日常編
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『ツナーっ!頑張れー!!』
「ちゃんと見回りしてよ。」
京子に、鉢巻に刺繍をしてもらい、どうやら御機嫌らしいツナ。
あたし、雨宮檸檬は風紀の見回りやってます!
上の会話はその間に交わされたもので。
恭弥はちょっと怒り気味なんです。
「さっきからうるさいよ、檸檬」
『ごめんごめん。ねぇ、恭弥はホントに何にも出ないの?』
「さぁ、わかんない」
『何それっ、……あっ』
ツナがビリになった模様。
檸檬は大きなため息をつく。
『棒倒しに備えて体力温存してんのかなぁ』
「そう言えば彼、総大将なんだっけ」
『そうなの!だから今朝、差し入れ作ったんだ!恭弥のお弁当のついでに』
雲雀は一瞬ムッとするが、すぐ元に戻った。
「(あの草食動物に差し入れを作ったのは何だか気に食わないけど、僕のついでなら…まぁ、いっか)」
ピーンポーンパーンポーン…
「障害物競争の出場者は、直ちにトラック前に集合してください」
『あ、行かなくちゃ』
「別に行かなくていいんじゃない?」
『何言ってんの!行くもん。ちゃんと応援してよね♪じゃっ!』
檸檬はパタパタと走り去った。
「……まったく…」
=============
集合場所に辿り着くと、自分が一番最後に来た事が分かった。
『(あちゃ~、遅刻…)』
「こら、雨宮。遅いぞ!」
『すいませーん!!風紀の見回り場所から遠くて…』
「そうですか、すいません」
わぁー、恭弥パワーだっ!
あたしは自分の番が来るまでその場で待機する事になった。
すると、「おーい!檸檬!」と、どこからか呼ぶ声が。
キョロキョロと辺りを見回す。
『あっ!武ー!!』
「頑張れよーっ!」
『うんっ!』
相変わらず爽やかな笑顔に励まされる。
よしっ、頑張ろうっと!
あれ?隣にいるの、隼人じゃん。
またあんなリンゴみたいになって…
『はーやーとっ!』
「あァ!?」
『応援してくれないの?』
そしたら隼人、すごく慌てて
「すっ、すればいいんだろ!?すれば!が、頑張れよ、応援してっから…」
『うん、ありがとっ!』
嬉しくなって、思わず笑みがこぼれる。
そしたら隼人はまたリンゴみたいになる……。面白い…。
あれ?あっちのビアンキ姉さんの隣にいる女の子は誰?
後で紹介してもらおうっと。
そうこうしているうちに、あたしの番が来た。
「位置に付いて……用意……ドン!」
ダッ
まずは一輪車に乗ってレースの半分を走る。
バランス感覚には自信あるんだ。
よって、楽勝!!!♪
あたしは少しだけ周りを引き離した。
このままじゃぶっちぎり一番になれない~!!
(一番になるならぶっちぎり、というのがモットーなので。)
次は、平均台か…
んー、渡るの面倒臭いなぁ。
あっ!別に「歩け」なんて言われてないよね?
上を通ればいいんだよね?
『よーしっ!…………ほっ』
檸檬は平均台に手をつき、そのまま空中に跳ね上がった。
そして、平均台の真ん中に一歩着地し、そこからまた前方に飛び上がる。
「「「檸檬っ!!?何して……!!」」」
ツナ、獄寺、山本は、思わず声を上げた。
くるっ…スタッ!
見事に平均台の上を通過し、向こう側に降り立った。
つまり、手足合わせて、2歩で平均台を渡ったのだ。
運動場は、途端に盛り上がった。
「おおおっ!!!あのコすげー!!!」
「誰だよ!?」
「トップを走るのは1年の転入生、雨宮檸檬!!成績優秀、スポーツ万能、容姿端麗!全てにおいてぶっちぎっております!!」
『(何かいらない事まで言われてる…?)』
だが、檸檬は気にしないままダッシュする。
『イェーイ!!独走ー♪』
ゴール間近となった檸檬に、最後の障害として、一枚の紙が渡された。
『紙??』
「書かれた条件に合う人を連れて来て、一緒にゴールして下さい!!」
『ふーん…』
紙を開くと…
『す、好きな人??』
檸檬が口走った途端、運動場がまた騒がしくなった。
「出た!出ました!今回の障害物競争のメイン!さぁさぁ一体誰を選ぶのでしょうか!?」
『うそぉー、みんな好きなのにー……』
お約束通り「Like」として勘違いした檸檬。
学校中がずっこけた。
『でも、迷ってたら負けちゃう!!仕方ない……ツナ!!』
「えっ!」
赤くなるツナ。
他の生徒は大騒ぎする。
「マジで!?」
「あのダメツナ!!?」
だが、
『リボーン貸して!!』
「へ?」
「今行くぞ」
そう言ってツナの隣から飛び出し、檸檬の肩にちょこんと乗るリボーン。
「誰だ、アレ」
「赤ん坊…?」
そのまま檸檬は独走した。
『イェーイ!!いっちばーん!!』
「偉いぞ、檸檬」
檸檬は持って来た紙とリボーンを、審査員に見せた。
「好きな人…その子??」
期待外れの結果に、少々がっかりする生徒達。
『うんっ!リボーン大好き!!軽いから競争にも丁度いいし』
檸檬はリボーンをぎゅっと抱きしめ、満面の笑みでホッペにキスをした。
御機嫌になるリボーン。
でも、校内は大騒ぎ。
「雨宮って、ショタ!??」っていう男子生徒。
「雨宮さん、みんなに優しい!」っていう女子生徒。
その中で檸檬だけ首をかしげていた。
『何か、うるさいね、リボーン』
「そうだな」
こうして、障害物競争は無事終了した。
『ツーナっ!』
「檸檬!」
『はいっ、リボーンをありがとう』
「別にイイぞ」
「俺のセリフ取るなよ」
リボーンとツナの言い合いも、可愛くて好きだな、と思っていた檸檬は、ふっと思い出した。
『そうだ!ねぇ、ツナ!あの子誰??』
「はひ?」
近くで見ると、随分可愛い。
『もしかしてツナの彼じ…』
「違うから!」
ツナは思いっきり叫んで否定した。
「はひ!ツナさん、そんなに否定しなくても…。ハル、この上なく悲しいです…。あ!私、三浦ハルと言います」
『あたしは雨宮檸檬!宜しくね。ハルって呼んでいい?』
「はい!私も檸檬ちゃんって呼んでいいですか?」
『うん!』
「檸檬ちゃん、さっきはすごかったです!それに、可愛かったです!」
『えっ!?何言ってんの、ハルの方が可愛いよ~』
いきなり褒められて少し驚く檸檬。
「おっ、檸檬!一位おめでとさん」
『あっ!武!隼人!ありがとう!』
「ぶっちゃけさっきは吃驚したけどな」
『?…何の話?』
武と隼人は顔を真っ赤にする。
「「こっちの話だ」」
『あ!あたし、差し入れ持って来たの!食べて!』
ツナ御一行の近くに置いてあった鞄から、冷たくて、少し大きめの箱を取り出した檸檬。
「何?これ」
ツナが聞く。
檸檬は自信たっぷりにこう答えた。
『名付けて、トリプルベリーレアチーズケーキ!!』
「「「おぉ~っ!!」」」
「はひ!すごいです!」
「うまそーだな」
「さすがよ、檸檬」
ツナ達だけでなく、ハルやリボーン、ビアンキもそれを見て驚いた。
「じゃぁ、みんなで食べよう。ところで檸檬はお昼って、ココで食べるの?」
『そうしよっかな…』
「檸檬、」
不意に呼ばれ、ぎょっとする檸檬。
振り向けばそこには、少し不機嫌そうな雲雀が立っていた。
『きょ、恭弥!!』
慌てる檸檬。
他は固まっている。
『こんなトコにいちゃダメじゃん!!みんな死んじゃう!!』
「何それ、どういう意味?」
『そのまんま。人が大勢いて、イライラするでしょ?』
「うん」
『ちょっと待ってて!』
檸檬はツナ達の方に向き直った。
『ごめん、ツナ!あたし、応接室で食べて来るっ。また後で、棒倒しの応援しに行くから』
「う、うん」
ツナは何回も頷いた。
『(面白い)』
「行くよ、檸檬」
『あっ!はーい』
檸檬はすたすた雲雀と行ってしまった。
呆然と見送る一同。
「ほらな、雲雀は檸檬を気に入ってるだろ?」
「うん、そうみたいだね…」
「信じらんねぇ…」
「すげーなぁ、檸檬って!」
その頃、応接室。
『じゃじゃーん!檸檬のスペシャル弁当だよーっ!』
「(自分で、じゃじゃーんって言った…)」
『どーぞ、召し上がって下さい♪』
「うん」
パクパク
モグモグ
パクパク
『ちょ、ちょっと!何か言ってよ!!!』
「おいしいよ」
ストレートに即答され、檸檬は少し赤くなる。
『(うっ…)』
「どうしたの?」
『う、その、ありがとう』
やっぱり恭弥は王子様フェイスでして…何だろ、不意打ちを受けたような感覚……。
のほほんとしている檸檬。
B・C組の総大将が襲われて、それがツナのせいになって、みんなが波瀾のお昼休みを送っているとはつゆ知らず。
「檸檬は?」
『ん?』
「何か、食べないの?」
『あぁ、あたしはいいの!朝ご飯たくさん食べたから』
「ふぅん」
再び無言で食べはじめる雲雀。
それを見ているのも何だか面白くなって来た檸檬は、そのまま何も突っ込まなかった。
コンコン
「誰?」
「草壁です」
「あぁ、入っていいよ」
「失礼します」
リーゼントの草壁が入って来た。
『(うわぁ、やっぱ怖いなぁ……見回り、恭弥とで良かったぁ…)』
「どしたの?」
「棒倒しの事で……」
草壁は説明し始めた。
『えぇ~っ!!?それ、A組に超不利じゃん!!!』
ツナが、ツナが殺されちゃう!!(←大袈裟)
乱闘もあり、檸檬が出るはずだったリレーは中止になったらしい。
青ざめる檸檬を見て、雲雀は少しムッとした。
「僕、棒倒しに出る事にした」
『えっ!!?』
「総大将の事でもめると思うから、間を取って僕がなる」
『えーっ!!だ、ダメ!』
「何で?」
雲雀に聞き返され、少し俯く檸檬。
『だ、だって、恭弥が相手じゃ…ツナが…』
「僕は彼と一緒にいる赤ん坊に会いたいんだ」
『そんなっ!リボーンにだったらあたしが会わせてあげるから!ツナを虐めるのはやめて!!』
それを聞いて、ますますムッとする雲雀。
「僕も1種目ぐらい出なくちゃね」
『どーしてこんな時ばっか体育祭に燃えてんのよっ!!』
「別にいいでしょ」
『良くないっ!もーっ!!恭弥のバカぁー!!!!』
檸檬は応接室を飛び出した。
「いいんですか?委員長」
「五月蝿い」
仕方ないよ、檸檬がみんなに愛想振りまくんだから。
だから、檸檬は僕のだって、彼らに教えてあげなくちゃ。
応接室を出て、ゆっくりと歩き始めた。
---
------
その頃、ツナの所に着いた檸檬。
『ツナ!あのね、あっちの総大将、恭弥になるかも。ってか、確実に恭弥になる、と思う』
「えーっ!!もう確実に死ぬ状況じゃん、これ……」
落ち込むツナの手を握る檸檬。
『あたし、ツナが危なくなったら、ちゃんと助けるから!あたしがツナを守るから』
ツナは思わず赤面した。
「あ、ありがと檸檬…」
『頑張って』
ついに、棒倒しが始まった。
向こうの大将はやっぱり恭弥で。
それでも、初めは大丈夫そうだった。
けど……了平さんと隼人、武の騎馬にツナが乗り、恭弥に向かっていく途中、了平さんと隼人が喧嘩。
ツナは、地面に落ちて、負けてしまった。
(せっかく死ぬ気弾も撃ってもらってたのに。)
ツナの周りに人が集まる。
「敗軍の大将が、ただで帰れると思うなよ」
「ひーっ!!!」
『大変っ!』
あたしは相手側の総大将の場所を見た。
恭弥はもういない。
簡単に勝ってしまったので、帰ったのだろう。
『ツナっ!』
あたしはツナに駆け寄った。
---
------
みんなが我に帰ってふと見ると、ボコっていたはずのA組総大将がいない事に気が付いた。
「あれ??」
「ボコリ相手がいねぇ」
それでもまだ、乱闘は続いていた。
----
--------
「ハァ…ハァ……」
『ツナ、大丈夫?』
「な、何とか……ありがとう、檸檬」
体育倉庫の裏に隠れている檸檬とツナ。
『ううん、いいの。ツナを護るのはあたしの意志だもん。それ以前に、あたしが自分で護りたいって思ってるし』
「檸檬……」
檸檬は鞄の中からパーカーを取り出した。
『これ着て、フードかぶって。ツナ、髪型が目立つから』
「う、うん。檸檬、ホントにありがとう」
『はぁ~、何か疲れちゃった。あたしはもう帰るけど、ツナどうする?』
「じゃぁ俺も、帰ろっかな…」
こうして、2人仲良く帰りましたとさ。
「ちゃんと見回りしてよ。」
京子に、鉢巻に刺繍をしてもらい、どうやら御機嫌らしいツナ。
あたし、雨宮檸檬は風紀の見回りやってます!
上の会話はその間に交わされたもので。
恭弥はちょっと怒り気味なんです。
「さっきからうるさいよ、檸檬」
『ごめんごめん。ねぇ、恭弥はホントに何にも出ないの?』
「さぁ、わかんない」
『何それっ、……あっ』
ツナがビリになった模様。
檸檬は大きなため息をつく。
『棒倒しに備えて体力温存してんのかなぁ』
「そう言えば彼、総大将なんだっけ」
『そうなの!だから今朝、差し入れ作ったんだ!恭弥のお弁当のついでに』
雲雀は一瞬ムッとするが、すぐ元に戻った。
「(あの草食動物に差し入れを作ったのは何だか気に食わないけど、僕のついでなら…まぁ、いっか)」
ピーンポーンパーンポーン…
「障害物競争の出場者は、直ちにトラック前に集合してください」
『あ、行かなくちゃ』
「別に行かなくていいんじゃない?」
『何言ってんの!行くもん。ちゃんと応援してよね♪じゃっ!』
檸檬はパタパタと走り去った。
「……まったく…」
=============
集合場所に辿り着くと、自分が一番最後に来た事が分かった。
『(あちゃ~、遅刻…)』
「こら、雨宮。遅いぞ!」
『すいませーん!!風紀の見回り場所から遠くて…』
「そうですか、すいません」
わぁー、恭弥パワーだっ!
あたしは自分の番が来るまでその場で待機する事になった。
すると、「おーい!檸檬!」と、どこからか呼ぶ声が。
キョロキョロと辺りを見回す。
『あっ!武ー!!』
「頑張れよーっ!」
『うんっ!』
相変わらず爽やかな笑顔に励まされる。
よしっ、頑張ろうっと!
あれ?隣にいるの、隼人じゃん。
またあんなリンゴみたいになって…
『はーやーとっ!』
「あァ!?」
『応援してくれないの?』
そしたら隼人、すごく慌てて
「すっ、すればいいんだろ!?すれば!が、頑張れよ、応援してっから…」
『うん、ありがとっ!』
嬉しくなって、思わず笑みがこぼれる。
そしたら隼人はまたリンゴみたいになる……。面白い…。
あれ?あっちのビアンキ姉さんの隣にいる女の子は誰?
後で紹介してもらおうっと。
そうこうしているうちに、あたしの番が来た。
「位置に付いて……用意……ドン!」
ダッ
まずは一輪車に乗ってレースの半分を走る。
バランス感覚には自信あるんだ。
よって、楽勝!!!♪
あたしは少しだけ周りを引き離した。
このままじゃぶっちぎり一番になれない~!!
(一番になるならぶっちぎり、というのがモットーなので。)
次は、平均台か…
んー、渡るの面倒臭いなぁ。
あっ!別に「歩け」なんて言われてないよね?
上を通ればいいんだよね?
『よーしっ!…………ほっ』
檸檬は平均台に手をつき、そのまま空中に跳ね上がった。
そして、平均台の真ん中に一歩着地し、そこからまた前方に飛び上がる。
「「「檸檬っ!!?何して……!!」」」
ツナ、獄寺、山本は、思わず声を上げた。
くるっ…スタッ!
見事に平均台の上を通過し、向こう側に降り立った。
つまり、手足合わせて、2歩で平均台を渡ったのだ。
運動場は、途端に盛り上がった。
「おおおっ!!!あのコすげー!!!」
「誰だよ!?」
「トップを走るのは1年の転入生、雨宮檸檬!!成績優秀、スポーツ万能、容姿端麗!全てにおいてぶっちぎっております!!」
『(何かいらない事まで言われてる…?)』
だが、檸檬は気にしないままダッシュする。
『イェーイ!!独走ー♪』
ゴール間近となった檸檬に、最後の障害として、一枚の紙が渡された。
『紙??』
「書かれた条件に合う人を連れて来て、一緒にゴールして下さい!!」
『ふーん…』
紙を開くと…
『す、好きな人??』
檸檬が口走った途端、運動場がまた騒がしくなった。
「出た!出ました!今回の障害物競争のメイン!さぁさぁ一体誰を選ぶのでしょうか!?」
『うそぉー、みんな好きなのにー……』
お約束通り「Like」として勘違いした檸檬。
学校中がずっこけた。
『でも、迷ってたら負けちゃう!!仕方ない……ツナ!!』
「えっ!」
赤くなるツナ。
他の生徒は大騒ぎする。
「マジで!?」
「あのダメツナ!!?」
だが、
『リボーン貸して!!』
「へ?」
「今行くぞ」
そう言ってツナの隣から飛び出し、檸檬の肩にちょこんと乗るリボーン。
「誰だ、アレ」
「赤ん坊…?」
そのまま檸檬は独走した。
『イェーイ!!いっちばーん!!』
「偉いぞ、檸檬」
檸檬は持って来た紙とリボーンを、審査員に見せた。
「好きな人…その子??」
期待外れの結果に、少々がっかりする生徒達。
『うんっ!リボーン大好き!!軽いから競争にも丁度いいし』
檸檬はリボーンをぎゅっと抱きしめ、満面の笑みでホッペにキスをした。
御機嫌になるリボーン。
でも、校内は大騒ぎ。
「雨宮って、ショタ!??」っていう男子生徒。
「雨宮さん、みんなに優しい!」っていう女子生徒。
その中で檸檬だけ首をかしげていた。
『何か、うるさいね、リボーン』
「そうだな」
こうして、障害物競争は無事終了した。
『ツーナっ!』
「檸檬!」
『はいっ、リボーンをありがとう』
「別にイイぞ」
「俺のセリフ取るなよ」
リボーンとツナの言い合いも、可愛くて好きだな、と思っていた檸檬は、ふっと思い出した。
『そうだ!ねぇ、ツナ!あの子誰??』
「はひ?」
近くで見ると、随分可愛い。
『もしかしてツナの彼じ…』
「違うから!」
ツナは思いっきり叫んで否定した。
「はひ!ツナさん、そんなに否定しなくても…。ハル、この上なく悲しいです…。あ!私、三浦ハルと言います」
『あたしは雨宮檸檬!宜しくね。ハルって呼んでいい?』
「はい!私も檸檬ちゃんって呼んでいいですか?」
『うん!』
「檸檬ちゃん、さっきはすごかったです!それに、可愛かったです!」
『えっ!?何言ってんの、ハルの方が可愛いよ~』
いきなり褒められて少し驚く檸檬。
「おっ、檸檬!一位おめでとさん」
『あっ!武!隼人!ありがとう!』
「ぶっちゃけさっきは吃驚したけどな」
『?…何の話?』
武と隼人は顔を真っ赤にする。
「「こっちの話だ」」
『あ!あたし、差し入れ持って来たの!食べて!』
ツナ御一行の近くに置いてあった鞄から、冷たくて、少し大きめの箱を取り出した檸檬。
「何?これ」
ツナが聞く。
檸檬は自信たっぷりにこう答えた。
『名付けて、トリプルベリーレアチーズケーキ!!』
「「「おぉ~っ!!」」」
「はひ!すごいです!」
「うまそーだな」
「さすがよ、檸檬」
ツナ達だけでなく、ハルやリボーン、ビアンキもそれを見て驚いた。
「じゃぁ、みんなで食べよう。ところで檸檬はお昼って、ココで食べるの?」
『そうしよっかな…』
「檸檬、」
不意に呼ばれ、ぎょっとする檸檬。
振り向けばそこには、少し不機嫌そうな雲雀が立っていた。
『きょ、恭弥!!』
慌てる檸檬。
他は固まっている。
『こんなトコにいちゃダメじゃん!!みんな死んじゃう!!』
「何それ、どういう意味?」
『そのまんま。人が大勢いて、イライラするでしょ?』
「うん」
『ちょっと待ってて!』
檸檬はツナ達の方に向き直った。
『ごめん、ツナ!あたし、応接室で食べて来るっ。また後で、棒倒しの応援しに行くから』
「う、うん」
ツナは何回も頷いた。
『(面白い)』
「行くよ、檸檬」
『あっ!はーい』
檸檬はすたすた雲雀と行ってしまった。
呆然と見送る一同。
「ほらな、雲雀は檸檬を気に入ってるだろ?」
「うん、そうみたいだね…」
「信じらんねぇ…」
「すげーなぁ、檸檬って!」
その頃、応接室。
『じゃじゃーん!檸檬のスペシャル弁当だよーっ!』
「(自分で、じゃじゃーんって言った…)」
『どーぞ、召し上がって下さい♪』
「うん」
パクパク
モグモグ
パクパク
『ちょ、ちょっと!何か言ってよ!!!』
「おいしいよ」
ストレートに即答され、檸檬は少し赤くなる。
『(うっ…)』
「どうしたの?」
『う、その、ありがとう』
やっぱり恭弥は王子様フェイスでして…何だろ、不意打ちを受けたような感覚……。
のほほんとしている檸檬。
B・C組の総大将が襲われて、それがツナのせいになって、みんなが波瀾のお昼休みを送っているとはつゆ知らず。
「檸檬は?」
『ん?』
「何か、食べないの?」
『あぁ、あたしはいいの!朝ご飯たくさん食べたから』
「ふぅん」
再び無言で食べはじめる雲雀。
それを見ているのも何だか面白くなって来た檸檬は、そのまま何も突っ込まなかった。
コンコン
「誰?」
「草壁です」
「あぁ、入っていいよ」
「失礼します」
リーゼントの草壁が入って来た。
『(うわぁ、やっぱ怖いなぁ……見回り、恭弥とで良かったぁ…)』
「どしたの?」
「棒倒しの事で……」
草壁は説明し始めた。
『えぇ~っ!!?それ、A組に超不利じゃん!!!』
ツナが、ツナが殺されちゃう!!(←大袈裟)
乱闘もあり、檸檬が出るはずだったリレーは中止になったらしい。
青ざめる檸檬を見て、雲雀は少しムッとした。
「僕、棒倒しに出る事にした」
『えっ!!?』
「総大将の事でもめると思うから、間を取って僕がなる」
『えーっ!!だ、ダメ!』
「何で?」
雲雀に聞き返され、少し俯く檸檬。
『だ、だって、恭弥が相手じゃ…ツナが…』
「僕は彼と一緒にいる赤ん坊に会いたいんだ」
『そんなっ!リボーンにだったらあたしが会わせてあげるから!ツナを虐めるのはやめて!!』
それを聞いて、ますますムッとする雲雀。
「僕も1種目ぐらい出なくちゃね」
『どーしてこんな時ばっか体育祭に燃えてんのよっ!!』
「別にいいでしょ」
『良くないっ!もーっ!!恭弥のバカぁー!!!!』
檸檬は応接室を飛び出した。
「いいんですか?委員長」
「五月蝿い」
仕方ないよ、檸檬がみんなに愛想振りまくんだから。
だから、檸檬は僕のだって、彼らに教えてあげなくちゃ。
応接室を出て、ゆっくりと歩き始めた。
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その頃、ツナの所に着いた檸檬。
『ツナ!あのね、あっちの総大将、恭弥になるかも。ってか、確実に恭弥になる、と思う』
「えーっ!!もう確実に死ぬ状況じゃん、これ……」
落ち込むツナの手を握る檸檬。
『あたし、ツナが危なくなったら、ちゃんと助けるから!あたしがツナを守るから』
ツナは思わず赤面した。
「あ、ありがと檸檬…」
『頑張って』
ついに、棒倒しが始まった。
向こうの大将はやっぱり恭弥で。
それでも、初めは大丈夫そうだった。
けど……了平さんと隼人、武の騎馬にツナが乗り、恭弥に向かっていく途中、了平さんと隼人が喧嘩。
ツナは、地面に落ちて、負けてしまった。
(せっかく死ぬ気弾も撃ってもらってたのに。)
ツナの周りに人が集まる。
「敗軍の大将が、ただで帰れると思うなよ」
「ひーっ!!!」
『大変っ!』
あたしは相手側の総大将の場所を見た。
恭弥はもういない。
簡単に勝ってしまったので、帰ったのだろう。
『ツナっ!』
あたしはツナに駆け寄った。
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みんなが我に帰ってふと見ると、ボコっていたはずのA組総大将がいない事に気が付いた。
「あれ??」
「ボコリ相手がいねぇ」
それでもまだ、乱闘は続いていた。
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「ハァ…ハァ……」
『ツナ、大丈夫?』
「な、何とか……ありがとう、檸檬」
体育倉庫の裏に隠れている檸檬とツナ。
『ううん、いいの。ツナを護るのはあたしの意志だもん。それ以前に、あたしが自分で護りたいって思ってるし』
「檸檬……」
檸檬は鞄の中からパーカーを取り出した。
『これ着て、フードかぶって。ツナ、髪型が目立つから』
「う、うん。檸檬、ホントにありがとう」
『はぁ~、何か疲れちゃった。あたしはもう帰るけど、ツナどうする?』
「じゃぁ俺も、帰ろっかな…」
こうして、2人仲良く帰りましたとさ。