ヴァリアー編
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新しい技、
生き残る為の知恵、
それは、
天才をも揺るがす-----
天才のナイフ
「3分経過しました。」
チェルベッロが言う中、ベルが隼人に話し掛ける。
「嵐の守護者の使命って知ってる?」
隼人の方は、ベルのナイフ裁きに驚くばかり。
気流を読む、という言葉にも驚きを隠せないみたい。
ベルが言ってる嵐の守護者の使命、それは……
---常に攻撃の核となり、休むことのない怒濤の嵐
「俺には出来るけど、お前には出来ないね♪」
にっこりと笑うベルに対し、隼人は焦りの表情を見せる。
そんな隼人に、シャマルさんが一喝。
「何つっ立ってんだ。立ち止まるな、隼人。」
そう、立ち止まれば……
キラキラキラ………
カカカカ!
ベルのナイフの餌食になる。
「ふざけやがって!」
ボムを取り出す隼人に、降り注ぐナイフの雨。
隼人はそれをかろうじて避けてる。
「くそっ!これじゃあ攻撃に移れねぇ!!」
その様子を見て、レヴィ、マーモン、アロちゃんが言う。
「隙のない、流れるようなナイフ裁きで相手の一切の攻撃を封じる。」
「この風の中でこんな事出来るのはベルぐらいだよ。」
「はんっ!」
「ちくしょう!撃てねぇ!!」
隼人は一旦引く事にしたみたい。
ベルの目が届かない死角に入って、策を練る。
壁にダイナマイトを取り付けて、全速力で遠くへ。
その間にも、ベルのナイフが隼人の足に傷を付けている。
ヂヂヂ…
ドン!!
ゆっくりと隼人の後を歩いて追っていたベルの視界が、爆風で覆われる。
でもベルは、余裕な態度を全く変えずに。
「爆風に乗じて隠れたつもりかよ。隠れんぼだぁ~い好き♪」
ねぇ檸檬、
俺さ、1つだけ気になってる事があるんだよね。
あの時……
---
------
-------------
俺と檸檬が2人でアジトに戻る途中で。
「ねぇ、檸檬。」
『んー?』
さっきの真っ赤な顔から元に戻った檸檬は、俺を見上げた。
やっぱ可愛い♪
じゃなくてっ!
「我が儘王子って……何?」
『えっ…!?』
ほら、
明らかに動揺してるし。
気になるんだよねー。
『そっ、それはねぇ…』
「うん。」
檸檬は恥ずかしそうに目を逸らして言った。
『我が儘な王子様の事だよ。』
間。
いや、それは分かってるから。
俺が気になってるのは………どうしてその単語が出ると、檸檬の態度が不自然になるのかって事だから。
「だからぁ、どーしてそんなに恥ずかしがるの?」
『えっ!?別に恥ずかしがってるワケじゃないけど…』
---
------
------------
そう言ってたけど、檸檬の逸らされた目が元に戻る事はなくて。
だから俺、分かったんだ。
檸檬は、
“我が儘王子”って単語を聞くと、俺以外の誰かを思い出すんだって。
王子は俺なのにさー。
だから、早くこの勝負終わらせて、檸檬に聞きに行かなくちゃ。
んで、俺以外の王子を檸檬の頭から消さなくちゃ。
だって、
檸檬の王子は俺だけで十分だもん♪
それはそうと、
あいつ、何処行ったんだろ。
とりあえずナイフを投げる事にした。
---
------
「あのナイフと正面向いてやり合うのは分が悪い。」
理科室。
隼人は壁に隠れていた。
「トラップ張って死角からチャンスを伺うしかねーか…」
そう呟き、ボムを用意する。
けど、
ビュッ、ビュッ、
スパッン、
「な!!?どっから来やがった!!!」
ボムの先端がベルのナイフにカットされ、驚く隼人。
「ベルって人、まだ廊下にいるよ!!」
「では、相手が見えていないのに!?」
ツナとバジルも驚く。
「隠れんぼ好きって言ったじゃん。俺、王子だからさ。」
歩きながら、ベルが言う。
『(気付いて………隼人!)』
「お前らパチもんとはデキが違うんだよね♪」
ベルが放ったナイフは、迷いもなく隼人の元へ。
「うぐっ!!」
『隼人!!』
「獄寺君!!」
「いってー!!何でだっ!」
隼人の左脇腹から、血がにじみ出る。
するとベルは、口角を上げて。
「うしし♪もう大当たり?嵐の守護者がこれじゃぁ、お前のボスも知れてんな。」
その瞬間、隼人の目の色が変わる。
今のベルの言葉は、間違いなくツナへの侮辱。
「(俺のせいで10代目が……ぜってぇ負けらんねぇ!!!)」
『(そう、そうだよ隼人。)』
隼人の雰囲気が少しだけ変わる。
闇雲じゃなくて、確実に。
「(考えろ!!何で死角から当たるんだ!?)」
「そーだ、それでいい。」
シャマルさんが満足そうに頷く。
「天才だろーがその技にゃ必ず………」
「『(タネと仕掛けがある!!)』」
「(焦るな、落ち着け!この勝負、何があった?)」
その脳裏に浮かんで来たのは、勝負の前のベルの行動。
---「肩の力が入り過ぎじゃね?」
「(うるせぇ!何が肩の……………………!!!)」
あ。
隼人が何かに気が付いた。
『(気付いたんだ………これで、対等に渡り合える!)』
「くっ…」
頑張って立ち上がる隼人の耳に、ベルの言葉が聞こえて来る。
「怒濤の攻めのシメは、針千本のサボテンにしてやるよ。」
その手には、数えきれないくらいのナイフ。
「俺が勝つトコ、ちゃんと見ててね、檸檬♪んじゃ、バイバイ。」
「ああ!!」
「いかん!」
並盛サイドは緊張する。
ナイフは風をつたって…
ドスドスッ!
ドスドスドスドスドス!!
「あぁ!獄寺君!!!」
「うししし♪サボテン一丁上がりっ♪」
『大丈夫だよ………』
「え?」
隼人に刺さったと思われるナイフ達。
ナイフまみれになった“その物体”は窓を突き破って廊下に…
「あ、あれは………!」
「人体模型!!!」
『隼人…』
ちゃんと見破ったみたいだね♪
ずず…
「ひいっ!動いた!」
「よく見ろ。首に何か絡まってるぞ。」
人体模型が引きずられた先には、隼人が。
「これが、てめーの技の正体だ。」
.「い、糸だ!!」
見破られちゃったベルは、少しだけ不満そう。
だから、あんまり並盛をナメない方がいいってのに。
ベルは勝負の前に肩を叩くと同時に、視認しにくいワイヤーを隼人の肩に付けた。
局部麻酔付きで。
そうすれば、ナイフの突起をワイヤーに引っ掛けて隼人の方に飛ばす事が出来る。
「それでナイフが獄寺君に吸い込まれるように飛んだんだ……!」
「まるでモノレールだな。」
でも、これじゃまだベルの技を攻略した事にはならない。
「頑張ってるけど50点ってトコかな。つかお前、こんなもんで得意になるのもいーけどさぁ、」
ベルが話してる間に、隼人を襲うハリケーンタービンの突風。
「この風じゃ何も出来ないじゃん。なぁ、どーする?」
いつものように笑顔を見せるベル。
逆に隼人は真剣な顔つきで、
ボムを取り出した。
「ぼ、ボム!?でも……」
「それ、当たんないから。」
余裕な笑みを見せるベルの言葉に対し、シャマルさんが呟いた。
「当たんねーボム当たるようにする為に、ナンパ返上で付き合ったんだぜ?かつて天才の名を欲しいままにした、この俺がな。」
「え…?」
さぁ、隼人。
隼人が作ったその新技、
あたし達に見せてよ。
半端な覚悟じゃ決して生まれない、
見る者を魅了する新技を。
『(お披露目タイムだよっ、隼人♪)』
.ボムの導火線に火が灯される。
「果てろ!!!」
風の壁の中に、
何の躊躇いもなくボムを投げる。
「ダメです!また風の壁にぶつかる!」
「そんな!」
不安を隠せないツナ達とは対照的に、ベルはまだ余裕の表情。
「頭悪くて口あんぐり。」
でも…
「(行け!!!)」
みんな、忘れてない?
このボムは、
隼人が頭を絞って考えた新しいボムだよ?
ドンッ、
『ワォ♪』
「あれは!!」
ボムの一部が小さい爆発を起こした。
それはすなわち…
ボムの動きが早くなるって事。
ドシュウウウ、
まるで、
ベルのナイフのように、
ボムは真直ぐ進んで行く。
ベルの元へ。
「俺が下手うって、10代目に恥をかかすワケにはいかねーんだよ。」
決まる……
すっかり油断してたベルは、
きっと避けられない。
始まるよ、
ベルのワルツが。
ドガガガッ!!
「す、すごい!今のは…」
「まさか……新技!?」
驚きを隠せないツナとバジルに、シャマルさんは得意気に言う。
「ロケットボム………こいつこそが、6日間で奴が掴んだ技だ。」
「方向転換するボムか。」
『(なるほどね。)』
予め仕込んだ推進用の火薬が噴射して、決めた方向に2度変化する。
ボムには導火時間と山なりの軌道っていう欠点がある。
それが隼人のスピードの無さを生み出していた。
だから、ボムの機動力を上げたんだ。
「狙いが手動(マニュアル)なだけにテクニックを要するが、2度曲がれば戦略は一気に広がる。」
シャマルさんの目が光る。
「何より、あいつが生き残る為に習得したんだ。」
かつて、あたしが他人のリズムを掴んだように。
自分のリズムを磨いたように。
だから…
「『そういう技は、しぶとく決まる。』」
ただ1つ、心配なのは……
これから始まるワルツ。
煙の中からは、未だ何も見えて来ない。
「やったのか?」
「直撃しましたから、大ダメージには違いありません。」
『(ベル………どうか、無理しないで……。)』
「ベルの奴、無傷ではあるまい。」
「その通り………あれが始まるね。」
「おぞましーぜぇ。」
ヴァリアーのみんなも息を飲む展開。
勿論、あたしも。
スパパッ、
ズズズ…
ズン、
煙が上がった近くの壁が、凄い早業で切断された。
そして、薄れていく黒い煙の中に、
ゆらりと浮かぶ1つの影。
隼人は警戒心を高める。
「うししししし!!あぁあ"~~っ!」
『(はじ…まった……)』
頭を両手で抱え込んで、笑い出したベル。
その体からは、血が滴っている。
「流しちゃったよ、王族の血を~~~!!」
「(何だ、こいつ………?)」
疑問符を浮かべる隼人。
ヴァリアーの観戦席では、マーモンがぽつりと呟く。
「自分の血を見てから始まるのさ。プリンス・ザ・リッパーの本領は。」
『ベル……』
今この瞬間から、
ベルのリズムが動き出す。
ゆっくりした歩調から、
テンポの速い、ワルツへと。
生き残る為の知恵、
それは、
天才をも揺るがす-----
天才のナイフ
「3分経過しました。」
チェルベッロが言う中、ベルが隼人に話し掛ける。
「嵐の守護者の使命って知ってる?」
隼人の方は、ベルのナイフ裁きに驚くばかり。
気流を読む、という言葉にも驚きを隠せないみたい。
ベルが言ってる嵐の守護者の使命、それは……
---常に攻撃の核となり、休むことのない怒濤の嵐
「俺には出来るけど、お前には出来ないね♪」
にっこりと笑うベルに対し、隼人は焦りの表情を見せる。
そんな隼人に、シャマルさんが一喝。
「何つっ立ってんだ。立ち止まるな、隼人。」
そう、立ち止まれば……
キラキラキラ………
カカカカ!
ベルのナイフの餌食になる。
「ふざけやがって!」
ボムを取り出す隼人に、降り注ぐナイフの雨。
隼人はそれをかろうじて避けてる。
「くそっ!これじゃあ攻撃に移れねぇ!!」
その様子を見て、レヴィ、マーモン、アロちゃんが言う。
「隙のない、流れるようなナイフ裁きで相手の一切の攻撃を封じる。」
「この風の中でこんな事出来るのはベルぐらいだよ。」
「はんっ!」
「ちくしょう!撃てねぇ!!」
隼人は一旦引く事にしたみたい。
ベルの目が届かない死角に入って、策を練る。
壁にダイナマイトを取り付けて、全速力で遠くへ。
その間にも、ベルのナイフが隼人の足に傷を付けている。
ヂヂヂ…
ドン!!
ゆっくりと隼人の後を歩いて追っていたベルの視界が、爆風で覆われる。
でもベルは、余裕な態度を全く変えずに。
「爆風に乗じて隠れたつもりかよ。隠れんぼだぁ~い好き♪」
ねぇ檸檬、
俺さ、1つだけ気になってる事があるんだよね。
あの時……
---
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俺と檸檬が2人でアジトに戻る途中で。
「ねぇ、檸檬。」
『んー?』
さっきの真っ赤な顔から元に戻った檸檬は、俺を見上げた。
やっぱ可愛い♪
じゃなくてっ!
「我が儘王子って……何?」
『えっ…!?』
ほら、
明らかに動揺してるし。
気になるんだよねー。
『そっ、それはねぇ…』
「うん。」
檸檬は恥ずかしそうに目を逸らして言った。
『我が儘な王子様の事だよ。』
間。
いや、それは分かってるから。
俺が気になってるのは………どうしてその単語が出ると、檸檬の態度が不自然になるのかって事だから。
「だからぁ、どーしてそんなに恥ずかしがるの?」
『えっ!?別に恥ずかしがってるワケじゃないけど…』
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そう言ってたけど、檸檬の逸らされた目が元に戻る事はなくて。
だから俺、分かったんだ。
檸檬は、
“我が儘王子”って単語を聞くと、俺以外の誰かを思い出すんだって。
王子は俺なのにさー。
だから、早くこの勝負終わらせて、檸檬に聞きに行かなくちゃ。
んで、俺以外の王子を檸檬の頭から消さなくちゃ。
だって、
檸檬の王子は俺だけで十分だもん♪
それはそうと、
あいつ、何処行ったんだろ。
とりあえずナイフを投げる事にした。
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「あのナイフと正面向いてやり合うのは分が悪い。」
理科室。
隼人は壁に隠れていた。
「トラップ張って死角からチャンスを伺うしかねーか…」
そう呟き、ボムを用意する。
けど、
ビュッ、ビュッ、
スパッン、
「な!!?どっから来やがった!!!」
ボムの先端がベルのナイフにカットされ、驚く隼人。
「ベルって人、まだ廊下にいるよ!!」
「では、相手が見えていないのに!?」
ツナとバジルも驚く。
「隠れんぼ好きって言ったじゃん。俺、王子だからさ。」
歩きながら、ベルが言う。
『(気付いて………隼人!)』
「お前らパチもんとはデキが違うんだよね♪」
ベルが放ったナイフは、迷いもなく隼人の元へ。
「うぐっ!!」
『隼人!!』
「獄寺君!!」
「いってー!!何でだっ!」
隼人の左脇腹から、血がにじみ出る。
するとベルは、口角を上げて。
「うしし♪もう大当たり?嵐の守護者がこれじゃぁ、お前のボスも知れてんな。」
その瞬間、隼人の目の色が変わる。
今のベルの言葉は、間違いなくツナへの侮辱。
「(俺のせいで10代目が……ぜってぇ負けらんねぇ!!!)」
『(そう、そうだよ隼人。)』
隼人の雰囲気が少しだけ変わる。
闇雲じゃなくて、確実に。
「(考えろ!!何で死角から当たるんだ!?)」
「そーだ、それでいい。」
シャマルさんが満足そうに頷く。
「天才だろーがその技にゃ必ず………」
「『(タネと仕掛けがある!!)』」
「(焦るな、落ち着け!この勝負、何があった?)」
その脳裏に浮かんで来たのは、勝負の前のベルの行動。
---「肩の力が入り過ぎじゃね?」
「(うるせぇ!何が肩の……………………!!!)」
あ。
隼人が何かに気が付いた。
『(気付いたんだ………これで、対等に渡り合える!)』
「くっ…」
頑張って立ち上がる隼人の耳に、ベルの言葉が聞こえて来る。
「怒濤の攻めのシメは、針千本のサボテンにしてやるよ。」
その手には、数えきれないくらいのナイフ。
「俺が勝つトコ、ちゃんと見ててね、檸檬♪んじゃ、バイバイ。」
「ああ!!」
「いかん!」
並盛サイドは緊張する。
ナイフは風をつたって…
ドスドスッ!
ドスドスドスドスドス!!
「あぁ!獄寺君!!!」
「うししし♪サボテン一丁上がりっ♪」
『大丈夫だよ………』
「え?」
隼人に刺さったと思われるナイフ達。
ナイフまみれになった“その物体”は窓を突き破って廊下に…
「あ、あれは………!」
「人体模型!!!」
『隼人…』
ちゃんと見破ったみたいだね♪
ずず…
「ひいっ!動いた!」
「よく見ろ。首に何か絡まってるぞ。」
人体模型が引きずられた先には、隼人が。
「これが、てめーの技の正体だ。」
.「い、糸だ!!」
見破られちゃったベルは、少しだけ不満そう。
だから、あんまり並盛をナメない方がいいってのに。
ベルは勝負の前に肩を叩くと同時に、視認しにくいワイヤーを隼人の肩に付けた。
局部麻酔付きで。
そうすれば、ナイフの突起をワイヤーに引っ掛けて隼人の方に飛ばす事が出来る。
「それでナイフが獄寺君に吸い込まれるように飛んだんだ……!」
「まるでモノレールだな。」
でも、これじゃまだベルの技を攻略した事にはならない。
「頑張ってるけど50点ってトコかな。つかお前、こんなもんで得意になるのもいーけどさぁ、」
ベルが話してる間に、隼人を襲うハリケーンタービンの突風。
「この風じゃ何も出来ないじゃん。なぁ、どーする?」
いつものように笑顔を見せるベル。
逆に隼人は真剣な顔つきで、
ボムを取り出した。
「ぼ、ボム!?でも……」
「それ、当たんないから。」
余裕な笑みを見せるベルの言葉に対し、シャマルさんが呟いた。
「当たんねーボム当たるようにする為に、ナンパ返上で付き合ったんだぜ?かつて天才の名を欲しいままにした、この俺がな。」
「え…?」
さぁ、隼人。
隼人が作ったその新技、
あたし達に見せてよ。
半端な覚悟じゃ決して生まれない、
見る者を魅了する新技を。
『(お披露目タイムだよっ、隼人♪)』
.ボムの導火線に火が灯される。
「果てろ!!!」
風の壁の中に、
何の躊躇いもなくボムを投げる。
「ダメです!また風の壁にぶつかる!」
「そんな!」
不安を隠せないツナ達とは対照的に、ベルはまだ余裕の表情。
「頭悪くて口あんぐり。」
でも…
「(行け!!!)」
みんな、忘れてない?
このボムは、
隼人が頭を絞って考えた新しいボムだよ?
ドンッ、
『ワォ♪』
「あれは!!」
ボムの一部が小さい爆発を起こした。
それはすなわち…
ボムの動きが早くなるって事。
ドシュウウウ、
まるで、
ベルのナイフのように、
ボムは真直ぐ進んで行く。
ベルの元へ。
「俺が下手うって、10代目に恥をかかすワケにはいかねーんだよ。」
決まる……
すっかり油断してたベルは、
きっと避けられない。
始まるよ、
ベルのワルツが。
ドガガガッ!!
「す、すごい!今のは…」
「まさか……新技!?」
驚きを隠せないツナとバジルに、シャマルさんは得意気に言う。
「ロケットボム………こいつこそが、6日間で奴が掴んだ技だ。」
「方向転換するボムか。」
『(なるほどね。)』
予め仕込んだ推進用の火薬が噴射して、決めた方向に2度変化する。
ボムには導火時間と山なりの軌道っていう欠点がある。
それが隼人のスピードの無さを生み出していた。
だから、ボムの機動力を上げたんだ。
「狙いが手動(マニュアル)なだけにテクニックを要するが、2度曲がれば戦略は一気に広がる。」
シャマルさんの目が光る。
「何より、あいつが生き残る為に習得したんだ。」
かつて、あたしが他人のリズムを掴んだように。
自分のリズムを磨いたように。
だから…
「『そういう技は、しぶとく決まる。』」
ただ1つ、心配なのは……
これから始まるワルツ。
煙の中からは、未だ何も見えて来ない。
「やったのか?」
「直撃しましたから、大ダメージには違いありません。」
『(ベル………どうか、無理しないで……。)』
「ベルの奴、無傷ではあるまい。」
「その通り………あれが始まるね。」
「おぞましーぜぇ。」
ヴァリアーのみんなも息を飲む展開。
勿論、あたしも。
スパパッ、
ズズズ…
ズン、
煙が上がった近くの壁が、凄い早業で切断された。
そして、薄れていく黒い煙の中に、
ゆらりと浮かぶ1つの影。
隼人は警戒心を高める。
「うししししし!!あぁあ"~~っ!」
『(はじ…まった……)』
頭を両手で抱え込んで、笑い出したベル。
その体からは、血が滴っている。
「流しちゃったよ、王族の血を~~~!!」
「(何だ、こいつ………?)」
疑問符を浮かべる隼人。
ヴァリアーの観戦席では、マーモンがぽつりと呟く。
「自分の血を見てから始まるのさ。プリンス・ザ・リッパーの本領は。」
『ベル……』
今この瞬間から、
ベルのリズムが動き出す。
ゆっくりした歩調から、
テンポの速い、ワルツへと。