🎼本編
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「ム、こいつは……ムカつく霧の守護者じゃないか。」
「ししっ、マーモンまだ恨んでんの?」
「ねぇ、コイツ死んでるのかい?」
『いえ……あの、眠っておられるんです…』
とりあえず名前を聞いた結果、どうやらこの人たちが管弦楽団だって事が判明。
だから大広間に通してみたんですが……
これほど骸さんに起きてて欲しいと思うなんて…!!!
骸さーん!ヘルプです!!
只今あたし、盛大にヘルプを求めております!!
「う"お"ぉい、」
『は、はい!』
「あのムカつくガキ共はいねーのかぁ!?アイツらが言い出したんだぞぉ。」
長い銀髪の方に話しかけられて、あたしはお盆をギュッと握る。
どーしよ……怖くてちゃんと喋れない…。
『今、同盟ファミリーとの会談に出かけておりまして……じきに戻ると思います。』
「会談だぁ!?ったく…わざわざ来たってのによぉ……」
『も、申し訳ございません!!』
あーん!何であたしが謝ってんのよー!!
あたし悪い事してない!何もしてないのにー!!
ってか、この人たち全体的に雰囲気おかしいよ……
何で反射的にこんなにビクビクさせられるの!?
あーやっぱり聞き間違いじゃないんだ。
あの……“暗殺”って単語は…
「ちょっとスクアーロー、ダメじゃないのー。」
「あ"?」
「その子、怯えちゃってるわよ?」
体格のいいサングラスの人が発した言葉に、あたしは泣きそうになるくらいホッとする。
まともな人がいたんだ、と。
でも次の瞬間、また凍らされた。
「やっぱりココで悪夢を見せなくちゃ気が済まないよ。」
「ししっ、遊ぶんなら俺も入れてよマーモン。コイツ切り刻んでれば暇つぶしになんじゃね?」
『えっ…!?』
振り向くと、ソファに寝てる骸さんの傍に2人の人が。
しかも何だか危ない会話!??
『あ、あの!』
「ム?」
「何か用ー?」
手の震えを必死に抑えながら、2人に言う。
『紅茶お入れしましたので…お席に……』
「後で飲むよ。」
「サンキュー、メイドの女の子♪」
メイドじゃないっ!!
あー違う、そこじゃないのよ。
どーしよう…骸さんに身の危険が迫ってるんじゃない?
でもあたしに止められるワケないし…
と、今度はテーブルの方から。
「ボス、やはりココの奴らをイタリアに来させた方が……」
「文句なら後で沢田綱吉に腐る程言わせてやる、黙ってろレヴィ。」
「………分かりました。」
あ、すごい。
今あたし、管弦楽団さんのうち半分の名前分かったよ!
ツナさん褒めて!!
机に足乗せてるのがボスさんで、
黒髪ツンツンでピアスしてるのがレヴィさん、
銀色の長い髪の人がスクアーロさんで、
小さいフードの子がマーモンさん……
よし、あと3人!!
いや2人?あれって機械じゃないの??
『あ、あのー…』
「あ"ぁ?」
怖っ!!
でも頑張るのよ柚子、やれば出来る子なんだから!
『管弦楽団さん達は…楽器はどちらに?』
「楽器だぁ?モスカが持ってんじゃねーのかぁ?」
おお!スクアーロさんって言葉遣いとか目つき超悪いけど意外と話せる!!
『あ、あの、モスカさんってどちらですか?』
「あ"ぁ!?そこの機械に決まってんだろーがぁ!!」
ひえええ!
でも分からない!普通分かりませんから!!
「モスカってゆーのはね、この機械のことなの。」
『はぁ…(やっぱり機械……)』
サングラスの人が優しく説明してくれる。
嬉しいっ…この人がココにいてくれて良かった…!
『あのっ、失礼ですがお名前は……』
「あら!ごめんなさいね。私はルッスーリアよ、宜しくねん♪」
はうっ!何て話しやすい人!!
『あたし、牧之原柚子っていいます!宜しくお願いしますっ!!』
「んまぁ!柚子ちゃんって可愛い名前ねvV」
『あ、ありがとうございますっ///』
ちょっと照れくさくなって頬を掻く。
と、後ろから会話乱入者が。
「なぁ、牧之原柚子って……王子どっかで聞いたんだけど。」
「あら、本当?ベルちゃん。」
『(あのティアラの人、ベルさんっていうんだ………ってか、一人称“王子”!!?)』
心の中で吃驚しまくるあたしを他所に、ベルさんの肩に乗ってるマーモンさんも呟く。
「“柚子”…?確かに何処かで聞いたね。」
「マモちゃんも?じゃあスクは?レヴィは?」
「俺が知るかぁ!!」
「知らん。」
あっれー??
何で聞き覚えある名前みたいになってんのかなー?
ヤダな、すごーく嫌な予感するな……
だってこの人たち、ボンゴレ……なんだよね…?
管弦楽団さんが皆で「う~ん」と唸り始めた、その時。
「………フィアンセ…」
『え…?』
机に足を乗せていたボスさんが、赤い瞳であたしを見ながら小さく言った。
でもって、あたしは硬直した。
な、何ですと…?
これはアレですか、嫌な予感当たっちゃった感じですか。
「思い出したよ。牧之原柚子、あの沢田綱吉のフィアンセだ。」
「あー!そーだった。」
「そう言えば先日、向こうの晴の守護者が来た時に言っていたな。」
「そーだったかしら…?」
「んなどーでもいい事なんて忘れたぜぇ…」
了平さんんんんん!!!!!
何で!?信じてたのに!!
あ、そっか!了平さんの前でちゃんと否定した事無いんだった!!
「じゃあこのメイド、沢田綱吉のフィアンセー?」
「まぁまぁ!ヤダどうしましょ!お披露目前に会っちゃったわ!!」
『お、お披露目…?』
待って、思い出すのよ柚子。
確かディーノさんがいらした時、似たような事を………
---「ボンゴレ10代目フィアンセのお披露目だからな!」
でもって雲雀さんが…
---「演奏会を開くんだよ。」
やばい。
物事が繋がって推理ドラマみたいに真相が見えて来た。
だけどそれは……
見たくもない真相だったりするのでは!!?
あたしが物凄い勢いで青ざめ始めた、その時。
「ただいまー。」
「帰ったぞ。」
『あっ…!』
「う"お"ぉい!!やっと来やがったかぁ!!」
「15分も待たせるなんて、マナーがなってないね。」
何か色々言ってる管弦楽団さん達を大広間に残し、あたしはダッシュで玄関へ。
別にさ、
ツナさん大好き!とかじゃないのにさ、
『お帰りなさいツナさぁぁぁぁぁん!!!!』
この上なく会いたかったよ。
ご帰宅を待ちわびましたよ。
「あぁ、もう来てる?」
『当たり前じゃないですかぁ!あたし……あたしっ…』
何か今更になって、体が震え出す。
そんなあたしを見たツナさんは、ポンと頭に手を乗せて。
「よしよし、頑張ったな。」
『こっ、子供扱いやめて下さいっ…!///』
口を尖らせると、バカにしたような笑みを返された。
とりあえず、お客様を待たせちゃいけないって事で、ツナさんとリボーンさんと一緒に大広間へ。
獄寺さんは車庫入れしてから戻って来るらしい。
「こんにちは、お久しぶりです。」
「ちゃおっス、ヴァリアー。」
「てめぇら…巻き込んどきながらよくも待たせてくれたなぁ!!?」
「黙れカス。」
ヒュー…ゴッ、
「う"お"っ…!」
『あ…』
あのグラスめっちゃ高そうなヤツ(本当の値段は知らない)なのにーーーーっ!!!
な、何で!?
ボスさん怖いよーっ!
スクアーロさん…可哀想だ……
「説明しやがれ。」
『(ひいっ!)』
鋭い、とはちょっと違う、独特の威厳を持った眼光。
それが真直ぐツナさんに向けられて、その一言は放たれた。
ツナさんは「分かりました」と言ってから、空いてる席に座る。
「柚子、楽譜ある?」
『あ、骸さんが仕上げたヤツですか!?演奏室に持ってっちゃいました…』
仕上げた本人はまだ眠りの中だし、あたしが取りに行かせられるのかと思いきや。
「俺が取って来るぞ。」
『リボーンさんっ?』
何故かいつもは俺様なリボーンさんが行ってしまう。
『(あっ、そーだ!)』
ジャージのポケットに手を突っ込み、ハンカチを取り出した。
だってスクアーロさん、お茶かぶったまんま……
『あ、あの…』
「何だぁ。」
『宜しければ、コレで髪の毛拭いて下さい。風邪引いてしまいますから…』
「はぁ"!?」
『す、すみませんっ、やっぱりタオル持って来た方がいいですよねっ!すぐにお持ちしまs……』
スクアーロさんの目つきが怖くて、慌てて下がろうとした。
けど、ガシッと腕を掴まれて。
「それでいいぜぇ、ありがとなぁ。」
『あ…はいっ!』
ちょっと、嬉しくなった。
やっぱりこの人、いい人なのかも知れない。…怖いだけで。
と、ココでリボーンさんが戻って来る。
車庫入れを終えた獄寺さんも一緒だった。
「どうぞ、皆さんの楽譜です。」
「あら、本当に用意してくれたのね!助かるわぁ~♪」
それぞれに配るツナさんに、ルッスーリアさんがお礼を言う。
他の方はジーッとそれを見た。
「ボレロなんで、基本的に固定フレーズの連続です。これならすぐに出来ると思って。」
ツナさんの敬語は珍しいな、なんて思いながら、
結局あたしは楽器を見せてもらい損ねてる事にも気がつく。
「どうですか?もし良ければ、上の演奏室で音合わせでも。」
「………モスカ、」
ボスさんが呼びかけると、モスカと呼ばれた機械は傍においてあった大きな黒いケースを開けた。
『わあっ…!』
思わず、声をあげてしまった。
大きな大きな黒いケースに入っていたのは、6つの楽器。
それを見たツナさんは、にこりと笑って。
「じゃ、案内します。獄寺君、骸起こして。」
「はいっ!」
パイナップルの葉っぱ部分を引っ張って、叩き起こす獄寺さん。
一方リボーンさんは、マーモンさんに話しかけていた。
「バイパー、お前何で小せぇんだ?それ、幻覚だろ。」
「バカには関係ないだろ。この方が色々と好都合でね。」
『お2人は、お知り合いなんですか?』
「腐れ縁だぞ。コイツは本当は俺と同じくれーなんだ。」
『え…!?』
だって、マーモンさんって赤ん坊みたいに小さいのに……?
「幻覚で小さい姿にとどめてあるみてーだな。」
『でも、可愛いです♪』
「ム?」
『あ、お気に障りましたか!?ごめんなさいっ!』
「……別に、何でも無いよ。」
フードをより深くかぶったマーモンさん。
すると、楽器を持ったベルさんがドアの方から呼びかける。
「マーモン、置いてくぜー。」
「ム。」
皆さんは楽器を持って大広間から演奏室に移動しようとしていた。
マーモンさんは椅子からピョンと降りて、黒いケースの端の方に入ってる楽器…ピッコロを手にする。
そしてベルさんの肩に飛び乗った。
『(可愛い…///)』
「柚子、早く来い。」
『あ、あたしも行っていいんですか!?』
「来なくちゃいけねーんだっての、柚子も弾くんだから。」
ツナさんてば、何を言い出すの?
あたしもそのボレロに参加するんですか!!?
ツナさん達と、管弦楽団さん達と、一緒に弾くんですかーー!!?
「おい、」
『えっ…?』
不意に話しかけてきたのは、一番最後に席を立ったボスさん。
そのヤバい眼力に圧倒されつつ、返答。
『な、何でしょう…?』
「いい加減うるせぇ。」
間。
ええぇぇぇええぇえ!!?
「るせぇってんだよ。」
も、もしかして、
もしかすると、
もしかしなくても……
『もしかしちゃったりするんですかぁぁあ!?』
「チッ…」
舌打ちーーー!!!(滝汗)
しかも何か…
コォォォ…
ボスさんの手、光ってません?
カッ…!
『ひょえっ…』
ボスさんの手が光ってるのを見た直後、辺り一面が眩しくなる。
同時にあたしは、グッと腕を引っ張られて。
「……ったく、世話の焼ける。」
『つ、ツナさんっ…!?』
「ザンザスも、俺のフィアンセ燃やそうとしないで下さい。柚子がうるさいのは元からですから。」
『えぇっ!!?』
も、燃やす!?
ってかフィアンセじゃない!!
いやいやそれよりも!
ボスさんってザンザスさんっていうんですか!?
「……まだうるせぇ。」
『すみませんっ!』
この人…読心術属性なんだ……
やばい、泣きたい。
『あの…今までの全部……?』
「たりめーだ。」
もう、嫌です。
7号館には精神的プライバシーが存在しないようです。
「ほら柚子、行くよ。」
『あ、はいっ!』
寝ぼけ眼の骸さんを引きずりながら、獄寺さんが先頭を歩く。
管弦楽団の皆さんがそれに続き、あたしの手を引くツナさんがその後ろ。
そして最後尾に、リボーンさんとザンザスさんに、モスカさん。
ザンザスさんはモスカさんに楽器を持たせたままだった。
---
「ここが演奏室です。壁は全て防音素材なので音漏れは気にしなくて大丈夫ですから。」
「マジ!?じゃあスクアーロの怒鳴り声もへっちゃらじゃん♪」
「う"お"ぉい!どーゆー意味だぁ!!」
「ほら、うるせーし。」
「てめぇ…3枚におろされてぇのかぁ!!?」
「ししっ、俺が100枚に切り刻んであげよーか?」
な、何て恐ろしい会話をしてるんでしょう。
今自分が生きているのが信じられません。
「ほらほらぁ、柚子ちゃん怯えちゃってるわよん?仲良く練習しましょvV」
「「うるせぇよオカマ。」」
「んまぁっ!!」
あ、オカマだったんだ……
女口調なのに声と体格が男っぽかったから、ちょっと不思議に思ってたんだよね…
「おい、」
「はいはい、真面目にやるって。」
「わ、分かったぞぉ…」
ザンザスさんが2文字発しただけで、ベルさんとスクアーロさんは喧嘩をやめた。
だけどあたしはとっくに恐怖を刻まれていて。
『(やばい…指、動かない……)』
演奏どころじゃなかった。
フィアンセ
否定したい事も、出来ないままで
continue…
「ししっ、マーモンまだ恨んでんの?」
「ねぇ、コイツ死んでるのかい?」
『いえ……あの、眠っておられるんです…』
とりあえず名前を聞いた結果、どうやらこの人たちが管弦楽団だって事が判明。
だから大広間に通してみたんですが……
これほど骸さんに起きてて欲しいと思うなんて…!!!
骸さーん!ヘルプです!!
只今あたし、盛大にヘルプを求めております!!
「う"お"ぉい、」
『は、はい!』
「あのムカつくガキ共はいねーのかぁ!?アイツらが言い出したんだぞぉ。」
長い銀髪の方に話しかけられて、あたしはお盆をギュッと握る。
どーしよ……怖くてちゃんと喋れない…。
『今、同盟ファミリーとの会談に出かけておりまして……じきに戻ると思います。』
「会談だぁ!?ったく…わざわざ来たってのによぉ……」
『も、申し訳ございません!!』
あーん!何であたしが謝ってんのよー!!
あたし悪い事してない!何もしてないのにー!!
ってか、この人たち全体的に雰囲気おかしいよ……
何で反射的にこんなにビクビクさせられるの!?
あーやっぱり聞き間違いじゃないんだ。
あの……“暗殺”って単語は…
「ちょっとスクアーロー、ダメじゃないのー。」
「あ"?」
「その子、怯えちゃってるわよ?」
体格のいいサングラスの人が発した言葉に、あたしは泣きそうになるくらいホッとする。
まともな人がいたんだ、と。
でも次の瞬間、また凍らされた。
「やっぱりココで悪夢を見せなくちゃ気が済まないよ。」
「ししっ、遊ぶんなら俺も入れてよマーモン。コイツ切り刻んでれば暇つぶしになんじゃね?」
『えっ…!?』
振り向くと、ソファに寝てる骸さんの傍に2人の人が。
しかも何だか危ない会話!??
『あ、あの!』
「ム?」
「何か用ー?」
手の震えを必死に抑えながら、2人に言う。
『紅茶お入れしましたので…お席に……』
「後で飲むよ。」
「サンキュー、メイドの女の子♪」
メイドじゃないっ!!
あー違う、そこじゃないのよ。
どーしよう…骸さんに身の危険が迫ってるんじゃない?
でもあたしに止められるワケないし…
と、今度はテーブルの方から。
「ボス、やはりココの奴らをイタリアに来させた方が……」
「文句なら後で沢田綱吉に腐る程言わせてやる、黙ってろレヴィ。」
「………分かりました。」
あ、すごい。
今あたし、管弦楽団さんのうち半分の名前分かったよ!
ツナさん褒めて!!
机に足乗せてるのがボスさんで、
黒髪ツンツンでピアスしてるのがレヴィさん、
銀色の長い髪の人がスクアーロさんで、
小さいフードの子がマーモンさん……
よし、あと3人!!
いや2人?あれって機械じゃないの??
『あ、あのー…』
「あ"ぁ?」
怖っ!!
でも頑張るのよ柚子、やれば出来る子なんだから!
『管弦楽団さん達は…楽器はどちらに?』
「楽器だぁ?モスカが持ってんじゃねーのかぁ?」
おお!スクアーロさんって言葉遣いとか目つき超悪いけど意外と話せる!!
『あ、あの、モスカさんってどちらですか?』
「あ"ぁ!?そこの機械に決まってんだろーがぁ!!」
ひえええ!
でも分からない!普通分かりませんから!!
「モスカってゆーのはね、この機械のことなの。」
『はぁ…(やっぱり機械……)』
サングラスの人が優しく説明してくれる。
嬉しいっ…この人がココにいてくれて良かった…!
『あのっ、失礼ですがお名前は……』
「あら!ごめんなさいね。私はルッスーリアよ、宜しくねん♪」
はうっ!何て話しやすい人!!
『あたし、牧之原柚子っていいます!宜しくお願いしますっ!!』
「んまぁ!柚子ちゃんって可愛い名前ねvV」
『あ、ありがとうございますっ///』
ちょっと照れくさくなって頬を掻く。
と、後ろから会話乱入者が。
「なぁ、牧之原柚子って……王子どっかで聞いたんだけど。」
「あら、本当?ベルちゃん。」
『(あのティアラの人、ベルさんっていうんだ………ってか、一人称“王子”!!?)』
心の中で吃驚しまくるあたしを他所に、ベルさんの肩に乗ってるマーモンさんも呟く。
「“柚子”…?確かに何処かで聞いたね。」
「マモちゃんも?じゃあスクは?レヴィは?」
「俺が知るかぁ!!」
「知らん。」
あっれー??
何で聞き覚えある名前みたいになってんのかなー?
ヤダな、すごーく嫌な予感するな……
だってこの人たち、ボンゴレ……なんだよね…?
管弦楽団さんが皆で「う~ん」と唸り始めた、その時。
「………フィアンセ…」
『え…?』
机に足を乗せていたボスさんが、赤い瞳であたしを見ながら小さく言った。
でもって、あたしは硬直した。
な、何ですと…?
これはアレですか、嫌な予感当たっちゃった感じですか。
「思い出したよ。牧之原柚子、あの沢田綱吉のフィアンセだ。」
「あー!そーだった。」
「そう言えば先日、向こうの晴の守護者が来た時に言っていたな。」
「そーだったかしら…?」
「んなどーでもいい事なんて忘れたぜぇ…」
了平さんんんんん!!!!!
何で!?信じてたのに!!
あ、そっか!了平さんの前でちゃんと否定した事無いんだった!!
「じゃあこのメイド、沢田綱吉のフィアンセー?」
「まぁまぁ!ヤダどうしましょ!お披露目前に会っちゃったわ!!」
『お、お披露目…?』
待って、思い出すのよ柚子。
確かディーノさんがいらした時、似たような事を………
---「ボンゴレ10代目フィアンセのお披露目だからな!」
でもって雲雀さんが…
---「演奏会を開くんだよ。」
やばい。
物事が繋がって推理ドラマみたいに真相が見えて来た。
だけどそれは……
見たくもない真相だったりするのでは!!?
あたしが物凄い勢いで青ざめ始めた、その時。
「ただいまー。」
「帰ったぞ。」
『あっ…!』
「う"お"ぉい!!やっと来やがったかぁ!!」
「15分も待たせるなんて、マナーがなってないね。」
何か色々言ってる管弦楽団さん達を大広間に残し、あたしはダッシュで玄関へ。
別にさ、
ツナさん大好き!とかじゃないのにさ、
『お帰りなさいツナさぁぁぁぁぁん!!!!』
この上なく会いたかったよ。
ご帰宅を待ちわびましたよ。
「あぁ、もう来てる?」
『当たり前じゃないですかぁ!あたし……あたしっ…』
何か今更になって、体が震え出す。
そんなあたしを見たツナさんは、ポンと頭に手を乗せて。
「よしよし、頑張ったな。」
『こっ、子供扱いやめて下さいっ…!///』
口を尖らせると、バカにしたような笑みを返された。
とりあえず、お客様を待たせちゃいけないって事で、ツナさんとリボーンさんと一緒に大広間へ。
獄寺さんは車庫入れしてから戻って来るらしい。
「こんにちは、お久しぶりです。」
「ちゃおっス、ヴァリアー。」
「てめぇら…巻き込んどきながらよくも待たせてくれたなぁ!!?」
「黙れカス。」
ヒュー…ゴッ、
「う"お"っ…!」
『あ…』
あのグラスめっちゃ高そうなヤツ(本当の値段は知らない)なのにーーーーっ!!!
な、何で!?
ボスさん怖いよーっ!
スクアーロさん…可哀想だ……
「説明しやがれ。」
『(ひいっ!)』
鋭い、とはちょっと違う、独特の威厳を持った眼光。
それが真直ぐツナさんに向けられて、その一言は放たれた。
ツナさんは「分かりました」と言ってから、空いてる席に座る。
「柚子、楽譜ある?」
『あ、骸さんが仕上げたヤツですか!?演奏室に持ってっちゃいました…』
仕上げた本人はまだ眠りの中だし、あたしが取りに行かせられるのかと思いきや。
「俺が取って来るぞ。」
『リボーンさんっ?』
何故かいつもは俺様なリボーンさんが行ってしまう。
『(あっ、そーだ!)』
ジャージのポケットに手を突っ込み、ハンカチを取り出した。
だってスクアーロさん、お茶かぶったまんま……
『あ、あの…』
「何だぁ。」
『宜しければ、コレで髪の毛拭いて下さい。風邪引いてしまいますから…』
「はぁ"!?」
『す、すみませんっ、やっぱりタオル持って来た方がいいですよねっ!すぐにお持ちしまs……』
スクアーロさんの目つきが怖くて、慌てて下がろうとした。
けど、ガシッと腕を掴まれて。
「それでいいぜぇ、ありがとなぁ。」
『あ…はいっ!』
ちょっと、嬉しくなった。
やっぱりこの人、いい人なのかも知れない。…怖いだけで。
と、ココでリボーンさんが戻って来る。
車庫入れを終えた獄寺さんも一緒だった。
「どうぞ、皆さんの楽譜です。」
「あら、本当に用意してくれたのね!助かるわぁ~♪」
それぞれに配るツナさんに、ルッスーリアさんがお礼を言う。
他の方はジーッとそれを見た。
「ボレロなんで、基本的に固定フレーズの連続です。これならすぐに出来ると思って。」
ツナさんの敬語は珍しいな、なんて思いながら、
結局あたしは楽器を見せてもらい損ねてる事にも気がつく。
「どうですか?もし良ければ、上の演奏室で音合わせでも。」
「………モスカ、」
ボスさんが呼びかけると、モスカと呼ばれた機械は傍においてあった大きな黒いケースを開けた。
『わあっ…!』
思わず、声をあげてしまった。
大きな大きな黒いケースに入っていたのは、6つの楽器。
それを見たツナさんは、にこりと笑って。
「じゃ、案内します。獄寺君、骸起こして。」
「はいっ!」
パイナップルの葉っぱ部分を引っ張って、叩き起こす獄寺さん。
一方リボーンさんは、マーモンさんに話しかけていた。
「バイパー、お前何で小せぇんだ?それ、幻覚だろ。」
「バカには関係ないだろ。この方が色々と好都合でね。」
『お2人は、お知り合いなんですか?』
「腐れ縁だぞ。コイツは本当は俺と同じくれーなんだ。」
『え…!?』
だって、マーモンさんって赤ん坊みたいに小さいのに……?
「幻覚で小さい姿にとどめてあるみてーだな。」
『でも、可愛いです♪』
「ム?」
『あ、お気に障りましたか!?ごめんなさいっ!』
「……別に、何でも無いよ。」
フードをより深くかぶったマーモンさん。
すると、楽器を持ったベルさんがドアの方から呼びかける。
「マーモン、置いてくぜー。」
「ム。」
皆さんは楽器を持って大広間から演奏室に移動しようとしていた。
マーモンさんは椅子からピョンと降りて、黒いケースの端の方に入ってる楽器…ピッコロを手にする。
そしてベルさんの肩に飛び乗った。
『(可愛い…///)』
「柚子、早く来い。」
『あ、あたしも行っていいんですか!?』
「来なくちゃいけねーんだっての、柚子も弾くんだから。」
ツナさんてば、何を言い出すの?
あたしもそのボレロに参加するんですか!!?
ツナさん達と、管弦楽団さん達と、一緒に弾くんですかーー!!?
「おい、」
『えっ…?』
不意に話しかけてきたのは、一番最後に席を立ったボスさん。
そのヤバい眼力に圧倒されつつ、返答。
『な、何でしょう…?』
「いい加減うるせぇ。」
間。
ええぇぇぇええぇえ!!?
「るせぇってんだよ。」
も、もしかして、
もしかすると、
もしかしなくても……
『もしかしちゃったりするんですかぁぁあ!?』
「チッ…」
舌打ちーーー!!!(滝汗)
しかも何か…
コォォォ…
ボスさんの手、光ってません?
カッ…!
『ひょえっ…』
ボスさんの手が光ってるのを見た直後、辺り一面が眩しくなる。
同時にあたしは、グッと腕を引っ張られて。
「……ったく、世話の焼ける。」
『つ、ツナさんっ…!?』
「ザンザスも、俺のフィアンセ燃やそうとしないで下さい。柚子がうるさいのは元からですから。」
『えぇっ!!?』
も、燃やす!?
ってかフィアンセじゃない!!
いやいやそれよりも!
ボスさんってザンザスさんっていうんですか!?
「……まだうるせぇ。」
『すみませんっ!』
この人…読心術属性なんだ……
やばい、泣きたい。
『あの…今までの全部……?』
「たりめーだ。」
もう、嫌です。
7号館には精神的プライバシーが存在しないようです。
「ほら柚子、行くよ。」
『あ、はいっ!』
寝ぼけ眼の骸さんを引きずりながら、獄寺さんが先頭を歩く。
管弦楽団の皆さんがそれに続き、あたしの手を引くツナさんがその後ろ。
そして最後尾に、リボーンさんとザンザスさんに、モスカさん。
ザンザスさんはモスカさんに楽器を持たせたままだった。
---
「ここが演奏室です。壁は全て防音素材なので音漏れは気にしなくて大丈夫ですから。」
「マジ!?じゃあスクアーロの怒鳴り声もへっちゃらじゃん♪」
「う"お"ぉい!どーゆー意味だぁ!!」
「ほら、うるせーし。」
「てめぇ…3枚におろされてぇのかぁ!!?」
「ししっ、俺が100枚に切り刻んであげよーか?」
な、何て恐ろしい会話をしてるんでしょう。
今自分が生きているのが信じられません。
「ほらほらぁ、柚子ちゃん怯えちゃってるわよん?仲良く練習しましょvV」
「「うるせぇよオカマ。」」
「んまぁっ!!」
あ、オカマだったんだ……
女口調なのに声と体格が男っぽかったから、ちょっと不思議に思ってたんだよね…
「おい、」
「はいはい、真面目にやるって。」
「わ、分かったぞぉ…」
ザンザスさんが2文字発しただけで、ベルさんとスクアーロさんは喧嘩をやめた。
だけどあたしはとっくに恐怖を刻まれていて。
『(やばい…指、動かない……)』
演奏どころじゃなかった。
フィアンセ
否定したい事も、出来ないままで
continue…