🎼本編
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「はい、はい……分かりました。」
ツナさんの部屋にて。
電話中のツナさんの横でコポコポとコーヒーを入れる。
「……それで、今は?」
『(誰と話してるんだろー…ま、いーけど。)』
随分とフレンドリーだな、と思いながら机にカップを置いた。
「だったら今日中に帰って来れますね、ご苦労様です。」
………ん?
“帰ってくる”?
“ご苦労様”??
カシャン、
『ツナさん、今の電話の人ってまさか……!』
「何だよ、柚子にしちゃ察しがいいな。」
『やったーーーー!!!!』
“柚子にしちゃ”ってのが気になったけど、とりあえず嬉しくなって思わず飛び跳ねる。
やっと、やっと帰って来られるんだ!!
あたしが貴方の熱いボケと大らかさと喧嘩を止めるスキルをどれほど待ち望んでいたか!!
「へぇ。」
『読まないで下さいっ!』
「聞こえまくり。つーか、そんなに待ちわびてたんだ。」
『当たり前です!』
だってあの人が…
了平さんが帰ってくれば……
『横暴じゃない率が極限にアップするんですよっ♪』
「誰が横暴?」
『すみません!!』
いっそ清々しいくらいの黒い笑みを向けて尋ねるツナさんに、慌てて謝罪。
すると今度は、急に声を小さくして。
「アレは…嘘だったのかよ……」
『え…?』
「昨日…柚子が言った事………俺…マジで嬉しかったのに…。」
昨 日 ?
記憶の糸を手繰る。
あたし、ツナさんが嬉しくなるような事、言ったっけ??
『………あ。』
「…思い出したか?」
『アレ、ですか?』
「うん、アレ。」
---『あたしは今、幸せって事です…///』
うん、思い出したよ。
確かにそう言ったさ。
だけどね、
そんなに真っ黒な笑みで掘り返されたら否定もしたくなりますがな!!!
(混乱によるキャラ崩壊)
『で、ですからアレはっ…』
「やっぱり嘘…だったんだ……」
何でそこでそう………あああああ!!!
演技!そう、この哀愁漂う表情は演技なのよ柚子!!
ツナさんは演技派俳優だって事、忘れてないでしょう!?
引っかかっちゃダメよ、
引っか…かっ…ちゃ………ダ、メ…
「嫌い…なんだ……」
『嫌い、じゃないと…思います……』
ああ、負けた。
まーたこの表情に負けちゃったよ。
あり得ないでしょ、あたし!
何なのよ、あたし!
どこまで心が広いんだ、あたし!!
「………本当?柚子…」
ギィ、と椅子が引かれる音がして、
ふと気がつけばツナさんはあたしの前に立っていて。
ダメダメダメ!
距離が近くなればなるほど、あたしは拒絶しにくくなる。
「答えろよ、柚子…」
その弱々しい命令口調が、あたしは苦手。
命令されてるのに、何だか支えてあげなきゃいけないような気になって来る。
『本当、ですよ……』
今だけよ、
騙されるのはこれで最後よ、柚子。
自分に何度も言い聞かせてから、あたしはゆっくりツナさんと視線を合わせる。
『あたしは、ココに来れて、とっても幸せです。』
「………そっか…」
『きゃっ!ちょっ、ツナさんっ!?///』
柔らかい微笑を見せられて、一瞬だけ見とれる。
と次の瞬間、ツナさんの手があたしの頬に添えられて、
そのまま後頭部を引き寄せられた。
…要するに、突然の抱擁。
『あのっ…お掃除あるんで…放して下さい……///』
「………嫌だ。」
『その歳でダダこねないで下さいよ!!』
「柚子、」
必死にツナさん胸部を押してみるものの、効果無し。
その上会話でもスルーされ、小さく呼びかけられる。
『な、何ですか…?』
「柚子は………可愛いな。」
『はい!!?///』
「ホント、可愛いよ。」
『や、やめて下さい!何なんですか!!///いつも言ってますけどプレイボーイは…』
「嫌われるんだろ?」
『分かってるならやめて下さい!!///』
テンパった状態で必死に抗議したから、軽く息があがる。
ツナさんはそんなあたしを見て、クスクスと笑っていた。
『な、何でそんな笑って……』
ガチャ、
「ツナ、早くしろ。まだ書類終わんねーのか?」
「あ。」
ズガンッ!!!
ひいいいい!!!!
何で!?どうして入室早々撃つんですか!?
「書類あるから待てって言ったクセに柚子とイチャついてたのか……いい度胸だな、ツナ。」
ええええええ!!!??
違う!それ違いますリボーンさん!!
「何が違ぇーんだ?柚子。」
『(読まれてる!)』
「ごめんってリボーン、ちょうど了平さんから電話があってさ。」
「それがどう関与すると柚子との抱擁に繋がるんだ?」
怖っ!!
リボーンさん、めちゃ怖っ!!
「今頃気づいたか。」
『だから読まないで下さい!』
「自然と聞こえて来るんだぞ、文句言うな。………で?」
視線を戻すリボーンさんに、ツナさんは言う。
「電話が長引いて、内容を盗み聞きしてた柚子が可愛かった。以上。」
何そのまとめ方ーーー!!!
もっと何か色々あったでしょう!?
ツナさんが横暴だったとか、
ツナさんが黒笑い見せたとか、
ツナさんが演技力活用したとか…
「「うるさい柚子。」」
『ひぇっ!』
あぁ泣きたい。
心の底から泣きたいです。
了平さん、早く帰って来て下さい。
「んじゃ、行ってくる。」
『え?あの、どちらまで??』
今日はそんなスケジュールあったっけ?
疑問に思って問いかけると、ドアのぶを握ったツナさんはクルリと振り向いて。
「何?そんなに寂しい?」
『なっ…』
「1時間以内には戻るから、安心して待ってろよ。」
『だから違っ………』
パタン、
『………はぁ。』
何で?どうして?
顔の熱が、下がらない……///
『……ダメダメ!しっかりするのよ柚子!』
パンッ、と両頬を自分で軽く叩き、エプロンの紐を結び直す。
了平さんが帰ってくるなら廊下のお掃除頑張らなくちゃ!
そう思って、あたしはツナさんの部屋を後にした。
『…にしても、』
最近ツナさんは、リボーンさんと一緒に外に出る事が多い。
昨日の夕飯の後、その事について山本さんに聞いてみた。
そしたら、
---「でっけぇパーティーがあるから、あらゆる同盟ファミリーと話し合ってんだってさ!」
と。
確かに昨日ディーノさんも来たし、雲雀さんが“群れる会”がどーたらって言ってた。
ボンゴレが主催するのかな…
だとしたらやっぱりツナさん忙しいんだろうなー…。
---
-----
『ふふ~ん♪ふふっ、ふ~♪』
了平さんが帰ってくると思うと、自然と鼻歌まじりになる。
廊下の絨毯に掃除機をかけ終え、花瓶に新しい花をさしていた。
「くふふ~ん♪くふふっ、くふ~♪」
………げっ。
「随分楽しそうですね、柚子♪」
『やっぱ空耳じゃなかった!!』
「柚子の鼻歌~骸ver.~です♪」
『タイトルとか要りませんから!!』
神出鬼没な変態がやって参りました。
さて、どうしよう……
「ところで柚子、いつもよりお掃除張り切ってますね。何かありましたか?」
『あ、分かりますか!?実は……了平さんが帰ってくるんですよー!!』
満面の笑みでそう言うと、骸さんはピシッという音が聞こえるように石化した。
あぁ、折角この人とまともな会話出来てると思ったのに……
結局こうなるのか。
この人はギャグに走るのか。
「違います!!!」
『ひぇっ!(急に戻った…!)』
「柚子、君は……そんなに彼が好きなんですか!?僕より彼を選ぶんですか!!?」
『はい。(キッパリ)』
「くふぁっ!!」
あ……倒れた。
だって…
変態発言&セクハラばっかりの骸さんに絡まれるくらいなら、
了平さんと一緒に厳しいトレーニングとかするもん。
何はともあれ、静かになっちゃったからまた鼻歌を歌い始める。
あー、廊下にのびてる骸さん、どうしよう……
「ただいまーっ。」
『あ、お帰りなさい山本さんっ!』
「お、柚子!………どしたんだ?それ…」
のびてる骸さんを指差しながら、山本さんは疑問符を浮かべる。
何か急に倒れちゃいました、と答えると、
「じゃあ広間のソファにでも運ぶか!」と言って引きずっていった。
洗濯物を預かったあたしは、廊下を早歩きで進む。
了平さん、何時に帰ってくるのかなー?
何て言って迎えようかなー?
ワクワクしながら洗濯機のボタンを押した。
「お、いたいた。」
『山本さんっ、骸さんは…?』
「ソファの上に置いといたぜ!でさ、これも追加していっか?」
言いながらタオルを出す山本さん。
さっきまで首に掛けたまま忘れていたとか。
『構いませんよ♪お預かりします。』
「サンキュ!」
『あ、山本さんはご存知ですか?今日、了平さん帰ってくるんですよっ!』
「お!先輩、向こうでの仕事終わったのか!じゃあ今日はごちそうだなっ♪」
『はいっ!腕によりをかけます!』
そうそう、こーゆー会話がしたかったのよー!!
さすが山本さんっ!
良く分かってらっしゃる!!
『そーでした!あたし、買い出しに行ってこなくちゃ…』
「ん、一緒に行こーか?」
『えっ!?大丈夫ですよ、悪いですし。』
「いーって!たっくさん買って、すんげーご馳走にしよーぜ、なっ!」
はぅ…何でこの人はこう……癒しなんだろう…
『えと、では……お言葉に甘えて…』
「よしっ!じゃ、行くか!」
「その必要はないよ。」
あれ?
あたしの中の3大恐怖の一角が垣間見えたような……
「ふぅん、咬み殺して欲しい…って事だね。」
『違いますごめんなさいお許しください!!!』
「おっ、雲雀も帰ってたのか!」
明るく話しかける山本さんを一瞥してから、雲雀さんはあたしに言う。
「彼が帰って来たら全員で料亭行くって、沢田が。」
『そ、そうでしたか…!!』
「んじゃー、柚子のご馳走じゃねーの?」
少し眉を下げる山本さんを見ると、何だか申し訳なくなって来る。
『山本さん、今度試合で勝った時とかにお作りしますから……』
「ホントか!?サンキュー柚子♪」
あぁ…本当に癒しだわ。
山本さんの笑顔を見れるなら、もうあたしはどんなご馳走でも作ります!!
「…今から変更しようか。」
『え?』
「料亭より、柚子の手作りがいいからね。」
『雲雀さん……』
これは、褒められてるんだよね?
あたしの料理、おいしいって…
「経費削減にもなるしね。」
『(セコッ…!!)』
「何か言った?」
『言ってません!!』
「つか、何時頃帰って来んだ?先輩。」
『あ、それあたしも分からないんですけど……雲雀さんはご存知ですか?』
「……もうすぐじゃない?」
『そんな適当な…』
「極限帰ったぞーー!!!」
間。
雲雀さん、すご過ぎる。
数秒間ボーッとしたけど、我に返った。
『(えっと……)お、おっかえりなさーーいっ!!!』
洗濯室から顔を出すと、廊下の向こうに背の高い人影が一つ見える。
あぁ、了平さんだ。
横暴じゃない率を極限に上げてくれる、家政婦の味方のご帰還だ…!
『了平さーーんっ!!』
「おぉ柚子!元気にしてたか!」
ダッシュして、急ブレーキ。
嬉しさいっぱいに迎えるあたしの頭を、了平さんは撫でてくれた。
山本さんより少し強めなその感触が、懐かしい。
「先輩、お疲れっス!」
「ちゃんと仕事出来たんだ。」
「山本!雲雀!久しぶりだな!!」
熱く再会を喜ぶ了平さんを見て、あたしはハッとする。
『あ、あの!お怪我とかしてませんか!?』
「ぬ?何故だ。」
『だって…』
ツナさんが、暗殺がどう……とか…
「俺はこの通り極限にピンピンしてるぞ!!柚子の方はどうだ!?」
『あたし、ですか……』
まさか、あたしを気遣って下さるなんて……
何て素晴らしい人!!
よし、今はツナさんもいないし…
『ツナさんにこき使われ過ぎて私はもう…』
「柚子、何か言った?」
『ひょえぇ!!』
い、今の声は何処から…
「ただいま。」
『きゃーっ!!!』
爽やかすぎる黒笑いと共に、了平さんの背後から顔を出したツナさん。
あたしは思わず3歩後退り。
『つ、ツナさん…お帰りなさい……早かったですね…』
「何言ってんだよ、柚子が急かしたんだろ?」
『…………へ?』
思わぬ言葉にフリーズ状態のあたしに、ツナさんはぐいっと近寄り、顎を上げさせて。
「俺がいないと寂しい…って、泣きついて来たクセに。」
『だ、誰がですかぁー!!!///』
目の前で放たれた甘い恥ずかしさMAXの台詞に、もう赤面するしかなかった。
ハミング
喜びいっぱいの再会が、更なる恐怖の前兆だとは
continue…
ツナさんの部屋にて。
電話中のツナさんの横でコポコポとコーヒーを入れる。
「……それで、今は?」
『(誰と話してるんだろー…ま、いーけど。)』
随分とフレンドリーだな、と思いながら机にカップを置いた。
「だったら今日中に帰って来れますね、ご苦労様です。」
………ん?
“帰ってくる”?
“ご苦労様”??
カシャン、
『ツナさん、今の電話の人ってまさか……!』
「何だよ、柚子にしちゃ察しがいいな。」
『やったーーーー!!!!』
“柚子にしちゃ”ってのが気になったけど、とりあえず嬉しくなって思わず飛び跳ねる。
やっと、やっと帰って来られるんだ!!
あたしが貴方の熱いボケと大らかさと喧嘩を止めるスキルをどれほど待ち望んでいたか!!
「へぇ。」
『読まないで下さいっ!』
「聞こえまくり。つーか、そんなに待ちわびてたんだ。」
『当たり前です!』
だってあの人が…
了平さんが帰ってくれば……
『横暴じゃない率が極限にアップするんですよっ♪』
「誰が横暴?」
『すみません!!』
いっそ清々しいくらいの黒い笑みを向けて尋ねるツナさんに、慌てて謝罪。
すると今度は、急に声を小さくして。
「アレは…嘘だったのかよ……」
『え…?』
「昨日…柚子が言った事………俺…マジで嬉しかったのに…。」
昨 日 ?
記憶の糸を手繰る。
あたし、ツナさんが嬉しくなるような事、言ったっけ??
『………あ。』
「…思い出したか?」
『アレ、ですか?』
「うん、アレ。」
---『あたしは今、幸せって事です…///』
うん、思い出したよ。
確かにそう言ったさ。
だけどね、
そんなに真っ黒な笑みで掘り返されたら否定もしたくなりますがな!!!
(混乱によるキャラ崩壊)
『で、ですからアレはっ…』
「やっぱり嘘…だったんだ……」
何でそこでそう………あああああ!!!
演技!そう、この哀愁漂う表情は演技なのよ柚子!!
ツナさんは演技派俳優だって事、忘れてないでしょう!?
引っかかっちゃダメよ、
引っか…かっ…ちゃ………ダ、メ…
「嫌い…なんだ……」
『嫌い、じゃないと…思います……』
ああ、負けた。
まーたこの表情に負けちゃったよ。
あり得ないでしょ、あたし!
何なのよ、あたし!
どこまで心が広いんだ、あたし!!
「………本当?柚子…」
ギィ、と椅子が引かれる音がして、
ふと気がつけばツナさんはあたしの前に立っていて。
ダメダメダメ!
距離が近くなればなるほど、あたしは拒絶しにくくなる。
「答えろよ、柚子…」
その弱々しい命令口調が、あたしは苦手。
命令されてるのに、何だか支えてあげなきゃいけないような気になって来る。
『本当、ですよ……』
今だけよ、
騙されるのはこれで最後よ、柚子。
自分に何度も言い聞かせてから、あたしはゆっくりツナさんと視線を合わせる。
『あたしは、ココに来れて、とっても幸せです。』
「………そっか…」
『きゃっ!ちょっ、ツナさんっ!?///』
柔らかい微笑を見せられて、一瞬だけ見とれる。
と次の瞬間、ツナさんの手があたしの頬に添えられて、
そのまま後頭部を引き寄せられた。
…要するに、突然の抱擁。
『あのっ…お掃除あるんで…放して下さい……///』
「………嫌だ。」
『その歳でダダこねないで下さいよ!!』
「柚子、」
必死にツナさん胸部を押してみるものの、効果無し。
その上会話でもスルーされ、小さく呼びかけられる。
『な、何ですか…?』
「柚子は………可愛いな。」
『はい!!?///』
「ホント、可愛いよ。」
『や、やめて下さい!何なんですか!!///いつも言ってますけどプレイボーイは…』
「嫌われるんだろ?」
『分かってるならやめて下さい!!///』
テンパった状態で必死に抗議したから、軽く息があがる。
ツナさんはそんなあたしを見て、クスクスと笑っていた。
『な、何でそんな笑って……』
ガチャ、
「ツナ、早くしろ。まだ書類終わんねーのか?」
「あ。」
ズガンッ!!!
ひいいいい!!!!
何で!?どうして入室早々撃つんですか!?
「書類あるから待てって言ったクセに柚子とイチャついてたのか……いい度胸だな、ツナ。」
ええええええ!!!??
違う!それ違いますリボーンさん!!
「何が違ぇーんだ?柚子。」
『(読まれてる!)』
「ごめんってリボーン、ちょうど了平さんから電話があってさ。」
「それがどう関与すると柚子との抱擁に繋がるんだ?」
怖っ!!
リボーンさん、めちゃ怖っ!!
「今頃気づいたか。」
『だから読まないで下さい!』
「自然と聞こえて来るんだぞ、文句言うな。………で?」
視線を戻すリボーンさんに、ツナさんは言う。
「電話が長引いて、内容を盗み聞きしてた柚子が可愛かった。以上。」
何そのまとめ方ーーー!!!
もっと何か色々あったでしょう!?
ツナさんが横暴だったとか、
ツナさんが黒笑い見せたとか、
ツナさんが演技力活用したとか…
「「うるさい柚子。」」
『ひぇっ!』
あぁ泣きたい。
心の底から泣きたいです。
了平さん、早く帰って来て下さい。
「んじゃ、行ってくる。」
『え?あの、どちらまで??』
今日はそんなスケジュールあったっけ?
疑問に思って問いかけると、ドアのぶを握ったツナさんはクルリと振り向いて。
「何?そんなに寂しい?」
『なっ…』
「1時間以内には戻るから、安心して待ってろよ。」
『だから違っ………』
パタン、
『………はぁ。』
何で?どうして?
顔の熱が、下がらない……///
『……ダメダメ!しっかりするのよ柚子!』
パンッ、と両頬を自分で軽く叩き、エプロンの紐を結び直す。
了平さんが帰ってくるなら廊下のお掃除頑張らなくちゃ!
そう思って、あたしはツナさんの部屋を後にした。
『…にしても、』
最近ツナさんは、リボーンさんと一緒に外に出る事が多い。
昨日の夕飯の後、その事について山本さんに聞いてみた。
そしたら、
---「でっけぇパーティーがあるから、あらゆる同盟ファミリーと話し合ってんだってさ!」
と。
確かに昨日ディーノさんも来たし、雲雀さんが“群れる会”がどーたらって言ってた。
ボンゴレが主催するのかな…
だとしたらやっぱりツナさん忙しいんだろうなー…。
---
-----
『ふふ~ん♪ふふっ、ふ~♪』
了平さんが帰ってくると思うと、自然と鼻歌まじりになる。
廊下の絨毯に掃除機をかけ終え、花瓶に新しい花をさしていた。
「くふふ~ん♪くふふっ、くふ~♪」
………げっ。
「随分楽しそうですね、柚子♪」
『やっぱ空耳じゃなかった!!』
「柚子の鼻歌~骸ver.~です♪」
『タイトルとか要りませんから!!』
神出鬼没な変態がやって参りました。
さて、どうしよう……
「ところで柚子、いつもよりお掃除張り切ってますね。何かありましたか?」
『あ、分かりますか!?実は……了平さんが帰ってくるんですよー!!』
満面の笑みでそう言うと、骸さんはピシッという音が聞こえるように石化した。
あぁ、折角この人とまともな会話出来てると思ったのに……
結局こうなるのか。
この人はギャグに走るのか。
「違います!!!」
『ひぇっ!(急に戻った…!)』
「柚子、君は……そんなに彼が好きなんですか!?僕より彼を選ぶんですか!!?」
『はい。(キッパリ)』
「くふぁっ!!」
あ……倒れた。
だって…
変態発言&セクハラばっかりの骸さんに絡まれるくらいなら、
了平さんと一緒に厳しいトレーニングとかするもん。
何はともあれ、静かになっちゃったからまた鼻歌を歌い始める。
あー、廊下にのびてる骸さん、どうしよう……
「ただいまーっ。」
『あ、お帰りなさい山本さんっ!』
「お、柚子!………どしたんだ?それ…」
のびてる骸さんを指差しながら、山本さんは疑問符を浮かべる。
何か急に倒れちゃいました、と答えると、
「じゃあ広間のソファにでも運ぶか!」と言って引きずっていった。
洗濯物を預かったあたしは、廊下を早歩きで進む。
了平さん、何時に帰ってくるのかなー?
何て言って迎えようかなー?
ワクワクしながら洗濯機のボタンを押した。
「お、いたいた。」
『山本さんっ、骸さんは…?』
「ソファの上に置いといたぜ!でさ、これも追加していっか?」
言いながらタオルを出す山本さん。
さっきまで首に掛けたまま忘れていたとか。
『構いませんよ♪お預かりします。』
「サンキュ!」
『あ、山本さんはご存知ですか?今日、了平さん帰ってくるんですよっ!』
「お!先輩、向こうでの仕事終わったのか!じゃあ今日はごちそうだなっ♪」
『はいっ!腕によりをかけます!』
そうそう、こーゆー会話がしたかったのよー!!
さすが山本さんっ!
良く分かってらっしゃる!!
『そーでした!あたし、買い出しに行ってこなくちゃ…』
「ん、一緒に行こーか?」
『えっ!?大丈夫ですよ、悪いですし。』
「いーって!たっくさん買って、すんげーご馳走にしよーぜ、なっ!」
はぅ…何でこの人はこう……癒しなんだろう…
『えと、では……お言葉に甘えて…』
「よしっ!じゃ、行くか!」
「その必要はないよ。」
あれ?
あたしの中の3大恐怖の一角が垣間見えたような……
「ふぅん、咬み殺して欲しい…って事だね。」
『違いますごめんなさいお許しください!!!』
「おっ、雲雀も帰ってたのか!」
明るく話しかける山本さんを一瞥してから、雲雀さんはあたしに言う。
「彼が帰って来たら全員で料亭行くって、沢田が。」
『そ、そうでしたか…!!』
「んじゃー、柚子のご馳走じゃねーの?」
少し眉を下げる山本さんを見ると、何だか申し訳なくなって来る。
『山本さん、今度試合で勝った時とかにお作りしますから……』
「ホントか!?サンキュー柚子♪」
あぁ…本当に癒しだわ。
山本さんの笑顔を見れるなら、もうあたしはどんなご馳走でも作ります!!
「…今から変更しようか。」
『え?』
「料亭より、柚子の手作りがいいからね。」
『雲雀さん……』
これは、褒められてるんだよね?
あたしの料理、おいしいって…
「経費削減にもなるしね。」
『(セコッ…!!)』
「何か言った?」
『言ってません!!』
「つか、何時頃帰って来んだ?先輩。」
『あ、それあたしも分からないんですけど……雲雀さんはご存知ですか?』
「……もうすぐじゃない?」
『そんな適当な…』
「極限帰ったぞーー!!!」
間。
雲雀さん、すご過ぎる。
数秒間ボーッとしたけど、我に返った。
『(えっと……)お、おっかえりなさーーいっ!!!』
洗濯室から顔を出すと、廊下の向こうに背の高い人影が一つ見える。
あぁ、了平さんだ。
横暴じゃない率を極限に上げてくれる、家政婦の味方のご帰還だ…!
『了平さーーんっ!!』
「おぉ柚子!元気にしてたか!」
ダッシュして、急ブレーキ。
嬉しさいっぱいに迎えるあたしの頭を、了平さんは撫でてくれた。
山本さんより少し強めなその感触が、懐かしい。
「先輩、お疲れっス!」
「ちゃんと仕事出来たんだ。」
「山本!雲雀!久しぶりだな!!」
熱く再会を喜ぶ了平さんを見て、あたしはハッとする。
『あ、あの!お怪我とかしてませんか!?』
「ぬ?何故だ。」
『だって…』
ツナさんが、暗殺がどう……とか…
「俺はこの通り極限にピンピンしてるぞ!!柚子の方はどうだ!?」
『あたし、ですか……』
まさか、あたしを気遣って下さるなんて……
何て素晴らしい人!!
よし、今はツナさんもいないし…
『ツナさんにこき使われ過ぎて私はもう…』
「柚子、何か言った?」
『ひょえぇ!!』
い、今の声は何処から…
「ただいま。」
『きゃーっ!!!』
爽やかすぎる黒笑いと共に、了平さんの背後から顔を出したツナさん。
あたしは思わず3歩後退り。
『つ、ツナさん…お帰りなさい……早かったですね…』
「何言ってんだよ、柚子が急かしたんだろ?」
『…………へ?』
思わぬ言葉にフリーズ状態のあたしに、ツナさんはぐいっと近寄り、顎を上げさせて。
「俺がいないと寂しい…って、泣きついて来たクセに。」
『だ、誰がですかぁー!!!///』
目の前で放たれた甘い恥ずかしさMAXの台詞に、もう赤面するしかなかった。
ハミング
喜びいっぱいの再会が、更なる恐怖の前兆だとは
continue…