ヴァリアー編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『ベル…』
聞こえなくなった。
ベルのリズムが、
先に止まった-----
決着
「これでダメ押しだぜ!!」
隼人のボムは、まだ黒い煙が消えてないベルの方へ。
ドガガガガガッ!!!
「決まった!!」
「すさまじい…!」
バジルとツナが目を丸くする。
一方では、
「バカな………」
「これだけ撃ち込まれれば流石のベルも…」
「堕ちたな。」
ヴァリアーがベルの負けを確信していた。
そして、シャマルさんが言う。
「やりやーったな。いいんじゃねーか?アイツが嵐の守護者で。」
煙がはれた中に、倒れてるベルの姿があった。
もう、ピクリとも動かない。
「終わったぜ。」
「いいえ。完成した嵐のリングを所持するまで、勝利と認められません。」
「2つのリングを手にし、嵐のリングを完成させて下さい。」
「けっ、めんどくせー。」
チェルベッロの言葉に、頭を掻く隼人。
『隼人、お疲れ様。』
ハラハラする戦いが終わって、あたしも少しだけ安堵した。
ベルのリングを取ろうと、近付いていく隼人。
だけど、出血が酷くて足取りはおぼつかない。
するとシャマルさんが、
「その程度の出血でフラついてんじゃねーよ。とっとと終わらせて祝杯あげるぞ。そーだ、ビアンキちゃん連れて来いよ。」
と。
「こんな時に何言ってやがんだ!エロオヤジが!」
シャマルさんに言った後、隼人はベルを見て呟く。
「ったく、バカ面しやがって。天才が笑わすぜ。てめーには訂正させたかったぜ。10代目への侮辱の言葉を。」
ゆっくりとしゃがんで、ベルのリングを手に取った。
その時だった。
「あ"………はあ"………」
『ベル!!?』
ベルの手にしっかりと握られる、隼人のリング。
これには、ツナ達だけでなく、ヴァリアーもシャマルさんも驚く。
「勝つのオレっ!」
「ってめえ!!」
隼人を思いっきり押し返すベル。
「放せ!」
隼人に殴られても、ベルの手はリングを握ったまま。
何で…!?
さっきまで確実に止まってたリズムが………
『また、動き出した………』
「ベルの奴、まだやれるのか?」
「いいや、恐らく彼を動かしてるのは勝利への本能。負けを認めない王子の本能だ。」
「知れば知る程異常な奴だ。」
レヴィ、マーモン、アロちゃんが、口々に言う。
「てめー!往生際が悪いぞ!」
「リング!!」
ベルは隼人のリングを放そうとしない。
「(くそっ!!力が入れば、こんな死に損ない!!)」
歯を食いしばる隼人に、チェルベッロから非情な宣告。
「まもなく、約束の時間です。」
その瞬間、警告音がして、ハリケーンタービンが爆発し始めた。
「図書室の推定爆破時刻はおよそ1分後です。なお、観覧席及び檸檬様のところへは爆破は及びません。」
ドガガン、
「このままじゃ獄寺君が!」
「敵もろとも死んじまうぞ。」
「何をしているタコヘッド!急がんか!」
「るせー!やってんだよ!!」
床を転がりまわる隼人とベル。
さっき感じた安心は、一体何処へやら。
『隼人……ベル………』
「ぐあ!」
本棚に思いっきりぶつかった。
何でまだこんな力があんだよ………!
くそっ!
ここで負けるワケには、いかねぇってのに!!
本に埋もれる中、奴が小さく言った。
「リングも……檸檬も………俺のモノっ!!」
「あぁ!!?」
檸檬も、だと………!?
何言ってやがる、コイツ。
つーか…
目がかすんできやがった……
「残り45秒です。」
「チキンレースかぁ。面白くなって来たじゃねーかぁ。」
『もう……やめて………』
観覧席の声は、もう俺の耳にほとんど届いてなかった。
ただ、奴の言葉が気になって………
「てめー……檸檬もってどーゆー事だ………?」
「ししし♪ヴァリアーが勝てば檸檬は俺の彼女だからー……」
笑いながら物凄い力で俺のリングを奪おうとする。
しかも……
何だって?
ヴァリアーが勝ったら、
檸檬がコイツの彼女に??
んな話、檸檬が受けたってのか!!?
困惑しつつもリングを護る俺に、シャマルの声が聞こえて来た。
「リングを敵に渡して、引き上げろ隼人!!」
「(なに!?)」
「あ"はあ"。」
「こんなもんでくたばるなんて、馬鹿げてる!戻れ!」
「ふざけんな!俺が負けてみろ!」
必死にシャマルさんに向かって怒鳴る隼人。
「1勝3敗じゃもう後がねぇ!!致命的敗北なんだ!!」
「お前の相手はいかれちまってんだ!もはや勝負になっちゃいねぇ!戻るんだ!」
「手ぶらで戻れるかよ!!」
ここで勝って………証明してやるんだ。
檸檬みてーに相手の攻撃避けなくたって、
傷だらけのボロボロだって、
護りたいモンを護れるってな!!
それに…
「これで戻ったら10代目の右腕の名がすたるんだよ!!」
「獄寺君、そんな事……!」
爆発音が聞こえて来ないワケじゃねぇ。
だが、
「10代目!俺が勝てば流れは変わります!任せて下さい、これくらい俺が……!!」
「獄寺!!」
「タコヘッド!戻って来い!!」
武と了平さんが叫ぶ。
そして、
「図書室まで残り20秒です。」
チェルベッロの酷な情報。
「隼人!!修業に入る前に教えた事を忘れたのか!!」
『あたしにした約束は、嘘だったの!!?』
んなモン……忘れるワケねーだろーが。
大事な命だから、一番の使い所で使うんじゃねーかよ。
檸檬にリベンジする為に、俺なりの戦法を見せてやるんじゃねーか!
「ここは死んでも引き下がれねぇ!!」
「ふざけるな!!」
ベルともみ合い続ける隼人に叫んだのは、ツナだった。
隼人の動きが一瞬止まる。
「何の為に戦ってると思ってるんだよ!!」
『ツナ……』
「またみんなで雪合戦するんだ!!花火見るんだ!!だから戦うんだ!!だから強くなるんだ!!またみんなで笑いたいのに、君が死んだら意味がないじゃないか!!!」
「10代目…………」
ツナが叫んだ直後に、図書室のタービンから警告音。
そして…
ドガガガァン!!
「獄寺君…………獄寺君!」
「獄寺!!」
「あのバカ……」
その瞬間、あたしのカプセルが開いた。
嵐のリングが、1つにはめられた証拠だ。
『隼人っ!!』
フィールドの奥へと走り出そうとした、その時。
ずず…
黒い煙の中から……
『隼人っ!!!』
倒れそうになる隼人を両手でしっかり支える。
「赤外線センサー、止まってるぞ。」
シャマルさんがそう言うと、ツナ達も駆け寄って来た。
「獄寺君!!」
「獄寺!!」
「タコヘッド!」
隼人はゆっくりと口を開く。
「すいません………10代目…………リング取られるってのに、花火見たさに戻って来ちまいました……。」
「よかった獄寺君…………本当に良かった!」
「な!俺、負けてんスよ!!」
ツナの反応に驚いた後、隼人はあたしに言う。
「檸檬……悪ぃ。負けちまった……。」
『バカ。』
「なっ………!」
『隼人のバカっ!!』
少し強過ぎるくらいに抱きついた。
「つっ……!」
『だから言ったじゃない!!ボロボロの体じゃ何も護れないって!』
血だらけの隼人の胸に、顔を埋めて。
涙ばっかり溢れ出す。
「檸檬……………あぁ、そうだな。結局俺は、自分の命しか護れなかった………」
ボロボロの手が、あたしの髪を撫でる。
その感触が、妙にあたしの涙腺を刺激した。
『バカぁーっ………』
「わ、悪かったな、檸檬。」
『でも………自分を護っただけ、よしとしてあげる。今度は、ちゃんと護りたいモノも護ってね。』
「あぁ。」
顔を上げて、にっこり笑えば、隼人も微かに笑みを見せた。
それを見て、やっと一安心。
ボロボロだけど、生きててくれたから。
『んじゃ、あたしはベルの方に行かなくちゃ。』
隼人を座らせて、あたしが立ち去ろうとすると、
「待てよ檸檬!あのさ………」
『何?』
「その、さっきアイツが言ってたんけどよぉ………」
もじもじ(?)しながら言う隼人。
何だろ。
「その………ヴァリアーが勝ったら……アイツの…………」
『そうだよ。本当。』
隼人の言いたい事が分かった。
多分、もみ合ってる最中にベルが言ってたんだね。
ヴァリアーが勝ったら、あたしはベルの………
「え?何?」
「何の事だ?」
『あとで隼人に聞いて。んじゃーね♪』
あたしは図書室に向かう。
ベルだって頑張ってたんだもん。
ちゃんと祝福しなくちゃ。
「ししし、リング♪アイム、ウィナ-!」
『ベル!』
1つになったリングをかざしながら床に倒れてるベルに駆け寄る。
「檸檬じゃん♪」
『ベル、大丈夫?』
「ヘーキ♪見て、リング。」
『うん……おめでとう。ベルの勝ちだよ、さすが王子様♪』
ゆっくりとベルを起き上がらせる。
こっちもボロボロ。
まったく………何でこんな無理するかなぁ。
『ベルも………バカ。』
「んー?」
『ちょっと休みなよ、疲れたでしょ?』
「んー。」
静かな寝息を立て始めたベルを、ぎゅっと抱きしめた。
『お疲れさま…ベル………。』
ウィンウィン………
『モスカ………運んでくれるの?』
あたしの背後に現れたモスカは、ベルを抱え上げて歩き始め、あたしもそれに続いた。
「獄寺の奴………命を取ったな。」
「あぁ、最後に一番でかい成長を見せやがった。それを俺の手柄なんて言う程自惚れちゃいねーぜ。ボンゴレ坊主に1本取られたな。」
リボーンとシャマルが会話する前には、ボロボロの獄寺が山本に掴み掛かる姿が。
「山本!後………頼むぞ。」
「ん?」
「お、俺だってお前なんかに頼みたかねーんだよ!よりによってお前なんかに…………!」
すると山本はいつものようにニカッと笑って。
「わーってるって。」
と。
返事を聞いた直後、獄寺は再びその場に倒れる。
「獄寺君!」
「おい、無茶すんなよ!」
そこで、チェルベッロの結果発表が。
「嵐のリングはベルフェゴールのものとなりましたので、この勝負の勝者はベルフェゴールとします。」
「う"お"ぉい、笑える結末だったなぁ。これでいよいよ貴様らの命は風前の灯だぁ!」
『あ、アロちゃんっ。』
「それに、未だ君達の霧と雲のリング保持者は現れないじゃないか。出場者がいなくて不戦勝なんてオチじゃないだろうな。」
マーモンまで…………キツい言い方するなぁ。
雲は恭弥だもん。
でも………霧は………誰だろ?
「それでは、次の対戦カードを発表します。明晩の勝負は、雨の守護者の勝負です。」
雨って事は…
アロちゃんと武だ………
「この時を待っていたぜぇ!やっとかっさばけるぜぇ!」
『(うはー、殺る気満々じゃん。)』
「前回の圧倒的力の差を思い出して逃げんじゃねーぞ、刀の小僧。」
早速武を挑発するアロちゃん。
すると武はにこりと笑って。
「その心配はないぜ。楽しみで眠れねーよ♪」
『武………』
「………………!!ガキが。」
と、その時。
「レヴィ隊長!!校内に何者かが侵入しました。雷撃隊が次々とやられています!!」
「何!?」
侵入者………?
こんな時間に一般人の侵入者はあり得ない。
レヴィ雷撃隊を倒す程の実力があって、
家光さんじゃぁないよね………
「う"お"ぉい、檸檬。」
『何?アロちゃん。』
アロちゃんがいつになく真剣な目つきで話しかけて来た。
「誰だか分かるかぁ?」
あぁ、能力でも使えって?
『オッケー、やってみる♪』
目を閉じて、
目を開けて。
『(超五感…)』
下から段々上がって来る足音。
殴られる雷撃隊の声。
『革靴………?』
「言っただろ。着々と守護者が揃って来てんだぞ。」
「え?」
ビュッ…
ドゴッ、
『(もしかして………!)』
このリズムは、聞いた事がある。
ちょっとテンポが違ったり、
転調したりするのは、
彼が強くなって帰って来た証拠。
『ごめん、アロちゃん!あたしちょっと隠れる!』
「う"お"ぉい!!何してんだぁ!!?」
モスカの後ろに隠れた。
こっちに向かって来てるけど、とりあえず隠れとかなくちゃ。
色々と厄介かもしれないし。
ほら、
もうそこに……
超五感で耳をすませば、
その声が聞こえる。
「僕の学校で、何してんの?」
『(恭弥………)』
あの日、
強くなって、と伝えたあの日、
あたしは勝ち逃げした。
だからきっと、
『(会ったら絶対リベンジされるっ!!)』
ちょっと恐怖だったり。
だって、
恭弥がどれくらい強くなったかわかんないし。
こんなトコで場外乱闘したら、それこそツナ達が失格になっちゃう。
「う"お"ぉい、檸檬………」
『ちょっと黙っててアロちゃんっ!!』
「なっ………!」
アロちゃんには悪いけど、あたしはモスカの後ろで見守ってるよ、うん。
『いい?あたしがいるって言わないでね!』
「わ、分かったぞぉぉ…………」
半分脅しのような黒い笑顔を見せて、アロちゃんを黙らせた。
でもホントは楽しみなんだよ?
恭弥に会えるのは、さ♪
聞こえなくなった。
ベルのリズムが、
先に止まった-----
決着
「これでダメ押しだぜ!!」
隼人のボムは、まだ黒い煙が消えてないベルの方へ。
ドガガガガガッ!!!
「決まった!!」
「すさまじい…!」
バジルとツナが目を丸くする。
一方では、
「バカな………」
「これだけ撃ち込まれれば流石のベルも…」
「堕ちたな。」
ヴァリアーがベルの負けを確信していた。
そして、シャマルさんが言う。
「やりやーったな。いいんじゃねーか?アイツが嵐の守護者で。」
煙がはれた中に、倒れてるベルの姿があった。
もう、ピクリとも動かない。
「終わったぜ。」
「いいえ。完成した嵐のリングを所持するまで、勝利と認められません。」
「2つのリングを手にし、嵐のリングを完成させて下さい。」
「けっ、めんどくせー。」
チェルベッロの言葉に、頭を掻く隼人。
『隼人、お疲れ様。』
ハラハラする戦いが終わって、あたしも少しだけ安堵した。
ベルのリングを取ろうと、近付いていく隼人。
だけど、出血が酷くて足取りはおぼつかない。
するとシャマルさんが、
「その程度の出血でフラついてんじゃねーよ。とっとと終わらせて祝杯あげるぞ。そーだ、ビアンキちゃん連れて来いよ。」
と。
「こんな時に何言ってやがんだ!エロオヤジが!」
シャマルさんに言った後、隼人はベルを見て呟く。
「ったく、バカ面しやがって。天才が笑わすぜ。てめーには訂正させたかったぜ。10代目への侮辱の言葉を。」
ゆっくりとしゃがんで、ベルのリングを手に取った。
その時だった。
「あ"………はあ"………」
『ベル!!?』
ベルの手にしっかりと握られる、隼人のリング。
これには、ツナ達だけでなく、ヴァリアーもシャマルさんも驚く。
「勝つのオレっ!」
「ってめえ!!」
隼人を思いっきり押し返すベル。
「放せ!」
隼人に殴られても、ベルの手はリングを握ったまま。
何で…!?
さっきまで確実に止まってたリズムが………
『また、動き出した………』
「ベルの奴、まだやれるのか?」
「いいや、恐らく彼を動かしてるのは勝利への本能。負けを認めない王子の本能だ。」
「知れば知る程異常な奴だ。」
レヴィ、マーモン、アロちゃんが、口々に言う。
「てめー!往生際が悪いぞ!」
「リング!!」
ベルは隼人のリングを放そうとしない。
「(くそっ!!力が入れば、こんな死に損ない!!)」
歯を食いしばる隼人に、チェルベッロから非情な宣告。
「まもなく、約束の時間です。」
その瞬間、警告音がして、ハリケーンタービンが爆発し始めた。
「図書室の推定爆破時刻はおよそ1分後です。なお、観覧席及び檸檬様のところへは爆破は及びません。」
ドガガン、
「このままじゃ獄寺君が!」
「敵もろとも死んじまうぞ。」
「何をしているタコヘッド!急がんか!」
「るせー!やってんだよ!!」
床を転がりまわる隼人とベル。
さっき感じた安心は、一体何処へやら。
『隼人……ベル………』
「ぐあ!」
本棚に思いっきりぶつかった。
何でまだこんな力があんだよ………!
くそっ!
ここで負けるワケには、いかねぇってのに!!
本に埋もれる中、奴が小さく言った。
「リングも……檸檬も………俺のモノっ!!」
「あぁ!!?」
檸檬も、だと………!?
何言ってやがる、コイツ。
つーか…
目がかすんできやがった……
「残り45秒です。」
「チキンレースかぁ。面白くなって来たじゃねーかぁ。」
『もう……やめて………』
観覧席の声は、もう俺の耳にほとんど届いてなかった。
ただ、奴の言葉が気になって………
「てめー……檸檬もってどーゆー事だ………?」
「ししし♪ヴァリアーが勝てば檸檬は俺の彼女だからー……」
笑いながら物凄い力で俺のリングを奪おうとする。
しかも……
何だって?
ヴァリアーが勝ったら、
檸檬がコイツの彼女に??
んな話、檸檬が受けたってのか!!?
困惑しつつもリングを護る俺に、シャマルの声が聞こえて来た。
「リングを敵に渡して、引き上げろ隼人!!」
「(なに!?)」
「あ"はあ"。」
「こんなもんでくたばるなんて、馬鹿げてる!戻れ!」
「ふざけんな!俺が負けてみろ!」
必死にシャマルさんに向かって怒鳴る隼人。
「1勝3敗じゃもう後がねぇ!!致命的敗北なんだ!!」
「お前の相手はいかれちまってんだ!もはや勝負になっちゃいねぇ!戻るんだ!」
「手ぶらで戻れるかよ!!」
ここで勝って………証明してやるんだ。
檸檬みてーに相手の攻撃避けなくたって、
傷だらけのボロボロだって、
護りたいモンを護れるってな!!
それに…
「これで戻ったら10代目の右腕の名がすたるんだよ!!」
「獄寺君、そんな事……!」
爆発音が聞こえて来ないワケじゃねぇ。
だが、
「10代目!俺が勝てば流れは変わります!任せて下さい、これくらい俺が……!!」
「獄寺!!」
「タコヘッド!戻って来い!!」
武と了平さんが叫ぶ。
そして、
「図書室まで残り20秒です。」
チェルベッロの酷な情報。
「隼人!!修業に入る前に教えた事を忘れたのか!!」
『あたしにした約束は、嘘だったの!!?』
んなモン……忘れるワケねーだろーが。
大事な命だから、一番の使い所で使うんじゃねーかよ。
檸檬にリベンジする為に、俺なりの戦法を見せてやるんじゃねーか!
「ここは死んでも引き下がれねぇ!!」
「ふざけるな!!」
ベルともみ合い続ける隼人に叫んだのは、ツナだった。
隼人の動きが一瞬止まる。
「何の為に戦ってると思ってるんだよ!!」
『ツナ……』
「またみんなで雪合戦するんだ!!花火見るんだ!!だから戦うんだ!!だから強くなるんだ!!またみんなで笑いたいのに、君が死んだら意味がないじゃないか!!!」
「10代目…………」
ツナが叫んだ直後に、図書室のタービンから警告音。
そして…
ドガガガァン!!
「獄寺君…………獄寺君!」
「獄寺!!」
「あのバカ……」
その瞬間、あたしのカプセルが開いた。
嵐のリングが、1つにはめられた証拠だ。
『隼人っ!!』
フィールドの奥へと走り出そうとした、その時。
ずず…
黒い煙の中から……
『隼人っ!!!』
倒れそうになる隼人を両手でしっかり支える。
「赤外線センサー、止まってるぞ。」
シャマルさんがそう言うと、ツナ達も駆け寄って来た。
「獄寺君!!」
「獄寺!!」
「タコヘッド!」
隼人はゆっくりと口を開く。
「すいません………10代目…………リング取られるってのに、花火見たさに戻って来ちまいました……。」
「よかった獄寺君…………本当に良かった!」
「な!俺、負けてんスよ!!」
ツナの反応に驚いた後、隼人はあたしに言う。
「檸檬……悪ぃ。負けちまった……。」
『バカ。』
「なっ………!」
『隼人のバカっ!!』
少し強過ぎるくらいに抱きついた。
「つっ……!」
『だから言ったじゃない!!ボロボロの体じゃ何も護れないって!』
血だらけの隼人の胸に、顔を埋めて。
涙ばっかり溢れ出す。
「檸檬……………あぁ、そうだな。結局俺は、自分の命しか護れなかった………」
ボロボロの手が、あたしの髪を撫でる。
その感触が、妙にあたしの涙腺を刺激した。
『バカぁーっ………』
「わ、悪かったな、檸檬。」
『でも………自分を護っただけ、よしとしてあげる。今度は、ちゃんと護りたいモノも護ってね。』
「あぁ。」
顔を上げて、にっこり笑えば、隼人も微かに笑みを見せた。
それを見て、やっと一安心。
ボロボロだけど、生きててくれたから。
『んじゃ、あたしはベルの方に行かなくちゃ。』
隼人を座らせて、あたしが立ち去ろうとすると、
「待てよ檸檬!あのさ………」
『何?』
「その、さっきアイツが言ってたんけどよぉ………」
もじもじ(?)しながら言う隼人。
何だろ。
「その………ヴァリアーが勝ったら……アイツの…………」
『そうだよ。本当。』
隼人の言いたい事が分かった。
多分、もみ合ってる最中にベルが言ってたんだね。
ヴァリアーが勝ったら、あたしはベルの………
「え?何?」
「何の事だ?」
『あとで隼人に聞いて。んじゃーね♪』
あたしは図書室に向かう。
ベルだって頑張ってたんだもん。
ちゃんと祝福しなくちゃ。
「ししし、リング♪アイム、ウィナ-!」
『ベル!』
1つになったリングをかざしながら床に倒れてるベルに駆け寄る。
「檸檬じゃん♪」
『ベル、大丈夫?』
「ヘーキ♪見て、リング。」
『うん……おめでとう。ベルの勝ちだよ、さすが王子様♪』
ゆっくりとベルを起き上がらせる。
こっちもボロボロ。
まったく………何でこんな無理するかなぁ。
『ベルも………バカ。』
「んー?」
『ちょっと休みなよ、疲れたでしょ?』
「んー。」
静かな寝息を立て始めたベルを、ぎゅっと抱きしめた。
『お疲れさま…ベル………。』
ウィンウィン………
『モスカ………運んでくれるの?』
あたしの背後に現れたモスカは、ベルを抱え上げて歩き始め、あたしもそれに続いた。
「獄寺の奴………命を取ったな。」
「あぁ、最後に一番でかい成長を見せやがった。それを俺の手柄なんて言う程自惚れちゃいねーぜ。ボンゴレ坊主に1本取られたな。」
リボーンとシャマルが会話する前には、ボロボロの獄寺が山本に掴み掛かる姿が。
「山本!後………頼むぞ。」
「ん?」
「お、俺だってお前なんかに頼みたかねーんだよ!よりによってお前なんかに…………!」
すると山本はいつものようにニカッと笑って。
「わーってるって。」
と。
返事を聞いた直後、獄寺は再びその場に倒れる。
「獄寺君!」
「おい、無茶すんなよ!」
そこで、チェルベッロの結果発表が。
「嵐のリングはベルフェゴールのものとなりましたので、この勝負の勝者はベルフェゴールとします。」
「う"お"ぉい、笑える結末だったなぁ。これでいよいよ貴様らの命は風前の灯だぁ!」
『あ、アロちゃんっ。』
「それに、未だ君達の霧と雲のリング保持者は現れないじゃないか。出場者がいなくて不戦勝なんてオチじゃないだろうな。」
マーモンまで…………キツい言い方するなぁ。
雲は恭弥だもん。
でも………霧は………誰だろ?
「それでは、次の対戦カードを発表します。明晩の勝負は、雨の守護者の勝負です。」
雨って事は…
アロちゃんと武だ………
「この時を待っていたぜぇ!やっとかっさばけるぜぇ!」
『(うはー、殺る気満々じゃん。)』
「前回の圧倒的力の差を思い出して逃げんじゃねーぞ、刀の小僧。」
早速武を挑発するアロちゃん。
すると武はにこりと笑って。
「その心配はないぜ。楽しみで眠れねーよ♪」
『武………』
「………………!!ガキが。」
と、その時。
「レヴィ隊長!!校内に何者かが侵入しました。雷撃隊が次々とやられています!!」
「何!?」
侵入者………?
こんな時間に一般人の侵入者はあり得ない。
レヴィ雷撃隊を倒す程の実力があって、
家光さんじゃぁないよね………
「う"お"ぉい、檸檬。」
『何?アロちゃん。』
アロちゃんがいつになく真剣な目つきで話しかけて来た。
「誰だか分かるかぁ?」
あぁ、能力でも使えって?
『オッケー、やってみる♪』
目を閉じて、
目を開けて。
『(超五感…)』
下から段々上がって来る足音。
殴られる雷撃隊の声。
『革靴………?』
「言っただろ。着々と守護者が揃って来てんだぞ。」
「え?」
ビュッ…
ドゴッ、
『(もしかして………!)』
このリズムは、聞いた事がある。
ちょっとテンポが違ったり、
転調したりするのは、
彼が強くなって帰って来た証拠。
『ごめん、アロちゃん!あたしちょっと隠れる!』
「う"お"ぉい!!何してんだぁ!!?」
モスカの後ろに隠れた。
こっちに向かって来てるけど、とりあえず隠れとかなくちゃ。
色々と厄介かもしれないし。
ほら、
もうそこに……
超五感で耳をすませば、
その声が聞こえる。
「僕の学校で、何してんの?」
『(恭弥………)』
あの日、
強くなって、と伝えたあの日、
あたしは勝ち逃げした。
だからきっと、
『(会ったら絶対リベンジされるっ!!)』
ちょっと恐怖だったり。
だって、
恭弥がどれくらい強くなったかわかんないし。
こんなトコで場外乱闘したら、それこそツナ達が失格になっちゃう。
「う"お"ぉい、檸檬………」
『ちょっと黙っててアロちゃんっ!!』
「なっ………!」
アロちゃんには悪いけど、あたしはモスカの後ろで見守ってるよ、うん。
『いい?あたしがいるって言わないでね!』
「わ、分かったぞぉぉ…………」
半分脅しのような黒い笑顔を見せて、アロちゃんを黙らせた。
でもホントは楽しみなんだよ?
恭弥に会えるのは、さ♪