ヴァリアー編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
イタリアから、
日本の宿舎に着いたヴァリアー。
「揃いました、ザンザス様。」
「晴、雨、嵐、雷、霧、雲、ハーフボンゴレリングを持つ、6人の守護者が。」
「うるせぇよ。」
ザンザスは、睨みながら言う。
「まだ…………揃ってねぇ……。」
ヴァリアーの足音
「6分経過。」
『すごいじゃん、ツナ。』
ツナとバジルのバトルは続く。
太い木の枝をツナが投げ、それを避けるバジル。
次の瞬間、ツナはバジルに攻め寄り手刀を入れようとする。
バジルはそれを防ぐが、予想より小さい威力に一瞬驚く。
すると、ツナが急に向きを変えて、ケリを入れて来た。
その瞬間、額の死ぬ気の炎が少し強くなった。
バジルはかろうじてそれを防ぐ。
「(あ…危なかった………)」
それを見た家光さんが、感心したように言う。
「ほーお、死ぬ気の炎にも強弱が付いて来たな。」
「死ぬ気タイムも伸びてるぞ。気力のコントロールを少しずつモノにしてきてるな。」
『まだ5日目なのに、すごいねっ!!』
するとバジルが、
「次は拙者の番です。本気で行きます!」
と。
その途端、バジルの額の炎が大きくなった。
---
------
------------
「次!!七の型・紫吹き雨」
道場にて。
山本とその父は、時雨蒼燕流の稽古をしていた。
「次!!八の型・篠突く雨」
父の掛け声と共に山本の刀が動き、周りの木が切られていく。
その様子を見た山本の父は言った。
「終わりだ。教える事は何もねぇ。」
「待てよオヤジ!たったの一回型を見て、真似ただけだぜ?」
息子の言葉に、父は振り向かずに応える。
「師から弟子への伝承は一度きり………これが時雨蒼燕流の掟だ。」
「ま、マジかよ………もし間違って覚えてたら……」
「武、おめーにこの剣をモノにしたい真剣さと気迫があるなら、忘れちゃいないはずだ。」
父の言葉に、納得する山本。
「それもそーだな。んじゃ、俺なりにやらせてもらうぜ。」
「おうよ。八つの型の中に時雨蒼燕流の奥義の全てがある。弛まぬ鍛練があれば、必ず答えてくれるはずだぜ。」
「あぁ……」
と、ここで、ふと考える山本。
「そーいや、俺が何で剣道やりてーか知ってたっけ?」
「ハン!んな野暮なこたぁ聞かねぇよ。まぁがんばんな。」
「オヤジ………」
父の静かな声援に、山本は拳を握り直した。
「ありがとうございました!!」
「おうよ!そんじゃ、先に帰るぜ。今日の夕飯はチラシだからな!」
「お!楽しみにしてるぜ♪」
師と弟子だった2人は、既に親子に戻っていった。
交わされる会話は、いつもと変わらぬモノ。
その様子をドアの外から見ていた家光。
「あとは山本の鍛練次第……ここもまずは安心だな。」
---
------
------------
同じ頃。
森の中に、紙飛行機が飛ぶ。
そこに、ダイナマイトが1つ投げられる。
ドガンッ、
爆風で一瞬見えなくなるも、飛行機は飛び続ける。
それを見て、草むらに寝転がっているシャマルが一言。
「またハッズレ~。」
「くっそー!!何で当たんねーっ!!!」
イライラしながらダイナマイトを持つ獄寺。
「お前がエレガントじゃないからだぜぇ。」
「もっさいお前に言われたかねーよ!!」
シャマルに怒鳴りながら、獄寺は思う。
「(ちっくしょ~~~!シャマルの奴、何も教えてくんねーし!!これじゃ1人でトレーニングしてんのと同じじゃねーか!)」
と、その時。
「おーい、隼人~~。ヒントやろーか?」
「え!ヒント?」
思わず食い付く獄寺。しかし…
「ナンパだ。ナンパと一緒なんだ。」
「………………は?」
予想外過ぎる言葉に、疑問符を浮かべる獄寺。
「わっかんねー奴だな。じゃあ、この紙飛行機は檸檬ちゃん。ダイナマイトはお前だ。さぁ、どうやって口説き落とす?」
「なっ…!別に俺は檸檬の事口説かねーよ!!」
顔を真っ赤にして獄寺は反論する。
「(そこに反論すんのかよ…)」
シャマルが呆れていると、
「大体!檸檬は紙飛行機みてーにヘニャへニャ飛ばねぇんだよ!アイツは…っ!」
何かを思い出すように空を見上げる獄寺。
「アイツは、まるで空中に見えない壁があるみてーに飛びながら動くんだよ…。」
俺なんか…
追い付けねぇくらいに、
速く…
高く……
---『隼人ーっ!』
綺麗に。
「とっ、とにかく!ナンパとボムは関係ねーだろ!何ぬかしてんだ、スケコマシ!!」
「やーれやれ、これだからガキは……こりゃまだまだ掛かるな。」
シャマルはため息をつく。
「続けるぞ、飛行機折れ。」
「くっそーっ!」
獄寺の叫びが辺りに少し響いた。
---
-------
--------------
その頃。
「まだまだ行きますよ!」
ボロボロのツナに、バジルは言った。
それを見て、リボーンと家光が口々に言う。
「本気のバジルには適わねーな。」
「次で決まるかな…?」
と、その時。
ピロリロリ…
『え?』
檸檬の携帯が鳴る。
ポケットから携帯を取り出した檸檬は、目を見開いた。
「檸檬………?」
『ちょっと、抜けるね!』
そう言った次の瞬間、檸檬は俊足で遠くに行ってしまった。
それを見て、首をかしげる家光。
「どうしたんだ?檸檬の奴。」
「多分…ヴァリアーからメールが来たんだな。」
「何!?」
「お、決まるぞ。」
バジルのパンチが、ツナの頬にぐっと入った。
「いや、まだだ。」
倒れそうになったツナは、両足でバジルの腰元を捕らえる。
「うお"お"お"!!」
そのまま腹筋を使って起き上がり、バジルに頭突きを食らわせた。
2人は一緒にドサッと倒れた。
「見たか、友よ………」
「あぁ。」
「ツナの奴、殴られた瞬間に死ぬ気をコントロールして防御力を高め、ダメージを軽減しやがった。まだそんな事教えてねーんだろ?」
「ああ、本能的にやってのけやがったな。ま、これで第2段階は完了だぞ。」
「我が子ながらやるじゃねーか。」
家光は満足そうに顎を撫でた。
---
------
-----------
『ここまで来ればいいかな……?』
檸檬はパカッと携帯を開く。
To 檸檬
From ベル
件名 うししし♪
着いたよー!日本!!
今、日本の宿泊先にいるんだ♪
何か御馳走がすっげー美味しいの♪
檸檬にも食わせてあげたいなー。
そうそう、俺ね、嵐の守護者になっちゃった♪
でもなんかボスが、
「まだ揃ってねぇ」
みたいな事言ってたよ。
多分それ、檸檬がいないからだよ。
守護者は埋まっちゃったけど、檸檬にも居て欲しいんだよ、ボスは。
勿論、俺もだけどね♪
あ、檸檬~っ、返事ちょーだいっ!
待ってるからさ♪
んじゃね。
『ベル………』
お返事なんて…どうすればいいのよ。
今のあたしに打てるの?返事が。
でも、あたしも早く皆に会いたいのも事実。
ぐっと覚悟を決めた。
To ベル
From 檸檬
件名 久しぶり。
こないだは返信しなくてごめんね。
急に来たから吃驚しちゃって。
あたしも、皆と会えるの楽しみにしてるよ♪
本入隊したいのも変わらない。
だけど、日本も好きなの。
もうちょっとだけ、いちゃダメ?
って、ベルに聞いてもしょうがないよね。
ごめんね。
皆がどんな風に変わってるのか、それとも変わってないのか、見るのがすっごく楽しみ♪♪
ホントに楽しみ♪
もう日本に着いたんだよね。
あたしも御馳走食べたかったなー。
今度奢って♪
(なんちゃって。)
これ以上書いたら長くなりそうだから、もう終わるね。
じゃぁ、バイバイ♪
『これでいいかなぁ?』
何度も何度も読み返してから、送信ボタンを押した。
.---
------
-----------
「いつつ…」
「気付いたな。」
バジルと一緒に倒れたツナは、暫くして目を覚ました。
「あれ?父さんいなかった?」
「さーな。」
「じゃぁ、檸檬は…?」
「どっか行ったぞ。」
「どっかって………」
ツナが頭をひねらせていると、バジルが言った。
「参りました。流石沢田殿です。すごい一撃でした。」
「え?お、俺が…?」
「って事で、いよいよ修業第3段階に行くぞ。」
「ちょっと待てよ!もうたくさんだよ!帰りたいよ!!」
それに…
昨日檸檬と話そうと思ったのに、何だか記憶ないし……
と、そこに。
『ツナーっ!バジルーっ!リボーンっ!!』
「「檸檬(殿)!!」」
「来たか、檸檬。」
檸檬はキュキュキュッと音を立て、3人の前で止まった。
摩擦熱のせいで、地面が黒く焦げている。
『どうなった?ツナ、勝った?』
「引き分けってトコだな。」
「いえ、拙者の負けですよ。沢田殿も気力のコントロールを身に付けましたし!」
『そうなの!?やったね、ツナ♪』
にっこり笑う檸檬に赤面しながら、ツナは
「ありがとう。」
と言った。
すると不意に、
ぐるるるる…
と音がした。
「夕飯に帰るぞ。」
「おいっ!」
『わーいっ!』
「ちなみに、バジルの親方様も飯に来るからな。」
そう言ってリボーンはニッと笑った。
帰り道。
『ツナ、』
「ん?何?檸檬。」
『昨日…待っててくれてありがとう。』
檸檬の言葉で、昨日の夜の事を思い出したツナ。
「(そうだった!俺、檸檬を待ってたのに、寝ちゃったんだ!!)」
『ツナが起きててくれて、嬉しかったよ♪でも、疲れてるんだから、ちゃんと寝なくちゃダメだよ。』
「檸檬!あのさ、最近……元気ないなぁって思って…。」
『え…?』
ツナは、恥ずかしそうに視線を落としていた。
『……………超直感?』
「へ?」
『んーん、何でもないっ!』
首を振る檸檬を見て、ツナは疑問符を浮かべ、バジルは少しだけ眉を下げた。
「(檸檬殿…)」
『元気ないワケじゃないよ。ツナ達が修業で怪我するから、心配なだけ。』
「そ、そっか………ありがとう、檸檬。」
檸檬が無理矢理作った笑顔に気が付かないまま、ツナは微笑み返した。
---
------
------------
「ねーぇー、スクアーロー。」
「何だぁ!?」
ヴァリアーの宿泊先の1室にて。
金髪にティアラを乗せた王子が、銀髪の剣士に聞く。
「檸檬に会ったんだよね?」
「それがどうしたぁ。」
「変わってた?」
その問いに、少しだけ詰まるスクアーロ。
「………戦闘能力は上がったと思うぜぇ。」
「そーじゃなくてぇ、」
「可愛くなったかを聞いてるのよねぇ?ベルちゃんは。」
そこに現れたのは、サングラスをかけた体格のいい人物。
彼の言葉に、スクアーロは少し赤くなる。
「なっ、何言ってんだぁ!///」
「あ、何でちょっと赤くなってんの?うざ。」
「う、うるせぇ!!」
「まぁまぁ、2人とも。でも、可愛くなってたのよね?檸檬は。」
満足そうに笑うサングラスの人物。
自分の頭の上からティアラを取って、くるくる回す金髪の人物。
「あーあ、檸檬に会えるんだったら、俺も行けば良かった~っ。」
「ベルちゃん、我が儘言わないの。」
「うるせぇよ、ルッスーリア。王子は姫に会いたいのーっ。」
子供のように言うベルに、ルッスーリアは苦笑いをした。
「そー言えば、マーモンとレヴィがいなくね?」
「一足先に、リング奪還に行ったのよ。何たって“あの”レヴィだもの。」
「バカな奴だぜぇ。」
スクアーロは鼻で笑い飛ばした。
---
------
-----------
夜の並盛。
「この街に………ハーフボンゴレリングが………」
「スクアーロが嘘をついていなければ、間違いないね。」
ビルの上。
顔にピアスをした男と、深くフードをかぶった小さい赤ん坊が会話をする。
「マーモン、念写を頼めるか?」
「非常事態だもの、仕方ないね。つけにしておいてあげるよ、レヴィ・ア・タン。」
赤ん坊の方が、何処からか紙を取り出す。
「レヴィ、君のリングは確か………」
「雷だ。」
「うむ。じゃぁもう片方の雷のリングを探せばいいワケだ。」
言い終わると、マーモンはすうっと息を吸い込んだ。
「行くよ。」
粘写!!!
ズビーッと鼻をかむマーモン。
だが、その紙には地図のようなモノが表れていた。
「いつ見ても汚いな……」
「ム、近いよ。南に205メートル、西に801メートルの地点だ。」
マーモンの言葉を聞き、レヴィはそちらを向いてみる。
「これより、ヴァリアー・レヴィ雷撃隊、雷のリングの奪還に向かう。」
レヴィがそう言うと、3人の男が側に立つ。
「リングの所持者及び邪魔する奴は………………消せ。」
その言葉と同時に、黒い服に身を包んだ4人が、夜の闇の中に飛び発った。
『え……?』
沢田家に向かう途中、檸檬がふと空を見上げる。
「どしたの?檸檬。」
『ううん、何でもない。』
気配がした。
何となくだけど、
もう、動き始めたんだって、
そう、思った………。
日本の宿舎に着いたヴァリアー。
「揃いました、ザンザス様。」
「晴、雨、嵐、雷、霧、雲、ハーフボンゴレリングを持つ、6人の守護者が。」
「うるせぇよ。」
ザンザスは、睨みながら言う。
「まだ…………揃ってねぇ……。」
ヴァリアーの足音
「6分経過。」
『すごいじゃん、ツナ。』
ツナとバジルのバトルは続く。
太い木の枝をツナが投げ、それを避けるバジル。
次の瞬間、ツナはバジルに攻め寄り手刀を入れようとする。
バジルはそれを防ぐが、予想より小さい威力に一瞬驚く。
すると、ツナが急に向きを変えて、ケリを入れて来た。
その瞬間、額の死ぬ気の炎が少し強くなった。
バジルはかろうじてそれを防ぐ。
「(あ…危なかった………)」
それを見た家光さんが、感心したように言う。
「ほーお、死ぬ気の炎にも強弱が付いて来たな。」
「死ぬ気タイムも伸びてるぞ。気力のコントロールを少しずつモノにしてきてるな。」
『まだ5日目なのに、すごいねっ!!』
するとバジルが、
「次は拙者の番です。本気で行きます!」
と。
その途端、バジルの額の炎が大きくなった。
---
------
------------
「次!!七の型・紫吹き雨」
道場にて。
山本とその父は、時雨蒼燕流の稽古をしていた。
「次!!八の型・篠突く雨」
父の掛け声と共に山本の刀が動き、周りの木が切られていく。
その様子を見た山本の父は言った。
「終わりだ。教える事は何もねぇ。」
「待てよオヤジ!たったの一回型を見て、真似ただけだぜ?」
息子の言葉に、父は振り向かずに応える。
「師から弟子への伝承は一度きり………これが時雨蒼燕流の掟だ。」
「ま、マジかよ………もし間違って覚えてたら……」
「武、おめーにこの剣をモノにしたい真剣さと気迫があるなら、忘れちゃいないはずだ。」
父の言葉に、納得する山本。
「それもそーだな。んじゃ、俺なりにやらせてもらうぜ。」
「おうよ。八つの型の中に時雨蒼燕流の奥義の全てがある。弛まぬ鍛練があれば、必ず答えてくれるはずだぜ。」
「あぁ……」
と、ここで、ふと考える山本。
「そーいや、俺が何で剣道やりてーか知ってたっけ?」
「ハン!んな野暮なこたぁ聞かねぇよ。まぁがんばんな。」
「オヤジ………」
父の静かな声援に、山本は拳を握り直した。
「ありがとうございました!!」
「おうよ!そんじゃ、先に帰るぜ。今日の夕飯はチラシだからな!」
「お!楽しみにしてるぜ♪」
師と弟子だった2人は、既に親子に戻っていった。
交わされる会話は、いつもと変わらぬモノ。
その様子をドアの外から見ていた家光。
「あとは山本の鍛練次第……ここもまずは安心だな。」
---
------
------------
同じ頃。
森の中に、紙飛行機が飛ぶ。
そこに、ダイナマイトが1つ投げられる。
ドガンッ、
爆風で一瞬見えなくなるも、飛行機は飛び続ける。
それを見て、草むらに寝転がっているシャマルが一言。
「またハッズレ~。」
「くっそー!!何で当たんねーっ!!!」
イライラしながらダイナマイトを持つ獄寺。
「お前がエレガントじゃないからだぜぇ。」
「もっさいお前に言われたかねーよ!!」
シャマルに怒鳴りながら、獄寺は思う。
「(ちっくしょ~~~!シャマルの奴、何も教えてくんねーし!!これじゃ1人でトレーニングしてんのと同じじゃねーか!)」
と、その時。
「おーい、隼人~~。ヒントやろーか?」
「え!ヒント?」
思わず食い付く獄寺。しかし…
「ナンパだ。ナンパと一緒なんだ。」
「………………は?」
予想外過ぎる言葉に、疑問符を浮かべる獄寺。
「わっかんねー奴だな。じゃあ、この紙飛行機は檸檬ちゃん。ダイナマイトはお前だ。さぁ、どうやって口説き落とす?」
「なっ…!別に俺は檸檬の事口説かねーよ!!」
顔を真っ赤にして獄寺は反論する。
「(そこに反論すんのかよ…)」
シャマルが呆れていると、
「大体!檸檬は紙飛行機みてーにヘニャへニャ飛ばねぇんだよ!アイツは…っ!」
何かを思い出すように空を見上げる獄寺。
「アイツは、まるで空中に見えない壁があるみてーに飛びながら動くんだよ…。」
俺なんか…
追い付けねぇくらいに、
速く…
高く……
---『隼人ーっ!』
綺麗に。
「とっ、とにかく!ナンパとボムは関係ねーだろ!何ぬかしてんだ、スケコマシ!!」
「やーれやれ、これだからガキは……こりゃまだまだ掛かるな。」
シャマルはため息をつく。
「続けるぞ、飛行機折れ。」
「くっそーっ!」
獄寺の叫びが辺りに少し響いた。
---
-------
--------------
その頃。
「まだまだ行きますよ!」
ボロボロのツナに、バジルは言った。
それを見て、リボーンと家光が口々に言う。
「本気のバジルには適わねーな。」
「次で決まるかな…?」
と、その時。
ピロリロリ…
『え?』
檸檬の携帯が鳴る。
ポケットから携帯を取り出した檸檬は、目を見開いた。
「檸檬………?」
『ちょっと、抜けるね!』
そう言った次の瞬間、檸檬は俊足で遠くに行ってしまった。
それを見て、首をかしげる家光。
「どうしたんだ?檸檬の奴。」
「多分…ヴァリアーからメールが来たんだな。」
「何!?」
「お、決まるぞ。」
バジルのパンチが、ツナの頬にぐっと入った。
「いや、まだだ。」
倒れそうになったツナは、両足でバジルの腰元を捕らえる。
「うお"お"お"!!」
そのまま腹筋を使って起き上がり、バジルに頭突きを食らわせた。
2人は一緒にドサッと倒れた。
「見たか、友よ………」
「あぁ。」
「ツナの奴、殴られた瞬間に死ぬ気をコントロールして防御力を高め、ダメージを軽減しやがった。まだそんな事教えてねーんだろ?」
「ああ、本能的にやってのけやがったな。ま、これで第2段階は完了だぞ。」
「我が子ながらやるじゃねーか。」
家光は満足そうに顎を撫でた。
---
------
-----------
『ここまで来ればいいかな……?』
檸檬はパカッと携帯を開く。
To 檸檬
From ベル
件名 うししし♪
着いたよー!日本!!
今、日本の宿泊先にいるんだ♪
何か御馳走がすっげー美味しいの♪
檸檬にも食わせてあげたいなー。
そうそう、俺ね、嵐の守護者になっちゃった♪
でもなんかボスが、
「まだ揃ってねぇ」
みたいな事言ってたよ。
多分それ、檸檬がいないからだよ。
守護者は埋まっちゃったけど、檸檬にも居て欲しいんだよ、ボスは。
勿論、俺もだけどね♪
あ、檸檬~っ、返事ちょーだいっ!
待ってるからさ♪
んじゃね。
『ベル………』
お返事なんて…どうすればいいのよ。
今のあたしに打てるの?返事が。
でも、あたしも早く皆に会いたいのも事実。
ぐっと覚悟を決めた。
To ベル
From 檸檬
件名 久しぶり。
こないだは返信しなくてごめんね。
急に来たから吃驚しちゃって。
あたしも、皆と会えるの楽しみにしてるよ♪
本入隊したいのも変わらない。
だけど、日本も好きなの。
もうちょっとだけ、いちゃダメ?
って、ベルに聞いてもしょうがないよね。
ごめんね。
皆がどんな風に変わってるのか、それとも変わってないのか、見るのがすっごく楽しみ♪♪
ホントに楽しみ♪
もう日本に着いたんだよね。
あたしも御馳走食べたかったなー。
今度奢って♪
(なんちゃって。)
これ以上書いたら長くなりそうだから、もう終わるね。
じゃぁ、バイバイ♪
『これでいいかなぁ?』
何度も何度も読み返してから、送信ボタンを押した。
.---
------
-----------
「いつつ…」
「気付いたな。」
バジルと一緒に倒れたツナは、暫くして目を覚ました。
「あれ?父さんいなかった?」
「さーな。」
「じゃぁ、檸檬は…?」
「どっか行ったぞ。」
「どっかって………」
ツナが頭をひねらせていると、バジルが言った。
「参りました。流石沢田殿です。すごい一撃でした。」
「え?お、俺が…?」
「って事で、いよいよ修業第3段階に行くぞ。」
「ちょっと待てよ!もうたくさんだよ!帰りたいよ!!」
それに…
昨日檸檬と話そうと思ったのに、何だか記憶ないし……
と、そこに。
『ツナーっ!バジルーっ!リボーンっ!!』
「「檸檬(殿)!!」」
「来たか、檸檬。」
檸檬はキュキュキュッと音を立て、3人の前で止まった。
摩擦熱のせいで、地面が黒く焦げている。
『どうなった?ツナ、勝った?』
「引き分けってトコだな。」
「いえ、拙者の負けですよ。沢田殿も気力のコントロールを身に付けましたし!」
『そうなの!?やったね、ツナ♪』
にっこり笑う檸檬に赤面しながら、ツナは
「ありがとう。」
と言った。
すると不意に、
ぐるるるる…
と音がした。
「夕飯に帰るぞ。」
「おいっ!」
『わーいっ!』
「ちなみに、バジルの親方様も飯に来るからな。」
そう言ってリボーンはニッと笑った。
帰り道。
『ツナ、』
「ん?何?檸檬。」
『昨日…待っててくれてありがとう。』
檸檬の言葉で、昨日の夜の事を思い出したツナ。
「(そうだった!俺、檸檬を待ってたのに、寝ちゃったんだ!!)」
『ツナが起きててくれて、嬉しかったよ♪でも、疲れてるんだから、ちゃんと寝なくちゃダメだよ。』
「檸檬!あのさ、最近……元気ないなぁって思って…。」
『え…?』
ツナは、恥ずかしそうに視線を落としていた。
『……………超直感?』
「へ?」
『んーん、何でもないっ!』
首を振る檸檬を見て、ツナは疑問符を浮かべ、バジルは少しだけ眉を下げた。
「(檸檬殿…)」
『元気ないワケじゃないよ。ツナ達が修業で怪我するから、心配なだけ。』
「そ、そっか………ありがとう、檸檬。」
檸檬が無理矢理作った笑顔に気が付かないまま、ツナは微笑み返した。
---
------
------------
「ねーぇー、スクアーロー。」
「何だぁ!?」
ヴァリアーの宿泊先の1室にて。
金髪にティアラを乗せた王子が、銀髪の剣士に聞く。
「檸檬に会ったんだよね?」
「それがどうしたぁ。」
「変わってた?」
その問いに、少しだけ詰まるスクアーロ。
「………戦闘能力は上がったと思うぜぇ。」
「そーじゃなくてぇ、」
「可愛くなったかを聞いてるのよねぇ?ベルちゃんは。」
そこに現れたのは、サングラスをかけた体格のいい人物。
彼の言葉に、スクアーロは少し赤くなる。
「なっ、何言ってんだぁ!///」
「あ、何でちょっと赤くなってんの?うざ。」
「う、うるせぇ!!」
「まぁまぁ、2人とも。でも、可愛くなってたのよね?檸檬は。」
満足そうに笑うサングラスの人物。
自分の頭の上からティアラを取って、くるくる回す金髪の人物。
「あーあ、檸檬に会えるんだったら、俺も行けば良かった~っ。」
「ベルちゃん、我が儘言わないの。」
「うるせぇよ、ルッスーリア。王子は姫に会いたいのーっ。」
子供のように言うベルに、ルッスーリアは苦笑いをした。
「そー言えば、マーモンとレヴィがいなくね?」
「一足先に、リング奪還に行ったのよ。何たって“あの”レヴィだもの。」
「バカな奴だぜぇ。」
スクアーロは鼻で笑い飛ばした。
---
------
-----------
夜の並盛。
「この街に………ハーフボンゴレリングが………」
「スクアーロが嘘をついていなければ、間違いないね。」
ビルの上。
顔にピアスをした男と、深くフードをかぶった小さい赤ん坊が会話をする。
「マーモン、念写を頼めるか?」
「非常事態だもの、仕方ないね。つけにしておいてあげるよ、レヴィ・ア・タン。」
赤ん坊の方が、何処からか紙を取り出す。
「レヴィ、君のリングは確か………」
「雷だ。」
「うむ。じゃぁもう片方の雷のリングを探せばいいワケだ。」
言い終わると、マーモンはすうっと息を吸い込んだ。
「行くよ。」
粘写!!!
ズビーッと鼻をかむマーモン。
だが、その紙には地図のようなモノが表れていた。
「いつ見ても汚いな……」
「ム、近いよ。南に205メートル、西に801メートルの地点だ。」
マーモンの言葉を聞き、レヴィはそちらを向いてみる。
「これより、ヴァリアー・レヴィ雷撃隊、雷のリングの奪還に向かう。」
レヴィがそう言うと、3人の男が側に立つ。
「リングの所持者及び邪魔する奴は………………消せ。」
その言葉と同時に、黒い服に身を包んだ4人が、夜の闇の中に飛び発った。
『え……?』
沢田家に向かう途中、檸檬がふと空を見上げる。
「どしたの?檸檬。」
『ううん、何でもない。』
気配がした。
何となくだけど、
もう、動き始めたんだって、
そう、思った………。