🎼本編
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『おはようございます、ツナさん。今日は早いですね?』
「あぁ、正午頃に来るから。」
『来る?………………あ"!!!』
同盟ファミリーとやらのボス様のことか!!
やっばい!
すっかり忘れてたぁ!!
「忘れんぼ。」
『分かってますっ!』
「俺とリボーンと獄寺君があのフェラーリで迎えに行くから、それまでにちゃんとしとけよ?柚子。」
『……はい?』
何をですか?
と、尋ねる前に、ツナさんはトーストをかじりながら大広間を出て行く。
ちょっと!
行儀悪いですよ!!
あたしが追いかけて注意しようとした、その時。
「おはようございまーすっ♪」
『えぇ!?』
何で…!?
どうしているんですか!?
『ハルさんっ!!』
「おはようございます!柚子ちゃんっ♪」
『なっ……あの、どうしたんですか!?』
あぁ、婚約者だから(←まだその説を信じてる)いらしたのかな?
挨拶の為に。
という事はあたしはハルさんのドレスアップをお手伝いして……
「逆ですよ!柚子ちゃん!」
『……はい?』
あ、聞きたくない。
あたしの直感が当たっているとするならば、
もしや……
「ハルは今日、柚子ちゃんを着飾るために来たんです!」
『えぇぇぇええぇ!!?』
当たっちゃったよ…
またやるの?婚約者役ってヤツを。
いーやーだーっ!!!
「それではツナさん、柚子ちゃんお借りします♪」
「サンキュ、ハル。」
「いえ♪」
ほーら、ハルさんとの方がお似合いなのに。
何であたし?
---「楽器弾けるヤツって決めてんだよ。」
『(そー言えばそんな事言ってた…)』
「柚子、」
『あ、はい!』
ビクッとして、目の前のツナさんと目を合わせる。
ツナさんは(黒く)笑って、あたしの頬に手を添える。
だから、心臓に悪いっての!!///
「俺が帰るまでに、可愛くなっとけよ?」
『なっ……にを……!///』
ツナさんのアホーっ!!!
咄嗟に一歩引いて大きな声を出す。
『ぷ、プレイボーイは、嫌われるって言ってるじゃないですか!!』
「大丈夫、違うから。」
『とっとと行ってらっしゃいませ!!!』
「うん、行って来る。」
にこりと笑ったツナさんは、ひらひら手を振って玄関から出て行った。
うぅ…悔しいけど顔が熱い…///
というかハルさん!?
ハルさんは何処に行ってしまったんですかー!!?
『ハルさーん!』
あたしはパタパタ7号館中を駆け巡った。
だけど、ハルさんは見つからない…。
「おっ柚子、何してんだ?」
『山本さん!おはようございます!ハルさん見ませんでした!?』
「あぁ、さっき柚子の部屋の方に向かったぜ。」
『え!?あ、ありがとうございますっ!』
走り出そうとすると…
「柚子、」
『はいっ!』
「頑張れよ♪」
えぇーっ!?
して欲しくない応援をされてしまった…。
山本さん…爽やか過ぎて反論する気も起きません…(涙)
ともあれ、あたしは自室にダッシュ!
『ハルさんっ!!』
「あ、柚子ちゃん!待ってましたー♪」
『あ、あの、あたしは…』
「さぁ、綺麗にメークしましょう♪」
『ちょっ…あの…』
あたしの反論も聞かずに、ハルさんは始めてしまう。
もともと軽くパーマがかかってる髪の毛は、左にまとめて前に出す。
ナチュラルメイクは落とされて、いつもより少し濃いメイクが施された。
「可愛いですーっ♪」
『あ、どうも…』
確かに、軽く生まれ変わったみたいだった。
ハルさん…メイク上手だ…。
「では、次はお洋服ですっ♪」
『はぁ…』
「いくら何でもジャージじゃダメです!やっぱりふわふわワンピースくらい着ないと!」
クローゼット開けても宜しいですか?
と聞かれたから、流れに任せて頷いてしまった。
と、その時。
「ここに可愛い可愛いメイド服がありますよ……」
ん?
今1番聞きたくない声が聞こえたような……
「そんな言い方、酷いじゃないですか柚子~っ…」
あれ?幻聴じゃないのかな?
幻聴だったらいいのにな。
「クフフ♪」
『やっぱり幻聴じゃない!!!』
「僕を差し置いてメークアップとは…ダメじゃないですか柚子。」
『骸さん!!』
来て欲しくなかった!
すっごく来て欲しくなかった!!
「メイド服、どうですか?」
『着ませんっ!』
「そこらのドレスなんかよりよっぽど萌えますよ。」
『結構です!!』
と、ここでハルさんがあたしを引き寄せる。
「ダメですっ!柚子ちゃんの改造はハルがツナさんから任せられたんですから!!」
「どうしてですか!?僕だって柚子を改造したいのに!!」
『やめて下さい!骸さんが言うといかがわい意味にしか取れません!!///』
「とにかく!ココは男子禁制です!ご退室願います!」
ハルさーん…(感涙)
好き!
大好きです!
やっぱり婚約者はハルさんがなるべきです、うん。
とぼとぼと退室する骸さん。
あたしには骸さんを追い払えない。
『あの、ハルさん…』
「はひ?」
『ハルさんは、楽器やらないんですか?』
楽器さえやっていれば、婚約者になれると思うのに。
あたしの質問に、ハルさんは体を震わせた。
え?何かマズい事言った、のかな…。
「ハルは、幸せな顔をするツナさんが好きです。」
『はぁ…』
そんな顔…するのかな?
あの腹黒ボスが。
「その為には、柚子ちゃんが必要なんですよ?」
『はぁ………って、ええぇ!!?』
あたし!?
何であたし!?
というか嫌です!!
「だって柚子ちゃんは……」
「ねぇ、まだなの?」
うひょ!!
今…物凄く恐怖な声が聞こえたような……
「ドアぶち破って咬み殺していいのかな、柚子。」
『ごめんなさい!!』
ドア越しでも読心術!
やっぱ最強です、雲雀さん!!
「あ、すみません!あとは着てもらうだけなので!」
結局、肝心なトコは聞けずじまい。
長くなるからまた今度言いますね、とハルさんに謝られた。
ガチャ、
「出来ましたー♪可愛い柚子ちゃんの完成です!」
「ふぅん…」
『あぅ…(恥ずかしい…)』
ハルさんは満足気に微笑みながら帰る支度をし始める。
『えっ!あ、あの、ハルさん!?』
「今日のハルのお仕事は終了です。また会いましょうね、柚子ちゃん♪」
『で、でも…』
「頑張って下さいね!」
あ…帰っちゃった……。
ぽかんと廊下に立ち尽くすあたし。
そうだ!
今から来る人の事、聞いておかなくちゃ!
『あの、雲雀さん…』
「何?」
『これから来る人…どんな方なんですか?』
あたしが尋ねると、雲雀さんは顎に手を当てて考える。
そんなに難しい人なのかな?
「俗にいう、群れ易いヤツだよ。」
『………え?』
「人にまとわりつくのが得意みたいでね。」
そ、それは…
人懐っこい、という事でしょうか??
「だから、じゃれて来たら即座に咬み殺す事を勧めておくよ。」
『え"……』
超不可能な対抗策…!
すみません。
そのアドバイス、全くと言っていい程参考にならないのですが!!
「ふぅん…そう言う口利くんだ…」
『すみません!』
だって…
だってぇ…
初対面のマフィアのボスとか、めちゃめちゃ不安なのにーっ…。
「柚子、」
『はい…?』
呼びかけられて見上げた直後、
優しく頭に乗せられる雲雀さんの手。
そのあったかさに吃驚してると、
微笑まれて更に吃驚。
「ホント、面白いよね、柚子は。」
『は、はい…?』
「沢田が虐めたくなるの、分かるな。」
『そっ、そんなの分からないで下さい!』
分かってるんですよ。
ツナさんが、いつもあたしの事からかってるんだって。
だけど、どっからが冗談でどっからが真剣なのかが分からないんです。
---「柚子は…俺が嫌い?」
あの言葉だって、
あたしを困らせたいのか、
あたしに真剣に尋ねてるのか、
分からない。
でもあたしは、
冗談として受け流すよりちゃんと答えた方がいいなって思うから……
だから…
---『嫌い、ではないと思います…』
あんな曖昧な答えになる。
「だったらさ、」
『へ?』
しまった!
思考回路まるわかり!!?
「どうして…気がつかないの?」
『え…?』
「沢田が……僕たちが…」
あたしには、分からない。
何処で皆さんが真剣になってて、
何処でからかってるのか、なんて。
今の雲雀さんのその表情は、
本当に真剣な表情ですか?
からかう為の演技ですか?
「こんなに…」
「僕の柚子ーっ!メイクアップは終わりましたかー??」
『げ…』
階段を駆け下りて廊下にやって来た骸さん。
何て生き生きしてるんだろう…。
『(ん……?)』
ふと、隣にいる人のオーラの変化に疑問を持つ。
表情を窺ってみると…
「………咬み殺す……」
『ひっ、雲雀さん!!?』
いつの間にかあったかい手は離れて、
彼はいつものように武器を構えていた。
「おや雲雀君、ダメじゃないですかー。柚子は僕のですよ♪」
『ちっ、違います!!』
「少なくとも君のじゃないよ。とにかく今は君を咬み殺す。」
『あのっ、雲雀さん!!?』
「おや、不機嫌ですか?」
「君のせいでね。」
雲雀さんは骸さんに殴り掛かり始めた。
きゃーっ!!
乱闘っ!乱闘を止めて下さる方はいませんかーっ!!
あぁ…了平さんがいてくれたら…(涙)
「仕方ありませんね…」
『むっ、骸さん!?』
どっから出したの、その武器!
三つ又の槍が雲雀さんの武器とぶつかり合う。
あああ!怖いですっ!!
『ちょっ、あの、今日はお客様が…』
だからちょっとだけ廊下にお花置いたりして飾ってあるのにーっ!
お願いですから何も壊さないように喧嘩して下さいね…
キンッ、
キキンッ、
『(無理っぽい…)』
どうしよう…
お客様が来るのに…
「僕が折角柚子に言ってあげようと思ったのに…よくも遮ったね。」
「クフフ…だって面白くないじゃないですか。」
「何が。」
「綱吉の話によれば、柚子は全く覚えていない事になります。もう少しこの状況を楽しみたいとは思いませんか?」
「それ、柚子を苦しめるんじゃないの。」
「さぁ?」
「…ヤな奴だね、ホントに。」
お2人とも、乱闘してるのかヒソヒソ話してるのか、どっちかにして下さい。
あたしだけ付いて行けてない状況…。
『(玄関の方で掃き掃除でもしてようかな…)』
そんな事を考えて歩き出そうとした、その時。
ちょうどチャイムが鳴る。
『あ、はーい!』
もしかしたら、もう来たのかも!
11時半かぁ…
予定より早めってトコかな?
『どちらさまですかー?』
あたしが駆け出そうとすると、
「「柚子っ…!」」
『へ?』
雲雀さんと骸さんがあたしを呼ぶ。
振り向くと、
『ほえ…?』
こっちに向かって飛んで来る雲雀さんの武器の片方。
これ…
あたし撲殺ですか?
脳しんとうってヤツですか?
迫るソレを避ける事も出来ないまま、ギュッと目を瞑る。
あぁだから…了平さんとかに止めて欲しかったのに。
山本さん…あ、野球の練習行っちゃったんだ。
『(さよなら皆さん…)』
痛みを覚悟した。
けど、
ヒュッ、
シュルッ、
『(え…?)』
何かが巻き付いたような音がして、
いつまで経っても痛みは来なくて、
恐る恐る目を開ける。
「ったくー、廊下で暴れたら危ねぇだろ?恭弥、骸。」
『え…?』
聞き慣れない声がして、そっちを向く。
と、
「あぁ、来てたの。」
「お久しぶりです、跳ね馬。」
『(わぁ…!///)』
あたしに向かって飛んで来た雲雀さんの武器は、
その人が鞭で引き寄せたみたい。
いや、今はそんな事どーでもいい。
「初めましてだなっ、未来のボンゴレ婦人♪」
あぁどうしよう…
数メートル先に立っている、
金髪&黒スーツの方は、
とにかく凄く格好良過ぎた。
チャオ
白馬の王子様かNo.1ホストか、どっちかだと思った。
continue...
「あぁ、正午頃に来るから。」
『来る?………………あ"!!!』
同盟ファミリーとやらのボス様のことか!!
やっばい!
すっかり忘れてたぁ!!
「忘れんぼ。」
『分かってますっ!』
「俺とリボーンと獄寺君があのフェラーリで迎えに行くから、それまでにちゃんとしとけよ?柚子。」
『……はい?』
何をですか?
と、尋ねる前に、ツナさんはトーストをかじりながら大広間を出て行く。
ちょっと!
行儀悪いですよ!!
あたしが追いかけて注意しようとした、その時。
「おはようございまーすっ♪」
『えぇ!?』
何で…!?
どうしているんですか!?
『ハルさんっ!!』
「おはようございます!柚子ちゃんっ♪」
『なっ……あの、どうしたんですか!?』
あぁ、婚約者だから(←まだその説を信じてる)いらしたのかな?
挨拶の為に。
という事はあたしはハルさんのドレスアップをお手伝いして……
「逆ですよ!柚子ちゃん!」
『……はい?』
あ、聞きたくない。
あたしの直感が当たっているとするならば、
もしや……
「ハルは今日、柚子ちゃんを着飾るために来たんです!」
『えぇぇぇええぇ!!?』
当たっちゃったよ…
またやるの?婚約者役ってヤツを。
いーやーだーっ!!!
「それではツナさん、柚子ちゃんお借りします♪」
「サンキュ、ハル。」
「いえ♪」
ほーら、ハルさんとの方がお似合いなのに。
何であたし?
---「楽器弾けるヤツって決めてんだよ。」
『(そー言えばそんな事言ってた…)』
「柚子、」
『あ、はい!』
ビクッとして、目の前のツナさんと目を合わせる。
ツナさんは(黒く)笑って、あたしの頬に手を添える。
だから、心臓に悪いっての!!///
「俺が帰るまでに、可愛くなっとけよ?」
『なっ……にを……!///』
ツナさんのアホーっ!!!
咄嗟に一歩引いて大きな声を出す。
『ぷ、プレイボーイは、嫌われるって言ってるじゃないですか!!』
「大丈夫、違うから。」
『とっとと行ってらっしゃいませ!!!』
「うん、行って来る。」
にこりと笑ったツナさんは、ひらひら手を振って玄関から出て行った。
うぅ…悔しいけど顔が熱い…///
というかハルさん!?
ハルさんは何処に行ってしまったんですかー!!?
『ハルさーん!』
あたしはパタパタ7号館中を駆け巡った。
だけど、ハルさんは見つからない…。
「おっ柚子、何してんだ?」
『山本さん!おはようございます!ハルさん見ませんでした!?』
「あぁ、さっき柚子の部屋の方に向かったぜ。」
『え!?あ、ありがとうございますっ!』
走り出そうとすると…
「柚子、」
『はいっ!』
「頑張れよ♪」
えぇーっ!?
して欲しくない応援をされてしまった…。
山本さん…爽やか過ぎて反論する気も起きません…(涙)
ともあれ、あたしは自室にダッシュ!
『ハルさんっ!!』
「あ、柚子ちゃん!待ってましたー♪」
『あ、あの、あたしは…』
「さぁ、綺麗にメークしましょう♪」
『ちょっ…あの…』
あたしの反論も聞かずに、ハルさんは始めてしまう。
もともと軽くパーマがかかってる髪の毛は、左にまとめて前に出す。
ナチュラルメイクは落とされて、いつもより少し濃いメイクが施された。
「可愛いですーっ♪」
『あ、どうも…』
確かに、軽く生まれ変わったみたいだった。
ハルさん…メイク上手だ…。
「では、次はお洋服ですっ♪」
『はぁ…』
「いくら何でもジャージじゃダメです!やっぱりふわふわワンピースくらい着ないと!」
クローゼット開けても宜しいですか?
と聞かれたから、流れに任せて頷いてしまった。
と、その時。
「ここに可愛い可愛いメイド服がありますよ……」
ん?
今1番聞きたくない声が聞こえたような……
「そんな言い方、酷いじゃないですか柚子~っ…」
あれ?幻聴じゃないのかな?
幻聴だったらいいのにな。
「クフフ♪」
『やっぱり幻聴じゃない!!!』
「僕を差し置いてメークアップとは…ダメじゃないですか柚子。」
『骸さん!!』
来て欲しくなかった!
すっごく来て欲しくなかった!!
「メイド服、どうですか?」
『着ませんっ!』
「そこらのドレスなんかよりよっぽど萌えますよ。」
『結構です!!』
と、ここでハルさんがあたしを引き寄せる。
「ダメですっ!柚子ちゃんの改造はハルがツナさんから任せられたんですから!!」
「どうしてですか!?僕だって柚子を改造したいのに!!」
『やめて下さい!骸さんが言うといかがわい意味にしか取れません!!///』
「とにかく!ココは男子禁制です!ご退室願います!」
ハルさーん…(感涙)
好き!
大好きです!
やっぱり婚約者はハルさんがなるべきです、うん。
とぼとぼと退室する骸さん。
あたしには骸さんを追い払えない。
『あの、ハルさん…』
「はひ?」
『ハルさんは、楽器やらないんですか?』
楽器さえやっていれば、婚約者になれると思うのに。
あたしの質問に、ハルさんは体を震わせた。
え?何かマズい事言った、のかな…。
「ハルは、幸せな顔をするツナさんが好きです。」
『はぁ…』
そんな顔…するのかな?
あの腹黒ボスが。
「その為には、柚子ちゃんが必要なんですよ?」
『はぁ………って、ええぇ!!?』
あたし!?
何であたし!?
というか嫌です!!
「だって柚子ちゃんは……」
「ねぇ、まだなの?」
うひょ!!
今…物凄く恐怖な声が聞こえたような……
「ドアぶち破って咬み殺していいのかな、柚子。」
『ごめんなさい!!』
ドア越しでも読心術!
やっぱ最強です、雲雀さん!!
「あ、すみません!あとは着てもらうだけなので!」
結局、肝心なトコは聞けずじまい。
長くなるからまた今度言いますね、とハルさんに謝られた。
ガチャ、
「出来ましたー♪可愛い柚子ちゃんの完成です!」
「ふぅん…」
『あぅ…(恥ずかしい…)』
ハルさんは満足気に微笑みながら帰る支度をし始める。
『えっ!あ、あの、ハルさん!?』
「今日のハルのお仕事は終了です。また会いましょうね、柚子ちゃん♪」
『で、でも…』
「頑張って下さいね!」
あ…帰っちゃった……。
ぽかんと廊下に立ち尽くすあたし。
そうだ!
今から来る人の事、聞いておかなくちゃ!
『あの、雲雀さん…』
「何?」
『これから来る人…どんな方なんですか?』
あたしが尋ねると、雲雀さんは顎に手を当てて考える。
そんなに難しい人なのかな?
「俗にいう、群れ易いヤツだよ。」
『………え?』
「人にまとわりつくのが得意みたいでね。」
そ、それは…
人懐っこい、という事でしょうか??
「だから、じゃれて来たら即座に咬み殺す事を勧めておくよ。」
『え"……』
超不可能な対抗策…!
すみません。
そのアドバイス、全くと言っていい程参考にならないのですが!!
「ふぅん…そう言う口利くんだ…」
『すみません!』
だって…
だってぇ…
初対面のマフィアのボスとか、めちゃめちゃ不安なのにーっ…。
「柚子、」
『はい…?』
呼びかけられて見上げた直後、
優しく頭に乗せられる雲雀さんの手。
そのあったかさに吃驚してると、
微笑まれて更に吃驚。
「ホント、面白いよね、柚子は。」
『は、はい…?』
「沢田が虐めたくなるの、分かるな。」
『そっ、そんなの分からないで下さい!』
分かってるんですよ。
ツナさんが、いつもあたしの事からかってるんだって。
だけど、どっからが冗談でどっからが真剣なのかが分からないんです。
---「柚子は…俺が嫌い?」
あの言葉だって、
あたしを困らせたいのか、
あたしに真剣に尋ねてるのか、
分からない。
でもあたしは、
冗談として受け流すよりちゃんと答えた方がいいなって思うから……
だから…
---『嫌い、ではないと思います…』
あんな曖昧な答えになる。
「だったらさ、」
『へ?』
しまった!
思考回路まるわかり!!?
「どうして…気がつかないの?」
『え…?』
「沢田が……僕たちが…」
あたしには、分からない。
何処で皆さんが真剣になってて、
何処でからかってるのか、なんて。
今の雲雀さんのその表情は、
本当に真剣な表情ですか?
からかう為の演技ですか?
「こんなに…」
「僕の柚子ーっ!メイクアップは終わりましたかー??」
『げ…』
階段を駆け下りて廊下にやって来た骸さん。
何て生き生きしてるんだろう…。
『(ん……?)』
ふと、隣にいる人のオーラの変化に疑問を持つ。
表情を窺ってみると…
「………咬み殺す……」
『ひっ、雲雀さん!!?』
いつの間にかあったかい手は離れて、
彼はいつものように武器を構えていた。
「おや雲雀君、ダメじゃないですかー。柚子は僕のですよ♪」
『ちっ、違います!!』
「少なくとも君のじゃないよ。とにかく今は君を咬み殺す。」
『あのっ、雲雀さん!!?』
「おや、不機嫌ですか?」
「君のせいでね。」
雲雀さんは骸さんに殴り掛かり始めた。
きゃーっ!!
乱闘っ!乱闘を止めて下さる方はいませんかーっ!!
あぁ…了平さんがいてくれたら…(涙)
「仕方ありませんね…」
『むっ、骸さん!?』
どっから出したの、その武器!
三つ又の槍が雲雀さんの武器とぶつかり合う。
あああ!怖いですっ!!
『ちょっ、あの、今日はお客様が…』
だからちょっとだけ廊下にお花置いたりして飾ってあるのにーっ!
お願いですから何も壊さないように喧嘩して下さいね…
キンッ、
キキンッ、
『(無理っぽい…)』
どうしよう…
お客様が来るのに…
「僕が折角柚子に言ってあげようと思ったのに…よくも遮ったね。」
「クフフ…だって面白くないじゃないですか。」
「何が。」
「綱吉の話によれば、柚子は全く覚えていない事になります。もう少しこの状況を楽しみたいとは思いませんか?」
「それ、柚子を苦しめるんじゃないの。」
「さぁ?」
「…ヤな奴だね、ホントに。」
お2人とも、乱闘してるのかヒソヒソ話してるのか、どっちかにして下さい。
あたしだけ付いて行けてない状況…。
『(玄関の方で掃き掃除でもしてようかな…)』
そんな事を考えて歩き出そうとした、その時。
ちょうどチャイムが鳴る。
『あ、はーい!』
もしかしたら、もう来たのかも!
11時半かぁ…
予定より早めってトコかな?
『どちらさまですかー?』
あたしが駆け出そうとすると、
「「柚子っ…!」」
『へ?』
雲雀さんと骸さんがあたしを呼ぶ。
振り向くと、
『ほえ…?』
こっちに向かって飛んで来る雲雀さんの武器の片方。
これ…
あたし撲殺ですか?
脳しんとうってヤツですか?
迫るソレを避ける事も出来ないまま、ギュッと目を瞑る。
あぁだから…了平さんとかに止めて欲しかったのに。
山本さん…あ、野球の練習行っちゃったんだ。
『(さよなら皆さん…)』
痛みを覚悟した。
けど、
ヒュッ、
シュルッ、
『(え…?)』
何かが巻き付いたような音がして、
いつまで経っても痛みは来なくて、
恐る恐る目を開ける。
「ったくー、廊下で暴れたら危ねぇだろ?恭弥、骸。」
『え…?』
聞き慣れない声がして、そっちを向く。
と、
「あぁ、来てたの。」
「お久しぶりです、跳ね馬。」
『(わぁ…!///)』
あたしに向かって飛んで来た雲雀さんの武器は、
その人が鞭で引き寄せたみたい。
いや、今はそんな事どーでもいい。
「初めましてだなっ、未来のボンゴレ婦人♪」
あぁどうしよう…
数メートル先に立っている、
金髪&黒スーツの方は、
とにかく凄く格好良過ぎた。
チャオ
白馬の王子様かNo.1ホストか、どっちかだと思った。
continue...