですかっ!?じゃあ…ちょっと行ってきます!』
「ししっ、食い意地張ってんな。」
『うっ……』
そうだけど、でも……
食べたいモノは食べたいっ!!
本場のパスタだし、なるべく食べておきたい。
そう思ったあたしは、会場の反対側の隅に移動した。
テラスからの風があって、少し肌寒い。
『(えーっと、パスタパスタ……)』
ミートソースかクリームソースかトマトソースかも分からないから、麺類を片っ端から探すしかない。
だけど、ボンゴレは日本贔屓なんだろーか、うどんとかもあってややこしい。
『(えぇ!?これ焼きそばじゃんっ。)』
無我夢中で探していると……
トンッ、
「きゃっ、」
『あ、ごめんなさいっ!大丈夫ですか!?』
ちょっと肩がぶつかっちゃって、慌てて振り返る。
するとそこには、軽く眉をひそめたスタイル抜群のお姉さんが立っていた。
あたしと、同い年くらい…?
「気をつけてよね!」
『す、すみませんっ…!』
ぺこっと頭を下げる。
あぁ…タチ悪いのにぶつかっちゃったなぁ……
心の中で後悔しながらゆっくり頭を上げると、お姉さんがあたしをじろじろ見てることに気付いた。
「ちょっと貴女、」
『はい?』
「まさか…さっき舞台上にいた女?」
『………へ?』
それってもしや、あたしがツナさんの婚約者として紹介されたか否かを聞いてらっしゃる…??
あ~~どーしよ~~~……
だってさ、出来れば名乗りたくないんだよ。
婚約者役やるの、心底嫌なんだから。
「ちょっと!答えなさいよ!」
『はい…そうですが……』
はぁ…言っちゃった…。
でも舞台上にいたことは確かだし、仕方ないのかな。
って、あれ?
何かお姉さん、オーラ豹変してってる……?
「アッハハハハハ!!」
『(壊れた!?)』
「パパから聞いた通りだわ。こんな貧相な女が私の代わりに選ばれたの?」
“パパから聞いた”…?
一体何を?
“私の代わり”…?
一体誰が?
スタイル抜群お姉さんは、あたしを改めて上から下までジロッと見る。
あたしの方は、頭をフル回転させてお姉さんの言ってる内容を理解しようとしていた。
『(まっ…まさか!)』
---「ど…どういう事だ!君の婚約者はうちの娘という話だったじゃないか!!」
---「うちの娘が…こんな貧相な女に劣ると言うのか!!」
「信じられないわ、ホント。」
『(あ、アレだーーーっ!!)』
*第5話参照
待って、アレだとしたら……
もしやピンチフラグじゃないですか!!?
「調子に乗らないことね、あんたみたいな女、綱吉さんに相応しくないんだから。」
『……そんな事、分かってます。』
てゆーか相応しくなりたくもないし!
こっちは器楽サークルだって聞いてたし、そう信じてたの!
騙されてココにいるんだからっ。
『(…って、このお姉さんに言っても無駄だよね……)』
感情的になるのは良くない。
そう思って、あたしはなるべく静かに答えた。
「分かってるんだったらドレスを着るのやめたら?黒スーツでも着て、役目に専念しなさいよ。」
『役目…?』
この人、あたしの家政婦って役職を知ってるんだろうか。
いや、だとしたら黒スーツなんて言わないハズだし……
不思議になって聞き返してみたら、とんでもない答えが返って来た。
「そうよ、綱吉さんがあんたみたいな女を婚約者に選ぶワケない。あんたは言わば……弾避けよ!」
『弾避け……?』
そんな単語、漫画の中だけだと思ってた。
このお姉さん、何て?
あたしが弾避けだって言った?
吃驚して軽くフリーズするあたしに、お姉さんは続ける。
「綱吉さんのような立場だったら、それはたくさんの輩に狙われるでしょうね。どこから銃弾が飛んで来てもおかしくない……だから貴女を側に置くのよ。」
『そ、んな……』
そんなの、あり得ない。
あたしが弾避け?
ツナさんは、その為に選んだ?
あの人が、他人の命を使い捨てみたいに…?
ボーッと色々考えるあたしを見て、お姉さんは高笑いした。
そんな間抜けな顔でもしてるのかな。
「あははっ!ショックでも受けたかしら?でも本当の事よ。貴女なんて、ただの弾避け……」
パシッ、
気付いたら、引っ叩いてた。
「お嬢様!!」
お姉さんの側にいたSPの人が、大きな声でそう言った。
「なっ……何すんのよ!この…」
『次期ボンゴレボスに失礼です。発言を慎んで下さい。』
あーあ、こんなドラマみたいな事、するつもり無かったのにな……
けど、やっぱり無理だった。
「たっ…弾避け女が何言ってんのよ!!私を叩くなんて…パパが黙ってないわよ!!」
「落ち着いて下さい、お嬢様!!」
『弾避け上等ですよ、今だってそんな感じですし。』
落ち着くのよ、柚子。
平常心で反論しなさい。
どうして今怒ってるのか、あたしが自分で理解しなくちゃ。
『相応しくないのは承知の上です。』
ツナさんに、良い待遇なんてされた覚えあんまりない。
家政婦だってこき使われるし、婚約者役だって突然だったし。
けど、獄寺さんや皆さんにとって、ツナさんが良いボスなんだってコトは、
一緒に過ごしてて良く分かったから。
『あたしは弾避けになってもおかしくない一般人です。けど、貴女は一つ間違ってる。』
横暴だけど、
腹黒だけど、
演技派だけど、
意地悪だけど、
ボスの器って言うのかな……
あたしはソレを、今までで少しずつ感じ取ってきた。
「何が…何が違うって言うの!?」
『ツナさんは、どんな人の命も使い捨てにしたりしません。』
赤くなった左頬に手を添えるお姉さんに、ハッキリと言った。
『あたしよりもツナさんの事を知らないまま、分かったような口を利くのはやめて下さい。』
弾避けで選んだ?
うん、それでもいいや。
むしろ婚約者役よりはそっちが楽だったのかも。
だけど、違うって分かっちゃったから。
ツナさんは横暴ボスだけど、どんな命でも大切にする人だって、知ってしまったから。
『貴女個人の憶測で、ツナさんの人間性を疑わせるような発言をするのは謹んで下さい。』
「ふっ……不愉快だわ!帰る!!」
「お嬢様っ…!」
あたしに背を向けて、お姉さんはツカツカ歩いて行った。
『……………はあ~~~~っ、』
「すげーじゃん、メイドの柚子ちゃん。」
『へ…?』
一気に力が抜けて、長い溜め息をついた。
で、後ろから声をかけて来たのはベルさん。
『い、いつの間に…!』
「一部始終見てたし。どーなるかなって。」
「なかなかスカッとしたよ。」
『なっ…!いらしたんなら声かけて下さいよーっ!』
「ししし♪」
楽しそうに笑うベルさんに、もう何も言う気力も起きなかった。
そして、結局パスタはマーモンさんが見つけてくれた。
『ありがとうございますーっ!!これもおいしいですねっ♪』
「つーかさ、メイドの柚子ちゃんは沢田綱吉のコトすんごーく好きなワケ?」
『……えぇっ!!?』
「ム?どうしてそんなに驚くんだい?」
『いや、あの……嫌いじゃないってだけで、恋愛感情は特に……』
「はぁー!?あんな庇っといて!?」
『あ、アレは……』
一緒に過ごした時間の分だけ、あのお姉さんよりあたしの方がツナさんの人柄を知ってるって、
そんな確信があっただけで。
「柚子ちゃーん?」
「柚子?」
『とにかく!違うんですよ!!』
たった一つ分かっている事、それは……
あの素敵な音色を生み出すツナさんが、
お姉さんの言ってたような人道に反する行為をするワケないって事。
『何となくですけど……信じてるんですっ。』
言葉にしたら照れくさくなって、直後にパスタを口に入れた。
その様子を、テラスの外から見られているのに気がつかないまま……。
モットー
あたしの直感が働くままに、貴方を信じようと思う。
continue...
只今非常に困っております。
だって………
『(暇過ぎるーーーーっ!!)』
ビアンキさんから教わった穏やかスマイル効果なのかな、
端っこの方でパスタ食べてるだけで、誰にも話しかけられない!
挨拶のお辞儀ぐらいはされるけどさー…
ここまで暇なのもどうかと。
ダンスが終わって、ツナさんは仕事の話をしにスーツのおじさま達と向こうの方へ行ってしまった。
獄寺さんが付いてったみたい。
他の方は…うん、言いよられてるっぽい。
さっきから女の人達に囲まれっ放し。
『(やっぱり皆さんカッコいいんだなぁ…)』
そんな人達と一緒の建物で寝泊まりしてるって、結構すごいんだと再認識。
にしても、ホントにこのパスタおいしいっ!!
『(幸せ~~♪)』
暇過ぎるから食べ物のおいしさに浸っていようと思った、その時。
突然誰かに後ろから目隠しされて、真っ暗になる。
『えぇっ!?』
「だーれだっ♪」
『(こ、この声は…!)……ベルさんですか?』
「あったりー!」
パッと手を退けて、前に回り込むベルさん。
頭の上にはマーモンさんもいる。
「暇そーだね、メイドの柚子ちゃん。」
『そうなんですよ、あのー…他の皆さんは?』
「知らね。ボスはこーゆートコ嫌いっぽいし、ロン毛とムッツリはボスに付いてったらしーし。オカマは…」
「男探ししてるよ。」
『あー…なるほど。』
妙に納得したあたしの手元を見て、ベルさんは首を傾げる。
「うめーの?ソレ。」
『あ、はいっ!もうこのソースがとっても!!』
「じゃあ王子も食う!」
「僕も貰うよ。」
とか言いながら、お2人ともお皿を持ってないし、動こうとしない。
あ、コレってアレか。
あたしがパスタよそる感じですか。
「ししっ、よく分かったじゃん。」
『どうも……』
2人分をよそって、ベルさんに渡した。
「ふーん、まぁまぁじゃね?」
「不味くはないね。」
お2人の感想はちょっとだけ捻くれてるような気がしたけど、仲良く食べてる姿は結構可愛いなと思った。
ふと、マーモンさんが思い出したように口を開いた。
「そう言えば、向こうにもパスタあったね。」
「え?マジで?王子見てねー。」
「注意力が欠けてるんじゃないのかい?」
「うわ、チビのくせに生意気ーっ。」
「ム。」
『お、お2人ともっ…!』
話が逸れそうだったから、喧嘩を止める。
マーモンさんは不服そうにこっちを向いて、続きを言った。
「とにかく、向こうのは味が違ったみたいだよ。食べてみれば?」
『違う味なんですかっ!?じゃあ…ちょっと行ってきます!』
「ししっ、食い意地張ってんな。」
『うっ……』
そうだけど、でも……
食べたいモノは食べたいっ!!
本場のパスタだし、なるべく食べておきたい。
そう思ったあたしは、会場の反対側の隅に移動した。
テラスからの風があって、少し肌寒い。
『(えーっと、パスタパスタ……)』
ミートソースかクリームソースかトマトソースかも分からないから、麺類を片っ端から探すしかない。
だけど、ボンゴレは日本贔屓なんだろーか、うどんとかもあってややこしい。
『(えぇ!?これ焼きそばじゃんっ。)』
無我夢中で探していると……
トンッ、
「きゃっ、」
『あ、ごめんなさいっ!大丈夫ですか!?』
ちょっと肩がぶつかっちゃって、慌てて振り返る。
するとそこには、軽く眉をひそめたスタイル抜群のお姉さんが立っていた。
あたしと、同い年くらい…?
「気をつけてよね!」
『す、すみませんっ…!』
ぺこっと頭を下げる。
あぁ…タチ悪いのにぶつかっちゃったなぁ……
心の中で後悔しながらゆっくり頭を上げると、お姉さんがあたしをじろじろ見てることに気付いた。
「ちょっと貴女、」
『はい?』
「まさか…さっき舞台上にいた女?」
『………へ?』
それってもしや、あたしがツナさんの婚約者として紹介されたか否かを聞いてらっしゃる…??
あ~~どーしよ~~~……
だってさ、出来れば名乗りたくないんだよ。
婚約者役やるの、心底嫌なんだから。
「ちょっと!答えなさいよ!」
『はい…そうですが……』
はぁ…言っちゃった…。
でも舞台上にいたことは確かだし、仕方ないのかな。
って、あれ?
何かお姉さん、オーラ豹変してってる……?
「アッハハハハハ!!」
『(壊れた!?)』
「パパから聞いた通りだわ。こんな貧相な女が私の代わりに選ばれたの?」
“パパから聞いた”…?
一体何を?
“私の代わり”…?
一体誰が?
スタイル抜群お姉さんは、あたしを改めて上から下までジロッと見る。
あたしの方は、頭をフル回転させてお姉さんの言ってる内容を理解しようとしていた。
『(まっ…まさか!)』
---「ど…どういう事だ!君の婚約者はうちの娘という話だったじゃないか!!」
---「うちの娘が…こんな貧相な女に劣ると言うのか!!」
「信じられないわ、ホント。」
『(あ、アレだーーーっ!!)』
*第5話参照
待って、アレだとしたら……
もしやピンチフラグじゃないですか!!?
「調子に乗らないことね、あんたみたいな女、綱吉さんに相応しくないんだから。」
『……そんな事、分かってます。』
てゆーか相応しくなりたくもないし!
こっちは器楽サークルだって聞いてたし、そう信じてたの!
騙されてココにいるんだからっ。
『(…って、このお姉さんに言っても無駄だよね……)』
感情的になるのは良くない。
そう思って、あたしはなるべく静かに答えた。
「分かってるんだったらドレスを着るのやめたら?黒スーツでも着て、役目に専念しなさいよ。」
『役目…?』
この人、あたしの家政婦って役職を知ってるんだろうか。
いや、だとしたら黒スーツなんて言わないハズだし……
不思議になって聞き返してみたら、とんでもない答えが返って来た。
「そうよ、綱吉さんがあんたみたいな女を婚約者に選ぶワケない。あんたは言わば……弾避けよ!」
『弾避け……?』
そんな単語、漫画の中だけだと思ってた。
このお姉さん、何て?
あたしが弾避けだって言った?
吃驚して軽くフリーズするあたしに、お姉さんは続ける。
「綱吉さんのような立場だったら、それはたくさんの輩に狙われるでしょうね。どこから銃弾が飛んで来てもおかしくない……だから貴女を側に置くのよ。」
『そ、んな……』
そんなの、あり得ない。
あたしが弾避け?
ツナさんは、その為に選んだ?
あの人が、他人の命を使い捨てみたいに…?
ボーッと色々考えるあたしを見て、お姉さんは高笑いした。
そんな間抜けな顔でもしてるのかな。
「あははっ!ショックでも受けたかしら?でも本当の事よ。貴女なんて、ただの弾避け……」
パシッ、
気付いたら、引っ叩いてた。
「お嬢様!!」
お姉さんの側にいたSPの人が、大きな声でそう言った。
「なっ……何すんのよ!この…」
『次期ボンゴレボスに失礼です。発言を慎んで下さい。』
あーあ、こんなドラマみたいな事、するつもり無かったのにな……
けど、やっぱり無理だった。
「たっ…弾避け女が何言ってんのよ!!私を叩くなんて…パパが黙ってないわよ!!」
「落ち着いて下さい、お嬢様!!」
『弾避け上等ですよ、今だってそんな感じですし。』
落ち着くのよ、柚子。
平常心で反論しなさい。
どうして今怒ってるのか、あたしが自分で理解しなくちゃ。
『相応しくないのは承知の上です。』
ツナさんに、良い待遇なんてされた覚えあんまりない。
家政婦だってこき使われるし、婚約者役だって突然だったし。
けど、獄寺さんや皆さんにとって、ツナさんが良いボスなんだってコトは、
一緒に過ごしてて良く分かったから。
『あたしは弾避けになってもおかしくない一般人です。けど、貴女は一つ間違ってる。』
横暴だけど、
腹黒だけど、
演技派だけど、
意地悪だけど、
ボスの器って言うのかな……
あたしはソレを、今までで少しずつ感じ取ってきた。
「何が…何が違うって言うの!?」
『ツナさんは、どんな人の命も使い捨てにしたりしません。』
赤くなった左頬に手を添えるお姉さんに、ハッキリと言った。
『あたしよりもツナさんの事を知らないまま、分かったような口を利くのはやめて下さい。』
弾避けで選んだ?
うん、それでもいいや。
むしろ婚約者役よりはそっちが楽だったのかも。
だけど、違うって分かっちゃったから。
ツナさんは横暴ボスだけど、どんな命でも大切にする人だって、知ってしまったから。
『貴女個人の憶測で、ツナさんの人間性を疑わせるような発言をするのは謹んで下さい。』
「ふっ……不愉快だわ!帰る!!」
「お嬢様っ…!」
あたしに背を向けて、お姉さんはツカツカ歩いて行った。
『……………はあ~~~~っ、』
「すげーじゃん、メイドの柚子ちゃん。」
『へ…?』
一気に力が抜けて、長い溜め息をついた。
で、後ろから声をかけて来たのはベルさん。
『い、いつの間に…!』
「一部始終見てたし。どーなるかなって。」
「なかなかスカッとしたよ。」
『なっ…!いらしたんなら声かけて下さいよーっ!』
「ししし♪」
楽しそうに笑うベルさんに、もう何も言う気力も起きなかった。
そして、結局パスタはマーモンさんが見つけてくれた。
『ありがとうございますーっ!!これもおいしいですねっ♪』
「つーかさ、メイドの柚子ちゃんは沢田綱吉のコトすんごーく好きなワケ?」
『……えぇっ!!?』
「ム?どうしてそんなに驚くんだい?」
『いや、あの……嫌いじゃないってだけで、恋愛感情は特に……』
「はぁー!?あんな庇っといて!?」
『あ、アレは……』
一緒に過ごした時間の分だけ、あのお姉さんよりあたしの方がツナさんの人柄を知ってるって、
そんな確信があっただけで。
「柚子ちゃーん?」
「柚子?」
『とにかく!違うんですよ!!』
たった一つ分かっている事、それは……
あの素敵な音色を生み出すツナさんが、
お姉さんの言ってたような人道に反する行為をするワケないって事。
『何となくですけど……信じてるんですっ。』
言葉にしたら照れくさくなって、直後にパスタを口に入れた。
その様子を、テラスの外から見られているのに気がつかないまま……。
モットー
あたしの直感が働くままに、貴方を信じようと思う。
continue...