🎼本編
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皆さんこんばんわ、柚子です。
只今、ものすごーーーく高そうな料亭に来ております。
いや…むしろ来るだけなら全然構わないんです。
普通にお食事して帰る、という動作をするだけなら。
「何がそんなに嫌なんだよ。」
『ナレーションにまで入ってこないで下さい!!』
「柚子が勿体ぶるからだろ。」
『だ、だって……』
「僕の柚子ーっ!!!」
『きゃあああっ!!』
鼻息が荒いまま駆け寄って来る骸さんを見て、咄嗟にツナさんの後ろに隠れる。
「何て…何て愛らしい!!これを機に僕の着せ替え人形になりませんか?柚子。」
「骸、もしかして俺に喧嘩売ってるの?」
「そうではありません。そんなに愛らしい柚子を見れば、誰だって……」
『あーもー!あたしを話題にしないで下さい!!///』
やっぱりおかしいよ。
何で、
どうして、
『(何がどーなると着物が膝上3センチになるワケーっ!!?)』
「何か文句ある?」
『あります!ありまくりです!!』
「せっかく可愛いのに。」
『な…にを……!///』
このプレイボーイ横暴腹黒演技派ボスめ!!
「随分長ぇ修飾だな。」
『あ、リボーンさん…』
「待たせたな。」
「いーよ、まだほとんど終わってないから。」
そう、料亭に着いてから一番最初にあたしが奥の部屋に連れて行かれ、たくさんの女中さん(?)によりマッハで着替えさせられた。
で、何故か異常に短い着物……。
どうしていいか分からずに大宴会場で1人で待っていると、ツナさんが登場。
でもって10秒後くらいに骸さん登場。
皆さん、スーツから着流しに着替えてるから……その……///
「惚れ直した?」
『読まないで下さいっ!!///しかも違います!!』
「そうです!柚子ももう少し着崩したらどうでしょう?その方が一層……」
『ぜっっっっったい嫌です!!』
ギュッと襟元を押さえて骸さんを睨む。
相変わらずニヤニヤと………ほんっとにこの人は危険人物!!
「んじゃ、座ってよっか。」
「そーだな。」
「柚子、俺の隣。」
『わ、分かってますよぉ……』
じゃなきゃどーせ恐怖心煽りまくりの腹黒スマイル見せるんだ。
脅しだ、完全にあたしは脅されている。
「何か言った?」
『い、いえ!お……お料理楽しみですねー!』
「そうだな。」
「おっ、もう着替えてたのか!」
「極限に腹が減ったな!」
『山本さん!了平さん!』
あぁ、何て爽やかな…///
本当に素敵なコンビですっ。
家政婦に優しいコンビですっ!
「好きなトコ座っていいよ。」
「んじゃー…」
顎に手を当てて考える山本さん。
本当は挙手でもして隣に来て下さいと言いたいんだけど……
既にあたしの両隣はツナさんとリボーンさんに固められている。
あーん!神様のいじわるーっ!!
「んじゃ、骸の隣にでも座るかな。」
『(えっ…)』
「ほら、柚子の斜め前になれるだろ?」
きゅぅぅぅん……///
その笑顔でそんな台詞……反則過ぎます、山本さんっ///
「……山本、」
「ハハッ、冗談だって!冗談!ツナの隣座っちまったら……」
ガラッ、
「10代目ぇ!!お待たせしました!」
『(あ、そっか。)』
ツナさんの隣で空いてるのは右側…つまり問答無用で獄寺さんの席になる、と。
で、最終的に………
雲 骸 山 了
----------
----------
リ 私 綱 獄
…ってな感じになりました。
『いただきますっ。』
運ばれて来たお料理は、とってもとっても美味しそうなお刺身。
パクリと口に入れてみれば、思わず口元が緩む中トロ。
「美味しい?」
『はいっ!すっごく美味しいです!』
お吸い物を手にツナさんが尋ね、あたしは笑顔で返す。
「……そっか、良かった。」
『あ!甘エビもいけます~っ!』
幸せに浸っているあたしは、ふと目の前が空席になっているのを見た。
『あれ?骸さんは??』
「クフフ、ちょっと箸を落としてしまいまして。」
『大丈夫ですか?』
机の下を覗き込んでいるみたい。
あ、だからお姿が見えなかったんだ。
バサッ、
『えっ…?』
ツナさんが突然、肩にかけていた羽織をあたしの膝にかぶせた。
『どうしたんですか、ツナさ……』
「雲雀さん、お願いします。」
『え?』
ガッ、
「くふっ…!」
ツナさんが「お願いします」と言った直後、雲雀さんは隣の骸さんをトンファーで思いっきり殴った。
骸さんは机の下を覗き込んだ状態のまま気絶してしまったようだ。
「だから目の前陣取ったんだね、こいつ。」
「ありがとうございます、いつも。」
「別に。」
雲雀さんは何事も無かったかのように、ズズッとお茶を啜る。
あたしは何が何だか分からずポカンとしていた。
『つ、ツナさん?』
「何だよ。」
『これ…』
「あぁ、寒いかと思って。」
膝の上の羽織を指差したあたしに、ツナさんは微笑を見せる。
『そ、そうですか…///』
不意打ちのような優しい笑みにドキッとしたのが悔しくて、咄嗟にお吸い物を口に含んだ。
---
------
お刺身もだいぶ減り、そろそろデザートでも来るかなーと思い始めた頃。
「柚子、お茶入れて。」
『あ、はい!』
ツナさんに言われて、ポットのある方へと移動する。
獄寺さんと了平さんが、菊の花を食べるか食べないかでもめていた。
「男なら極限食うべきだー!!」
「個人の自由なんだよ!このボクシングバカが!!」
「何だとタコヘッド!!」
「るせー芝生!!」
騒がしいけど、やっぱりどこか微笑ましいなと思いながら、あたしは急須にお茶の葉とお湯を入れる。
「そうだ、了平さん。」
「何だ沢田。まさか沢田も菊の花を食わんとでも…」
「違いますよ、イタリアの事です。どうでしたか?」
どうやらまた、例の“群れる会”…ってか演奏会の話をするみたい。
了平さんは「そうだったな!」と言って報告し始めた。
「実は向こうにいた時、ちょうど門外顧問からも連絡が来てな。」
「あぁ、共同でやるかどうか保留になってましたね。」
「何せバジルは日本愛好家だからな、尺八や琴をやりたい……と始めは譲らなかったらしい。」
「そっか!バジルはそーだよなー。」
面白そうに笑う山本さん。
“バジル”って誰だろう…?
イタリアにもツナさんのファミリーいるのかな。
考えながらお茶を配っていく。
「だがやはり共同で盛大な演奏をしたい、との事でな!参加することになった!」
「そうですか。他の方は?」
「門外顧問からはバジルのみだ。皆、楽器慣れしてないから、と言っていた。」
門外顧問って組織があるんだー…
何だかカッコいいなー♪
「で、本題はココからだな。」
「はい。」
「単刀直入に言うと、明日こっちに来る。」
「なっ、マジかよ!!?」
「あははっ!随分突然だなー。」
目を見開く獄寺さんに、どこか嬉しそうな山本さん。
了平さんは続ける。
「担当楽器は一昨日決まったのだ、よって楽譜も無い。」
「それは大変だな……」
難しい顔をして考えるツナさんに、リボーンさんが言った。
「心配ねーぞ。」
「何か良い案でもあんのか?」
「今晩徹夜で骸に書かせればいーじゃねーか。」
ニッと口角を上げるリボーンさん。
な、何てドSな考え方…!
「徹夜……いいね、ソレ。」
『(ひ、雲雀さんまで…!)』
「じゃあ骸に任せるってことで、解決。」
骸さーん、出来る事なら今すぐ目を覚まして抗議した方がいいですよー…
「おい芝生、明日来るって事は……共同練習ってヤツか?」
「その通りだ!」
「つか、楽譜書くなら、骸にアイツらの担当楽器とか教えた方が良くないスか?」
「そうだな!しかし…極限に忘れた!!!」
「はぁっ!!?」
「案ずるな獄寺、メモを取っておいた!」
了平さんがどっかから取り出したメモを読む。
さっきから半分くらいしか話についていけてないけど…一応黙っているあたし。
「何?分からない事でもあるの。」
『えっ?あ、えと……その管弦楽団さん、大丈夫なのかなぁって……』
雲雀さんがナチュラルに心を読むから、そのまま答えた。
するとリボーンさんが、あたしの頭に手を乗せる。
「心配ねーぞ、アイツらは何だかんだで能力があるからな。」
『の、能力ですか……?』
音楽の場合、才能って言葉が妥当なんじゃないだろーか……
そんな事を思ったけど、リボーンさんの余裕な笑みを見たら少し落ち着いた。
「で、彼ら明日の何時に来るの。」
「日本時刻だと明日の午前2時頃に発つ…と言っていたな。」
「………それでいくと、僕は彼らの到着時に7号館にいないな。」
『え?何時間くらいかかるもんなんですか??』
「半日と少しだよ。」
『って事は……15時…午後3時じゃないですか!』
あたしの自由時間開始と同時に、管弦楽団さんがやって来ると!?
グッバイ明日の自由時間……
がっかりするあたしに、追い打ちが。
「リボーン、明日って確か…」
「ベッチオファミリーと、だな。」
『え?』
何だか嫌な予感がする。
だって獄寺さん、手帳をチェックしてるもん。
「……あ、間違いありません10代目。明日の2時半からベッチオファミリーとの会談です。」
「ありがと獄寺君。つーわけで柚子、俺とリボーンと獄寺君も留守。」
『えぇ~っ!?山本さんはっ!?』
頼みの綱!と思ったけど、頭を掻く彼の姿にまたまた嫌な予感。
「悪ぃ柚子、明日は親善試合があんだよな……」
『そ、そんなぁ……了平さんは?』
「俺も明日の午後はライバル校との決戦があってな………まさか全員予定が入っているとは…」
「クフフ……やっと僕の時代がやって来ましたね………」
あぁ、このタイミングで目覚めるのね。
楽譜を丸投げされた事は聞こえてなかったのかな、やっぱり。
「この僕、六道骸と……」
ゆらりと起き上がりながら、骸さんは瞳を光らせる。
「……柚子との愛の時間が!!!」
「違うから。」
「もう1回殴ろうか。」
トンファーを構える雲雀さん。
いつもならあたしも反論するトコだけど、今は骸さんが哀れに思えて仕方なかった。
『骸さん、今起きたんですか?』
「そうですよ柚子、僕と話せなくてさぞ寂しかったでしょう。大丈夫です、今からでも僕は……」
『今日は徹夜で楽譜を書くそうです、だから忙しいんですよ?』
あたしが言うと、骸さんは両手を広げた状態のまま固まる。
「………誰がですか?柚子がですか?」
『いえ、骸さんが。』
「なっ……何故ですか綱吉ーーーーっ!!!僕が何かしましたか!?君のカンに障る事でもしましたか!?」
「うん、まぁ色々。」
「そ、そんな…」
まるで背景が青黒くなったのが見て取れるように、骸さんは体育座りで項垂れた。
だけど、項垂れたいのはあたしだって同じ。
骸さんしかいない上、初対面の管弦楽団さんが来てしまうんだから。
『(はぁ……)』
心の中で大きくため息をついた。
まぁ、少なくとも隣にいるツナさんとリボーンさんには聞こえまくってるんでしょうけど。
---
------
----------
翌日、午後3時5分前。
あーもーどうしましょ、本当にヤダな。
ツナさん達帰ってくるまで一体どうしてればいいのよ……。
『骸さん、寝ちゃってるし………』
「クフー…クフー……」
笑い声と同じような寝息を立てて、骸さんは大広間のソファに倒れ込んでいた。
どうやら本当に徹夜で楽譜を書きあげたらしく、テーブルには6枚の紙。
パッと目を通して、それがボレロなんだと分かった。
『………お疲れさまです、骸さん。』
ちょっと見直しました、と心の中で言ってから、毛布をかけてあげる。
と、その時。
ピーンポーン…
来た。来てしまった……!
『はーい!』
とりあえず大きく返事をして、玄関へと駆けて行く。
ガチャ、
………パタン、
待って。整理してみようね、柚子。
今ドアを開けて見えたのは……真っ黒なコートの集団、だったよね…??
そうよ、開ける前にお名前を聞くべきだったんだわ!
あたしのバカ!
そう思って名前を尋ねようとした、その時だった。
向こうから物凄く大きな声。
「う"お"ぉい!!1回開けてまた閉めるたぁ、どーゆーことだぁ!!!」
『(ひええぇっ!!)』
ど、どどどどーしよー!!
意地でも骸さん起こして一緒に迎えるべきなんじゃないか…!!
「ししっ、怖かったんじゃね?レヴィが。」
「ぬお!?何故俺が!」
「さっき、眉間にかなり皺が寄ってたと思うよ。」
「ほーらね、うしし♪」
あ、何か怖くない雰囲気…
あたしだけで大丈夫なのかも……
と思ったのも束の間。
「う"お"ぉい!開けねぇならこっちからぶち破るぞぉ!!」
『すっ、すみませんごめんなさい!!と…とりあえずお名前をお聞きしたいのですが…!』
「あ"ぁ?」
『開ける前に確認を、と……申し付けられておりますので………』
「チッ、」
何か舌打ちみたいのが聞こえたけど…ツッコんでられない。
ビクビクしながら返答を待つ。
「いいかぁ!俺らは独立暗殺部隊……」
ドゴッ、
「違ぇだろーが、カス。」
「だとぉ!!?」
何か…痛そうな音と、喧嘩みたいな声が聞こえて来た。
いやこの際、そんなのはどーでもいい。
問題は、今ものすごーく恐ろしい単語が発せられたみたいだって事。
「そうよぉ、私たちは今、管弦楽団!暗殺管弦楽団・ヴァリアーよっ♪」
空耳じゃ、なかった。
幻聴でも、なかった。
『(あ、んさつ……)』
あのー、すみません。
一番幻聴であって欲しかった単語が残ってるんですが!!(汗)
ヒットマン
リアルな殺し屋の登場に、愕然・身震いそして硬直
continue...
只今、ものすごーーーく高そうな料亭に来ております。
いや…むしろ来るだけなら全然構わないんです。
普通にお食事して帰る、という動作をするだけなら。
「何がそんなに嫌なんだよ。」
『ナレーションにまで入ってこないで下さい!!』
「柚子が勿体ぶるからだろ。」
『だ、だって……』
「僕の柚子ーっ!!!」
『きゃあああっ!!』
鼻息が荒いまま駆け寄って来る骸さんを見て、咄嗟にツナさんの後ろに隠れる。
「何て…何て愛らしい!!これを機に僕の着せ替え人形になりませんか?柚子。」
「骸、もしかして俺に喧嘩売ってるの?」
「そうではありません。そんなに愛らしい柚子を見れば、誰だって……」
『あーもー!あたしを話題にしないで下さい!!///』
やっぱりおかしいよ。
何で、
どうして、
『(何がどーなると着物が膝上3センチになるワケーっ!!?)』
「何か文句ある?」
『あります!ありまくりです!!』
「せっかく可愛いのに。」
『な…にを……!///』
このプレイボーイ横暴腹黒演技派ボスめ!!
「随分長ぇ修飾だな。」
『あ、リボーンさん…』
「待たせたな。」
「いーよ、まだほとんど終わってないから。」
そう、料亭に着いてから一番最初にあたしが奥の部屋に連れて行かれ、たくさんの女中さん(?)によりマッハで着替えさせられた。
で、何故か異常に短い着物……。
どうしていいか分からずに大宴会場で1人で待っていると、ツナさんが登場。
でもって10秒後くらいに骸さん登場。
皆さん、スーツから着流しに着替えてるから……その……///
「惚れ直した?」
『読まないで下さいっ!!///しかも違います!!』
「そうです!柚子ももう少し着崩したらどうでしょう?その方が一層……」
『ぜっっっっったい嫌です!!』
ギュッと襟元を押さえて骸さんを睨む。
相変わらずニヤニヤと………ほんっとにこの人は危険人物!!
「んじゃ、座ってよっか。」
「そーだな。」
「柚子、俺の隣。」
『わ、分かってますよぉ……』
じゃなきゃどーせ恐怖心煽りまくりの腹黒スマイル見せるんだ。
脅しだ、完全にあたしは脅されている。
「何か言った?」
『い、いえ!お……お料理楽しみですねー!』
「そうだな。」
「おっ、もう着替えてたのか!」
「極限に腹が減ったな!」
『山本さん!了平さん!』
あぁ、何て爽やかな…///
本当に素敵なコンビですっ。
家政婦に優しいコンビですっ!
「好きなトコ座っていいよ。」
「んじゃー…」
顎に手を当てて考える山本さん。
本当は挙手でもして隣に来て下さいと言いたいんだけど……
既にあたしの両隣はツナさんとリボーンさんに固められている。
あーん!神様のいじわるーっ!!
「んじゃ、骸の隣にでも座るかな。」
『(えっ…)』
「ほら、柚子の斜め前になれるだろ?」
きゅぅぅぅん……///
その笑顔でそんな台詞……反則過ぎます、山本さんっ///
「……山本、」
「ハハッ、冗談だって!冗談!ツナの隣座っちまったら……」
ガラッ、
「10代目ぇ!!お待たせしました!」
『(あ、そっか。)』
ツナさんの隣で空いてるのは右側…つまり問答無用で獄寺さんの席になる、と。
で、最終的に………
雲 骸 山 了
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リ 私 綱 獄
…ってな感じになりました。
『いただきますっ。』
運ばれて来たお料理は、とってもとっても美味しそうなお刺身。
パクリと口に入れてみれば、思わず口元が緩む中トロ。
「美味しい?」
『はいっ!すっごく美味しいです!』
お吸い物を手にツナさんが尋ね、あたしは笑顔で返す。
「……そっか、良かった。」
『あ!甘エビもいけます~っ!』
幸せに浸っているあたしは、ふと目の前が空席になっているのを見た。
『あれ?骸さんは??』
「クフフ、ちょっと箸を落としてしまいまして。」
『大丈夫ですか?』
机の下を覗き込んでいるみたい。
あ、だからお姿が見えなかったんだ。
バサッ、
『えっ…?』
ツナさんが突然、肩にかけていた羽織をあたしの膝にかぶせた。
『どうしたんですか、ツナさ……』
「雲雀さん、お願いします。」
『え?』
ガッ、
「くふっ…!」
ツナさんが「お願いします」と言った直後、雲雀さんは隣の骸さんをトンファーで思いっきり殴った。
骸さんは机の下を覗き込んだ状態のまま気絶してしまったようだ。
「だから目の前陣取ったんだね、こいつ。」
「ありがとうございます、いつも。」
「別に。」
雲雀さんは何事も無かったかのように、ズズッとお茶を啜る。
あたしは何が何だか分からずポカンとしていた。
『つ、ツナさん?』
「何だよ。」
『これ…』
「あぁ、寒いかと思って。」
膝の上の羽織を指差したあたしに、ツナさんは微笑を見せる。
『そ、そうですか…///』
不意打ちのような優しい笑みにドキッとしたのが悔しくて、咄嗟にお吸い物を口に含んだ。
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お刺身もだいぶ減り、そろそろデザートでも来るかなーと思い始めた頃。
「柚子、お茶入れて。」
『あ、はい!』
ツナさんに言われて、ポットのある方へと移動する。
獄寺さんと了平さんが、菊の花を食べるか食べないかでもめていた。
「男なら極限食うべきだー!!」
「個人の自由なんだよ!このボクシングバカが!!」
「何だとタコヘッド!!」
「るせー芝生!!」
騒がしいけど、やっぱりどこか微笑ましいなと思いながら、あたしは急須にお茶の葉とお湯を入れる。
「そうだ、了平さん。」
「何だ沢田。まさか沢田も菊の花を食わんとでも…」
「違いますよ、イタリアの事です。どうでしたか?」
どうやらまた、例の“群れる会”…ってか演奏会の話をするみたい。
了平さんは「そうだったな!」と言って報告し始めた。
「実は向こうにいた時、ちょうど門外顧問からも連絡が来てな。」
「あぁ、共同でやるかどうか保留になってましたね。」
「何せバジルは日本愛好家だからな、尺八や琴をやりたい……と始めは譲らなかったらしい。」
「そっか!バジルはそーだよなー。」
面白そうに笑う山本さん。
“バジル”って誰だろう…?
イタリアにもツナさんのファミリーいるのかな。
考えながらお茶を配っていく。
「だがやはり共同で盛大な演奏をしたい、との事でな!参加することになった!」
「そうですか。他の方は?」
「門外顧問からはバジルのみだ。皆、楽器慣れしてないから、と言っていた。」
門外顧問って組織があるんだー…
何だかカッコいいなー♪
「で、本題はココからだな。」
「はい。」
「単刀直入に言うと、明日こっちに来る。」
「なっ、マジかよ!!?」
「あははっ!随分突然だなー。」
目を見開く獄寺さんに、どこか嬉しそうな山本さん。
了平さんは続ける。
「担当楽器は一昨日決まったのだ、よって楽譜も無い。」
「それは大変だな……」
難しい顔をして考えるツナさんに、リボーンさんが言った。
「心配ねーぞ。」
「何か良い案でもあんのか?」
「今晩徹夜で骸に書かせればいーじゃねーか。」
ニッと口角を上げるリボーンさん。
な、何てドSな考え方…!
「徹夜……いいね、ソレ。」
『(ひ、雲雀さんまで…!)』
「じゃあ骸に任せるってことで、解決。」
骸さーん、出来る事なら今すぐ目を覚まして抗議した方がいいですよー…
「おい芝生、明日来るって事は……共同練習ってヤツか?」
「その通りだ!」
「つか、楽譜書くなら、骸にアイツらの担当楽器とか教えた方が良くないスか?」
「そうだな!しかし…極限に忘れた!!!」
「はぁっ!!?」
「案ずるな獄寺、メモを取っておいた!」
了平さんがどっかから取り出したメモを読む。
さっきから半分くらいしか話についていけてないけど…一応黙っているあたし。
「何?分からない事でもあるの。」
『えっ?あ、えと……その管弦楽団さん、大丈夫なのかなぁって……』
雲雀さんがナチュラルに心を読むから、そのまま答えた。
するとリボーンさんが、あたしの頭に手を乗せる。
「心配ねーぞ、アイツらは何だかんだで能力があるからな。」
『の、能力ですか……?』
音楽の場合、才能って言葉が妥当なんじゃないだろーか……
そんな事を思ったけど、リボーンさんの余裕な笑みを見たら少し落ち着いた。
「で、彼ら明日の何時に来るの。」
「日本時刻だと明日の午前2時頃に発つ…と言っていたな。」
「………それでいくと、僕は彼らの到着時に7号館にいないな。」
『え?何時間くらいかかるもんなんですか??』
「半日と少しだよ。」
『って事は……15時…午後3時じゃないですか!』
あたしの自由時間開始と同時に、管弦楽団さんがやって来ると!?
グッバイ明日の自由時間……
がっかりするあたしに、追い打ちが。
「リボーン、明日って確か…」
「ベッチオファミリーと、だな。」
『え?』
何だか嫌な予感がする。
だって獄寺さん、手帳をチェックしてるもん。
「……あ、間違いありません10代目。明日の2時半からベッチオファミリーとの会談です。」
「ありがと獄寺君。つーわけで柚子、俺とリボーンと獄寺君も留守。」
『えぇ~っ!?山本さんはっ!?』
頼みの綱!と思ったけど、頭を掻く彼の姿にまたまた嫌な予感。
「悪ぃ柚子、明日は親善試合があんだよな……」
『そ、そんなぁ……了平さんは?』
「俺も明日の午後はライバル校との決戦があってな………まさか全員予定が入っているとは…」
「クフフ……やっと僕の時代がやって来ましたね………」
あぁ、このタイミングで目覚めるのね。
楽譜を丸投げされた事は聞こえてなかったのかな、やっぱり。
「この僕、六道骸と……」
ゆらりと起き上がりながら、骸さんは瞳を光らせる。
「……柚子との愛の時間が!!!」
「違うから。」
「もう1回殴ろうか。」
トンファーを構える雲雀さん。
いつもならあたしも反論するトコだけど、今は骸さんが哀れに思えて仕方なかった。
『骸さん、今起きたんですか?』
「そうですよ柚子、僕と話せなくてさぞ寂しかったでしょう。大丈夫です、今からでも僕は……」
『今日は徹夜で楽譜を書くそうです、だから忙しいんですよ?』
あたしが言うと、骸さんは両手を広げた状態のまま固まる。
「………誰がですか?柚子がですか?」
『いえ、骸さんが。』
「なっ……何故ですか綱吉ーーーーっ!!!僕が何かしましたか!?君のカンに障る事でもしましたか!?」
「うん、まぁ色々。」
「そ、そんな…」
まるで背景が青黒くなったのが見て取れるように、骸さんは体育座りで項垂れた。
だけど、項垂れたいのはあたしだって同じ。
骸さんしかいない上、初対面の管弦楽団さんが来てしまうんだから。
『(はぁ……)』
心の中で大きくため息をついた。
まぁ、少なくとも隣にいるツナさんとリボーンさんには聞こえまくってるんでしょうけど。
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翌日、午後3時5分前。
あーもーどうしましょ、本当にヤダな。
ツナさん達帰ってくるまで一体どうしてればいいのよ……。
『骸さん、寝ちゃってるし………』
「クフー…クフー……」
笑い声と同じような寝息を立てて、骸さんは大広間のソファに倒れ込んでいた。
どうやら本当に徹夜で楽譜を書きあげたらしく、テーブルには6枚の紙。
パッと目を通して、それがボレロなんだと分かった。
『………お疲れさまです、骸さん。』
ちょっと見直しました、と心の中で言ってから、毛布をかけてあげる。
と、その時。
ピーンポーン…
来た。来てしまった……!
『はーい!』
とりあえず大きく返事をして、玄関へと駆けて行く。
ガチャ、
………パタン、
待って。整理してみようね、柚子。
今ドアを開けて見えたのは……真っ黒なコートの集団、だったよね…??
そうよ、開ける前にお名前を聞くべきだったんだわ!
あたしのバカ!
そう思って名前を尋ねようとした、その時だった。
向こうから物凄く大きな声。
「う"お"ぉい!!1回開けてまた閉めるたぁ、どーゆーことだぁ!!!」
『(ひええぇっ!!)』
ど、どどどどーしよー!!
意地でも骸さん起こして一緒に迎えるべきなんじゃないか…!!
「ししっ、怖かったんじゃね?レヴィが。」
「ぬお!?何故俺が!」
「さっき、眉間にかなり皺が寄ってたと思うよ。」
「ほーらね、うしし♪」
あ、何か怖くない雰囲気…
あたしだけで大丈夫なのかも……
と思ったのも束の間。
「う"お"ぉい!開けねぇならこっちからぶち破るぞぉ!!」
『すっ、すみませんごめんなさい!!と…とりあえずお名前をお聞きしたいのですが…!』
「あ"ぁ?」
『開ける前に確認を、と……申し付けられておりますので………』
「チッ、」
何か舌打ちみたいのが聞こえたけど…ツッコんでられない。
ビクビクしながら返答を待つ。
「いいかぁ!俺らは独立暗殺部隊……」
ドゴッ、
「違ぇだろーが、カス。」
「だとぉ!!?」
何か…痛そうな音と、喧嘩みたいな声が聞こえて来た。
いやこの際、そんなのはどーでもいい。
問題は、今ものすごーく恐ろしい単語が発せられたみたいだって事。
「そうよぉ、私たちは今、管弦楽団!暗殺管弦楽団・ヴァリアーよっ♪」
空耳じゃ、なかった。
幻聴でも、なかった。
『(あ、んさつ……)』
あのー、すみません。
一番幻聴であって欲しかった単語が残ってるんですが!!(汗)
ヒットマン
リアルな殺し屋の登場に、愕然・身震いそして硬直
continue...