🎼本編
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「こーんにーちはーっ!」
並盛キャンパス立ち入り禁止の7号館。
それに向かって叫んでいる彼女は一体誰なんだろう…?
可愛い黒髪のおかっぱで、
同い年くらい…?
というか…
バレるのでは?
あの子のせいで通行人が7号館に大注目ですよ。
『(ま、いっか。)』
あたしは裏口に回って7号館に入り、
エプロンをして家政婦モードになった。
さて、あの子はまだいるのかな…?
「柚子、」
『あ!雲雀さん、いらっしゃったんですね!』
「外にいる女子、早く中に入れて。」
『へ?お知り合いですか?』
「沢田のだけど。」
『ツナさんのお客様!!?』
ヤバい!
早く入れてお茶出さないと…
『(ツナさんに殺されるっ!!)』
玄関までダッシュして、恐る恐るドアを開ける。
「あっ!」
『遅くなってすみません、どうぞ中へ。』
「ありがとうございますっ!メイドさん!」
ニコリと笑った彼女は、とっても可愛かった。
とりあえず大広間にお通ししたのは良いけど……
『(ツナさんてば、何処行ってんのさ。)』
あたし、接客苦手なのにーっ!
元々あたしにはメイド…じゃなくて家政婦なんて仕事向いてないのよ!
なのに半ば無理矢理連れて来られてさ!
器楽サークルだって言うから…
ああああ!!
騙されていた!
あの頃のあたしは騙されていた!!!
あたしが心の中ですっごく喋っていると、
「あの、ツナさんは?」
女の子が話しかけて来た。
『す、すみません!今外出中で…。』
「そうですかぁー、折角ラ・ナミモリーヌのシュークリーム買って一緒に食べようと思ってたのにー。」
ん?
この言動…
ツナさんの恋人、かな?
あれ?
ちょっと待て。
だったらどーしてあたしは婚約者役やらされたんだ!?
この人にやってもらえば良かったのに。
と、そこに。
「ちゃおっス、ハル。」
「リボーンちゃん!」
「“ちゃん”はヤメろって言ってんだろ。」
…どーやらリボーンさんとも旧知の仲らしい。
「柚子、挨拶したのか?」
『へ?』
「そう言えば!まだメイドさんのお名前聞いてませんでした!」
ハルさんとリボーンさんがあたしの方を向く。
いや、家政婦が挨拶とか無くね?
「私、三浦ハルっていいます!貴女は?」
『牧之原…柚子です…。』
「柚子ちゃんですね!宜しくお願いします!」
『はぁ、こちらこそ…』
適当に握手をして、あたしはすぐ一歩下がる。
リボーンさんにもエスプレッソ出さなくちゃ。
(ちなみにハルさんにはローズティーを出した)
パタン、
ちょっと脱力しながら大広間を出る。
あたし…どうして婚約者役やらされたんだろう?
疑問に思いながらもエスプレッソを入れる。
そしてそれを持って大広間のドアを開けようとした時、
あたしは最悪の事実を耳にした。
--「で、どーすんだ?」
リボーンさんの声。
何がだろう、と手を止める。
--「勿論、ハルはツナさんの側に居続けます♪」
--「だがツナは…」
--「それでもいーんです。ハルはいつでも妻な気持ちでいるんですから。」
その会話を聞いて、一つの結論に達するまで、
それ程時間は掛からなかった。
ただ、エスプレッソを落とさないように必死に手の震えを抑えていた。
ハルさんは、ツナさんの妻になるんだ。
何らかの理由でそれが先延ばしされてて、それでもハルさんは待ってるんだ。
あたしが婚約者役やらされたのは、
きっと囮だ。
ハルさんが直々に名乗り出たら、他のマフィアに命狙われちゃうもんね。
(多分)
『失礼します…リボーンさん、エスプレッソです。』
「サンキュー、柚子。」
「あ!柚子ちゃんもお喋りしませんか?」
笑顔が眩しい。
あたしは咄嗟に首を振った。
『すみません、館のお掃除があるので…』
「そうですかぁ、残念ですー…。」
『では…ごゆっくり。』
あたしは大広間を静かに出て、
自分の部屋に戻った。
何よ…何なのよ……
『ツナさんのバカぁー…』
あたし、いつの間にかツナさん好きでした、
とか…そんなオチ?
違うよ、違うもん。
誰があんな横暴腹黒ボス、好きになるもんか。
向こうだって、そんな気は無いんだ。
だからこき使うんだ。
あたしは家政婦としてじゃなくて、
ハルさんの影武者として雇われたんだ…。
ただ、
あたしが、
フルートをやっていたっていう、
それだけの理由で。
『(何か…腹立って来た……)』
ツナさんは、セコい。
---「器楽サークルとして、こんなに嬉しい事はないよ。」
---「柚子にココにいて欲しいだけ。」
---「柚子はいつも頑張ってるからね。」
純粋な乙女を弄んじゃって!!
信じらんない!!
騙された自分に腹立ってんだ、コレ。
うん、そうだ。
そうに違いない。
あたしは自分への怒りを必死に抑えて、
部屋を出た。
そろそろ掃除始めないと、マジで怒られる。
『(何か気分悪いなー…)』
相当腹立ってんだな、あたし。
気を紛らわせようと首を勢いよく振って、掃除機を持った。
20分後くらいに、裏口からツナさんが帰って来た。
「ただいま。」
『あ……お帰りなさい、ツナさ……』
「ツナさーーーん!!会いたかったですーっ!」
「ハル!?」
飛びつこうとするハルさんを、ツナさんは避ける。
「つか何でお前…来るなら連絡しろって言ってんだろ?」
「ちょっとしたサプライズです♪何たってハルはツナさんの妻に…」
「ストップ、ハル。」
「…はひ?」
ツナさんが溜め息をついて、ハルさんはキョロキョロする。
そしてあたしを視界に入れるとビクッとした。
「柚子ちゃん!あのですね、ハルは確かにツナさんが好きですけど、今のは軽い冗談みたいなもので……!」
ハルさんは、あたしが影武者だって知ってるのかな?
だからこんなに慌てふためいてるのかな?
『あたしの事はお気になさらず。ツナさん、上着預かりましょうか?』
「あぁ…ありがとな。」
上着を受け取ってようやくその場から逃げる事が出来た。
もう…聞きたくない。
ツナさんの部屋のクローゼットに上着を閉まって、
そのまま部屋からフルートを取って来た。
あと1分で3時だし、演奏室使おうっと。
『(練習しなくちゃ、コンクールのフルート小協奏曲。)』
---
-----
----------
「で、何しに来たんだよ、ハル。」
「ツナさんの婚約者を見ようと思いまして♪柚子ちゃん、とっても可愛い人ですね!ちょっと元気無い感じしましたけど…」
ハルが心配そうに言うのを聞いて、ツナも少し考え込んだ。
「(確かに…いつもより静かだったよな……)」
と、そこにリボーンがやって来る。
「よぉツナ、柚子の様子はどーだった?」
「リボーン……まさかお前、何かしたのか?」
「ちょっと試してみたんだ。ハルが現れた時、柚子がどんな勘違いするかをな。」
「勘違い…!?」
ツナの顔色が、だんだん険しくなっていく。
「俺が読心術したところ、柚子はハルがツナの婚約者だと思い込んだみてーだ。」
「なっ……はぁ!?」
「はひ!?///」
「柚子は自分で自分の事を、ハルの影武者になる為に雇われたと思い込んでるぞ。とんだ勘違いだな。」
「リボーン!何で訂正しなかったんだよ!!」
「アイツを婚約者に選んだのはツナだろーが。俺が面倒見る必要はねぇ。」
スパッと言い放つリボーンに、ツナは黙った。
「それとも、勘違いをしでかした柚子の誤解を解く自信がねーのか?」
「そんなもんっ………!」
何か言いかけたツナは、途中で口を閉ざした。
柚子のフルートがかすかに聞こえて来たのだ。
聞けば聞く程、
その表情はいつもとはかけ離れて行く。
「……っ…柚子…!」
大広間を飛び出して、演奏室に向かうツナ。
「あっ、ツナさ……」
「ハル、今日はもう帰って、また来い。」
「はひ?」
「少しいじめちまったからな……挨拶はまた今度だ。」
「リボーンちゃん……」
ハットを目深にかぶったリボーンの表情を、ハルが確認する事は出来なかった。
そして、ツナが上って行った階段を見て、小さく頷いた。
---
-----
------------
バンッ、
突然ドアが開いたかと思うと、ツナさんが駆け込んできた。
『何ですか?ツナさ…』
「音が悪い。」
急に現れて文句。
仕方ないか。
自分に向いた怒りを、抑える事なんて出来ない。
今のあたしに、
素敵な演奏なんて出来ないもの。
『…すみません。』
今は、なるべくツナさんと話したくない。
だって、
「それじゃあコンチェルトは無理だっての。」
ツナさん見てると、
「コンクール、あるんだろ?」
余計に自分が許せなくなる。
『ツナさんにはっ…関係ないでしょうっ!?』
分かってる。
ツナさんは悪くない。
騙されたあたしが悪い。
でも今はっ……
今はツナさんと話せない。
『“家政婦”のあたしのことなんて、放っておけばいいじゃないですか!』
フルートと楽譜を抱えて、演奏室を飛び出した。
「おい柚子っ…!?」
腕をツナさんに掴まれそうになる。
だけど、不思議とすんなり避ける事が出来た。
「柚子っ…!」
自由時間だし、飛び出したっていいよね。
演奏室にこもってる必要もないんだから。
あたしは7号館の外に飛び出した。
---
-----
あたしは、自分に怒ってる。
ツナさんに婚約者がいようと、
それの影武者として雇われようと、
どーでもいい。
関係無い。
それなのに、
『うっ……ぐすっ……』
町中を走るあたしの目からは、
大粒の雫が溢れ出ていた。
スケルツォ
その冗談は、決して笑い飛ばされず、ただ彼女の心を傷つけた
continue...
並盛キャンパス立ち入り禁止の7号館。
それに向かって叫んでいる彼女は一体誰なんだろう…?
可愛い黒髪のおかっぱで、
同い年くらい…?
というか…
バレるのでは?
あの子のせいで通行人が7号館に大注目ですよ。
『(ま、いっか。)』
あたしは裏口に回って7号館に入り、
エプロンをして家政婦モードになった。
さて、あの子はまだいるのかな…?
「柚子、」
『あ!雲雀さん、いらっしゃったんですね!』
「外にいる女子、早く中に入れて。」
『へ?お知り合いですか?』
「沢田のだけど。」
『ツナさんのお客様!!?』
ヤバい!
早く入れてお茶出さないと…
『(ツナさんに殺されるっ!!)』
玄関までダッシュして、恐る恐るドアを開ける。
「あっ!」
『遅くなってすみません、どうぞ中へ。』
「ありがとうございますっ!メイドさん!」
ニコリと笑った彼女は、とっても可愛かった。
とりあえず大広間にお通ししたのは良いけど……
『(ツナさんてば、何処行ってんのさ。)』
あたし、接客苦手なのにーっ!
元々あたしにはメイド…じゃなくて家政婦なんて仕事向いてないのよ!
なのに半ば無理矢理連れて来られてさ!
器楽サークルだって言うから…
ああああ!!
騙されていた!
あの頃のあたしは騙されていた!!!
あたしが心の中ですっごく喋っていると、
「あの、ツナさんは?」
女の子が話しかけて来た。
『す、すみません!今外出中で…。』
「そうですかぁー、折角ラ・ナミモリーヌのシュークリーム買って一緒に食べようと思ってたのにー。」
ん?
この言動…
ツナさんの恋人、かな?
あれ?
ちょっと待て。
だったらどーしてあたしは婚約者役やらされたんだ!?
この人にやってもらえば良かったのに。
と、そこに。
「ちゃおっス、ハル。」
「リボーンちゃん!」
「“ちゃん”はヤメろって言ってんだろ。」
…どーやらリボーンさんとも旧知の仲らしい。
「柚子、挨拶したのか?」
『へ?』
「そう言えば!まだメイドさんのお名前聞いてませんでした!」
ハルさんとリボーンさんがあたしの方を向く。
いや、家政婦が挨拶とか無くね?
「私、三浦ハルっていいます!貴女は?」
『牧之原…柚子です…。』
「柚子ちゃんですね!宜しくお願いします!」
『はぁ、こちらこそ…』
適当に握手をして、あたしはすぐ一歩下がる。
リボーンさんにもエスプレッソ出さなくちゃ。
(ちなみにハルさんにはローズティーを出した)
パタン、
ちょっと脱力しながら大広間を出る。
あたし…どうして婚約者役やらされたんだろう?
疑問に思いながらもエスプレッソを入れる。
そしてそれを持って大広間のドアを開けようとした時、
あたしは最悪の事実を耳にした。
--「で、どーすんだ?」
リボーンさんの声。
何がだろう、と手を止める。
--「勿論、ハルはツナさんの側に居続けます♪」
--「だがツナは…」
--「それでもいーんです。ハルはいつでも妻な気持ちでいるんですから。」
その会話を聞いて、一つの結論に達するまで、
それ程時間は掛からなかった。
ただ、エスプレッソを落とさないように必死に手の震えを抑えていた。
ハルさんは、ツナさんの妻になるんだ。
何らかの理由でそれが先延ばしされてて、それでもハルさんは待ってるんだ。
あたしが婚約者役やらされたのは、
きっと囮だ。
ハルさんが直々に名乗り出たら、他のマフィアに命狙われちゃうもんね。
(多分)
『失礼します…リボーンさん、エスプレッソです。』
「サンキュー、柚子。」
「あ!柚子ちゃんもお喋りしませんか?」
笑顔が眩しい。
あたしは咄嗟に首を振った。
『すみません、館のお掃除があるので…』
「そうですかぁ、残念ですー…。」
『では…ごゆっくり。』
あたしは大広間を静かに出て、
自分の部屋に戻った。
何よ…何なのよ……
『ツナさんのバカぁー…』
あたし、いつの間にかツナさん好きでした、
とか…そんなオチ?
違うよ、違うもん。
誰があんな横暴腹黒ボス、好きになるもんか。
向こうだって、そんな気は無いんだ。
だからこき使うんだ。
あたしは家政婦としてじゃなくて、
ハルさんの影武者として雇われたんだ…。
ただ、
あたしが、
フルートをやっていたっていう、
それだけの理由で。
『(何か…腹立って来た……)』
ツナさんは、セコい。
---「器楽サークルとして、こんなに嬉しい事はないよ。」
---「柚子にココにいて欲しいだけ。」
---「柚子はいつも頑張ってるからね。」
純粋な乙女を弄んじゃって!!
信じらんない!!
騙された自分に腹立ってんだ、コレ。
うん、そうだ。
そうに違いない。
あたしは自分への怒りを必死に抑えて、
部屋を出た。
そろそろ掃除始めないと、マジで怒られる。
『(何か気分悪いなー…)』
相当腹立ってんだな、あたし。
気を紛らわせようと首を勢いよく振って、掃除機を持った。
20分後くらいに、裏口からツナさんが帰って来た。
「ただいま。」
『あ……お帰りなさい、ツナさ……』
「ツナさーーーん!!会いたかったですーっ!」
「ハル!?」
飛びつこうとするハルさんを、ツナさんは避ける。
「つか何でお前…来るなら連絡しろって言ってんだろ?」
「ちょっとしたサプライズです♪何たってハルはツナさんの妻に…」
「ストップ、ハル。」
「…はひ?」
ツナさんが溜め息をついて、ハルさんはキョロキョロする。
そしてあたしを視界に入れるとビクッとした。
「柚子ちゃん!あのですね、ハルは確かにツナさんが好きですけど、今のは軽い冗談みたいなもので……!」
ハルさんは、あたしが影武者だって知ってるのかな?
だからこんなに慌てふためいてるのかな?
『あたしの事はお気になさらず。ツナさん、上着預かりましょうか?』
「あぁ…ありがとな。」
上着を受け取ってようやくその場から逃げる事が出来た。
もう…聞きたくない。
ツナさんの部屋のクローゼットに上着を閉まって、
そのまま部屋からフルートを取って来た。
あと1分で3時だし、演奏室使おうっと。
『(練習しなくちゃ、コンクールのフルート小協奏曲。)』
---
-----
----------
「で、何しに来たんだよ、ハル。」
「ツナさんの婚約者を見ようと思いまして♪柚子ちゃん、とっても可愛い人ですね!ちょっと元気無い感じしましたけど…」
ハルが心配そうに言うのを聞いて、ツナも少し考え込んだ。
「(確かに…いつもより静かだったよな……)」
と、そこにリボーンがやって来る。
「よぉツナ、柚子の様子はどーだった?」
「リボーン……まさかお前、何かしたのか?」
「ちょっと試してみたんだ。ハルが現れた時、柚子がどんな勘違いするかをな。」
「勘違い…!?」
ツナの顔色が、だんだん険しくなっていく。
「俺が読心術したところ、柚子はハルがツナの婚約者だと思い込んだみてーだ。」
「なっ……はぁ!?」
「はひ!?///」
「柚子は自分で自分の事を、ハルの影武者になる為に雇われたと思い込んでるぞ。とんだ勘違いだな。」
「リボーン!何で訂正しなかったんだよ!!」
「アイツを婚約者に選んだのはツナだろーが。俺が面倒見る必要はねぇ。」
スパッと言い放つリボーンに、ツナは黙った。
「それとも、勘違いをしでかした柚子の誤解を解く自信がねーのか?」
「そんなもんっ………!」
何か言いかけたツナは、途中で口を閉ざした。
柚子のフルートがかすかに聞こえて来たのだ。
聞けば聞く程、
その表情はいつもとはかけ離れて行く。
「……っ…柚子…!」
大広間を飛び出して、演奏室に向かうツナ。
「あっ、ツナさ……」
「ハル、今日はもう帰って、また来い。」
「はひ?」
「少しいじめちまったからな……挨拶はまた今度だ。」
「リボーンちゃん……」
ハットを目深にかぶったリボーンの表情を、ハルが確認する事は出来なかった。
そして、ツナが上って行った階段を見て、小さく頷いた。
---
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バンッ、
突然ドアが開いたかと思うと、ツナさんが駆け込んできた。
『何ですか?ツナさ…』
「音が悪い。」
急に現れて文句。
仕方ないか。
自分に向いた怒りを、抑える事なんて出来ない。
今のあたしに、
素敵な演奏なんて出来ないもの。
『…すみません。』
今は、なるべくツナさんと話したくない。
だって、
「それじゃあコンチェルトは無理だっての。」
ツナさん見てると、
「コンクール、あるんだろ?」
余計に自分が許せなくなる。
『ツナさんにはっ…関係ないでしょうっ!?』
分かってる。
ツナさんは悪くない。
騙されたあたしが悪い。
でも今はっ……
今はツナさんと話せない。
『“家政婦”のあたしのことなんて、放っておけばいいじゃないですか!』
フルートと楽譜を抱えて、演奏室を飛び出した。
「おい柚子っ…!?」
腕をツナさんに掴まれそうになる。
だけど、不思議とすんなり避ける事が出来た。
「柚子っ…!」
自由時間だし、飛び出したっていいよね。
演奏室にこもってる必要もないんだから。
あたしは7号館の外に飛び出した。
---
-----
あたしは、自分に怒ってる。
ツナさんに婚約者がいようと、
それの影武者として雇われようと、
どーでもいい。
関係無い。
それなのに、
『うっ……ぐすっ……』
町中を走るあたしの目からは、
大粒の雫が溢れ出ていた。
スケルツォ
その冗談は、決して笑い飛ばされず、ただ彼女の心を傷つけた
continue...