ヴァリアー編
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アロちゃんが武を甘く見るように、
武もアロちゃんを甘く見ていた。
あたしは何故か、
震え出す。
時雨蒼燕流
「す………すごい!ロン毛の爆風をかわしたよ!!」
ツナが感歎の声を上げる。
「あれが山本の時雨蒼燕流………まだ粗さはあるが、この短時間でよくここまで………」
「まったくだぞ。この1週間山本が観戦の時以外ほとんど寝ずに稽古してたのは知ってたが………」
型を覚えるのと実戦で使うのは別。
武には体力と反射神経が元々あったけど、それを差し引いてもすごい事。
「カタギの人間がいきなり臆する事なく戦えるとしたらよほどのバカか…………」
「『生まれながらの殺し屋。』」
「な!山本が殺し屋って……何言ってんだよリボーン!!」
「ま、どっちみち、」
リボーンが目を光らせる。
「山本に目をつけた俺が一番すげーんじゃねーか?」
「結局自分の自慢話かよ!!」
ツッコミを入れるツナに、ディーノが言う。
「これ以上時雨蒼燕流に頼るのは危険だ。」
『(確かに………)』
完全無欠・最強無敵を名乗る時雨蒼燕流。
本当にそうだとしても、
アロちゃんだって並の剣士じゃない。
ツナは反論するけど、あたしはディーノに賛成。
「う"お"ぉい!!!図に乗るなぁ!!!ヒヨッ子があっ!!!」
ほら、
アロちゃんの口角は上がってる。
まるで、
武が時雨蒼燕流を使うのを楽しんでるみたいに。
アロちゃんの剣から火薬が発射されて、武の左右を塞ぐ。
「(やっべ!)」
「切る!!!」
「えーっと、こんな時は…………こいつだ。」
剣の先を水につけて、自分の周りに大きな波を作る。
“水のバリケード”
と言ってもいいかな?
「守式弐の型・逆巻く雨。」
「ちいっ!」
アロちゃんは武を切り損ねてイライラ気味。
「水の壁で姿をくらました上、身を縮めて防御。あれでは当たりません。」
バジルも安堵の表情を浮かべる。
「ほらディーノさん!!やっぱりすごいよ!山本も時雨蒼燕流も!!」
「だと、いいんだけどな………」
ディーノは小さく呟く。
「スクアーロが、喜んでいる様に見える……………」
そう、
あたしはあの表情の意味を知ってる。
アロちゃんが相手をバカにする時の表情。
「ディーノさん、何言って……」
「嘘じゃなさそーだぞ。」
「え?」
ツナの言葉を遮るリボーン。
「檸檬も同感っぽいな。」
「えぇ!??」
ツナとバジルはスクリーンの端に写る、カプセルの中の檸檬を見る。
その表情はやはり不安そうで。
「檸檬………」
ツナも少しだけ不安になった。
「う"お"ぉい小僧!!何故防御の後打ち込んで来なかった!!」
『(挑発してるし。)』
「愚かなアホがぁ!俺に唯一傷をつける事が出来た、最後のチャンスを潰したんだぞぉ!!」
「え………?」
「最後のチャンス!?」
アロちゃんの言葉に驚く息を飲むツナとバジル。
反対に、
「ししし♪」
「どうやらスクアーロは確信したみたいだね。」
楽しそうなベルとマーモン。
「負け惜しみを言いおって!ハッタリに決まっている!」
了平さんはアロちゃんの言葉を否定する。
「ハハ、最後って………随分言ってくれるな。」
『笑ってる…』
どうしてだろう、
イヤな予感しかしない。
武、アロちゃんは強いんだよ?
---「檸檬がそんな不安そうな顔してんのって、俺がアイツに勝てないって分かってるからじゃね?」
そうだよ、
あの時はそうだった。
それはさっきまで、
少しだけ和らいでた。
だけど、
今また、
不安で不安でたまらないよ。
「言っとくけど時雨蒼燕流は、これだけじゃないんだぜ。」
守型と攻型が4つずつある。
武は真剣さを増して、構え直した。
そして………
「山本が初めて……………前に出た!!」
両手で握った竹刀は、剣に変形する。
今までにないリズム。
『(これが、攻式のリズム………!)』
ヒュッ、
「(速い!!)」
右下から左上へと振られる武の左手。
咄嗟に防御しようとするアロちゃん。
しかしそこを通過したのは、
武の左手だけ。
「山本殿の手に、刀がない!!」
左手を離れた刀は、真直ぐ落ちて武の右手に。
「攻式五の型・五月雨。」
武の剣がアロちゃんの腹部を切った。
かのように見えた。
「い、今のはっ………!」
「一太刀のうちに持ち手を入れ替え軌道とタイミングをずらす、変幻自在の斬撃だ。」
「ま、まーまーやるじゃねーか。」
隼人が不本意ながらもほめる。
その隣でツナが、素直にほめる。
「すげぇ、山本……」
でもアロちゃんは…
「めでたい連中だな。」
「うむ。ヴァリアーのボス候補になるという事がどれ程か分かってないね。」
今の攻撃を…
「う"お"ぉい!!!効かねぇぞぉ。」
かわしてる。
「あり…………?」
「スクアーロは、無傷だ!」
「な、何で!?」
「間違いなく当たってたのに!」
驚きを隠せないツナとバジル。
それは、一瞬の動き。
アロちゃんは、武の刀の軌道に合わせて身を引いた。
どうやら、
絶望的状況が始まったみたいだね……。
---
------
-----------
まだ、あたしがヴァリアーにいた頃。
『なーんとかしてさぁ、』
「ん"ん?」
広間でアロちゃんと寛いでいた時。
『能力使わないでアロちゃんに勝てないかなぁ?』
「う"お"ぉい、それは俺の前で言う事かぁ!?」
『ん?ダメだった?』
「い、いや、別に………///」
目を逸らすアロちゃん。
あたしは色々考える。
そして、1つ思い付いた。
『無敵の剣撃をマスターすればいいんだ!!』
「何言ってんだぁ?」
「無理よ、檸檬。」
そこに現れたルッスーリア。
『何で?』
「スクアーロは剣撃オタクだからvV」
『オタク??』
「う"お"ぉい!!!何だそりゃぁ!!!」
怒鳴るアロちゃんの後頭部に、ドカッと1発。
「う"お"っ!」
『どーゆー事?』
「スクアーロが知らない剣撃なんて、この世の何処にもありはしないのよん。」
『ほぁーっ!!すごっ!』
「だから、檸檬は檸檬の能力をバンバン使ってスクアーロを負かしていればいいのよ♪」
『らじゃーっ!!』
「う"お"ぉいっ!!檸檬!!」
---
------
-----------
「う"お"ぉい、お前の使う無敵の流派とやらは、こんなものかぁ!?」
アロちゃんが剣を構えて武に聞く。
「それとは別に1つ腑に落ちねぇ事がある。貴様、何故今の一太刀に、刃ではなく峰を使った?」
「峰打ち?」
武の答え聞いたら、アロちゃん怒るだろうなぁ。
………プライド高いし。
「そりゃぁ俺はあんたに勝つ為にやってんで、殺す為じゃねーからな。」
にっこりと笑ってそういう武。
「負けられねーんだ。俺達の為にも、檸檬の為にも。」
「檸檬の為だぁ!?ふざけた事ぬかしやがって、カスが!」
武がふと、あたしの方を向く。
「なぁ檸檬、」
『え?』
「ホントに、檸檬はヴァリアーに入りたいのか?」
『えっ………!?』
.しまった………
思わず詰まっちゃった。
「ヴァリアーに入りたいって事は、人を殺したいって事か?」
『っ…………!!』
武の素朴な疑問が、あたしを抉る。
あたしは…
どうして本入隊を望んだの?
答えは出てる。
とっくに出てる。
『あたしは……人を…殺したくないっ…………!』
「檸檬!?」
アロちゃんが反応する。
『だけど……武達と同じくらい、ヴァリアーと一緒にいたいの…………。』
本入隊を望んだのは、
ヴァリアーの皆とまた笑い合いたかったから。
みんなが好きだから。
大切だから。
泣きそうになるあたしに、武は優しく言った。
「それ聞いて、安心したぜ♪」
『え?』
武は剣を構え直す。
「心配すんな、檸檬。俺はスクアーロに勝つけど、スクアーロを殺さねーから。」
『武っ………!』
「あのバカ、そんな甘っちょろい事を………!」
「(山本………)」
「ナーンセーンス。」
「ふざけてるね。」
「う"お"ぉい!随分ナメてくれたなぁ!!」
アロちゃんが怒った。
だけど…
あたしは嬉しかった。
あたしが一番恐れてるのは、
多分、
誰かが死んじゃう事なんだ。
並盛も、
ヴァリアーも、
誰1人死んで欲しくない。
ただ、それだけだから。
『武…』
あなたを、信じていい?
「まだ自分の置かれた状況が分かってねぇようだなぁ!!その生意気な口をきけなくしてやる!!」
アロちゃんはトップスピードで武に攻め寄る。
武はさっきと同じように、水の壁を。
だけど、アロちゃんはニヤッと笑って。
ズアッ、
「ロ、ロン毛も、」
「同時に水柱を!?」
思いも寄らない事態に、武も少しだけ焦りの表情を浮かべる。
「これではお互いに視界が!!」
「先に見つけた方が勝ちだな。」
先に見つけたのは、
アロちゃんだった。
ビュッ、
「山本!!」
どぱっ、
武の左肩が、ざっくり斬られる。
吹き出す血は、深紅の波を作った。
それを見たアロちゃんが、得意気に言う。
「どうだぁ!痛いかぁ!?最後に絶望的なバッドニュースを教えてやる。貴様の技は全て見切ってるぜぇ。」
『(やっぱり………)』
剣撃オタクに、
ぬかりはなかった。
「その時雨蒼燕流は、昔ひねり潰した流派だからなぁ!!」
武の顔がひきつり、ツナは青ざめた。
もう、逃げられない。
アロちゃんの剣の奥義から。
武もアロちゃんを甘く見ていた。
あたしは何故か、
震え出す。
時雨蒼燕流
「す………すごい!ロン毛の爆風をかわしたよ!!」
ツナが感歎の声を上げる。
「あれが山本の時雨蒼燕流………まだ粗さはあるが、この短時間でよくここまで………」
「まったくだぞ。この1週間山本が観戦の時以外ほとんど寝ずに稽古してたのは知ってたが………」
型を覚えるのと実戦で使うのは別。
武には体力と反射神経が元々あったけど、それを差し引いてもすごい事。
「カタギの人間がいきなり臆する事なく戦えるとしたらよほどのバカか…………」
「『生まれながらの殺し屋。』」
「な!山本が殺し屋って……何言ってんだよリボーン!!」
「ま、どっちみち、」
リボーンが目を光らせる。
「山本に目をつけた俺が一番すげーんじゃねーか?」
「結局自分の自慢話かよ!!」
ツッコミを入れるツナに、ディーノが言う。
「これ以上時雨蒼燕流に頼るのは危険だ。」
『(確かに………)』
完全無欠・最強無敵を名乗る時雨蒼燕流。
本当にそうだとしても、
アロちゃんだって並の剣士じゃない。
ツナは反論するけど、あたしはディーノに賛成。
「う"お"ぉい!!!図に乗るなぁ!!!ヒヨッ子があっ!!!」
ほら、
アロちゃんの口角は上がってる。
まるで、
武が時雨蒼燕流を使うのを楽しんでるみたいに。
アロちゃんの剣から火薬が発射されて、武の左右を塞ぐ。
「(やっべ!)」
「切る!!!」
「えーっと、こんな時は…………こいつだ。」
剣の先を水につけて、自分の周りに大きな波を作る。
“水のバリケード”
と言ってもいいかな?
「守式弐の型・逆巻く雨。」
「ちいっ!」
アロちゃんは武を切り損ねてイライラ気味。
「水の壁で姿をくらました上、身を縮めて防御。あれでは当たりません。」
バジルも安堵の表情を浮かべる。
「ほらディーノさん!!やっぱりすごいよ!山本も時雨蒼燕流も!!」
「だと、いいんだけどな………」
ディーノは小さく呟く。
「スクアーロが、喜んでいる様に見える……………」
そう、
あたしはあの表情の意味を知ってる。
アロちゃんが相手をバカにする時の表情。
「ディーノさん、何言って……」
「嘘じゃなさそーだぞ。」
「え?」
ツナの言葉を遮るリボーン。
「檸檬も同感っぽいな。」
「えぇ!??」
ツナとバジルはスクリーンの端に写る、カプセルの中の檸檬を見る。
その表情はやはり不安そうで。
「檸檬………」
ツナも少しだけ不安になった。
「う"お"ぉい小僧!!何故防御の後打ち込んで来なかった!!」
『(挑発してるし。)』
「愚かなアホがぁ!俺に唯一傷をつける事が出来た、最後のチャンスを潰したんだぞぉ!!」
「え………?」
「最後のチャンス!?」
アロちゃんの言葉に驚く息を飲むツナとバジル。
反対に、
「ししし♪」
「どうやらスクアーロは確信したみたいだね。」
楽しそうなベルとマーモン。
「負け惜しみを言いおって!ハッタリに決まっている!」
了平さんはアロちゃんの言葉を否定する。
「ハハ、最後って………随分言ってくれるな。」
『笑ってる…』
どうしてだろう、
イヤな予感しかしない。
武、アロちゃんは強いんだよ?
---「檸檬がそんな不安そうな顔してんのって、俺がアイツに勝てないって分かってるからじゃね?」
そうだよ、
あの時はそうだった。
それはさっきまで、
少しだけ和らいでた。
だけど、
今また、
不安で不安でたまらないよ。
「言っとくけど時雨蒼燕流は、これだけじゃないんだぜ。」
守型と攻型が4つずつある。
武は真剣さを増して、構え直した。
そして………
「山本が初めて……………前に出た!!」
両手で握った竹刀は、剣に変形する。
今までにないリズム。
『(これが、攻式のリズム………!)』
ヒュッ、
「(速い!!)」
右下から左上へと振られる武の左手。
咄嗟に防御しようとするアロちゃん。
しかしそこを通過したのは、
武の左手だけ。
「山本殿の手に、刀がない!!」
左手を離れた刀は、真直ぐ落ちて武の右手に。
「攻式五の型・五月雨。」
武の剣がアロちゃんの腹部を切った。
かのように見えた。
「い、今のはっ………!」
「一太刀のうちに持ち手を入れ替え軌道とタイミングをずらす、変幻自在の斬撃だ。」
「ま、まーまーやるじゃねーか。」
隼人が不本意ながらもほめる。
その隣でツナが、素直にほめる。
「すげぇ、山本……」
でもアロちゃんは…
「めでたい連中だな。」
「うむ。ヴァリアーのボス候補になるという事がどれ程か分かってないね。」
今の攻撃を…
「う"お"ぉい!!!効かねぇぞぉ。」
かわしてる。
「あり…………?」
「スクアーロは、無傷だ!」
「な、何で!?」
「間違いなく当たってたのに!」
驚きを隠せないツナとバジル。
それは、一瞬の動き。
アロちゃんは、武の刀の軌道に合わせて身を引いた。
どうやら、
絶望的状況が始まったみたいだね……。
---
------
-----------
まだ、あたしがヴァリアーにいた頃。
『なーんとかしてさぁ、』
「ん"ん?」
広間でアロちゃんと寛いでいた時。
『能力使わないでアロちゃんに勝てないかなぁ?』
「う"お"ぉい、それは俺の前で言う事かぁ!?」
『ん?ダメだった?』
「い、いや、別に………///」
目を逸らすアロちゃん。
あたしは色々考える。
そして、1つ思い付いた。
『無敵の剣撃をマスターすればいいんだ!!』
「何言ってんだぁ?」
「無理よ、檸檬。」
そこに現れたルッスーリア。
『何で?』
「スクアーロは剣撃オタクだからvV」
『オタク??』
「う"お"ぉい!!!何だそりゃぁ!!!」
怒鳴るアロちゃんの後頭部に、ドカッと1発。
「う"お"っ!」
『どーゆー事?』
「スクアーロが知らない剣撃なんて、この世の何処にもありはしないのよん。」
『ほぁーっ!!すごっ!』
「だから、檸檬は檸檬の能力をバンバン使ってスクアーロを負かしていればいいのよ♪」
『らじゃーっ!!』
「う"お"ぉいっ!!檸檬!!」
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-----------
「う"お"ぉい、お前の使う無敵の流派とやらは、こんなものかぁ!?」
アロちゃんが剣を構えて武に聞く。
「それとは別に1つ腑に落ちねぇ事がある。貴様、何故今の一太刀に、刃ではなく峰を使った?」
「峰打ち?」
武の答え聞いたら、アロちゃん怒るだろうなぁ。
………プライド高いし。
「そりゃぁ俺はあんたに勝つ為にやってんで、殺す為じゃねーからな。」
にっこりと笑ってそういう武。
「負けられねーんだ。俺達の為にも、檸檬の為にも。」
「檸檬の為だぁ!?ふざけた事ぬかしやがって、カスが!」
武がふと、あたしの方を向く。
「なぁ檸檬、」
『え?』
「ホントに、檸檬はヴァリアーに入りたいのか?」
『えっ………!?』
.しまった………
思わず詰まっちゃった。
「ヴァリアーに入りたいって事は、人を殺したいって事か?」
『っ…………!!』
武の素朴な疑問が、あたしを抉る。
あたしは…
どうして本入隊を望んだの?
答えは出てる。
とっくに出てる。
『あたしは……人を…殺したくないっ…………!』
「檸檬!?」
アロちゃんが反応する。
『だけど……武達と同じくらい、ヴァリアーと一緒にいたいの…………。』
本入隊を望んだのは、
ヴァリアーの皆とまた笑い合いたかったから。
みんなが好きだから。
大切だから。
泣きそうになるあたしに、武は優しく言った。
「それ聞いて、安心したぜ♪」
『え?』
武は剣を構え直す。
「心配すんな、檸檬。俺はスクアーロに勝つけど、スクアーロを殺さねーから。」
『武っ………!』
「あのバカ、そんな甘っちょろい事を………!」
「(山本………)」
「ナーンセーンス。」
「ふざけてるね。」
「う"お"ぉい!随分ナメてくれたなぁ!!」
アロちゃんが怒った。
だけど…
あたしは嬉しかった。
あたしが一番恐れてるのは、
多分、
誰かが死んじゃう事なんだ。
並盛も、
ヴァリアーも、
誰1人死んで欲しくない。
ただ、それだけだから。
『武…』
あなたを、信じていい?
「まだ自分の置かれた状況が分かってねぇようだなぁ!!その生意気な口をきけなくしてやる!!」
アロちゃんはトップスピードで武に攻め寄る。
武はさっきと同じように、水の壁を。
だけど、アロちゃんはニヤッと笑って。
ズアッ、
「ロ、ロン毛も、」
「同時に水柱を!?」
思いも寄らない事態に、武も少しだけ焦りの表情を浮かべる。
「これではお互いに視界が!!」
「先に見つけた方が勝ちだな。」
先に見つけたのは、
アロちゃんだった。
ビュッ、
「山本!!」
どぱっ、
武の左肩が、ざっくり斬られる。
吹き出す血は、深紅の波を作った。
それを見たアロちゃんが、得意気に言う。
「どうだぁ!痛いかぁ!?最後に絶望的なバッドニュースを教えてやる。貴様の技は全て見切ってるぜぇ。」
『(やっぱり………)』
剣撃オタクに、
ぬかりはなかった。
「その時雨蒼燕流は、昔ひねり潰した流派だからなぁ!!」
武の顔がひきつり、ツナは青ざめた。
もう、逃げられない。
アロちゃんの剣の奥義から。