🎼本編
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『ん~~~…っと!』
思いっきり背伸びをしたのは、ツナさんがいないから。
ついでにリボーンさんもいないから。
つまり、あたしの自由時代が来た!
…なーんちゃって。
『やっぱ恐怖政治より民主主義よね。』
「何の事だ?」
『あっ、山本さん!お帰りなさいっ♪』
「あぁ、ただいま!」
はぅ~…
やっぱり癒しだわ…///
『何でもないです。今日の練習試合はいかがでしたか?』
「おう!快勝快勝!!最後は2ランホームランで……」
楽しそうに話す山本さんに、あたしは冷たいレモンティーを出す。
「あんがとな♪」って受け取ってくれる山本さんは、本当に爽やかで素敵。
「ところで柚子、フルートコンクール、今週末なんだってな。」
『えぇ!?一体誰が!』
「ハハッ、勿論ツナだぜっ!」
あ、あのボスは~~~~っ!!!!
「そーとー楽しみにしてるっぽかったなー…滅多に見ないよーな笑顔で話しててさ。」
『あ…そうですか………』
「どした?柚子。」
『いえ、ちょっと心配なんですけど…』
首を傾げる山本さんに、あたしは頬を掻きながら申し出る。
『もしかして、もしかしなくても……ツナさん、見に来る気満々だったり……』
「あぁ!俺ら皆で見に行くってさ!」
ああっ!眩しい笑顔!!
どうしようっ!!
すんごく来て欲しくないのに!!
ましてや、あの横暴ボスの前でミスなんてしちゃったらもう……
『(命が消える!!)』
って、ちょっと待てよ?
『あのぅ…山本さん…』
「ん?」
『あたしの記憶が正しければ、確か一次予選は一般には非公開だと思うんですけど…』
「そー言えばそーかもなぁ。」
うーん、と顎に手を当てて考える山本さん。
あたしは心の中でガッツポーズをする。
だって、これでツナさんを始め恐怖政治をする人達に演奏見られなくて済むもんっ。
と、その時だった。
バンッ、
「おい柚子!いねーのか!?」
『ご、獄寺さんっ!?』
盛大にドアを開けて「ただいま」も言わずに入って来た獄寺さん。
あたしの肩をガシッと掴んで、こう言った。
「喜べ!!」
『………何を、ですか?』
とんでもなーく嫌な予感しかしないんですが…
聞き返すあたしに、獄寺さんは得意そうな笑みを見せて。
「今週末の柚子のコンクール、10代目が見に行かれるぞ!!」
間。
『えええぇーーーっ!!!??』
何で!?
いや、ホントに何で!?
だって、だって、一般人には非公開だって…
あたし、確かに受付の人に聞いておいたのに……
「僕らは一般人じゃないからね。」
『雲雀さん!!』
いつからそこに!?
「獄寺と同じ時に入って来たよ。」
『読まないで下さいってば!!』
「ヤダ。」
あぁもう!
どうしてココの人達はみんな…常識がないと言うか何と言うか…
『(てか…一般人じゃないってどーゆー事?)』
自分で入れたらしきコーヒーを啜る雲雀さんに聞こうとすると、獄寺さんに腕を引っぱられた。
『へ?』
「10代目が見に来て下さるんだ!とっとと練習しやがれ!!」
そう来たかーー!!
そうやってあたしの(山本さんとの)休憩時間も削ろうってか!!
「ふぅん…柚子、ソレ沢田に伝えといていい?」
『えっ!?ちょ、勘弁して下さい雲雀さん!!』
「(クス…)…多分冗談だよ。」
『多分じゃ困りますっ!』
うわ~ん!
雲雀さんに縋るあたしを、獄寺さんは演奏室に引っぱっていく。
「ほら!ちゃんとやれよ!」
『…はーい。』
気持ちを切り替えて、愛用のフルートを握る。
『(えぇっと、譜面台譜面台っと……)』
一応暗譜はしてあるけど、確認しようと思って譜面台を探した。
確か置きっ放しにしちゃってたから。
『あ、あった!』
獄寺さんがいつも弾いてるピアノの奥に、他より少し新しめの譜面台。
あたしは手を伸ばして自分の楽譜を取った。
『あれ…?』
ふと、1枚多い事に気がついた。
何か他のが混ざっちゃったのかな…?
1番後ろの楽譜を前に出してみると…
『並盛中学校……校歌??』
並盛中って、確かツナさん達が通ってたっていう……
何でココに校歌があんの!?
『………吹いてみよっかな♪』
♪みーどーり たなーびくー
なーみーもーりーのー
『こんなテンポでいいのかな…?』
「遅いよ。」
『……えぇ!?雲雀さんっ!!』
いつからそこに!!
ドアの側で足を組んで壁に寄りかかってる雲雀さんが、
あたしが吹いてる校歌に文句をつけた。
「柚子が3音目を吹いた時から。」
あ、そこは律儀に答えてくれるんですね…
親切なのか何なのか分からないけど。
「随分失礼な言い様だよね、さっきから。」
『ごめんなさい!!』
「しかもテンポ遅かったし。」
『そっ、それは!この楽譜にテンポの基準が書かれてないからでして……』
あたしがゴニョゴニョと言い訳をすると、雲雀さんは近づいて来て楽譜を確認した。
「……ホントだ。」
『だから言ったじゃないですかぁ…。』
すると、雲雀さんはおもむろに手拍子を始める。
『…何してるんですか?』
「このくらい。」
メトロノームみたいに、一定のリズムで手を叩く雲雀さん。
言われて初めて、テンポを教えてくれてるんだと気付く。
『あ、はい!』
すぐに前奏を吹き始めた。
ふーん、こんな感じなのかぁ。
これを皆さんで歌ってたんだなぁ、とか考えると、
ちょっと可笑しい。
「みーどーり たなーびくー
なーみーもーりーのー」
『(えっ…?)』
ツナさん達の中学時代を考えてたあたしの耳に、少し低めの声が飛び込む。
「だーいなーくしょうーなくー
なーみーがーいいー」
『(わぁ……///)』
あたしの斜め右前に立って、雲雀さんは歌っていた。
少し小さめの声だったけど、
とっても綺麗で、澄んだテノール。
いつもの鋭い目は軽く閉じられてて、
でもあたしがテンポを見失わないように手拍子を続けてくれてる。
『(やっぱり……)』
やっぱり、ココの人達は何処かしら素敵な面があって。
それは普段、横暴さとかヘンタイ加減とかに隠れてしまってるけど、
確かなモノで。
きっと、普段横暴な分、意外な一面が見れた時の感動は大きくて。
それは、今も同じ。
『雲雀さん!歌、すっごく上手いですね!!てゆーか声が綺麗です!!』
「…別に。他のは歌わないし。」
ぷいっとそっぽを向く雲雀さんは、ちょっと可愛い。
『雲雀さん、並盛中が好きなんですか?』
「好き?アレは僕のだよ。」
中学校独占宣言ーー!!?
え?
雲雀さん今、大学生ですよね…?
「そうだけど、アレは永久に僕のモノ。」
『そう、ですか……』
何だかなぁ…。
人には色んなこだわりがある、んだよね…
そんな解釈でいいよね、うん。
「そうだ、柚子に渡そうと思って。」
『何をですか?』
雲雀さんはゴソッとポケットを漁り、何か握って取り出した。
「手。」
『あ、はい!』
ビッと差し出した手に、ちょこんと乗せられたのは……
『笛ラムネじゃないですかぁ!!いいんですか!?』
「柚子しか食べるヤツいないからね。」
『ありがとーございます♪いただきます!』
パクリと唇に挟めば、オレンジの香りがほんのり広がる。
ピューッ♪
『ひふぁりさん、』
(雲雀さん、)
少しはしたないけど、気になったから尋ねてみることにした。
「何。」
『ふぉれ、どふぉれもらふんでふか?』
(コレ、何処で貰うんですか?)
「外。」
いや、そんな事は分かってるんですよ。
だからその、場所を教えて欲しいと言うか……
「五月蝿い。」
『何ふぉいっふぇまふぇん!』
(何も言ってません!)
「聞こえたんだよ。」
『うぅ…』
笛の効果が切れて来たラムネを、今度は口の中で転がす。
『で、何処で貰うんですか?』
「何処でもいいでしょ。」
『気になりますーっ。私もそこに行けば貰えるかも知れないじゃないですか♪』
そうすれば、わざわざ雲雀さんに頂かなくても……
「(はぁ…)……駄菓子屋だよ。」
間。
『……………えぇ!!?』
駄菓子屋…
雲雀さんが駄菓子屋ですと!!?
「…咬み殺すよ。」
『すみませんっ!!』
頭を下げるあたしに再び溜め息をついて、雲雀さんは口笛を短く吹く。
すると…
パタパタ…
「ヒバリ!ヒバリ!」
『えぇ!?』
「彼のエサを買いに行くと、タダで付いてくるんだ。」
説明する雲雀さんの周りを飛び回るのは、
小さくて可愛い黄色いトリさん。
『そうなんですかぁ!』
雲雀さんがこんなに可愛いトリさんを飼っていたなんて、
ちょっとどころか、すんごく意外。
しかも喋ってるしー♪
『可愛いですね♪』
「キミ、ダレ!」
『(雲雀さんと同じ口調……(汗)』
「コレは柚子だよ。」
「牧之原!」
『わぁーっ!すごいすごい!!』
って、ちょっと待った!
“コレは柚子だよ”って……
『あたしはコレ呼ばわりですか!』
「文句あるの?」
『……う~~~っ。』
「牧之原!牧之原!オモシロイネ!」
何か…バカにされてる気分……。
「ワオ、よく分かったね。」
『やっぱりバカにされてるんですか!!』
うわーん!ショック……
「(クスクス…)」
『(あ……)』
ふと、雲雀さんが笑ってるのが目に入って、
美人だな、って思った。
「柚子は面白いね。」
『なっ……トリさんと同じ事言わないで下さい!!///』
急に声を掛けられて、あたしは跳ね上がる。
雲雀さんに見入ってたから、ちょっと恥ずかしかった。
後日、あたしはそのトリさんが“ヒバード”と呼ばれている事を知るのだが…
それはまた別の話。
-------
「ただいまー、」
「帰ったぞ。」
『お帰りなさい。ツナさん、リボーンさん。』
「あぁ柚子……ただいま。」
「いい匂いだな…今日はハッシュドビーフか?」
『正解です!さすがリボーンさん!』
あ、そうだ。
コンクールの事、ツナさんに聞かなくちゃ。
『あ、あの…』
「行くから。」
間。
『へ?』
あれ?
あたしまだ、何も言ってないよね……?
「柚子が何と言おうと、俺達は見に行くよ。」
『ちょっ…待って下さい!!一次予選は、一般のお客様は見れないって………』
「ヒバリに聞かなかったのか?」
あたふたするあたしに、リボーンさんがピシャリと言う。
『何を、ですか?』
「要するに俺達ボンゴレっつーのは、強大な権力持ってるって事。」
ツナさんは腹黒な笑みを浮かべる。
あ、凄いヤダな。
「コンクールの規定破りなんて大した事ねぇぞ。」
リボーンさんってば言い切った!
規定破るって言い切った!!
「ちょっと交渉したら、すぐ許してくれたよ。」
『まさか今日のお出かけは……』
「うん、そうだよ。」
山本さんとは違う、黒くて眩しい笑み。
それが今、あたしの目の前でキラッと光った。
「俺は柚子の為なら何でもするから。」
『そ、そんなぁーー!!!』
どうやらツナさん、今日1日コンクール主催者と話し合ってた模様。
そして…
『(どーして許可するのさ!主催者!!)』
特別鑑賞が認められた模様……
『(どうなる!あたしのコンクール第一時予選!!)』
「大げさ。」
『そんな事無いです!必死です!』
テノール
思い起こせば少し落ち着く、耳に残りし淡い歌声
continue...
思いっきり背伸びをしたのは、ツナさんがいないから。
ついでにリボーンさんもいないから。
つまり、あたしの自由時代が来た!
…なーんちゃって。
『やっぱ恐怖政治より民主主義よね。』
「何の事だ?」
『あっ、山本さん!お帰りなさいっ♪』
「あぁ、ただいま!」
はぅ~…
やっぱり癒しだわ…///
『何でもないです。今日の練習試合はいかがでしたか?』
「おう!快勝快勝!!最後は2ランホームランで……」
楽しそうに話す山本さんに、あたしは冷たいレモンティーを出す。
「あんがとな♪」って受け取ってくれる山本さんは、本当に爽やかで素敵。
「ところで柚子、フルートコンクール、今週末なんだってな。」
『えぇ!?一体誰が!』
「ハハッ、勿論ツナだぜっ!」
あ、あのボスは~~~~っ!!!!
「そーとー楽しみにしてるっぽかったなー…滅多に見ないよーな笑顔で話しててさ。」
『あ…そうですか………』
「どした?柚子。」
『いえ、ちょっと心配なんですけど…』
首を傾げる山本さんに、あたしは頬を掻きながら申し出る。
『もしかして、もしかしなくても……ツナさん、見に来る気満々だったり……』
「あぁ!俺ら皆で見に行くってさ!」
ああっ!眩しい笑顔!!
どうしようっ!!
すんごく来て欲しくないのに!!
ましてや、あの横暴ボスの前でミスなんてしちゃったらもう……
『(命が消える!!)』
って、ちょっと待てよ?
『あのぅ…山本さん…』
「ん?」
『あたしの記憶が正しければ、確か一次予選は一般には非公開だと思うんですけど…』
「そー言えばそーかもなぁ。」
うーん、と顎に手を当てて考える山本さん。
あたしは心の中でガッツポーズをする。
だって、これでツナさんを始め恐怖政治をする人達に演奏見られなくて済むもんっ。
と、その時だった。
バンッ、
「おい柚子!いねーのか!?」
『ご、獄寺さんっ!?』
盛大にドアを開けて「ただいま」も言わずに入って来た獄寺さん。
あたしの肩をガシッと掴んで、こう言った。
「喜べ!!」
『………何を、ですか?』
とんでもなーく嫌な予感しかしないんですが…
聞き返すあたしに、獄寺さんは得意そうな笑みを見せて。
「今週末の柚子のコンクール、10代目が見に行かれるぞ!!」
間。
『えええぇーーーっ!!!??』
何で!?
いや、ホントに何で!?
だって、だって、一般人には非公開だって…
あたし、確かに受付の人に聞いておいたのに……
「僕らは一般人じゃないからね。」
『雲雀さん!!』
いつからそこに!?
「獄寺と同じ時に入って来たよ。」
『読まないで下さいってば!!』
「ヤダ。」
あぁもう!
どうしてココの人達はみんな…常識がないと言うか何と言うか…
『(てか…一般人じゃないってどーゆー事?)』
自分で入れたらしきコーヒーを啜る雲雀さんに聞こうとすると、獄寺さんに腕を引っぱられた。
『へ?』
「10代目が見に来て下さるんだ!とっとと練習しやがれ!!」
そう来たかーー!!
そうやってあたしの(山本さんとの)休憩時間も削ろうってか!!
「ふぅん…柚子、ソレ沢田に伝えといていい?」
『えっ!?ちょ、勘弁して下さい雲雀さん!!』
「(クス…)…多分冗談だよ。」
『多分じゃ困りますっ!』
うわ~ん!
雲雀さんに縋るあたしを、獄寺さんは演奏室に引っぱっていく。
「ほら!ちゃんとやれよ!」
『…はーい。』
気持ちを切り替えて、愛用のフルートを握る。
『(えぇっと、譜面台譜面台っと……)』
一応暗譜はしてあるけど、確認しようと思って譜面台を探した。
確か置きっ放しにしちゃってたから。
『あ、あった!』
獄寺さんがいつも弾いてるピアノの奥に、他より少し新しめの譜面台。
あたしは手を伸ばして自分の楽譜を取った。
『あれ…?』
ふと、1枚多い事に気がついた。
何か他のが混ざっちゃったのかな…?
1番後ろの楽譜を前に出してみると…
『並盛中学校……校歌??』
並盛中って、確かツナさん達が通ってたっていう……
何でココに校歌があんの!?
『………吹いてみよっかな♪』
♪みーどーり たなーびくー
なーみーもーりーのー
『こんなテンポでいいのかな…?』
「遅いよ。」
『……えぇ!?雲雀さんっ!!』
いつからそこに!!
ドアの側で足を組んで壁に寄りかかってる雲雀さんが、
あたしが吹いてる校歌に文句をつけた。
「柚子が3音目を吹いた時から。」
あ、そこは律儀に答えてくれるんですね…
親切なのか何なのか分からないけど。
「随分失礼な言い様だよね、さっきから。」
『ごめんなさい!!』
「しかもテンポ遅かったし。」
『そっ、それは!この楽譜にテンポの基準が書かれてないからでして……』
あたしがゴニョゴニョと言い訳をすると、雲雀さんは近づいて来て楽譜を確認した。
「……ホントだ。」
『だから言ったじゃないですかぁ…。』
すると、雲雀さんはおもむろに手拍子を始める。
『…何してるんですか?』
「このくらい。」
メトロノームみたいに、一定のリズムで手を叩く雲雀さん。
言われて初めて、テンポを教えてくれてるんだと気付く。
『あ、はい!』
すぐに前奏を吹き始めた。
ふーん、こんな感じなのかぁ。
これを皆さんで歌ってたんだなぁ、とか考えると、
ちょっと可笑しい。
「みーどーり たなーびくー
なーみーもーりーのー」
『(えっ…?)』
ツナさん達の中学時代を考えてたあたしの耳に、少し低めの声が飛び込む。
「だーいなーくしょうーなくー
なーみーがーいいー」
『(わぁ……///)』
あたしの斜め右前に立って、雲雀さんは歌っていた。
少し小さめの声だったけど、
とっても綺麗で、澄んだテノール。
いつもの鋭い目は軽く閉じられてて、
でもあたしがテンポを見失わないように手拍子を続けてくれてる。
『(やっぱり……)』
やっぱり、ココの人達は何処かしら素敵な面があって。
それは普段、横暴さとかヘンタイ加減とかに隠れてしまってるけど、
確かなモノで。
きっと、普段横暴な分、意外な一面が見れた時の感動は大きくて。
それは、今も同じ。
『雲雀さん!歌、すっごく上手いですね!!てゆーか声が綺麗です!!』
「…別に。他のは歌わないし。」
ぷいっとそっぽを向く雲雀さんは、ちょっと可愛い。
『雲雀さん、並盛中が好きなんですか?』
「好き?アレは僕のだよ。」
中学校独占宣言ーー!!?
え?
雲雀さん今、大学生ですよね…?
「そうだけど、アレは永久に僕のモノ。」
『そう、ですか……』
何だかなぁ…。
人には色んなこだわりがある、んだよね…
そんな解釈でいいよね、うん。
「そうだ、柚子に渡そうと思って。」
『何をですか?』
雲雀さんはゴソッとポケットを漁り、何か握って取り出した。
「手。」
『あ、はい!』
ビッと差し出した手に、ちょこんと乗せられたのは……
『笛ラムネじゃないですかぁ!!いいんですか!?』
「柚子しか食べるヤツいないからね。」
『ありがとーございます♪いただきます!』
パクリと唇に挟めば、オレンジの香りがほんのり広がる。
ピューッ♪
『ひふぁりさん、』
(雲雀さん、)
少しはしたないけど、気になったから尋ねてみることにした。
「何。」
『ふぉれ、どふぉれもらふんでふか?』
(コレ、何処で貰うんですか?)
「外。」
いや、そんな事は分かってるんですよ。
だからその、場所を教えて欲しいと言うか……
「五月蝿い。」
『何ふぉいっふぇまふぇん!』
(何も言ってません!)
「聞こえたんだよ。」
『うぅ…』
笛の効果が切れて来たラムネを、今度は口の中で転がす。
『で、何処で貰うんですか?』
「何処でもいいでしょ。」
『気になりますーっ。私もそこに行けば貰えるかも知れないじゃないですか♪』
そうすれば、わざわざ雲雀さんに頂かなくても……
「(はぁ…)……駄菓子屋だよ。」
間。
『……………えぇ!!?』
駄菓子屋…
雲雀さんが駄菓子屋ですと!!?
「…咬み殺すよ。」
『すみませんっ!!』
頭を下げるあたしに再び溜め息をついて、雲雀さんは口笛を短く吹く。
すると…
パタパタ…
「ヒバリ!ヒバリ!」
『えぇ!?』
「彼のエサを買いに行くと、タダで付いてくるんだ。」
説明する雲雀さんの周りを飛び回るのは、
小さくて可愛い黄色いトリさん。
『そうなんですかぁ!』
雲雀さんがこんなに可愛いトリさんを飼っていたなんて、
ちょっとどころか、すんごく意外。
しかも喋ってるしー♪
『可愛いですね♪』
「キミ、ダレ!」
『(雲雀さんと同じ口調……(汗)』
「コレは柚子だよ。」
「牧之原!」
『わぁーっ!すごいすごい!!』
って、ちょっと待った!
“コレは柚子だよ”って……
『あたしはコレ呼ばわりですか!』
「文句あるの?」
『……う~~~っ。』
「牧之原!牧之原!オモシロイネ!」
何か…バカにされてる気分……。
「ワオ、よく分かったね。」
『やっぱりバカにされてるんですか!!』
うわーん!ショック……
「(クスクス…)」
『(あ……)』
ふと、雲雀さんが笑ってるのが目に入って、
美人だな、って思った。
「柚子は面白いね。」
『なっ……トリさんと同じ事言わないで下さい!!///』
急に声を掛けられて、あたしは跳ね上がる。
雲雀さんに見入ってたから、ちょっと恥ずかしかった。
後日、あたしはそのトリさんが“ヒバード”と呼ばれている事を知るのだが…
それはまた別の話。
-------
「ただいまー、」
「帰ったぞ。」
『お帰りなさい。ツナさん、リボーンさん。』
「あぁ柚子……ただいま。」
「いい匂いだな…今日はハッシュドビーフか?」
『正解です!さすがリボーンさん!』
あ、そうだ。
コンクールの事、ツナさんに聞かなくちゃ。
『あ、あの…』
「行くから。」
間。
『へ?』
あれ?
あたしまだ、何も言ってないよね……?
「柚子が何と言おうと、俺達は見に行くよ。」
『ちょっ…待って下さい!!一次予選は、一般のお客様は見れないって………』
「ヒバリに聞かなかったのか?」
あたふたするあたしに、リボーンさんがピシャリと言う。
『何を、ですか?』
「要するに俺達ボンゴレっつーのは、強大な権力持ってるって事。」
ツナさんは腹黒な笑みを浮かべる。
あ、凄いヤダな。
「コンクールの規定破りなんて大した事ねぇぞ。」
リボーンさんってば言い切った!
規定破るって言い切った!!
「ちょっと交渉したら、すぐ許してくれたよ。」
『まさか今日のお出かけは……』
「うん、そうだよ。」
山本さんとは違う、黒くて眩しい笑み。
それが今、あたしの目の前でキラッと光った。
「俺は柚子の為なら何でもするから。」
『そ、そんなぁーー!!!』
どうやらツナさん、今日1日コンクール主催者と話し合ってた模様。
そして…
『(どーして許可するのさ!主催者!!)』
特別鑑賞が認められた模様……
『(どうなる!あたしのコンクール第一時予選!!)』
「大げさ。」
『そんな事無いです!必死です!』
テノール
思い起こせば少し落ち着く、耳に残りし淡い歌声
continue...