ヴァリアー編
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どうして?
僕はただ、
君に会いに来ただけなのに。
雲雀戻る!!
『(派手にやってるなー、恭弥ってば。)』
さっきから聞こえて来るのは、レヴィ雷撃隊がやっつけられる音ばかり。
「正体不明の侵入者は、真直ぐここにむかっています!!」
「おのれ!何者だ!!」
「どんなハエが来るか楽しみだね。」
レヴィとマーモンのコメントの後、アロちゃんはあたしにもう一度聞いた。
「う"お"ぉい!わかんねぇのかぁ!?檸檬。」
『うーん、分かるんだけど、分かりたくないかも。』
「意味わかんねぇぞぉ!!」
『とにかく、あたしが隠れてるの内緒にしててね!アロちゃんっ!』
念には念を入れ。
あたしの真剣な目を見て、アロちゃんもまた頷く。
「あいつが修業から帰って来たんだ。」
「あいつ!?」
その時。
「ぐあぁっ!」
疑問符を浮かべるツナ達と、少しワクワクするヴァリア-の前に、一人の雷撃隊員が飛ばされて来る。
あたしは息をひそめた。
だって、
次に現れるのは…
「雲雀さん!!」
『(何か、懐かしいなぁ。)』
久しぶりだもんね、恭弥を見るのは。
見つからないかハラハラするあたし。
一方で、ツナが歓喜に満ちた声をあげる。
「雲雀さん、来てくれたんだ!本当に争奪戦に加わってくれるんだ、あの最強の雲雀さんが!!」
凄くはしゃいでる。(笑)
でも、恭弥は…
「校内への不法侵入及び校舎の破損、連帯責任でココにいる全員咬み殺すから。」
リングとかボンゴレとか、全く知らないんだよね。
「なっ!俺達もかよ!」
「あの人、校舎壊された事に怒ってるだけだー!!」
「あいつ本当に学校好きな♪」
並盛サイドは一気に和やかムードに。
そして、
ヴァリア-サイドは落ち着きムード。
「向こうの守護者ではないのか?」
「どのみちガキかぁ。」
「よくも……俺の部下を潰してくれたな。」
恭弥を抑制しようとするチェルベッロに対し、レヴィが叫ぶ。
「どけ!奴はただの、不法侵入者だ!!!」
パラボラをバリバリ光らせて。
そしたら恭弥は、すれ違い際に素早く動いてレヴィに足をかけた。
ドタッ、
レヴィはそのままこける。
「まずは君から、咬み殺そうか?」
「なに!?」
すごいすごい!
いいリズムだった♪
シャマルさんとツナと武が誉めて、
(隼人はけなしてたけど)
バジルがリボーンに尋ねる。
「何者なんですか?」
「奴は、うちの雲のリングの守護者にして、並中風紀委員長・雲雀恭弥だ。」
リボーンの答えを聞き、マーモンが言う。
「雲という事は、ゴーラ・モスカの相手だね。」
「マーモン、奴をどう思う?」
「うむ、レヴィの鈍重さと現在の故障を差し引いても、なかなかの身のこなしだと思うよ。」
『(当然っ♪)』
マーモンの答えを聞くと、アロちゃんは恭弥に剣を向ける。
「う"お"ぉい!!貴様、何枚におろして欲しい!!」
そしたら恭弥は、
「ふぅん、次は君?」
って。
『(2人とも喧嘩好きだから困っちゃうよね~。)』
何となく、ため息が出た。
そこに割って入ったのは、武。
「落ち着けって雲雀、怒んのもわかっけどさ。」
「邪魔だよ。僕の前には、立たないでくれる?」
すんごい眼力で武を睨みながら、恭弥はトンファーを回す。
だけど…
パンッ……
『(ワォ♪)』
武が、これまた凄い動きで恭弥のトンファーを止めた。
瞬時に後ろにまわって、片手でトンファーを握りしめる。
「そのロン毛は俺の相手なんだ。我慢してくれって。」
その身のこなしに、恭弥だけでなくツナや隼人も驚いてた。
そして、
こっちにももう1人…
ひそひそ声で話し掛ける。
『どったの?アロちゃん。』
「ん?あぁ、ちょっとなぁ……」
少しだけ口角を上げるアロちゃん。
いつもの嘲笑とはほんの少し違うような気がした。
それはそうと…
「邪魔する者は何人たりとも…………咬み殺す。」
「やっべ!怒らせちまった!!」
恭弥のトンファーから棘が出て来る。
アレで殴られたら痛いよ…
隠れてて正解だったかも。
「ひいっ!雲雀さん!ちょっと待って下さい!」
ツナの声なんてお構い無しに殺気を振りまく恭弥。
そこに…
「ちゃおっス、雲雀!」
『(リボーン!?)』
声をかけたのはリボーンだった。
殺気を少しだけ弱めて、恭弥はリボーンの方を向く。
「赤ん坊かい?悪いけど今、取り込み中なんだ。」
するとリボーンは、
「ここで暴れちまってもいいが、でっけえお楽しみがなくなるぞ。」
「楽しみ?」
リボーンの意味深な発言に、あたしも興味をそそられる。
「今すぐってワケじゃねーが、ここで我慢すれば遠くない未来、六道骸とまた戦えるかもしんねーぞ。」
「え?」
声をあげたのはツナ。
てゆーか…
骸!!?
思わぬ固有名詞が出て来て、ちょっと混乱した。
恭弥はというと、
「ふぅん、本当かな。」
って言って、ゆっくりと殺気が消えて行く。
『(あ、収まった。)』
さすがリボーン♪
「校舎の破損は完全に直るの?」
「はい、我々チェルベッロが責任を持って。」
お、何だか帰りそうな雰囲気!??
「そう、気が変わったよ。」
これはもう帰るよね。
ちょっと名残惜しいような気もするけど、
『(バイバイ、恭………)』
「ところで、そんなトコで何してんの?檸檬。」
あれ?
「僕に呼ばれて出て来ないなんていい度胸だね。僕がそっちに行ってもいいんだよ?」
なっ、
ななな………
『(バレてたーーーっ!!)』
顔面蒼白っぽいあたしに、アロちゃんが言う。
「う"お"ぉい、呼んでるぞぉ。」
『うぅ…』
そうっとモスカの後ろから顔を出す。
あ、怒ってる感じじゃない。
良かったー。
『ひ、久しぶり、恭弥。』
「うん。」
あ。何か、今の返事可愛いかもー。
じゃなくて!!
『何で分かった?気配消してたのに。』
「一瞬気配がしたから。長髪の彼と話した時。」
---『どったの?アロちゃん。』
『あ、あれかぁ………よく一瞬で分かったね。』
「檸檬の気配を感じ取らないワケないでしょ。」
『そっかぁ。』
ホントに強くなったんだね、恭弥。
頼もしー♪
「で?」
『へ?』
「何でそっちにいるの?」
『え?』
「檸檬だったら、普通こっちの群れにいるはずでしょ。」
恭弥はツナ達を顎で差しながら言った。
「群れって………てめー!!」
「まーまー、獄寺。」
何で、とか言われても………
恭弥はまだリング争奪戦について聞いてないみたいだし、
どっから説明すればいいのやら。
『分かった。手っ取り早く言うとね、』
「うん。」
これを言うのは、ちょっと勇気がいるけど。
説明が手っ取り早いからね。
『あたし、賞品だから。』
「「「「檸檬(殿)!!?」」」」
驚いたのはツナ達。
………だけじゃなかった。
ヴァリアーも何となく驚いてる。
「う"お"ぉい、誰もそんなこたぁ………」
「檸檬…」
「それは言い過ぎだ。」
『いーのっ!!』
ごちゃごちゃ言うみんなに一喝。
そして、目を見開く恭弥に歩み寄る。
『ごめんね、勝ち逃げしちゃって。』
恭弥は、何にも言わなかった。
ちょっと怖くて、あたしは拳を軽く握った。
『こっちとそっちのチームで、毎晩バトルしてるの。で、勝った方にあたしは行かなくちゃいけない。』
やば、
手が震える。
恭弥の顔、見れない。
『今日は隼人が負けたから、あたしは向こうに行くの。』
それで、
もし明日、武がアロちゃんに負けたら………
『向こうがあと1回勝ったら、あたしイタリアに帰らなくちゃいけないんだ。』
「イタリア………?」
やっと恭弥が反応してくれた。
でも、震える手はそのまま。
『そーなの。だからその、えっと………に…2度と……』
“会えない”
明日アロちゃんが勝ったら、もう2度と会えない。
『……………っ!!ごめん、恭弥っ!!』
「檸檬!?」
次の瞬間、あたしは割れてた窓から飛び出した。
また、逃げてしまった。
だって、
考えたくなかった。
ツナと、
隼人と、
武と、
了平さんと、
ランボちゃんと、
恭弥と、
2度と、
会えないなんて。
『あたしって、バカだー。』
ため息混じりに呟く。
ヴァリアーの宿舎に向かいながら。
---
------
-----------
「き、消えたぞ。」
「だな。」
「何だよ、檸檬の奴………」
「檸檬………」
檸檬が突然雲雀さんの前から消えて、俺達は呆然とした。
雲雀さんも、少し立ち尽くしてたみたいだったけど、その後は何もしないで帰っていった。
「つーか………あんな約束して大丈夫なのかよ!!」
骸と戦えるとか、あり得ないし!!
俺がリボーンに聞いてると、向こうのロン毛が山本に言った。
「う"お"ぉい刀小僧!!貴様、その動き何処で身につけたぁ!?」
山本は、ロン毛の方を向く。
「気に入ったぞぉ!!これで貴様らの勝つ可能性は0%から…………」
上がるのかな?
そこまで言わせたら、山本は本当に凄いと思うんだけどな。
そう思ったら…………
「やはり0%だぁ!!」
ガクッ、
何だよそれ…
「明日が貴様らの最後!!首を洗って待つがいい!!じゃぁなぁ。」
そう言って、ヴァリアーは檸檬が出て行った窓と同じトコから飛び出して行った。
つーか………
%が上がるかもって思ったのに………
何か意気消沈。
「ったく、雲雀が暴れ出した時はどーなる事かと思ったぜ。」
「うむ。」
獄寺君とお兄さんが言った。
「だが、雲雀が仲間に加わるとなれば強いぞ。アイツも修業でパワーアップしてるだろーしな。」
「そ、そーだよね!!」
「ああ、アイツがパワーアップだぜ?楽しみだな。」
少しだけホッとする俺と山本の言葉に、獄寺君が、
「群れるの嫌いな奴が、素直に仲間になると思います……?」
って。
まぁ、それもそうなんだよなー………
ってゆーか、
「獄寺君、治療しなきゃ!」
「これくらい、カスリ傷っス。」
「Dr.シャマルに診てもらったらどうでしょう。」
バジル君がそう言うと、
「俺、男はみねーから。バイビ~~~。」
って言って、シャマルは行ってしまった。
驚くバジル君に、あーゆー人だと告げる。
と、そこに………
「しょーがねーなー。ロマ-リオ、代わりに診てやれ。」
「この声………」
振り向いた先にいたのは…
「よっ、」
「ディーノさん!」
後ろには、ロマ-リオさんもいた。
「ヴァリア-と入れ違いになったみてーだな。檸檬がいねぇって事は、負けちまったか。」
「は、はい………」
俺は少し肩を落とす。
「そーだ、恭弥はまだ見てねーだろ?」
「えっ!さっき来ましたが。」
「な!?いつの間に!」
「心配すんな。あまり暴れずに帰ったぞ。」
リボーンの言葉に安堵するディーノさん。
「そっか…………こんなに早く帰って来るとはな……」
「え?今まで何処にいたんですか?」
「なんつーか、修業の旅だな。」
ディーノさんは頭を掻きながら話す。
「あいつは人の話なんて聞きゃしねーからな。かと言って、力でねじ伏せた所で負けを認めるようなタマじゃねぇ。」
「やっぱりディーノさんが相手でも、雲雀さんは手強いんだ…………」
リング争奪戦の舞台が並中だと知ったディーノさんは、雲雀さんが怒ると思って並中から遠ざけた。
それで、色んなトコでバトルをし続けたらしい。
壮絶そうだ………!!!
「で、雲雀はどれくらい強くなったんだ?」
「んー、どれくらいかは俺でもわかんねーな。」
ディーノさんの言葉に、疑問符を浮かべる俺達。
そしたらディーノさんは、
「アイツの成長は底無しだからな。」
と。
俺はごくりと唾をのみ、山本は楽しそうに笑ってた。
すると、ディーノさんは突然思い出したように言った。
「そーだ山本、ここに来たのは他でもねぇ。スクア-ロの事をお前に話そうと思ってな。攻略に役立つかもしれねーしな。」
「ディーノさん、あいつ知ってんスか?」
「あぁ、よく知ってる。あいつは………」
---
-------
ヴァリアーのホテル。
ザンザスの部屋の扉が勢い良く開けられる。
入って来たのはスクア-ロ。
「う"お"ぉい!!」
「ベルは勝ったぜ。しかも明日の勝負は俺だ。これでイタリアに帰れるなぁ、ボスさんよぉ。」
大きな椅子に座るザンザスは、グラスを片手に黙ったまま。
その横を通り過ぎる際、スクア-ロが呟く。
「やっとお前のくだらねぇお遊びから解放されるぜぇ。」
すると…
ビュッ、
ガッ!
ザンザスは、持っていたグラスをスクアーロに投げ付けた。
「う"お"ぉい!!何だテメェ!!」
ウイスキーまみれになって振り向くスクアーロを、ザンザスは睨んで。
「文句、あんのか?」
と。
ツナ達の耳には、
ディーノからの意外な情報。
「スクアーロは、ヴァリアーのボスになるはずだった男だ。」
---
------
-------------
ホテルの一室。
窓辺に座り、夜空を見上げる檸檬。
不思議………
どうしてこんなに寂しいんだろう。
思い出すのは、
さっきの恭弥の表情。
自分で、
賞品って言った。
自分で、
この先の事考えた。
なのに、
『1番つらいのもあたしだなんて………』
皮肉以外の何物でもない。
何で?
どうしてこんなにつらいの?
分かってる、
あたしばっかりつらいワケじゃないって事。
分かってる。
争奪戦のルールくらい。
けど………
『離れたくないよう………』
溢れ出しそうな涙は、
きちんと抑制出来る。
でも、
何故かこの想いは、
どうしても止められなくて。
どうしよう。
この気持ちは、
何て言うの?
苦しいよ。
寂しいよ。
もし、
明日アロちゃんが勝って、
あたしがベルの彼女になったら、
この痛みは止まるかな?
ねぇ、
止まるの?
寂しいよ。
苦しいよ。
『恭弥ぁ………』
.---
------
------------
ねぇ、
どうして?檸檬。
檸檬が賞品だなんて、
何で自分で言うの?
僕はただ、
檸檬に会う為に戻って来たのに。
檸檬が強くなれって言うから、
僕の知らない檸檬をアイツが知ってるから、
戦ったのに。
あんなに苦しそうな檸檬の表情が見たかったワケじゃないのに。
いつも周りにいる人間全員を、
大事にしてる檸檬。
そんな君を
好きになって、
欲しいと思って、
無理にでも、と思ってた時期もあった。
だけど、
今は違うんだ。
賞品だなんて、嫌なんだ。
そんな立場に置かれて、
君が苦しむなら、
助けたい。
『檸檬………』
お願いだから、
また、僕に笑って。
輝くような笑顔を、
僕に見せてよ。
立ち去る前の、檸檬の手の震えが、
忘れられなかった………
僕はただ、
君に会いに来ただけなのに。
雲雀戻る!!
『(派手にやってるなー、恭弥ってば。)』
さっきから聞こえて来るのは、レヴィ雷撃隊がやっつけられる音ばかり。
「正体不明の侵入者は、真直ぐここにむかっています!!」
「おのれ!何者だ!!」
「どんなハエが来るか楽しみだね。」
レヴィとマーモンのコメントの後、アロちゃんはあたしにもう一度聞いた。
「う"お"ぉい!わかんねぇのかぁ!?檸檬。」
『うーん、分かるんだけど、分かりたくないかも。』
「意味わかんねぇぞぉ!!」
『とにかく、あたしが隠れてるの内緒にしててね!アロちゃんっ!』
念には念を入れ。
あたしの真剣な目を見て、アロちゃんもまた頷く。
「あいつが修業から帰って来たんだ。」
「あいつ!?」
その時。
「ぐあぁっ!」
疑問符を浮かべるツナ達と、少しワクワクするヴァリア-の前に、一人の雷撃隊員が飛ばされて来る。
あたしは息をひそめた。
だって、
次に現れるのは…
「雲雀さん!!」
『(何か、懐かしいなぁ。)』
久しぶりだもんね、恭弥を見るのは。
見つからないかハラハラするあたし。
一方で、ツナが歓喜に満ちた声をあげる。
「雲雀さん、来てくれたんだ!本当に争奪戦に加わってくれるんだ、あの最強の雲雀さんが!!」
凄くはしゃいでる。(笑)
でも、恭弥は…
「校内への不法侵入及び校舎の破損、連帯責任でココにいる全員咬み殺すから。」
リングとかボンゴレとか、全く知らないんだよね。
「なっ!俺達もかよ!」
「あの人、校舎壊された事に怒ってるだけだー!!」
「あいつ本当に学校好きな♪」
並盛サイドは一気に和やかムードに。
そして、
ヴァリア-サイドは落ち着きムード。
「向こうの守護者ではないのか?」
「どのみちガキかぁ。」
「よくも……俺の部下を潰してくれたな。」
恭弥を抑制しようとするチェルベッロに対し、レヴィが叫ぶ。
「どけ!奴はただの、不法侵入者だ!!!」
パラボラをバリバリ光らせて。
そしたら恭弥は、すれ違い際に素早く動いてレヴィに足をかけた。
ドタッ、
レヴィはそのままこける。
「まずは君から、咬み殺そうか?」
「なに!?」
すごいすごい!
いいリズムだった♪
シャマルさんとツナと武が誉めて、
(隼人はけなしてたけど)
バジルがリボーンに尋ねる。
「何者なんですか?」
「奴は、うちの雲のリングの守護者にして、並中風紀委員長・雲雀恭弥だ。」
リボーンの答えを聞き、マーモンが言う。
「雲という事は、ゴーラ・モスカの相手だね。」
「マーモン、奴をどう思う?」
「うむ、レヴィの鈍重さと現在の故障を差し引いても、なかなかの身のこなしだと思うよ。」
『(当然っ♪)』
マーモンの答えを聞くと、アロちゃんは恭弥に剣を向ける。
「う"お"ぉい!!貴様、何枚におろして欲しい!!」
そしたら恭弥は、
「ふぅん、次は君?」
って。
『(2人とも喧嘩好きだから困っちゃうよね~。)』
何となく、ため息が出た。
そこに割って入ったのは、武。
「落ち着けって雲雀、怒んのもわかっけどさ。」
「邪魔だよ。僕の前には、立たないでくれる?」
すんごい眼力で武を睨みながら、恭弥はトンファーを回す。
だけど…
パンッ……
『(ワォ♪)』
武が、これまた凄い動きで恭弥のトンファーを止めた。
瞬時に後ろにまわって、片手でトンファーを握りしめる。
「そのロン毛は俺の相手なんだ。我慢してくれって。」
その身のこなしに、恭弥だけでなくツナや隼人も驚いてた。
そして、
こっちにももう1人…
ひそひそ声で話し掛ける。
『どったの?アロちゃん。』
「ん?あぁ、ちょっとなぁ……」
少しだけ口角を上げるアロちゃん。
いつもの嘲笑とはほんの少し違うような気がした。
それはそうと…
「邪魔する者は何人たりとも…………咬み殺す。」
「やっべ!怒らせちまった!!」
恭弥のトンファーから棘が出て来る。
アレで殴られたら痛いよ…
隠れてて正解だったかも。
「ひいっ!雲雀さん!ちょっと待って下さい!」
ツナの声なんてお構い無しに殺気を振りまく恭弥。
そこに…
「ちゃおっス、雲雀!」
『(リボーン!?)』
声をかけたのはリボーンだった。
殺気を少しだけ弱めて、恭弥はリボーンの方を向く。
「赤ん坊かい?悪いけど今、取り込み中なんだ。」
するとリボーンは、
「ここで暴れちまってもいいが、でっけえお楽しみがなくなるぞ。」
「楽しみ?」
リボーンの意味深な発言に、あたしも興味をそそられる。
「今すぐってワケじゃねーが、ここで我慢すれば遠くない未来、六道骸とまた戦えるかもしんねーぞ。」
「え?」
声をあげたのはツナ。
てゆーか…
骸!!?
思わぬ固有名詞が出て来て、ちょっと混乱した。
恭弥はというと、
「ふぅん、本当かな。」
って言って、ゆっくりと殺気が消えて行く。
『(あ、収まった。)』
さすがリボーン♪
「校舎の破損は完全に直るの?」
「はい、我々チェルベッロが責任を持って。」
お、何だか帰りそうな雰囲気!??
「そう、気が変わったよ。」
これはもう帰るよね。
ちょっと名残惜しいような気もするけど、
『(バイバイ、恭………)』
「ところで、そんなトコで何してんの?檸檬。」
あれ?
「僕に呼ばれて出て来ないなんていい度胸だね。僕がそっちに行ってもいいんだよ?」
なっ、
ななな………
『(バレてたーーーっ!!)』
顔面蒼白っぽいあたしに、アロちゃんが言う。
「う"お"ぉい、呼んでるぞぉ。」
『うぅ…』
そうっとモスカの後ろから顔を出す。
あ、怒ってる感じじゃない。
良かったー。
『ひ、久しぶり、恭弥。』
「うん。」
あ。何か、今の返事可愛いかもー。
じゃなくて!!
『何で分かった?気配消してたのに。』
「一瞬気配がしたから。長髪の彼と話した時。」
---『どったの?アロちゃん。』
『あ、あれかぁ………よく一瞬で分かったね。』
「檸檬の気配を感じ取らないワケないでしょ。」
『そっかぁ。』
ホントに強くなったんだね、恭弥。
頼もしー♪
「で?」
『へ?』
「何でそっちにいるの?」
『え?』
「檸檬だったら、普通こっちの群れにいるはずでしょ。」
恭弥はツナ達を顎で差しながら言った。
「群れって………てめー!!」
「まーまー、獄寺。」
何で、とか言われても………
恭弥はまだリング争奪戦について聞いてないみたいだし、
どっから説明すればいいのやら。
『分かった。手っ取り早く言うとね、』
「うん。」
これを言うのは、ちょっと勇気がいるけど。
説明が手っ取り早いからね。
『あたし、賞品だから。』
「「「「檸檬(殿)!!?」」」」
驚いたのはツナ達。
………だけじゃなかった。
ヴァリアーも何となく驚いてる。
「う"お"ぉい、誰もそんなこたぁ………」
「檸檬…」
「それは言い過ぎだ。」
『いーのっ!!』
ごちゃごちゃ言うみんなに一喝。
そして、目を見開く恭弥に歩み寄る。
『ごめんね、勝ち逃げしちゃって。』
恭弥は、何にも言わなかった。
ちょっと怖くて、あたしは拳を軽く握った。
『こっちとそっちのチームで、毎晩バトルしてるの。で、勝った方にあたしは行かなくちゃいけない。』
やば、
手が震える。
恭弥の顔、見れない。
『今日は隼人が負けたから、あたしは向こうに行くの。』
それで、
もし明日、武がアロちゃんに負けたら………
『向こうがあと1回勝ったら、あたしイタリアに帰らなくちゃいけないんだ。』
「イタリア………?」
やっと恭弥が反応してくれた。
でも、震える手はそのまま。
『そーなの。だからその、えっと………に…2度と……』
“会えない”
明日アロちゃんが勝ったら、もう2度と会えない。
『……………っ!!ごめん、恭弥っ!!』
「檸檬!?」
次の瞬間、あたしは割れてた窓から飛び出した。
また、逃げてしまった。
だって、
考えたくなかった。
ツナと、
隼人と、
武と、
了平さんと、
ランボちゃんと、
恭弥と、
2度と、
会えないなんて。
『あたしって、バカだー。』
ため息混じりに呟く。
ヴァリアーの宿舎に向かいながら。
---
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「き、消えたぞ。」
「だな。」
「何だよ、檸檬の奴………」
「檸檬………」
檸檬が突然雲雀さんの前から消えて、俺達は呆然とした。
雲雀さんも、少し立ち尽くしてたみたいだったけど、その後は何もしないで帰っていった。
「つーか………あんな約束して大丈夫なのかよ!!」
骸と戦えるとか、あり得ないし!!
俺がリボーンに聞いてると、向こうのロン毛が山本に言った。
「う"お"ぉい刀小僧!!貴様、その動き何処で身につけたぁ!?」
山本は、ロン毛の方を向く。
「気に入ったぞぉ!!これで貴様らの勝つ可能性は0%から…………」
上がるのかな?
そこまで言わせたら、山本は本当に凄いと思うんだけどな。
そう思ったら…………
「やはり0%だぁ!!」
ガクッ、
何だよそれ…
「明日が貴様らの最後!!首を洗って待つがいい!!じゃぁなぁ。」
そう言って、ヴァリアーは檸檬が出て行った窓と同じトコから飛び出して行った。
つーか………
%が上がるかもって思ったのに………
何か意気消沈。
「ったく、雲雀が暴れ出した時はどーなる事かと思ったぜ。」
「うむ。」
獄寺君とお兄さんが言った。
「だが、雲雀が仲間に加わるとなれば強いぞ。アイツも修業でパワーアップしてるだろーしな。」
「そ、そーだよね!!」
「ああ、アイツがパワーアップだぜ?楽しみだな。」
少しだけホッとする俺と山本の言葉に、獄寺君が、
「群れるの嫌いな奴が、素直に仲間になると思います……?」
って。
まぁ、それもそうなんだよなー………
ってゆーか、
「獄寺君、治療しなきゃ!」
「これくらい、カスリ傷っス。」
「Dr.シャマルに診てもらったらどうでしょう。」
バジル君がそう言うと、
「俺、男はみねーから。バイビ~~~。」
って言って、シャマルは行ってしまった。
驚くバジル君に、あーゆー人だと告げる。
と、そこに………
「しょーがねーなー。ロマ-リオ、代わりに診てやれ。」
「この声………」
振り向いた先にいたのは…
「よっ、」
「ディーノさん!」
後ろには、ロマ-リオさんもいた。
「ヴァリア-と入れ違いになったみてーだな。檸檬がいねぇって事は、負けちまったか。」
「は、はい………」
俺は少し肩を落とす。
「そーだ、恭弥はまだ見てねーだろ?」
「えっ!さっき来ましたが。」
「な!?いつの間に!」
「心配すんな。あまり暴れずに帰ったぞ。」
リボーンの言葉に安堵するディーノさん。
「そっか…………こんなに早く帰って来るとはな……」
「え?今まで何処にいたんですか?」
「なんつーか、修業の旅だな。」
ディーノさんは頭を掻きながら話す。
「あいつは人の話なんて聞きゃしねーからな。かと言って、力でねじ伏せた所で負けを認めるようなタマじゃねぇ。」
「やっぱりディーノさんが相手でも、雲雀さんは手強いんだ…………」
リング争奪戦の舞台が並中だと知ったディーノさんは、雲雀さんが怒ると思って並中から遠ざけた。
それで、色んなトコでバトルをし続けたらしい。
壮絶そうだ………!!!
「で、雲雀はどれくらい強くなったんだ?」
「んー、どれくらいかは俺でもわかんねーな。」
ディーノさんの言葉に、疑問符を浮かべる俺達。
そしたらディーノさんは、
「アイツの成長は底無しだからな。」
と。
俺はごくりと唾をのみ、山本は楽しそうに笑ってた。
すると、ディーノさんは突然思い出したように言った。
「そーだ山本、ここに来たのは他でもねぇ。スクア-ロの事をお前に話そうと思ってな。攻略に役立つかもしれねーしな。」
「ディーノさん、あいつ知ってんスか?」
「あぁ、よく知ってる。あいつは………」
---
-------
ヴァリアーのホテル。
ザンザスの部屋の扉が勢い良く開けられる。
入って来たのはスクア-ロ。
「う"お"ぉい!!」
「ベルは勝ったぜ。しかも明日の勝負は俺だ。これでイタリアに帰れるなぁ、ボスさんよぉ。」
大きな椅子に座るザンザスは、グラスを片手に黙ったまま。
その横を通り過ぎる際、スクア-ロが呟く。
「やっとお前のくだらねぇお遊びから解放されるぜぇ。」
すると…
ビュッ、
ガッ!
ザンザスは、持っていたグラスをスクアーロに投げ付けた。
「う"お"ぉい!!何だテメェ!!」
ウイスキーまみれになって振り向くスクアーロを、ザンザスは睨んで。
「文句、あんのか?」
と。
ツナ達の耳には、
ディーノからの意外な情報。
「スクアーロは、ヴァリアーのボスになるはずだった男だ。」
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ホテルの一室。
窓辺に座り、夜空を見上げる檸檬。
不思議………
どうしてこんなに寂しいんだろう。
思い出すのは、
さっきの恭弥の表情。
自分で、
賞品って言った。
自分で、
この先の事考えた。
なのに、
『1番つらいのもあたしだなんて………』
皮肉以外の何物でもない。
何で?
どうしてこんなにつらいの?
分かってる、
あたしばっかりつらいワケじゃないって事。
分かってる。
争奪戦のルールくらい。
けど………
『離れたくないよう………』
溢れ出しそうな涙は、
きちんと抑制出来る。
でも、
何故かこの想いは、
どうしても止められなくて。
どうしよう。
この気持ちは、
何て言うの?
苦しいよ。
寂しいよ。
もし、
明日アロちゃんが勝って、
あたしがベルの彼女になったら、
この痛みは止まるかな?
ねぇ、
止まるの?
寂しいよ。
苦しいよ。
『恭弥ぁ………』
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ねぇ、
どうして?檸檬。
檸檬が賞品だなんて、
何で自分で言うの?
僕はただ、
檸檬に会う為に戻って来たのに。
檸檬が強くなれって言うから、
僕の知らない檸檬をアイツが知ってるから、
戦ったのに。
あんなに苦しそうな檸檬の表情が見たかったワケじゃないのに。
いつも周りにいる人間全員を、
大事にしてる檸檬。
そんな君を
好きになって、
欲しいと思って、
無理にでも、と思ってた時期もあった。
だけど、
今は違うんだ。
賞品だなんて、嫌なんだ。
そんな立場に置かれて、
君が苦しむなら、
助けたい。
『檸檬………』
お願いだから、
また、僕に笑って。
輝くような笑顔を、
僕に見せてよ。
立ち去る前の、檸檬の手の震えが、
忘れられなかった………