ヴァリアー編
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「あれは日本人特有の照れ隠しだ。行け。」
「では。」
「コラ!リボーン!!」
死ぬ気のコントロール
バジルとのスパーリングだと聞いて、無理だというツナ。
だけど、これは避けられない課題だよ♪
ドガッと殴られ、バタッと倒れる。
「さ……沢田殿?」
『ツナ?』
「待て、バジル、檸檬。」
リボーンが引き止めた次の瞬間、ツナは起き上がった。
「いった~~っ!いてーいてー!!滅茶苦茶いてーっ!!!」
『ワォ♪』
あ、恭弥うつっちゃったよ。
そーだ、恭弥どうしてるかな?
負けていじけるタイプじゃないよね。
じゃぁ安心かな?
「じゃぁ、本題に入るぞ。バジルをダウンさせるんだ。」
「死ぬ気弾!!?」
ズガン!
ツナに死ぬ気弾が撃たれて、バトルスタート。
「死ぬ気でお前を倒す!!」
「宜しくお願いします。」
バジルに攻め寄りパンチをくり出すツナ。
だが、バジルはそれを容易く避ける。
そして、ツナの手をガシッと掴み、こう言った。
「死ぬ気になり過ぎです、沢田殿。」
そう、これが……
バジルとのスパーリングの目的。
「本当の死ぬ気になるのは、一瞬でいいんです。」
ツナにエルボーを決め、岩に叩き付ける。
その光景を見ながら、リボーンは言った。
「やはりバジルは、ツナより何枚も上手だな。流石お前の弟子だぞ、家光。」
「そりゃ厳しく育てて来たもん。」
リボーンの隣には、さっきまでは確実にいなかった家光がいた。
『こんにちは、家光さん。』
「おー、檸檬。ちょっとは楽な気分になったか?」
『何となくですが……ツナ達見てると、何とかなりそうな気がして来るんです。だから、あたしは大丈夫です。』
そう言ってにっこりと笑えば、家光さんはあたしの頭を撫でる。
「檸檬は、いい子だなぁ。」
『はぁ……』
その間にバジルは、ツナの攻撃を避けながら言う。
「おぬしが死ぬ気モードに5分しか戦えないのは、気力を常に全力で放出しているからなんです。そんな戦い方では持久戦で勝てません。気力をコントロールして、長時間死ぬ気でいられるようにしましょう。」
そう言いつつバジルは小石を投げる。
それが崖に当たれば、亀裂が入り、大きな岩が落ちて来る。
「がはっ。」
ツナはそれの下敷きになってしまった。
それを見ながら、家光さんが言う。
「より気を使う、ハイパー死ぬ気モードでは、気のコントロールが更に重要になって来るからな。何より、それが出来ないと“あの技”は無理だぞ。」
『あの技??』
「ボンゴレの奥義だ。」
『ふーん……』
そこまで深く気にしないことにした。
リボーンが言うんだから、それは凄い奥義なんだろう。
それが出来れば、ツナも強くなるはずだし。
「とにかく、気力のコントロール無しに、バジルは倒せねーからな。ツナの格闘センスが試される修業だぞ。」
あたしとリボーンと家光さんは、2人の戦いをジッと見ていた。
---
------
-----------
「よう、恭弥。」
並盛中学屋上。向かい合って立つのは、雲雀とディーノ。
「今日は戦う前に指輪の話をしてぇ。騙してるみてーでスッキリしねぇからな。」
「いいよ、興味ないから。あなたをぐちゃぐちゃにすること以外。」
雲雀の台詞に呆れ、頭を掻くディーノ。
「ったく、困った奴だぜ。」
「ねぇ。」
雲雀がディーノに話し掛ける。
「真剣にやってくれないと、この指輪捨てるよ?」
彼が僕と戦ってるのは、この指輪が関係してるだろうから。
檸檬も指輪の事を気にしてたみたいだし。
この男を早く咬み殺して、檸檬に会いに行きたいんだけど。
「なっ!待て!!のやろ~~っ!(気位が高いっつーか、戦闘マニアっつーか……)」
雲雀の言葉に再び呆れるディーノと、後ろで笑うロマーリオ。
「わーったよ!じゃぁ交換条件だ。真剣勝負で俺が勝ったら、お前にはツナのファミリーの一角を担ってもらうぜ!」
「それ、交換じゃないでしょ。」
雲雀はポケットに指輪をしまいながら言った。
「僕が勝ったら、あなたが知ってる檸檬についての情報、全部吐いてもらうから。」
その言葉に、ディーノは一瞬目を丸くするも、すぐに口角を上げた。
「上等じゃねーか……いいぜ!教えてやるよ。もしも恭弥が勝ったらな♪」
2人は、互いの武器を構え直した。
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-------------
ドガン!
森の中で、大きな爆発音がする。
「す、すごいぞ!コロネロ師匠!!」
「まーな。戦場ではこういう1発が、絶望的とも言える状況をひっくり返す事があるんだぜ、コラ!」
「それは極限に燃える話だな!!」
了平は拳を握りしめて感動する。
「この美学が分かるとは、流石俺の見込んだ弟子だぜコラ!!」
コロネロは、了平に大きな球状の岩を壊すように言う。
しかし、了平がライフルを貸して欲しいと頼むと、素手でやれと言って来た。
「なにぃ!?何かの間違いではないのか?」
「マジだぜ、コラ。」
「では、はっきり言っておくぞ師匠。」
了平は思いっきり叫んだ。
「無理だーーーーー!!!2日間何もせず寝ていただけだぞ!!あんな巨大な岩が砕けるワケがない!!」
「逆だぜ。2日間しっかり休んだおかげで、いつもお前がトレーニングで酷使させ過ぎている細胞がいい状態になってるんだ、コラ!!」
「細胞だと………?」
疑問符を浮かべる了平に、コロネロは得意気に言う。
「そーだぜ。お前が他人より優れているのは筋肉なんてレベルじゃないぜ。細胞そのものが何億人に1人と言う、バネとしなやかさを持ってんだぜ、コラ!」
「そ、それはまことか!?」
「あとは使い方だ。そこで、俺が強烈な魂の一撃を体に叩き込んでやるぜ。」
「ぬ!何故そうなる!?」
「お前は頭でなく体で覚えるタイプだ。俺の一撃を受け!感じ!覚えろ!コラ!!」
無理だ、と言おうとした了平に、コロネロはライフルを撃った。
その威力に、了平は吹っ飛ばされて行く。
木々をなぎ倒し、岩の壁にぶち当たった。
「し、死ぬかと思ったぞ………」
何とかして起き上がる了平。そして、拳をグッと握りしめる。
「だが何かを付かんだ気がする……強烈な一撃を放つ為の何かを………!」
そこで、もとの場所に戻り、大岩の前に立った。
「今度はお前が放つ番だぜ。体をライフルそのものにしてな。」
「うむ。」
静かに構え、大岩に拳を打ち付ける。
「撃てコラ!!」
「うおおおおお!!!」
ガッ、
ドゴオッ…
「その感触を忘れるな、コラ。」
大岩は完全に砕かれ、細かい石の雨となって2人に降り注ぐ。
了平は自らがやった事に驚き、コロネロは満足そうに笑った。
それを側で見ていた家光。
「これで……この2人はもう心配ないな。」
夕陽の中、了平とコロネロは拳を重ねた。
同じ頃、イタリア。
とあるアジトの、大きな扉のある部屋。
「スクアーロが持ち帰ったハーフボンゴレリングにより、9代目の了承も得られそうです。次期ボンゴレボスの披露式典も開かれるでしょう。」
「これでいよいよファミリーの実権は9代目直系、実の息子である、ボスのものだね。」
「XANXUS様。」
そんな中、ボスに呼び出されるスクアーロ。
「う"お"ぉい。ハーフボンゴレリングの褒美をくれるってんなら、有り難く頂戴するぜ。」
得意気に言うスクアーロの頭をガシッと掴み、ザンザスは机に叩き付けた。
「なっ、何をしやがる!!?」
少し血を流しながら、スクアーロはザンザスに問う。
すると、ザンザスはリングの半分を外して、指で潰した。
「偽物(フェイク)だ。」
その途端、部屋の中がざわつく。
スクアーロも、驚きを隠せない様子。
ザンザスは再び口を開く。
「まさか、檸檬の情報もフェイクじゃねぇだろうな。」
「そ、それは本当だぁ!!」
弁解するスクアーロに、他のメンバーが。
「どーだかね。」
「ホントにホント?」
「1年も経ってるのよ?」
「あれは確かに檸檬だったぜぇ!俺の事をあだ名で呼んでたからなぁ!!」
「あー、あの、“アロちゃん”ってヤツ?」
「何度聞いても笑えるね。」
そんな中ザンザスは、1人の男の名を呟く。
「家光……」
そして、立ち上がった。
「日本へ発つ。奴らを、根絶やしにする。」
その言葉に、他のメンバーも続いた。
---
-------
------------
夜。
「もう、疲れてメシ食う元気もないよ………」
「しっかり食っとけ。あと1週間は修業出来るからな。」
「え"え"ーっ!こんな生活あと1週間もするのかよーっ!!」
バンソウコウだらけのツナは、お茶碗片手に叫んだ。
「ところで…檸檬は?何でいないの?」
「檸檬は何か用事があるらしいぞ。」
「そっか……」
珍しく空いている檸檬の席を、ツナは寂しそうに見つめた。
---
------
-----------
その頃。
「ふーっ!疲れた疲れた!」
「お疲れ、ボス。」
学校の屋上。
ベタッと座っているディーノの所に、ロマーリオがやって来る。
「おー、ロマーリオ。恭弥は?」
「応接室だぜ。」
「そっか。アイツ、あの部屋好きなんだなー。」
軽く笑うディーノ。
「ところで、客が来てるぜ。」
「客?」
ロマーリオの後ろからひょっこり顔を出したのは、檸檬だった。
ディーノは思わず目を見開く。
『久しぶり、ディーノ♪』
「檸檬っ!」
疲れていたはずなのに、すぐに立ち上がって檸檬に駆け寄り抱き締める。
「俺に会いに来たのか?」
『そーだよ、ダメだった?』
「んなワケねーだろ。///」
そうっと檸檬を放して、屋上に2人で座る。
「恭弥の様子、聞きに来たのか?」
そうだったら、
ちょっと寂しい気もするけどな。
『それもあるけど………メインじゃないかな……。』
檸檬は少し目を逸らした。
俺は首をかしげる。
「じゃぁ、どした?」
俺が聞くと、檸檬は携帯を開いた。
『メールが来たの。』
「ん?」
その差出人を見て、ディーノは驚き目を見開いた。
To 檸檬
From ベル
件名 うしし♪
ボンジョルノ、檸檬♪
俺達、今何処にいると思う?
飛行機だよ、飛行機の中♪
もうすぐ会えるよ、檸檬。
スクアーロだけ会ったとかずるいしー。
俺も檸檬に会いたいしーっ。
とりあえず、もうすぐ日本だからさ、檸檬に会えるの楽しみにしてるよ。
ボスがリングをゲットしたらさ、檸檬はヴァリアーに本入隊出来るじゃん?
そっちも楽しみ♪
んじゃ、またね~~!
「これ……ベルフェゴールから?」
『そうなの………ボスが、リングが偽物だって気が付いちゃったらしいの。』
「今、日本に向かってんのか…………これ、リボーンには?」
『まだ言ってない。家光さんにも。』
「そっか…」
俺は何だか気が抜けちまった。
檸檬は隣で肩を落としたままだ。
『あたしもね……皆に会えるのは嬉しいの。だけど…ツナ達とヴァリアーが戦うのは嫌なの!』
「檸檬…」
拳を作る檸檬。
気が付いたら俺は、檸檬の肩を抱いていた。
『ディーノ………あたし…どうすればいいのかなぁ?あたし……何か出来る事ないのかなぁ?』
「檸檬、ツナ達を信じろ。そーだ!恭弥もちゃくちゃくと強くなって来てるぜ?」
『ホント!?あの……恭弥、怒ってない?』
檸檬は少し俯く。
「(あれは……俺に怒ってんだろーな………)」
恭弥はいつもブスッとしてるけど、
それは檸檬に怒ってんじゃなくて、
きっと俺の事が気に食わねーんだと思う。
「応接室に、いるらしいぜ?」
『ううん、いーの。今日はディーノに会いに来たんだもん♪このメールの事、教えられるのはディーノくらいだなって思って……。』
「そっか。」
こんな時にも、檸檬の言葉を嬉しく思って、照れちまうんだよなー。
『ディーノ、恭弥を宜しくね。あと、これは2人に言っておくけど!』
檸檬はピンと人差し指を立てる。
『修業だから怪我はしょうがないけど、病気には気を付けてね。』
本当に、
檸檬は優しい。
優しくて、
強くて、
可愛くて、
なのにあんなに脆い。
それは多分、
優しいからなんだろうけど。
『応援してる♪』
にっこりと笑う檸檬に、俺も笑顔を返す。
「あぁ、ありがとな。」
『じゃーね!』
「またな!」
檸檬は屋上のフェンスを乗り越え、そこからジャンプした。
「ったく……んな事したら目立つっての。」
もうすっかり日も落ちて、辺りは闇に包まれ始めていた。
---
-------
--------------
『ただいま…。』
「あ、檸檬っ!」
ドアを開けると、ツナが駆け寄って来た。
「檸檬、何処行って…」
ガクンッ、
『わわっ!つ、ツナ!!?』
ツナは突然倒れ込み、あたしは慌てて支えた。
後ろから、リボーンが出て来る。
「今日の修業で疲れてたみてーだな。」
『リボーン…』
「それでも、檸檬が帰るのを待ってたんだぞ。」
『えっ!?』
あたしは吃驚して、ツナを見る。
ツナは、眠っていた。
その寝顔を見てると、何だか目が熱くなって来て。
『ツナぁ……』
片手で頑張って自分の目をこすった。
こんなに疲れてるのに、
あたしの事待ってたの?
何でそんなにあったかいの?
『ツナぁ、ごめんね…。』
スースー…
「檸檬、お前がどんな状況下にいようと、ツナ達は檸檬の味方だぞ。」
『リボーン…』
言わなくちゃ、
『あのね、リボーン。』
もう危機が迫っている事を、
皆に伝えなくちゃ。
『ヴァリアーが今、日本に向かってるの。』
その瞬間、滅多に動かないリボーンの表情が、驚きの色を作り出した。
「本当か?」
『メールが来たの。今、飛行機の中だって。』
「俺達に、それを教えていいのか?」
あたしはこくりと頷く。
『それくらいのハンデはいいでしょ?』
「そうか……。」
リボーンはリビングに戻っていった。
あたしは、眠っているツナを背負って2階に運ぶ。
「檸檬…」
『え?』
寝言で、ツナはあたしの名前を口にしていた。
本当にあったかくて、安心する。
『ツナ、頑張ってね。』
こんな他人事みたいな応援しか出来ないけど、立場上それが限界だから。
『許して。』
ツナのホッペにキスをして、あたしは部屋から出た。
あたしには、口を出す権利なんてない。
ただ、どっちにも傷付いて欲しくないだけなのに。
もう一度、熱くなった目を手でこすった。
「では。」
「コラ!リボーン!!」
死ぬ気のコントロール
バジルとのスパーリングだと聞いて、無理だというツナ。
だけど、これは避けられない課題だよ♪
ドガッと殴られ、バタッと倒れる。
「さ……沢田殿?」
『ツナ?』
「待て、バジル、檸檬。」
リボーンが引き止めた次の瞬間、ツナは起き上がった。
「いった~~っ!いてーいてー!!滅茶苦茶いてーっ!!!」
『ワォ♪』
あ、恭弥うつっちゃったよ。
そーだ、恭弥どうしてるかな?
負けていじけるタイプじゃないよね。
じゃぁ安心かな?
「じゃぁ、本題に入るぞ。バジルをダウンさせるんだ。」
「死ぬ気弾!!?」
ズガン!
ツナに死ぬ気弾が撃たれて、バトルスタート。
「死ぬ気でお前を倒す!!」
「宜しくお願いします。」
バジルに攻め寄りパンチをくり出すツナ。
だが、バジルはそれを容易く避ける。
そして、ツナの手をガシッと掴み、こう言った。
「死ぬ気になり過ぎです、沢田殿。」
そう、これが……
バジルとのスパーリングの目的。
「本当の死ぬ気になるのは、一瞬でいいんです。」
ツナにエルボーを決め、岩に叩き付ける。
その光景を見ながら、リボーンは言った。
「やはりバジルは、ツナより何枚も上手だな。流石お前の弟子だぞ、家光。」
「そりゃ厳しく育てて来たもん。」
リボーンの隣には、さっきまでは確実にいなかった家光がいた。
『こんにちは、家光さん。』
「おー、檸檬。ちょっとは楽な気分になったか?」
『何となくですが……ツナ達見てると、何とかなりそうな気がして来るんです。だから、あたしは大丈夫です。』
そう言ってにっこりと笑えば、家光さんはあたしの頭を撫でる。
「檸檬は、いい子だなぁ。」
『はぁ……』
その間にバジルは、ツナの攻撃を避けながら言う。
「おぬしが死ぬ気モードに5分しか戦えないのは、気力を常に全力で放出しているからなんです。そんな戦い方では持久戦で勝てません。気力をコントロールして、長時間死ぬ気でいられるようにしましょう。」
そう言いつつバジルは小石を投げる。
それが崖に当たれば、亀裂が入り、大きな岩が落ちて来る。
「がはっ。」
ツナはそれの下敷きになってしまった。
それを見ながら、家光さんが言う。
「より気を使う、ハイパー死ぬ気モードでは、気のコントロールが更に重要になって来るからな。何より、それが出来ないと“あの技”は無理だぞ。」
『あの技??』
「ボンゴレの奥義だ。」
『ふーん……』
そこまで深く気にしないことにした。
リボーンが言うんだから、それは凄い奥義なんだろう。
それが出来れば、ツナも強くなるはずだし。
「とにかく、気力のコントロール無しに、バジルは倒せねーからな。ツナの格闘センスが試される修業だぞ。」
あたしとリボーンと家光さんは、2人の戦いをジッと見ていた。
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「よう、恭弥。」
並盛中学屋上。向かい合って立つのは、雲雀とディーノ。
「今日は戦う前に指輪の話をしてぇ。騙してるみてーでスッキリしねぇからな。」
「いいよ、興味ないから。あなたをぐちゃぐちゃにすること以外。」
雲雀の台詞に呆れ、頭を掻くディーノ。
「ったく、困った奴だぜ。」
「ねぇ。」
雲雀がディーノに話し掛ける。
「真剣にやってくれないと、この指輪捨てるよ?」
彼が僕と戦ってるのは、この指輪が関係してるだろうから。
檸檬も指輪の事を気にしてたみたいだし。
この男を早く咬み殺して、檸檬に会いに行きたいんだけど。
「なっ!待て!!のやろ~~っ!(気位が高いっつーか、戦闘マニアっつーか……)」
雲雀の言葉に再び呆れるディーノと、後ろで笑うロマーリオ。
「わーったよ!じゃぁ交換条件だ。真剣勝負で俺が勝ったら、お前にはツナのファミリーの一角を担ってもらうぜ!」
「それ、交換じゃないでしょ。」
雲雀はポケットに指輪をしまいながら言った。
「僕が勝ったら、あなたが知ってる檸檬についての情報、全部吐いてもらうから。」
その言葉に、ディーノは一瞬目を丸くするも、すぐに口角を上げた。
「上等じゃねーか……いいぜ!教えてやるよ。もしも恭弥が勝ったらな♪」
2人は、互いの武器を構え直した。
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ドガン!
森の中で、大きな爆発音がする。
「す、すごいぞ!コロネロ師匠!!」
「まーな。戦場ではこういう1発が、絶望的とも言える状況をひっくり返す事があるんだぜ、コラ!」
「それは極限に燃える話だな!!」
了平は拳を握りしめて感動する。
「この美学が分かるとは、流石俺の見込んだ弟子だぜコラ!!」
コロネロは、了平に大きな球状の岩を壊すように言う。
しかし、了平がライフルを貸して欲しいと頼むと、素手でやれと言って来た。
「なにぃ!?何かの間違いではないのか?」
「マジだぜ、コラ。」
「では、はっきり言っておくぞ師匠。」
了平は思いっきり叫んだ。
「無理だーーーーー!!!2日間何もせず寝ていただけだぞ!!あんな巨大な岩が砕けるワケがない!!」
「逆だぜ。2日間しっかり休んだおかげで、いつもお前がトレーニングで酷使させ過ぎている細胞がいい状態になってるんだ、コラ!!」
「細胞だと………?」
疑問符を浮かべる了平に、コロネロは得意気に言う。
「そーだぜ。お前が他人より優れているのは筋肉なんてレベルじゃないぜ。細胞そのものが何億人に1人と言う、バネとしなやかさを持ってんだぜ、コラ!」
「そ、それはまことか!?」
「あとは使い方だ。そこで、俺が強烈な魂の一撃を体に叩き込んでやるぜ。」
「ぬ!何故そうなる!?」
「お前は頭でなく体で覚えるタイプだ。俺の一撃を受け!感じ!覚えろ!コラ!!」
無理だ、と言おうとした了平に、コロネロはライフルを撃った。
その威力に、了平は吹っ飛ばされて行く。
木々をなぎ倒し、岩の壁にぶち当たった。
「し、死ぬかと思ったぞ………」
何とかして起き上がる了平。そして、拳をグッと握りしめる。
「だが何かを付かんだ気がする……強烈な一撃を放つ為の何かを………!」
そこで、もとの場所に戻り、大岩の前に立った。
「今度はお前が放つ番だぜ。体をライフルそのものにしてな。」
「うむ。」
静かに構え、大岩に拳を打ち付ける。
「撃てコラ!!」
「うおおおおお!!!」
ガッ、
ドゴオッ…
「その感触を忘れるな、コラ。」
大岩は完全に砕かれ、細かい石の雨となって2人に降り注ぐ。
了平は自らがやった事に驚き、コロネロは満足そうに笑った。
それを側で見ていた家光。
「これで……この2人はもう心配ないな。」
夕陽の中、了平とコロネロは拳を重ねた。
同じ頃、イタリア。
とあるアジトの、大きな扉のある部屋。
「スクアーロが持ち帰ったハーフボンゴレリングにより、9代目の了承も得られそうです。次期ボンゴレボスの披露式典も開かれるでしょう。」
「これでいよいよファミリーの実権は9代目直系、実の息子である、ボスのものだね。」
「XANXUS様。」
そんな中、ボスに呼び出されるスクアーロ。
「う"お"ぉい。ハーフボンゴレリングの褒美をくれるってんなら、有り難く頂戴するぜ。」
得意気に言うスクアーロの頭をガシッと掴み、ザンザスは机に叩き付けた。
「なっ、何をしやがる!!?」
少し血を流しながら、スクアーロはザンザスに問う。
すると、ザンザスはリングの半分を外して、指で潰した。
「偽物(フェイク)だ。」
その途端、部屋の中がざわつく。
スクアーロも、驚きを隠せない様子。
ザンザスは再び口を開く。
「まさか、檸檬の情報もフェイクじゃねぇだろうな。」
「そ、それは本当だぁ!!」
弁解するスクアーロに、他のメンバーが。
「どーだかね。」
「ホントにホント?」
「1年も経ってるのよ?」
「あれは確かに檸檬だったぜぇ!俺の事をあだ名で呼んでたからなぁ!!」
「あー、あの、“アロちゃん”ってヤツ?」
「何度聞いても笑えるね。」
そんな中ザンザスは、1人の男の名を呟く。
「家光……」
そして、立ち上がった。
「日本へ発つ。奴らを、根絶やしにする。」
その言葉に、他のメンバーも続いた。
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「もう、疲れてメシ食う元気もないよ………」
「しっかり食っとけ。あと1週間は修業出来るからな。」
「え"え"ーっ!こんな生活あと1週間もするのかよーっ!!」
バンソウコウだらけのツナは、お茶碗片手に叫んだ。
「ところで…檸檬は?何でいないの?」
「檸檬は何か用事があるらしいぞ。」
「そっか……」
珍しく空いている檸檬の席を、ツナは寂しそうに見つめた。
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その頃。
「ふーっ!疲れた疲れた!」
「お疲れ、ボス。」
学校の屋上。
ベタッと座っているディーノの所に、ロマーリオがやって来る。
「おー、ロマーリオ。恭弥は?」
「応接室だぜ。」
「そっか。アイツ、あの部屋好きなんだなー。」
軽く笑うディーノ。
「ところで、客が来てるぜ。」
「客?」
ロマーリオの後ろからひょっこり顔を出したのは、檸檬だった。
ディーノは思わず目を見開く。
『久しぶり、ディーノ♪』
「檸檬っ!」
疲れていたはずなのに、すぐに立ち上がって檸檬に駆け寄り抱き締める。
「俺に会いに来たのか?」
『そーだよ、ダメだった?』
「んなワケねーだろ。///」
そうっと檸檬を放して、屋上に2人で座る。
「恭弥の様子、聞きに来たのか?」
そうだったら、
ちょっと寂しい気もするけどな。
『それもあるけど………メインじゃないかな……。』
檸檬は少し目を逸らした。
俺は首をかしげる。
「じゃぁ、どした?」
俺が聞くと、檸檬は携帯を開いた。
『メールが来たの。』
「ん?」
その差出人を見て、ディーノは驚き目を見開いた。
To 檸檬
From ベル
件名 うしし♪
ボンジョルノ、檸檬♪
俺達、今何処にいると思う?
飛行機だよ、飛行機の中♪
もうすぐ会えるよ、檸檬。
スクアーロだけ会ったとかずるいしー。
俺も檸檬に会いたいしーっ。
とりあえず、もうすぐ日本だからさ、檸檬に会えるの楽しみにしてるよ。
ボスがリングをゲットしたらさ、檸檬はヴァリアーに本入隊出来るじゃん?
そっちも楽しみ♪
んじゃ、またね~~!
「これ……ベルフェゴールから?」
『そうなの………ボスが、リングが偽物だって気が付いちゃったらしいの。』
「今、日本に向かってんのか…………これ、リボーンには?」
『まだ言ってない。家光さんにも。』
「そっか…」
俺は何だか気が抜けちまった。
檸檬は隣で肩を落としたままだ。
『あたしもね……皆に会えるのは嬉しいの。だけど…ツナ達とヴァリアーが戦うのは嫌なの!』
「檸檬…」
拳を作る檸檬。
気が付いたら俺は、檸檬の肩を抱いていた。
『ディーノ………あたし…どうすればいいのかなぁ?あたし……何か出来る事ないのかなぁ?』
「檸檬、ツナ達を信じろ。そーだ!恭弥もちゃくちゃくと強くなって来てるぜ?」
『ホント!?あの……恭弥、怒ってない?』
檸檬は少し俯く。
「(あれは……俺に怒ってんだろーな………)」
恭弥はいつもブスッとしてるけど、
それは檸檬に怒ってんじゃなくて、
きっと俺の事が気に食わねーんだと思う。
「応接室に、いるらしいぜ?」
『ううん、いーの。今日はディーノに会いに来たんだもん♪このメールの事、教えられるのはディーノくらいだなって思って……。』
「そっか。」
こんな時にも、檸檬の言葉を嬉しく思って、照れちまうんだよなー。
『ディーノ、恭弥を宜しくね。あと、これは2人に言っておくけど!』
檸檬はピンと人差し指を立てる。
『修業だから怪我はしょうがないけど、病気には気を付けてね。』
本当に、
檸檬は優しい。
優しくて、
強くて、
可愛くて、
なのにあんなに脆い。
それは多分、
優しいからなんだろうけど。
『応援してる♪』
にっこりと笑う檸檬に、俺も笑顔を返す。
「あぁ、ありがとな。」
『じゃーね!』
「またな!」
檸檬は屋上のフェンスを乗り越え、そこからジャンプした。
「ったく……んな事したら目立つっての。」
もうすっかり日も落ちて、辺りは闇に包まれ始めていた。
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『ただいま…。』
「あ、檸檬っ!」
ドアを開けると、ツナが駆け寄って来た。
「檸檬、何処行って…」
ガクンッ、
『わわっ!つ、ツナ!!?』
ツナは突然倒れ込み、あたしは慌てて支えた。
後ろから、リボーンが出て来る。
「今日の修業で疲れてたみてーだな。」
『リボーン…』
「それでも、檸檬が帰るのを待ってたんだぞ。」
『えっ!?』
あたしは吃驚して、ツナを見る。
ツナは、眠っていた。
その寝顔を見てると、何だか目が熱くなって来て。
『ツナぁ……』
片手で頑張って自分の目をこすった。
こんなに疲れてるのに、
あたしの事待ってたの?
何でそんなにあったかいの?
『ツナぁ、ごめんね…。』
スースー…
「檸檬、お前がどんな状況下にいようと、ツナ達は檸檬の味方だぞ。」
『リボーン…』
言わなくちゃ、
『あのね、リボーン。』
もう危機が迫っている事を、
皆に伝えなくちゃ。
『ヴァリアーが今、日本に向かってるの。』
その瞬間、滅多に動かないリボーンの表情が、驚きの色を作り出した。
「本当か?」
『メールが来たの。今、飛行機の中だって。』
「俺達に、それを教えていいのか?」
あたしはこくりと頷く。
『それくらいのハンデはいいでしょ?』
「そうか……。」
リボーンはリビングに戻っていった。
あたしは、眠っているツナを背負って2階に運ぶ。
「檸檬…」
『え?』
寝言で、ツナはあたしの名前を口にしていた。
本当にあったかくて、安心する。
『ツナ、頑張ってね。』
こんな他人事みたいな応援しか出来ないけど、立場上それが限界だから。
『許して。』
ツナのホッペにキスをして、あたしは部屋から出た。
あたしには、口を出す権利なんてない。
ただ、どっちにも傷付いて欲しくないだけなのに。
もう一度、熱くなった目を手でこすった。