ヴァリアー編
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あたしの目の前に、
剣を構えたアロちゃんと、
リングを持ったツナと、
それを庇うバジル。
ハーフボンゴレリング
「う"お"ぉい!!それを渡す前に何枚におろして欲しい?」
「渡してはいけません、沢田殿。」
久しぶりに、足が竦んで動けなかった。
どうすればいいか分からなかった。
と、その時。
「相変わらずだな、スペルビ・スクアーロ。」
知ってる声がした。
「子供相手にムキになって、恥ずかしくねーのか?」
「『ディーノ(さん)!!』」
「跳ね馬だと!?」
アロちゃんは何か考えたようで、その顔つきはみるみる変わっていった。
少なくとも、さっきまでの余裕は消えて行く。
「その趣味の悪い遊びをやめねーってんなら、俺が相手になるぜ。」
ディーノは鞭を構えた。
アロちゃんは軽く舌打ちをする。
「う"お"ぉい跳ね馬。お前を此所でぶっ殺すのも悪くない。だが同盟ファミリーとやり合ったとなると上がうるせぇ。今日のところは大人しく………」
目を瞑るアロちゃん、
あたしも一瞬気を抜いた、その時だった。
「帰るわきゃねぇぞぉ!!」
『きゃあっ!!』
アロちゃんに手を引かれ、そのまま捕まる。
そして、あたしの背中には鋭い刃が当てられた。
「檸檬を放せ!!」
ディーノが鞭を振った瞬間、飛び散る火薬。そして煙幕。
何にも見えない中、アロちゃんはあたしを解放する。
『アロちゃんっ!?』
「う"お"ぉい、檸檬。」
呼ばれると同時に頬に触れる、革の手袋。
そして、アロちゃんと目が合う。
「約束、忘れたとは言わせねぇぞぉ………俺達は……」
『わかってる。』
あたしが真剣な目で答えると、アロちゃんは少し口角をあげた。
「こいつは貰ってくぜぇ。」
その時、煙が晴れて、アロちゃんの手にあるものが見えた。
『それって………!』
「ボンゴレリングが……!」
あたしと同時にバジルが叫ぶ。
「じゃぁなぁ。」
アロちゃんは物凄いスピードで飛び去った。
あたしの耳の奥に、
さっきの言葉が繰り返される。
---「約束、忘れたとはいわせねぇぞぉ………」
『分かってるもん……。』
「うぅっ…」
隣で、バジルが倒れたみたいだった。
「深追いは禁物だぞ。」
リボーンが出て来て、ツナが怒鳴る。
「何で助けてくれなかったんだよ!!」
「俺は奴に攻撃しちゃいけねー事になってるからな。」
「なっ…!」
「檸檬もだぞ。」
「な、何で?」
『彼も、ボンゴレファミリーだから。』
「なっ、俺、ボンゴレの人に殺されかけたのー!?何でーー!!?」
ツナが混乱するのは当然か。
そうだよね。
その時聞こえて来た、パトカーのサイレン。
「ツナ、檸檬、廃業になった病院を手配した。行くぞ。」
『うん。』
「ま、待って下さい!獄寺君と山本が…!」
「あいつらなら心配ねーぞ。」
リボーンの言葉とほぼ同時に、2人が走って来た。
「大丈夫か、ツナ!」
「一体何なんスか!?奴は。」
ところがリボーンはくるりと振り返り、こう言った。
「檸檬でも苦戦したんだ。お前らの戦闘レベルじゃ足手纏いになる。とっとと帰っていいぞ。」
それは、
あまりに辛辣な言葉。
「リボーン!何て事を……!」
「行くぞ。」
ツナの手を引いて、リボーンは歩き出す。
あたしもそれに続く。
「ホントはあいつらも感じてるはずだ。」
「え?」
「あれだけ一方的にコテンパンにされて、腹わた煮えくり返ってねーワケがねぇ。」
そして最後に
「ほっとけ。」
と。
しょうがないんだよね、
今の隼人と武じゃ、アロちゃんには絶対勝てない。
ディーノに背負われてるバジルを見る。
こっちも、随分と懐かしい顔。
『(懐かしいなぁ、イタリア……。)』
そんな事思ってる場合じゃないのに、そんな事ばっかり考えてる自分がいた。
---
-------
--------------
『ロマさん、バジルは…?』
「命に別状はねぇ。大丈夫、傷は浅いぜ。」
『良かった…。』
バジルが寝かされてるベッド脇のイスに座る。
彼の顔を見てると、急に苦しくなって、思わずその手を握りしめた。
「ところで檸檬、」
『え?』
ディーノはあたしの右肩をポンと叩く。
その途端、激痛が走った。
『つっ……!!』
「やっぱな。檸檬、火傷してんだろ。」
あたしは目線を逸らして。
『こっ、こんなの火傷に入らないもん。』
「無理すんな。跡残ったらどーすんだよ。」
「檸檬、怪我してんの!?」
ほら、
ツナが心配しちゃうじゃない。
あたしの事なんていいの。
今は…
ツナ自身が危ないんだよ?
きゅっと唇を噛み締めた。
その後、ディーノに強く言われて、あたしは大人しく治療を受ける事にした。
ハサミで肩から下の右袖を切り取り、冷やして、包帯を巻く。
「で、結局彼は何者なんですか?やっぱりボンゴレのマフィア…」
『違うよ。』
肩に包帯を巻かれながら、あたしは言った。
それにディーノが続ける。
「違うんだけどな、こいつはお前の味方なんだ。」
「えー!?ボンゴレが敵でそうじゃない人が味方!!?」
ツナはますます混乱したようだった。
「つーか俺、敵とか味方とかありませんから…」
「それがなぁ、ツナ。そーも言ってらんねぇみてーだぞ。」
「あのリングが動き出したからな。」
ディーノとリボーンが言う。
「ほぃ、巻き終わったぜ。」
『ありがと、ロマさん。』
あたしの今の笑顔は、作り笑いかな?
『で?』
あたしはディーノの方に向き直る。
「ん?」
『いつまで隠してんの?本物。』
「はっ?」
「ん?」
あたしの言葉にツナとリボーンが疑問符を浮かべる。
反対に、ディーノは「やれやれ」という顔をした。
「透視でも使ったのか?」
『まぁね♪』
第3能力・透視には、2つの使い方がある。
1つは、生命(熱)反応のみを見つける事。
もう1つは、目の前にいる相手について見破る事。
一番効く打撃ポイントや、
嘘をついているかどうか、
持っている病気なども。
「檸檬……本物って、まさか…。」
「そーだぜ。俺は今日このリングをツナに渡す為に来たんだ。」
ディーノは内ポケットからアロちゃんが奪って行ったのと同じ箱を取り出した。
「え"え"ーーー!!?」
「こっちが本物だぜ。」
「何で俺に!?そんな恐ろしいリング!!」
リボーンの説明を聞いたツナは、既に拒絶反応を示していた。
そんなツナにディーノはニカッと笑う。
「そりゃーお前がボンゴレの……」
「ス、ストップ!!帰って補習の勉強しなきゃ!!ガンバロ!!」
「な…。」
ツナはそう言って病室を飛び出した。
「じゃぁディーノさん、また!リボーン、先行ってるぞ!」
「おい、ツナ……?」
いつもの1.2倍くらいの速さで、ツナは病院から出て行った。
「バジルは……」
『囮だったんだね……。』
あたしはまたバジルの手を握る。
早く起きてくれるように。
「あぁ、恐らくバジル本人も知らされてねぇ。あの人の事だ。こうなる事は読んでたんだろーが、相当キツい決断だったと思うぜ。」
『うん…』
「つーかコレ、直接ツナに渡せばいいのにな。あの人、俺と一緒に日本に来たんだぜ?」
「そーか。アイツ、来たのか……。」
いやいや、「そーか。」って…
『リボーン、朝も聞いたじゃん。久しぶりに帰って来るって。』
「そーだったか?」
『そーだよっ!』
リボーンに呆れながら、あたしはため息をついた。
「んじゃ、俺は家に戻るぞ。檸檬はどうする?」
『あたし……もうちょっと此処に居ようかな。バジルが心配だから…。』
「それに、檸檬も怪我してるしな。」
『ディーノっ!こんくらい大した事ないってば!!』
あたしとディーノが言い合っている間に、リボーンは部屋を出て行った。
「檸檬……今回はかなりキツいだろーな。」
ぽつりと呟かれたその言葉を、あたしは知らない。
「なぁ、檸檬。」
『何?』
ディーノの方を向くと、いつもより真剣な眼差しがあった。
「あの時………何て言われた?」
“あの時”
煙幕に包まれて、何も見えなかった時。
『…………別に。』
あたしはそっぽを向く。
「檸檬、どーすんだ?」
『……わかんない。』
わかんないよ。
だって、
あたしにとって、
アロちゃんも大切な………
「俺は特に口出せねーけど、心配ぐらいはさせてくれよ。」
『うん……ありがと。』
ちょっとでも胸が苦しい時は、
誰かの優しさがすっごくしみる。
『嬉しい……。』
あたしが力なく笑うと、ディーノはあたしの頭を優しく撫でた。
あったかくて、
泣きそうになった。
『ディーノ、』
「ん?」
『あたし、戦いに手ぇ出しちゃったけど、大丈夫かな?』
「大丈夫さ。9代目はともかく、“奴ら”だって檸檬を苦しい立場に持ってくような事はしねぇよ。」
“奴ら”だって、
気に入ってるからな。
檸檬の事を…
『バジルの氷、変えて来る。』
「あぁ。」
袋を持って、病室を出る。
水道の前に立つと、何故か視界がぼやけて来た。
ポタッ、
蛇口をひねってないのに、水が垂れる。
『(水じゃない…)』
あたしの、
涙だ。
どうしてだろう?
再会出来たのに、嫌な予感しかしない。
それはきっと、ボンゴレリングが関わってるから。
今度は少し痛いくらいに、唇を噛み締めた。
護れなかった。
どうせ手を出すなら、
もっと早く出せば良かった。
隼人と武が傷付くのを、
あたしは見てるだけだった。
『ごめんね………。』
今更ながら、謝罪の言葉が口に出た。
その頃。
家に帰って来たツナは、庭の洗濯物や、見なれない靴を見て、吃驚する。
そして、ビアンキに言われた言葉。
「パパン、帰って来てるわよ。」
「やっぱり~~!!!」
ビアンキの話では、奈々は買い物に行ったらしい。
と、そこに…
「ツナ兄~!!大丈夫だったのーー!!?」
「ガハハハ!」
フゥ太とランボが走って来る。
しかし、
「僕、ひんぱいひたんらから~~。」
「ガハー!ツナ、4人いるもんね!!」
「酒くせーっ!!」
2人の顔は真っ赤っか。
「何持ってんだよ!これ日本酒じゃないか!!」
「だってパパンが水だから飲めって………ヒック。」
酔っているフゥ太から日本酒の瓶を取り上げる。
そして、ツナは家の奥へ。
「あ!イーピンまで!!」
イーピンの顔も真っ赤になっていた。その足取りは、おぼつかない。
呆れながら一番奥の部屋を覗いてみると…
「ぐがぁああああ…」
大量の酒瓶に囲まれて、部屋の真ん中で寝ている男が1人。
それを見て、呆然とするツナ。
何とかして思考回路を動かす。
「(このふざけた感じ………このアホ面………)」
男は、ごろんと寝返りをうって寝言を言った。
「奈々~~~vV」
それを聞いて、ツナは確信する。
「(父さんだ………。)」
同時に、頭を抱え込み、
「(ダメオヤジ帰って来たーーー!!)」
そしてため息。
何だか脱力してしまい、そのままフラフラと自分の部屋へ。
「(絶対生活めちゃくちゃになる………!!)」
絶望的な顔をしているツナとすれ違いに、リボーンがその部屋を覗く。
「来たか、沢田家光。お前がこのタイミングでハーフボンゴレリングを息子に託すって事は……あっちでとんでもねー事が起こってんだな。」
話し掛けられている本人は、鼻ちょうちんを作って眠りこけていた。
剣を構えたアロちゃんと、
リングを持ったツナと、
それを庇うバジル。
ハーフボンゴレリング
「う"お"ぉい!!それを渡す前に何枚におろして欲しい?」
「渡してはいけません、沢田殿。」
久しぶりに、足が竦んで動けなかった。
どうすればいいか分からなかった。
と、その時。
「相変わらずだな、スペルビ・スクアーロ。」
知ってる声がした。
「子供相手にムキになって、恥ずかしくねーのか?」
「『ディーノ(さん)!!』」
「跳ね馬だと!?」
アロちゃんは何か考えたようで、その顔つきはみるみる変わっていった。
少なくとも、さっきまでの余裕は消えて行く。
「その趣味の悪い遊びをやめねーってんなら、俺が相手になるぜ。」
ディーノは鞭を構えた。
アロちゃんは軽く舌打ちをする。
「う"お"ぉい跳ね馬。お前を此所でぶっ殺すのも悪くない。だが同盟ファミリーとやり合ったとなると上がうるせぇ。今日のところは大人しく………」
目を瞑るアロちゃん、
あたしも一瞬気を抜いた、その時だった。
「帰るわきゃねぇぞぉ!!」
『きゃあっ!!』
アロちゃんに手を引かれ、そのまま捕まる。
そして、あたしの背中には鋭い刃が当てられた。
「檸檬を放せ!!」
ディーノが鞭を振った瞬間、飛び散る火薬。そして煙幕。
何にも見えない中、アロちゃんはあたしを解放する。
『アロちゃんっ!?』
「う"お"ぉい、檸檬。」
呼ばれると同時に頬に触れる、革の手袋。
そして、アロちゃんと目が合う。
「約束、忘れたとは言わせねぇぞぉ………俺達は……」
『わかってる。』
あたしが真剣な目で答えると、アロちゃんは少し口角をあげた。
「こいつは貰ってくぜぇ。」
その時、煙が晴れて、アロちゃんの手にあるものが見えた。
『それって………!』
「ボンゴレリングが……!」
あたしと同時にバジルが叫ぶ。
「じゃぁなぁ。」
アロちゃんは物凄いスピードで飛び去った。
あたしの耳の奥に、
さっきの言葉が繰り返される。
---「約束、忘れたとはいわせねぇぞぉ………」
『分かってるもん……。』
「うぅっ…」
隣で、バジルが倒れたみたいだった。
「深追いは禁物だぞ。」
リボーンが出て来て、ツナが怒鳴る。
「何で助けてくれなかったんだよ!!」
「俺は奴に攻撃しちゃいけねー事になってるからな。」
「なっ…!」
「檸檬もだぞ。」
「な、何で?」
『彼も、ボンゴレファミリーだから。』
「なっ、俺、ボンゴレの人に殺されかけたのー!?何でーー!!?」
ツナが混乱するのは当然か。
そうだよね。
その時聞こえて来た、パトカーのサイレン。
「ツナ、檸檬、廃業になった病院を手配した。行くぞ。」
『うん。』
「ま、待って下さい!獄寺君と山本が…!」
「あいつらなら心配ねーぞ。」
リボーンの言葉とほぼ同時に、2人が走って来た。
「大丈夫か、ツナ!」
「一体何なんスか!?奴は。」
ところがリボーンはくるりと振り返り、こう言った。
「檸檬でも苦戦したんだ。お前らの戦闘レベルじゃ足手纏いになる。とっとと帰っていいぞ。」
それは、
あまりに辛辣な言葉。
「リボーン!何て事を……!」
「行くぞ。」
ツナの手を引いて、リボーンは歩き出す。
あたしもそれに続く。
「ホントはあいつらも感じてるはずだ。」
「え?」
「あれだけ一方的にコテンパンにされて、腹わた煮えくり返ってねーワケがねぇ。」
そして最後に
「ほっとけ。」
と。
しょうがないんだよね、
今の隼人と武じゃ、アロちゃんには絶対勝てない。
ディーノに背負われてるバジルを見る。
こっちも、随分と懐かしい顔。
『(懐かしいなぁ、イタリア……。)』
そんな事思ってる場合じゃないのに、そんな事ばっかり考えてる自分がいた。
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『ロマさん、バジルは…?』
「命に別状はねぇ。大丈夫、傷は浅いぜ。」
『良かった…。』
バジルが寝かされてるベッド脇のイスに座る。
彼の顔を見てると、急に苦しくなって、思わずその手を握りしめた。
「ところで檸檬、」
『え?』
ディーノはあたしの右肩をポンと叩く。
その途端、激痛が走った。
『つっ……!!』
「やっぱな。檸檬、火傷してんだろ。」
あたしは目線を逸らして。
『こっ、こんなの火傷に入らないもん。』
「無理すんな。跡残ったらどーすんだよ。」
「檸檬、怪我してんの!?」
ほら、
ツナが心配しちゃうじゃない。
あたしの事なんていいの。
今は…
ツナ自身が危ないんだよ?
きゅっと唇を噛み締めた。
その後、ディーノに強く言われて、あたしは大人しく治療を受ける事にした。
ハサミで肩から下の右袖を切り取り、冷やして、包帯を巻く。
「で、結局彼は何者なんですか?やっぱりボンゴレのマフィア…」
『違うよ。』
肩に包帯を巻かれながら、あたしは言った。
それにディーノが続ける。
「違うんだけどな、こいつはお前の味方なんだ。」
「えー!?ボンゴレが敵でそうじゃない人が味方!!?」
ツナはますます混乱したようだった。
「つーか俺、敵とか味方とかありませんから…」
「それがなぁ、ツナ。そーも言ってらんねぇみてーだぞ。」
「あのリングが動き出したからな。」
ディーノとリボーンが言う。
「ほぃ、巻き終わったぜ。」
『ありがと、ロマさん。』
あたしの今の笑顔は、作り笑いかな?
『で?』
あたしはディーノの方に向き直る。
「ん?」
『いつまで隠してんの?本物。』
「はっ?」
「ん?」
あたしの言葉にツナとリボーンが疑問符を浮かべる。
反対に、ディーノは「やれやれ」という顔をした。
「透視でも使ったのか?」
『まぁね♪』
第3能力・透視には、2つの使い方がある。
1つは、生命(熱)反応のみを見つける事。
もう1つは、目の前にいる相手について見破る事。
一番効く打撃ポイントや、
嘘をついているかどうか、
持っている病気なども。
「檸檬……本物って、まさか…。」
「そーだぜ。俺は今日このリングをツナに渡す為に来たんだ。」
ディーノは内ポケットからアロちゃんが奪って行ったのと同じ箱を取り出した。
「え"え"ーーー!!?」
「こっちが本物だぜ。」
「何で俺に!?そんな恐ろしいリング!!」
リボーンの説明を聞いたツナは、既に拒絶反応を示していた。
そんなツナにディーノはニカッと笑う。
「そりゃーお前がボンゴレの……」
「ス、ストップ!!帰って補習の勉強しなきゃ!!ガンバロ!!」
「な…。」
ツナはそう言って病室を飛び出した。
「じゃぁディーノさん、また!リボーン、先行ってるぞ!」
「おい、ツナ……?」
いつもの1.2倍くらいの速さで、ツナは病院から出て行った。
「バジルは……」
『囮だったんだね……。』
あたしはまたバジルの手を握る。
早く起きてくれるように。
「あぁ、恐らくバジル本人も知らされてねぇ。あの人の事だ。こうなる事は読んでたんだろーが、相当キツい決断だったと思うぜ。」
『うん…』
「つーかコレ、直接ツナに渡せばいいのにな。あの人、俺と一緒に日本に来たんだぜ?」
「そーか。アイツ、来たのか……。」
いやいや、「そーか。」って…
『リボーン、朝も聞いたじゃん。久しぶりに帰って来るって。』
「そーだったか?」
『そーだよっ!』
リボーンに呆れながら、あたしはため息をついた。
「んじゃ、俺は家に戻るぞ。檸檬はどうする?」
『あたし……もうちょっと此処に居ようかな。バジルが心配だから…。』
「それに、檸檬も怪我してるしな。」
『ディーノっ!こんくらい大した事ないってば!!』
あたしとディーノが言い合っている間に、リボーンは部屋を出て行った。
「檸檬……今回はかなりキツいだろーな。」
ぽつりと呟かれたその言葉を、あたしは知らない。
「なぁ、檸檬。」
『何?』
ディーノの方を向くと、いつもより真剣な眼差しがあった。
「あの時………何て言われた?」
“あの時”
煙幕に包まれて、何も見えなかった時。
『…………別に。』
あたしはそっぽを向く。
「檸檬、どーすんだ?」
『……わかんない。』
わかんないよ。
だって、
あたしにとって、
アロちゃんも大切な………
「俺は特に口出せねーけど、心配ぐらいはさせてくれよ。」
『うん……ありがと。』
ちょっとでも胸が苦しい時は、
誰かの優しさがすっごくしみる。
『嬉しい……。』
あたしが力なく笑うと、ディーノはあたしの頭を優しく撫でた。
あったかくて、
泣きそうになった。
『ディーノ、』
「ん?」
『あたし、戦いに手ぇ出しちゃったけど、大丈夫かな?』
「大丈夫さ。9代目はともかく、“奴ら”だって檸檬を苦しい立場に持ってくような事はしねぇよ。」
“奴ら”だって、
気に入ってるからな。
檸檬の事を…
『バジルの氷、変えて来る。』
「あぁ。」
袋を持って、病室を出る。
水道の前に立つと、何故か視界がぼやけて来た。
ポタッ、
蛇口をひねってないのに、水が垂れる。
『(水じゃない…)』
あたしの、
涙だ。
どうしてだろう?
再会出来たのに、嫌な予感しかしない。
それはきっと、ボンゴレリングが関わってるから。
今度は少し痛いくらいに、唇を噛み締めた。
護れなかった。
どうせ手を出すなら、
もっと早く出せば良かった。
隼人と武が傷付くのを、
あたしは見てるだけだった。
『ごめんね………。』
今更ながら、謝罪の言葉が口に出た。
その頃。
家に帰って来たツナは、庭の洗濯物や、見なれない靴を見て、吃驚する。
そして、ビアンキに言われた言葉。
「パパン、帰って来てるわよ。」
「やっぱり~~!!!」
ビアンキの話では、奈々は買い物に行ったらしい。
と、そこに…
「ツナ兄~!!大丈夫だったのーー!!?」
「ガハハハ!」
フゥ太とランボが走って来る。
しかし、
「僕、ひんぱいひたんらから~~。」
「ガハー!ツナ、4人いるもんね!!」
「酒くせーっ!!」
2人の顔は真っ赤っか。
「何持ってんだよ!これ日本酒じゃないか!!」
「だってパパンが水だから飲めって………ヒック。」
酔っているフゥ太から日本酒の瓶を取り上げる。
そして、ツナは家の奥へ。
「あ!イーピンまで!!」
イーピンの顔も真っ赤になっていた。その足取りは、おぼつかない。
呆れながら一番奥の部屋を覗いてみると…
「ぐがぁああああ…」
大量の酒瓶に囲まれて、部屋の真ん中で寝ている男が1人。
それを見て、呆然とするツナ。
何とかして思考回路を動かす。
「(このふざけた感じ………このアホ面………)」
男は、ごろんと寝返りをうって寝言を言った。
「奈々~~~vV」
それを聞いて、ツナは確信する。
「(父さんだ………。)」
同時に、頭を抱え込み、
「(ダメオヤジ帰って来たーーー!!)」
そしてため息。
何だか脱力してしまい、そのままフラフラと自分の部屋へ。
「(絶対生活めちゃくちゃになる………!!)」
絶望的な顔をしているツナとすれ違いに、リボーンがその部屋を覗く。
「来たか、沢田家光。お前がこのタイミングでハーフボンゴレリングを息子に託すって事は……あっちでとんでもねー事が起こってんだな。」
話し掛けられている本人は、鼻ちょうちんを作って眠りこけていた。